[最終更新日]2023年9月11日  [記事公開日]2022年9月22日

新卒の内定辞退が多い…。原因から紐解く内定辞退率の下げ方を解説します

新卒内定者の内定辞退が多い現在、企業では長期インターンやお試し入社といった対策が導入されています。これらには自社への志望度を高め、内定者との関係を保つ効果があります。本記事では、採用プロセス順に新卒内定者の内定辞退率を下げる方法を解説します。

新卒における内定辞退率と事情

内定辞退率とは、内定を受けた学生の内、その内定を辞退した割合のことです。就職みらい研究所の「就職白書2021」のデータでは2021年の内定辞退率は48.4%となりました。「就職白書2022」では、採用予定数を100と仮定する場合の内定辞退人数は、75.7人です。「採用予定数を充足できた」とする企業は52.2%で、2021年卒との差は-3.8ポイントでした。つまり、計画通りに採用できなかった企業が48%を超えていることになります。採用数が計画より少なくなった理由で最も多いのは、「内定辞退が予定より多い」で48.4%という結果となりました。

新卒の内定辞退が多い原因

新卒の内定辞退が多い原因

内定辞退が多い原因の一つに、第一志望でなかった点が挙げられます。就職活動を行う学生は、第一志望の企業から採用されなかったことを考えて、複数の会社にエントリーしています。つまり、第一志望の企業に採用されれば、第二志望以下の企業の内定は辞退することになります。大卒の新卒者の場合、就職活動の前半で内定が出ると、就職活動から実際の入社までの期間が長くなります。その間に他の志望度の高い企業から内定が出ると、結果的に辞退者が多く出ることがあります。

また、内定が出たとしても、選考の段階で悪印象を与えると、内定を辞退することがあります。具体的には、面接官の対応が悪かったり、選考についての連絡がなかなか来なかったりといったことです。この場合、すでに会社に対して悪印象を持っているので、内定が出ても断る可能性が高くなります。

内定を承諾したものの、面接時の話と実際の条件が違っていた場合も、内定辞退の可能性が高まります。例えば、希望の勤務地、配属先でなかったということです。また、会社について改めて詳しく調べたところ、自分の希望と違いがあるという実情を知ったり、内定を承諾した後に会社の悪い噂を聞いてしまったりして、内定を辞退したという例もあります。

また、内定承諾後に、内定式や懇親会などで社員の雰囲気が合わないと感じた、内定者アルバイトで社風や業務内容が希望通りではなかった、内定者課題についていけないと感じたことで辞退したという事例もあります。

最後に考えられる原因として、内定後にフォローが全くなかったため、不安になって辞退することもあります。新卒者は、初めての就職で不安が多くあります。その中で、頼れる先輩もいない場合、会社側のフォローによって安心感を得ることができます。ところが、そのフォローが全くないと、逆に不安が強まり、内定辞退につながります。

新卒の内定辞退率を下げる方法

新卒の内定辞退率を下げる方法

まず、選考の段階で自社への志望度を高めることです。学生からの連絡や質問に迅速に回答したり、面接で学生の緊張をほぐすような環境を整えるなどの配慮をして、選考の段階で自社への志望度を高める必要があります。ただ、この段階で自社の良さだけをアピールしないようにしましょう。なぜなら、内定後に詳しく調べてみたところ、ギャップを感じ、辞退につながることがあるからです。そのため、自社のアピールポイントと課題を両方とも知らせる必要があります。会社の現状を、ありのまま理解してもらうことが大切です。こうすることで、内定辞退やミスマッチを防ぎ、離職率も下げることができます。

また、面接官の態度や話し方、醸し出す雰囲気も大切です。学生は接する人を通して、会社の雰囲気を判断することを覚えておきましょう。さらに、選考の際に「他社の選考を受けているか」「選考はどこまで進んでいるか?」なども聞いておくべきです。最後に、面接結果は迅速に伝えることを心がけましょう。大変優秀な人材でどうしても自社に必要だと思ったなら、面接当日に内定の連絡をするという判断もあります。

