[最終更新日]2023年9月12日 [記事公開日]2022年9月21日
新卒の定着率を上げたい人事必見!定着率を向上させる方法教えます
人事を担当していて、せっかく採用した新卒がすぐにやめてしまい、困った経験はありませんか。この記事では、新卒の定着率、すぐにやめてしまう原因と特徴、定着率を上げるための対策、やり方を解説しています。新卒の定着率をあげたい企業はぜひご覧ください。
定着率とは?
定着率とは、「採用した従業員がどれだけ職場に定着することができたか」を、具体的な数字で示したものです。よく「入社3年後の定着率は○○%です」といった使われ方をします。
この定着率は「設定した期間後に勤務している従業員の人数÷その設定した期間が開始したときの従業員の人数」に100をかけることで算出されます。例えば、3年前に20人を新規採用し、3年後に15人勤務している場合は「15÷20」に100を掛けて、75%という数字がでてきます。この会社の3年後の定着率は、75%となります。
一方、定着率と並んでよく挙げられるのが離職率です。こちらは定着率と反対に、「一定の期間内にどれだけの人材が離職してしまうか」を示す数字です。算出するためには「設定した期間内に離職した従業員の人数÷その設定した期間が開始したときに勤務していた人数」に100をかけたものとなります。
ですから、簡単にいえば定着率が80%の職場は離職率が20%となるわけです。
就職・転職市場では、この2つの数字が企業を評価するうえで重要な材料となります。多くの求職者は、できるだけ長く働ける企業に就職したいので、あまりに定着率が低い職場は避けられやすくなります。また、定着率が低い企業にはそれなりの理由があると考えられるので、給与が高いにも関わらず定着率が低い職場だった場合、「職場環境に何かしらの問題を抱えているんじゃないか?」と疑問を持たれやすくなります。どんなに求人情報で好条件を提示しても、定着率が低いと、企業としての魅力に疑問符をつけられてしまう恐れがあるのです。
ただ、定着率を知る上で、考慮しておきたい点もいくつかあります。例えば、離職とは、必ずしもその会社が嫌になって辞めたものとは限らないということです。会社でキャリアを積んだ上で、独立開業やよりよい職場を求めて転職をしたというケースも考えられます。
そこで重要になるのは「何年以内の定着率か」です。よく3年以内の定着率が取り扱われるのは、就職後3年間でさえ社員が定着しない職場は、多くの就職・転職希望者にとって不安をもたらすからです。第二新卒が、一般的に新卒から入社3年以内に退職した人材を指すことを考えても、この「3年」が重要なポイントとなってくるでしょう。企業としては、この3年以内の定着率を向上させることが重要なポイントとなってきます。
もう一つ、業種ごとの定着率の傾向も見ておきましょう。自社が属している業種・分野の中で、定着率が他社と比較してどのような数値なのか。全体平均よりも低い場合でも、業種の平均よりも高い場合には「この職場はまあまあ働きやすい」と評価されることがあるからです。IT業界や飲食サービス業、介護・福祉業界など、定着率が低いことで知られている業種もあるため、「その業種よりも高いかどうか」も重要なポイントとなってくるわけです。
定着率が低い原因と特徴
では、どうして定着率が低くなってしまうのか?簡単に言えば、定着率が低い職場とは、従業員にとって魅力的ではなく、働き続けるメリットよりもデメリットの方が大きいことを意味します。つまり、定着率の低さは、会社そのものの問題点を示しているとも言えます。
定着率が低い原因は、大きく3つの要素に分けることができるでしょう。
一つ目は、「給与が低い」ことです。具体的に言えば、担当している業務に対して、給与・収入が割に合わないということです。基本的に、ビジネスマンは生計を立てるために仕事をしており、それに見合った収入が得られるかという点は、職場を評価する重要なポイントです。この点で難しいのは、純粋な収入の高さではなく、あくまで「労働に対する対価としてどうか」です。例えば、人手不足の企業では、非常に高い給与で人材を募集するケースも見られますが、それでもなかなか人手不足を解消できないことがあります。それは、人手不足による激務の環境が高い収入に見合わず、辞めてしまう人材が多いことを示しています。つまり、企業が従業員に正当な対価を提供しているか、ということが問われるわけです。
