[最終更新日]2024年4月30日  [記事公開日]2022年9月22日

中途採用の選考辞退を防ぐには?原因から紐解く防止策を解説します

採用担当者にとってつらいのは選考辞退でしょう。目ぼしい人材が見つかっても、その人が選考辞退すると、また一から採用活動のやり直しです。中途採用でも、選考辞退をされることもあり得ます。なぜ選考辞退が起きるのか、その原因を正しく理解できれば、辞退のリスクを低減できます。

中途採用で選考辞退が起きる原因

中途採用で選考辞退が起きる原因

中途採用時に選考辞退が起きる原因は、主に3つあると考えられます。

1つ目は、他社で内定が決まったからです。中途採用者の中には、複数の企業に応募しているケースも少なくありません。他社と比較して魅力が劣れば、辞退される可能性は高いです。これは、その企業が自社の魅力や働き甲斐について、十分アピールできていないことが原因です。そこが不明瞭であれば、「本当に就職しても大丈夫だろうか」と、求職者も不安になってしまいます。いかに求職者の不安を払しょくして、自分の会社で働くイメージを持ってもらうかがポイントになるでしょう。

2つ目は、求職者の条件と合致しなかったからです。具体的には、採用ポジションや給料などの待遇、福利厚生などで折り合いがつかなければ、選考辞退される可能性は高まります。条件面で折り合いのつかないことは、ある意味不可抗力ではあります。しかし、たとえ条件面で折り合いがつかなくても、「この仕事は面白そう」とか、「会社に魅力を感じる」というポジティブな印象を与えられれば、条件が自分の希望するラインに届かなくても、引き続き選考を受けてもらえるかもしれません。「この会社にあなたという人材が必要です!」という熱意をアピールできれば、多少の条件面の不満も妥協してくれるかもしれないのです。

3つ目は、スケジュールの調整がつかなかったからです。特に、現在働きながら転職活動をしている人は、仕事の合間を見つけて就活する形になります。選考回数が多い、面接のできる日程が少ないとなると、選考辞退せざるを得ないということになるでしょう。もしスケジュールでなかなか折り合いがつかないのであれば、相手を尊重し、こちら側が歩み寄るなどの対応も必要になってくるでしょう。

選考辞退を防ぐための事前対策

選考辞退を防ぐための事前対策

選考辞退を防ぐためには、応募者のモチベーションを下げないような配慮を心がけることが重要です。そのための事前対策として、求人情報を見直しましょう。

まずは条件面のチェックです。条件面の説明が不十分で、応募者に誤解を与えているケースは少なくありません。例えば、年齢や役職ごとにいくつかのモデル年収を提示することで、自分が採用された場合の待遇を具体的にイメージできます。また、昇給の基準も明記することで、今後のキャリアプランも描きやすくなるでしょう。

仕事に関する情報を充実させるのも、選考辞退を防ぐための対策と言えます。人材紹介サービス大手のdodaが、2015年3月にサービス利用者を対象に行ったアンケートの中で、「求職票の何を重視しているか」という項目がありました。そこでは、仕事内容や求める人物像、募集背景など、仕事にかかわる情報をチェックしている人が多いことがわかりました。企業情報よりも、仕事内容に焦点を当てて充実させることで、求職者の関心を集めやすくなります。具体的には、募集することになった背景や、どのようなスキルを活かせるか、この仕事をすることでどんなスキルが身につくかなどを明記しましょう。

また、求職者の中には自分が職場に溶け込めるか、不安に感じている人もいます。そこで、職場の雰囲気についてわかるような情報も記載しましょう。具体的には、年齢層や男女比などを記載すると、イメージしやすくなります。職場の写真を求人情報に載せるのもおすすめです。

選考フローの見直しも、事前対策としておすすめです。選考辞退者の中には、スケジュールの折り合いがつかないという理由も見られました。この問題を解消するには、選考プロセスを見直して、スピーディーに対応できる体制づくりが急がれます。

面接の回数を減らしましょう。応募者の人間性や能力を見極め、企業の魅力を志望者に伝える意味で、面接を丁寧に行うことは確かに必要ではあります。しかし、面接回数を増やすと、それだけ応募者の負担も大きくなり、入社へのモチベーション低下につながりかねません。面接を何度も行っているのであれば、その回数を減らしてみましょう。オンライン面接を利用するのも一考です。オンライン面接であれば、応募者にわざわざ会社に来てもらう必要がなくなる分、負担も軽減できるでしょう。

面接場所にも配慮しましょう。例えば、本社が東京にあって、応募者が地方在住ということもあり得ます。もし遠方であれば、面接にあたって、時間も費用もかかります。場合によっては、宿泊が必要なことも考えられます。そのため、移動が長ければ、それが面倒で選考辞退ということも起こり得ます。そこで、最寄りの支社や事業所で面接を行うことも検討しましょう。応募者と密にコミュニケーションを取りつつ、採用試験を実施することが大切です。応募者も「自分の要望を聞き入れてもらえた」ということで、好印象を抱くはずです。

連絡をスピーディーに行うことも重要です。面接の日程などの連絡は、できるだけ早く行いましょう。空白期間が長引くと、応募者は「本当に採用してくれるのだろうか?」と不安になりますし、先に他社の内定承諾をする危険性も増します。もし、連絡が後回しになっているのであれば、採用担当の人数が不足している可能性があります。採用担当者を増やすなどして、柔軟に対応できるような環境を整えましょう。