次に、内定後に関係を保つことが挙げられます。内定を出す際に、入社までの行事やスケジュール、担当への連絡方法などを伝えます。スケジュールが決まっていない場合でも、入社までのフォローをする担当者の連絡先を伝えておけば、学生が困った時などにいつでも対応できます。そのため、内定者も安心でき、内定辞退を減らすことができます。内定から実際の入社までには期間が開くので、その間定期的に電話連絡することも必要です。月1回など、ペースを決めて連絡するようにします。電話連絡の他に、動画サービスによるフォローも可能です。動画を見てもらうことで、あらかじめ仕事内容を理解してもらうことができます。動画の中で、入社歴の浅い社員に感想やコメントなどをもらうこともおすすめです。何度でも、自分の都合の良い時間に見ることができる動画サービスは、大変有効となります。

また、企業や業務内容への理解を深めてもらうために、職場見学会を開くことがあります。企業や仕事に対する理解が深まることで、学生の不安が解消され、内定辞退や早期離職を防ぐことができます。職場見学会では、入社後に配属されるオフィスや施設、工場などを案内します。先輩社員が案内しながら、業務についての説明をしたり、学生からの質問に答えていきましょう。テーマを決めて、グループワークをすることも一考です。体験型の見学会は、学生が職場の雰囲気や仕事の内容を体感できるので、働くイメージがつきやすく、親近感を持ってもらうことができます。職場見学会の際には、何を見れば職場や仕事の内容を理解しやすいか、どんな部分が特徴的かなどをまとめた資料を事前に渡しておくと効果的です。そして、見学後には、学生が感じたことや学んだことを聞くことや、見学のレポートを出してもらうことも有効です。見学会では、内定者を会社全体で歓迎しているという雰囲気が伝わるようにしましょう。

内定者同士の連帯感を高めるために、内定者懇親会を開くことも、辞退防止に有効です。内定者懇親会の目的は、内定者同士に交流してもらい、互いの関係性を深めることです。これにより、志望度が低い学生がいたとしても、志望度の高い学生からポジティブな影響を受ける可能性があります。同期が複数いると、それだけで不安が解消されることもあります。懇親会では若手社員にも協力を仰ぎ、自己紹介やグループワークを通して学生と若手社員が自然に交流できるようにすることで、職場での人間関係の不安を取り除くことができます。内定者同士の関係を深めるために、内定者研修を開くことも可能です。研修会では、来季の経営計画や会社の組織などを説明し、会社の一員として迎えられているという気持ちを持たせることが重要です。さらに、内定者同士の関係を深める目的で、内定者専用サイトやSNSを活用する方法もあります。これにより、普段から自由にコミュニケーションを取って、懇親会で会うたびに関係を深めていくことができます。

業務に対する理解を深め、内定者の不安を取り除くために、社内イベントへの参加を促すのも有効な方法でしょう。社内イベントへ参加してもらうことで、社内の雰囲気を理解してもらい、人間関係や職場に関する不安を解消させることができます。社内イベントの運動会や各種パーティーで、社員との交流を通して、不安の解消だけでなく、「この会社の社員になる」という自覚を強めることができます。社内イベントは、あまり緊張しない雰囲気で行われるので、会社への信頼感やモチベーションアップに効果的な方法です。なお、内定者の社内イベント参加は、あくまでも任意ということにしましょう。それにより、内定者の意志を尊重している、ストレスを与えないように配慮しているという会社側の気持ちが伝わり、良い印象を与えることができます。また、遠方であるなどの理由で、参加できなかった内定者に対する配慮も必要です。不公平感が生まれないようにフォローしましょう。イベントに参加した学生には、歓迎されている、仲間として対等に扱っているということが伝わるようにしてください。

