[最終更新日]2023年9月12日  [記事公開日]2022年9月20日

就職に強い大学になるにはどうすればいい?就職率の高い大学の特徴から見る政策

大学を選ぶにあたって、卒業後の進路を意識し、就職に強いかという点を重視する学生は非常に多いです。つまり、学生を集めるためには、就職に強い大学であることが大事です。就職に強い大学はいくつかありますが、その大学の取り組みにはいくつかの共通項が見られます。就職に強い大学になるには、他の大学の取り組みを参考にしていきましょう。

就職に強い大学の特徴と条件

就職に強い大学の特徴と条件

就職に強い大学というと、偏差値が高く、入学難易度が高いというイメージを持つ人も多いでしょう。しかし、さほど偏差値が高いわけではなく、入学しやすい大学でも就職実績の高い大学はいくつもあります。そのような大学を見ると、いくつか共通する特徴が見受けられます。

就職サポート

最も大きな特徴は、就職サポートが充実している点です。どんなに優秀な人材が在籍する大学でも、就活時のサポートが不足していれば、自力で良い企業に就職するのは難しいです。特に昨今のコロナ禍によって、学生の就活に関する環境は大きく変わっています。学生も就活するにあたって、いろいろな不安や心配を抱いています。それを払しょくするために、手厚くサポートできる体制を作ることが大事です。

キャリア教育

また、キャリア教育に力を入れている大学も、就職に強みを持っています。早い段階から社会人になるために必要となる、実践的な知識やスキルを身に着けるカリキュラムを組むことで、即戦力になる学生を輩出します。このような教育に力を入れていることが企業でも広く知られるようになれば、その学生を積極的に採用したいと思うでしょう。

卒業生の組織

卒業生の組織が強固であることも、就職に強い大学の特徴の一つです。幅広い年代を縦断するような卒業生組織があると、そのネットワークを通じて就職先を見つけられる可能性が高まります。卒業生組織と大学、さらに企業と、それぞれが太いパイプでつながれていれば、就職に強みが出てきます。

学部編成の強み

学部編成も就職に影響します。就職に強い大学を見ると、実学系の学部や学科を多く設けている傾向が見られます。まず文系においては、経済学部や法学部のある大学は就職に強みを発揮します。これらの学部で学ぶ知識は、金融関係では必須となります。その他にもメーカーや商社でも必要とされる学問なので、学生にとっては就職の選択肢の幅が広がります。

理系教育の充実

理系の充実した大学も就職に強みがあります。特に専門性の高い勉強ができる学部は、就職において強みを発揮します。機械工学や薬学、農学の出身だと、特に希少性の高い学生として企業の評価も高まります。

少人数教育

あまり規模の大きくない大学の中には、入学難易度はさほど高くないけれども、就職実績は良い大学もあります。このような大学は、学生の人数を絞り込むことで、教員1人当たりの生徒数を少なくします。それにより、生徒それぞれに対応したていねいな教育が可能となります。この部分を就職課などが企業にアピールすれば、就活に強い大学と認知されるでしょう。

他にはない特色

他にはないオリジナリティを出すことで、注目を集めている大学もあります。例えば、国際教養大学は2004年に開学された比較的新しい大学です。秋田県にある大学で、あまり世間的な認知度は高くないかもしれませんが、就職には強みを持っています。その理由は、授業がすべて英語で行われるなど、英語教育に力を入れているからです。それに加えて、1年間の海外留学が卒業の必須条件となります。語学力があって、国際感覚を持ったグローバルな学生を輩出していることで、高く評価されています。このように、他の大学にはない特色を持つことも、就職に強い大学になるために必要なことです。

就職に強い大学になるための事前準備と対策

就職に強い大学になるための事前準備と対策

職員の意識改革

就職に強い大学になるには、まず学生の立場に立ってサポートや指導する意識を、職員間で共有することが重要です。就職課の職員の中には「とにかく内定優先!」という指導を行う職員も一定数いるでしょう。確かに、卒業が近づいているのに内定が一つもないと、将来に不安を感じるでしょう。しかし、やみくもに内定を取るように指導すれば、ミスマッチの起きるリスクが高まります。学生が就職後に「自分のやりたい仕事ではない」と感じたら、早期離職につながる恐れもあります。これは学生にとっても、企業にとっても良い結果ではありません。そこで「卒業までにとにかく内定先を確保する」という指導ではなく、学生にとって本当に良い影響を与える意識を徹底させましょう。

就活のエキスパートに

また、職員が就活に関するエキスパートになることも大事です。中には、就職に関する専門知識のない人が、就職課の担当になっている場合も少なくありません。そこで、就活に関する専門知識を身に着けるセミナーを受講させたり、関連する資格取得を目指すよう促したりすることも大事です。資格取得費用の一部を大学で助成することも一考です。例えば、就職課で活躍するためには、キャリアコンサルタント資格を取得すると良いでしょう。キャリアコンサルタントとは相手との対話を通じて、相手にとって好ましいキャリアを選択させたり、能力開発のサポートをしたりする専門家のことです。国家資格なので、学生からしても安心して相談できるでしょう。このように、専門的な実績のあるスタッフを育成することも、就職に強い大学になるには大切なことです。

就活講座の見直し

就職課ではいろいろな講座を用意していると思います。その講座を見直すことも、就職に強い大学になるために必要なことです。面接マナー講座や履歴書の書き方講座などを提供している大学は多いでしょう。それだけでなく、女子学生向けに就活時のメイクの講座など、特定の学生のケアができるプログラムを用意することもおすすめです。