連絡のやり方も見直したほうがよいでしょう。応募者とメールにてやり取りする場合に、簡潔すぎる文章は少しそっけない感じがしてしまいます。だからといって、あまり長すぎる文章も読むのが面倒になってしまいます。ちょうどよい分量で送信しましょう。もし伝達する内容が多くなるのであれば、何回かに分けて送信するのもいいかもしれません。また、面接前日には「明日、よろしくお願いいたします」といったメールを送るよう、部署内で意識を共有することも大事です。これにより、応募者へのリマインドにもつながります。

採用基準を見直すことも、選考辞退を防止するために効果的と言われています。近年、有効求人倍率は高止まりの状況が続いています。つまり、求職者にとって売り手市場で、複数の企業で中途採用者を取り合う形となっています。もちろん、採用基準をむやみに低くすることはおすすめできませんが、もし転職市場の相場よりも高く設定しすぎているのであれば、「ここは難しいな」と応募者があきらめてしまっているのかもしれません。採用基準のハードルを少し低くしたほうが、人材も集まりやすくなります。

選考辞退を防ぐために人事にできること

選考辞退を防ぐために人事にできること

選考辞退を防ぐために人事にできることは、面接の見直しです。dodaの調査によると、転職者が応募時の第一志望の会社に入社する割合は、30%にとどまりました。これには、第一志望の会社に入社できなかったケースもありますが、選考の途中で志望順位が変わったという理由も多く挙げられました。最初はさほど志望度が高くなかった企業でも、選考過程を通して、「この会社にどうしても入りたい!」と応募者の気持ちが変化する可能性も大いにあるわけです。

志望順位が変化する要因として、「選考中の対応」「面接官の印象」「具体的な仕事内容の説明」「自分のスキルを評価してもらえた」などが挙げられます。つまり、選考中の企業とのコミュニケーションによって、印象は大きく変わります。特に、直接話をする機会である面接は、志望度に影響を与える大きなきっかけになり得ます。ですから、人事は面接の見直しをしっかり行うべきです。

面接を通じて、いかに会社や仕事に興味を持ってもらえるか、企業理念に共感してもらえるかがポイントになるでしょう。そのために見直すべきポイントは、第一印象です。特に、面接官の第一印象が、会社の印象とイコールになるケースは多いです。応募者に、いかに良い印象を与えるかに注意しましょう。面接会場以外でも、社内のどこかで面接官と応募者が出くわす可能性があります。このときも挨拶をするなど、相手に好印象を残すような対応を心がけてください。応募者が他の社員ともすれ違う可能性があります。他の社員にも同様の対応をするように、教育しておきましょう。

面接の質疑応答を見直すのも、選考辞退のリスクを低減するためのポイントです。応募者にとって、給料や残業時間などは興味のあることです。しかし、面と向かってはなかなか聞きづらい項目でもあります。そこで、企業側から話を振ってあげるのも一つの方法です。そうすれば、応募者も話しやすいと感じるでしょう。応募者は転職するうえで不安を抱いているでしょうから、そのような心配な点を事前に話しておけば、安心して就業できるはずです。応募者の中の心配な要素を適切に情報提供すれば、会社に対してプラスのイメージを抱くでしょう。

面接をしたら、できるだけ早く選考結果を伝えることも大事です。結論を先延ばしにしていると、せっかくの目ぼしい人材を他社に取られてしまう恐れがあるからです。選考結果は、面接完了の3日後をめどに出しましょう。候補者を待たせないという意味もあります。加えて、できるだけ早く結果を伝えることで、「どうしてもあなたを採用したい」という熱意をアピールすることができます。

内定連絡後のフォローを怠らないことも、人事担当がやるべき対策です。内定が決定したときの内定者の心境は、期待半分、不安半分といったところでしょう。応募者の不安をできるだけ解消できるようにフォローすることで、内定辞退を回避できます。

フォローにもいくつか手法があるでしょう。社員との懇親会を開催して交流を図ることや、メールマガジンなどで自社に関する情報を発信することなどが候補になります。また、現在勤務しながら転職先を探していた場合には、現在の職場の退職手続きがうまくいかないこともあり得ます。その場合には法務部門と連携し、顧問弁護に協力依頼するなどの対応を行うことも、候補者を安心させるために有効です。

オファー面談を開催している会社も少なくありません。これは内定連絡後に、雇用条件などの最終確認をするために開催します。雇用契約の書面を提示して、待遇や契約期間などの確認をします。正式契約を結ぶ前に、今一度お互いに条件を確認することで、「話が違う」といったトラブルを回避できます。

このように、候補者の不安をできるだけ解消するようなケアを行い、内定承諾の意志を固められるようなサポートを進めたいものです。

まとめ

せっかく採用選考を開催しても、選考辞退されると、希望する人材をなかなか確保できなくなります。選考辞退されるのには、会社側にも問題があるかもしれません。選考過程がスムーズに進まない、面接官など会社関係者の態度などに問題があるなど、いくつかの原因が考えられます。ここで紹介した要因に心当たりがあれば、その部分を改める必要があります。

求職者は、複数の企業の採用試験に応募している場合がほとんどです。求職者は志望順位をある程度イメージしているでしょうが、最初の段階で自社が第一志望でなくても、採用できる可能性は十分にあり得ます。なぜなら、選考過程の段階で志望順位が変わることは、往々にしてあるからです。自社の志望順位を上げるためには、「あなたが欲しい」「あなたが必要」という熱意をアピールすることが大事です。熱意をアピールするために人事として何ができるのか、ここで紹介した施策を試してみてください。それでも選考辞退者が減らないようでしたら、弊社ジールコミュニケーションズまでご相談ください。

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参考:人と組織の課題解決に本当に役立つ情報を発信するコラム(アーティエンス株式会社)