二つ目は、収入面とも結びついてくる勤務環境です。ワークライフバランスの重要性が叫ばれる現在において、連日残業続きでプライベートの時間が確保できない、人手不足で厳しいシフトでの勤務を強いられているといった環境は、定着率を下げる非常に大きな要素となっています。人手不足のために勤務環境が厳しくなり、そのために定着率が低くなって人手不足が慢性化する、そのような悪循環に陥ってしまっている企業も多々見受けられます。
不規則な勤務環境も、定着率を下げる大きな要因です。勤務時間自体はそれほど厳しくないものの、急に残業が入る、休日出勤を求められるなど、プライベートを犠牲にするような環境は定着率を下げてしまいます。家族と過ごすはずだったのに仕事のせいでできなくなった、恋人とのデートをキャンセルせざるを得なくなった、こうした状況の繰り返しは従業員に離職を考えさせるのに十分な理由となりうるでしょう。この点は、企業のスケジュール管理やタイムマネジメントが問われます。
三つめは職場の雰囲気、人間関係です。退職理由を調べたアンケートでも、必ず上位にあがるのが「職場の人間関係の問題」です。給与がよくても、勤務時間も平均的なものでも、職場の人間関係が悪いことで「辞めたくないけど辞めざるを得ない」状況に追い込まれてしまうケースが見られます。
この問題で真っ先に浮かぶのは、上司・先輩によるセクハラ・パワハラでしょう。さらに酷い場合には、いじめなども起こりえます。ただ、こうした明らかに問題がある環境でなくても、人間関係が定着率を下げてしまうケースが考えられます。
特に注意が必要なのが、先述した勤務環境の悪化と結びついてしまっているケースです。具体的には、上司がダラダラと仕事をしているので、部下が定時を過ぎても退社しづらい、とくにやらなければならない仕事があるわけでもないのに、一緒に残業しなければならない。さらには上司が休日出勤するために、部下もそのフォローのために休日出勤しなければならないなどが挙げられます。
他にも、様々な状況が、業務の効率やモチベーションを下げてしまっているケースも見られます。例えば、上司のITスキルが低く全く対応できないため、部下がそのフォローに無駄な時間と手間を強いられていることや、中身のない会議ばかりを行ったり、やたらと仕事後の飲み会に参加させられるなどが挙げられます。こうした人間関係がもたらす小さな不満が蓄積することで、従業員の離職をもたらしてしまうことも多いのです。
定着率が低い理由が思い当たらない場合、こうした人間関係やそれがもたらす就業環境が関連している可能性が高いでしょう。定着率を改善するためには、こうした点を徹底的に洗い直してみることも必要です。
他にも、よく見られる原因として人事評価の問題が挙げられます。先述した、労働に対して収入が見合わない問題ともかかわってきますが、一生懸命働いてそれなりに成果を挙げているのに評価が上がらない環境は、従業員のモチベーションを下げ、離職を促す大きな原因となります。
これは、会社の人事評価における構造と職場環境の両方に問題がある場合が多いです。「長時間働いている人が評価される」といった職場も多く、成果よりも残業時間が評価の対象になるケースも見られます。あるいは、人間関係の問題で、正しい人事評価ができない状況も考えられます。成功した時には自分の手柄にし、失敗した時には部下のせいにする上司、しかもその上司の主張を鵜呑みにして評価してしまう人事、こうした正しい評価ができない会社は単に定着率を下げてしまうだけでなく、優秀な人材を失い、単に世渡りがうまいだけで仕事ができない人材ばかりが残る環境を作ってしまうでしょう。
この人事評価の問題に関しては、適材適所を意識することが重要なポイントになります。本来なら営業面に優れた能力を持つ人材なのに、人事が製造担当に回したために、その人材がやりがいを感じられずに辞めてしまうといったパターンを減らしましょう。とくに新卒社員の配置には、この点の配慮が非常に重要になるでしょう。