学部との連携

就職課だけでどうにかするのではなく、学部と連携するのも一つの方法です。例えば、東京工科大学では、1年次から就職支援プログラムを受講する必要があります。さらに、「実学カルテ」というシステムを導入していることも、カリキュラムの特色の一つです。これは、目標設定や能力向上の道筋を考えることで、自分の能力をそれぞれの学生が客観的に理解できるようなシステムです。また、コーオプ教育も行っています。工学部のカリキュラムの一環として行われており、一定期間実際に企業で働くことで単位取得ができます。大学単位でインターンシップを行っているようで、社会人としての基礎力が身につくため、他の就活生よりも一歩リードできます。

石川県の金沢工業大学も、1年次から就職を意識させる授業をカリキュラムに導入しています。金沢工業大学は、教員の半数以上を企業出身者で固めている点も特徴です。さらに、各学科に60名ほどの進路アドバイザーを設け、学生の進路に関する相談に乗っています。このように、日常のプログラムの中で積極的に就職に関する項目を導入することで、早い段階から学生への意識づけに有効な対策です。

就職に強い大学になるための学生育成法

就職に強い大学になるための学生育成法

就職に強い大学になるには、人材育成も大事です。就職課を中心に対策を講じても、学生が育たなければ、良い就職先を確保することは難しいでしょう。そこで、いかに社会人として適応力を持った人材を育成するかという点を検討しなければなりません。

皆さんの大学でもキャリア教育やインターンシップを実施したり、企業関係者を招いて講演を行ったり、様々な対策を講じているでしょう。実際、9割以上の大学がキャリア支援の施策を講じています。しかし、そのような施策はしているけれども、学生が社会を意識しているかという点はまだ不十分なようです。大学3年生の就活開始時期になり、実際に企業と触れることで、自分の現状に愕然とする学生も少なくありません。

そこで、いかに早く、学生に就職への動機づけを行うかが重要です。そのために、一部の大学では企業と協力して人材育成する動きも出てきています。また、就職や人事、人材開発の専門家が、1年次から社会人を育成するようなプログラムを進める試みも出てきています。授業を通じて企業を意識することで、早い段階から自分の進路について考える動機づけができます。

インターンシップの実施

インターンシップを企業に働きかけるのも一つの方法です。インターンシップは、学生時代から社会に触れる貴重な機会として注目されています。さらに、社会人としてのスキルを育成するためにもメリットがあるといわれています。このようなインターンシップの特徴を踏まえ、企業と大学が連携したインターンシップの実施も検討すべきでしょう。

学生プロジェクトへの支援

愛知工業大学は、2021年の実就職率ランキングで97.4%となり、東海地区でトップ、日本全国でも2位にランクインしました。なぜ、これだけ高い就職率を誇るのでしょうか。それは、徹底した実学教育を実践しているからです。例えば「学生チャレンジプロジェクト」というオリジナルの制度があります。これは、自分のやりたいことをプロジェクトとして企画します。その後学内で審査が行われ、企画に応じて助成金を給付します。この助成金を元手にして、プロジェクトを進めていくというものです。自分のやりたいことを主体的に進めていくので、高いモチベーションを持って取り組めるでしょう。なお、助成金実績について、2020年度は23件に支払われ、その総額は1,200万円にも達しています。講義などで学んだ知識やスキルを活かして自由にチャレンジする中で、実践力を育成していきます。その結果、新卒でも即戦力のある人材を育成できるわけです。

4年間を通した計画

宮城県にある東北学院大学では、1年次から将来の就職の意識づけができるようなシステムを採用しています。まず、1年次全員を対象にコンピテンシー診断を実施しています。これは自分の長所と短所について分析し、目指す人物像に近づくためにはどうすればいいか考えさせます。2年次になると、全員を対象に自己分析・自己発見のための職務適正テストを受けます。その時点における自分の特性を分析し、どのような仕事に適性があるかを発見するきっかけを作ります。就活では自己分析も大事な項目の一つです。就活になってから慌てて自己分析するのではなく、1年次から実践することで就活のやり方に慣れさせる試みといえます。

3年次には、インターンシップのサポートを行います。学校側から、実際に企業で就業体験をする機会を提供しています。具体的には、インターンシップを希望する学生を大学が募り、希望者に対して企業への紹介を行います。学生時代から職場を体験できるのは、学生にとってメリットといえます。また、実践的なスキルを身に着けられるので、即戦力の学生育成に貢献するでしょう。インターンシップをするにあたって、2年次の自己分析・自己発見のための職務適正テストをもとにして、希望する職場を選択します。実際に職場体験することで、テストの結果があっているかどうかの答え合わせもできます。雇用のミスマッチを回避できる意味でも、貴重な体験となるでしょう。

まとめ

就職率がなかなか上がらないと悩む大学関係者は、非常に多いです。就職に強い大学になるには、偏差値をあげて入学難易度の高い学校にする必要はありません。偏差値はそこまで高くないけれども、高い就職率を誇る学校は多くあります。そのような大学を見ると、就職に活きるノウハウを教える、就職課が手厚くサポートするなどの工夫をしています。ここで紹介した対策を参考に、就職に強い大学に改革していきませんか?弊社のキャリアプランナーが徹底的にサポートいたします。

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