そして、内定を通知した後に、アルバイトとして数か月間働くことを打診するのも一考です。まず、先輩社員のサポート業務など、未経験でもできるような仕事から始めてもらい、慣れてきたら業務のレベルを上げていくことがおすすめです。内定者にアルバイトをしてもらうことで、内定者が自分の働く姿をイメージしやすくなります。共に働く人たちが、生き生きと楽しそうに働く姿を見て、この会社で働きたいという就業意欲を高めてくれるかもしれません。また、正式に入社する前から先輩社員との人間関係が築けるので、困った時にサポートしてもらえるという安心感につながり、内定辞退を減らすことができます。ビジネスマナーや会社のシステムの扱い方なども予め学ぶことができるので、4月からスムーズに仕事ができるという気持ちの余裕を持つこともできます。また、卒論などが忙しく、アルバイトをする余裕がない内定者でも、体験入社などには応じるかもしれません。1日働くだけでも、仕事内容や仕事に求められるスキルをある程度理解することができます。さらに、1日の仕事の流れなどもわかり、「これならできそうだ」と自信につながるかもしれません。こちらについても、職場の雰囲気も体感できるので、人間関係に対する不安を取り除く助けになります。

可能であれば、会社のトップに会ってもらうことも方法の一つとして挙げられます。会社のトップから直接指名され、期待しているという言葉を聞けば、モチベーションが上がります。期待の言葉は漠然としたものではなく、学生の能力や技術、特質などを理解した上で、具体的な言葉にすることが大切です。可能ならば1対1で、難しければ、できるだけ少人数で会うことがおすすめです。ほんの数分の時間でも、トップからの言葉は大きな影響力を与え、内定辞退をとどめることになり得ます。また、トップとの交流会やセミナーを実施することも有効です。内定者は、企業のホームページなどから会社に対して一定の情報を得ていますが、トップの口から直接企業理念や事業方針を説明されると、信頼度も高まり、モチベーションもアップします。

最後に、内定式において、内定者を歓迎している雰囲気づくりをすることも辞退防止につながるでしょう。内定式は、内定者の入社意志を確認すると共に、内定者同士のつながりを強くする目的でも行われます。また、事業内容や企業理念、社風などを理解してもらう場でもあります。内定式の印象が悪く、内定辞退をするという事態にならないよう、プログラムを充実させ、内定者が歓迎されている気持ちになるように配慮します。内定式の最後に、入社後に使用できる用具を贈るという方法でも、内定者の心を引き留めることができます。最近では、オンラインで内定式をする会社もあります。この特徴として、内定者がどこにいても参加でき、企業側も会場費や運営費を削減できるというメリットがあります。ただ、隣に座って親しくなるといった、偶発的なコミュニケーションが生まれにくいということも事実です。また、内定者のネット環境が悪いと、うまくつながらないということもあります。メリットとデメリットを考えてどちらにするか決めるようにしてください。

まとめ

ここで紹介した以外にも、長期インターン採用をしたり、最終面接後のお試し入社といった方法を取り入れ、内定辞退者を防ぐ対策をしている企業もあります。いずれにしても、新卒の内定辞退率をなるべく抑えるためには、会社と内定者との信頼関係をできるだけ早い段階から築き始める必要があります。

関係構築は面接の段階から始まります。面接から内定通知、内定式、入社まで、コミュニケーションを十分にとり、内定者と会社、また、内定者同士の良好な関係を築くようにしましょう。また、その過程で、内定者の不安を取り除くことも大切です。

様々な手を尽くしても内定を辞退する学生が出ることがあります。内定辞退が多い場合は、その理由を把握・分析して、今後の対策に役立てましょう。もし、採用に関するお困りごとがあれば、弊社ジールコミュニケーションズまでご相談ください。

ジールコミュニケーションズお問い合わせ

ジールコミュニケーションズでは、新卒・既卒での就職活動、第二新卒、中途で転職活動をはじめ、企業向けの採用支援や学校・キャリアセンター向けのサポート支援を行っております。豊富な実績や手厚いサポートによってお客様に向き合った支援サービスをご提供いたします。
お問い合わせよりお気軽にお悩みや希望をご相談ください。

問い合わせから相談する