定着率を上げるための対策
定着率を上げるためには、これまで挙げてきた原因や環境を改めるための対策が必要です。まず、人事評価を見直すことが大事です。その仕事を「誰が」「何を担当し」「どんなことをしたか」を明確にしたうえで、人事評価をする。いいアイデアを出した人や頑張った人に対して、きちんと評価できるようにしましょう。特に、口先ばかりで取り入るのが上手な従業員が評価されるような環境は、なんとしても避けましょう。
そのためにも、できるだけ客観的かつ多角的な評価ができる環境が問われます。例えば、その部署の上司一人だけの評価に頼っていると、部下ごとの好き嫌いが反映されてしまったり、先述したように自分の手柄ばかりを主張したり、失敗を部下に押し付けてしまったりといった問題も出てくるからです。同僚・部下、他の部署など、さまざまな人間による評価を取り入れた制度の構築を目指してみましょう。
そして、勤務環境の見直しとワークライフバランスの重視も必要です。現代のビジネスシーンでは、テレワークの積極的な導入が重要になってくるでしょう。残業ありきの勤務環境、「長時間働いた人が頑張っている」といった古い考え方を改め、従業員が過度な負担やプライベートの犠牲を強いられることなく、快適に業務に励めるような環境づくりが求められます。これを実現するためには、会社が社内向けに促すだけでなく、現場の上司が手本となって実践していく姿勢も求められます。先程触れたように、いくら会社が定時退社を促しても、現場の上司が職場に居残っているような環境では目標の達成ができないからです。
ワークライフバランスの重視と関連する物として、福利厚生の充実が挙げられます。有給を取りやすい環境にするだけでなく、取得を促す取り組みも欠かせません。この点でも、やはり職場の人間関係が重要になるでしょう。いくら会社が有給の取得を促しても、現場がそれを許さないような環境では、誰も有給取得しないです。ワークライフバランスがうまくとれていない職場ほど、こうした環境になりがちです。職場の誰もが厳しい環境で働いているのに、自分だけ有給を取って休むことができるのか?という懸念からです。また、上司が有給の取得を許さないといったケースも考えられます。有給取得に対する意識そのものを、会社だけでなく、従業員全体で変えていく必要もあるかも知れません。
他にも、住宅手当を充実させる、託児所を設置するなど働きやすい環境を用意する、余暇を有意義に過ごせるような優待制度を用意するなど、福利厚生にもさまざまなアプローチがあります。たくさん用意するのではなく、あくまで従業員が望むものや、「あると嬉しい」制度を充実させることが重要です。その福利厚生を利用することで、従業員が会社に対して愛着を持ってくれる、または仕事へのモチベーションを高めてくれるような環境を整えましょう。そのためにも、従業員からアンケートをとるなど、要望を直接反映させることができるような仕組みも求められます。
また、研修・教育制度を充実させて新卒・第二新卒の早期の離職を防ぐ、従業員の間でコミュニケーションをとり円滑な人間関係を築く環境を用意する、といった取り組みも定着率を高める有効な取り組みとして挙げられます。
まとめ
定着率が低いことには、それなりの理由があるものです。しかも、それが職場の人間関係や会社の古い体質など、かなり根深い所に潜んでいることもあります。それだけに数字を上げるための対策をとっても、劇的に改善するのが難しいこともあるでしょう。しかし何らかの対策をとらないと従業員が定着せず、優秀な人材が辞めてしまい、人手不足が慢性化することになりかねません。評価制度の見直しなど比較的早く効果が得られる方法と、職場の雰囲気の改善といった時間がかかる方法をうまく組み合わせながら、従業員が長く働ける環境づくりを目指していきたいところです。もし定着率が改善しなければ、弊社のキャリアプランナーが二人三脚で対策いたしますので、お気軽にご相談ください。
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