[最終更新日]2023年9月11日  [記事公開日]2022年9月22日

採用ブランディングとは?目的とメリット、やり方などについて解説

企業が求人募集を出す際には、できるだけ優秀な人材に応募してほしいと願うものです。しかし、ただ優秀な人材というだけでは、必ずしも企業のカルチャーや社風、雰囲気にフィットするかどうかはわかりません。そのため、希望するターゲット層を絞り込んだ採用活動を行うことによって、より自社にとって魅力的な人材を多く確保しやすい状況を作ることができます。

採用ブランディングとは

採用ブランディングとは

採用ブランディングとは、企業側から自社の情報を発信することにより、求職者にとって魅力的な企業に見せるためのイメージ戦略です。企業情報を広く公開することで自社の認知度や知名度を高めると同時に、隠す必要のないクリーンな企業のイメージを作り、求職者からの信頼を集めることにもつながります。こうすることで、自社で働きたいと強く願う熱心な応募者を増やし、優秀な人材を獲得できる可能性を高めるわけです。

ただし求職者にとって魅力的に見せると言っても、求める人物像に合致しない応募者や、自社の社風、カルチャー、雰囲気などに合わない応募者ばかりが増えたのでは、かえって採用活動の手間が増えるだけです。また、魅力的に見せたいばかりに誇大広告を打つと、せっかく優秀な人材を獲得できても入社後にミスマッチを感じさせ、結局は早期退職につながってしまいます。

そのため採用ブランディングでは、単に求職者にとって魅力的な情報を発信するだけではなく、正確な情報を伝えなければなりません。とくに自社の価値観やカルチャー、特性などが分かりやすい情報を発信し、それに共感してくれる応募者の増加を目指します。こうした企業のブランディング活動を行うことによって採用活動をよりスムーズにし、効率的かつ効果的な人材確保を目指そうというのが、採用ブランディングです。

採用ブランディングを行うメリットとデメリット

採用ブランディングを行うメリットとデメリット

採用ブランディングには、たくさんのメリットがあります。

1つ目のメリットは、企業の認知度や知名度が向上することです。採用ブランディングを行うことによって、求職者だけでなく、世間に広く企業の存在を知ってもらうことができます。存在だけでなく、どんな企業理念を持っているのか、どんな商品やサービスを提供していて、どんな人材が働いているのかなど、企業について広く理解してもらう機会にもなるでしょう。その結果、これまでは自社と接点がなかった人ともつながりを作るきっかけにもなります。

認知度や知名度の向上は、すでに多くの人が知っている有名企業にもメリットはありますが、知名度が低い中小企業の方が、よりメリットが大きいです。採用ブランディングを行うことによって企業の存在がより多くの人に知られると、その企業で働いてみたいと希望する人が増えます。すでに離職して転職活動をしている人だけでなく、良い求人があれば転職活動しようかなと考えている潜在求職者からの応募も期待できるかもしれません。たくさんの応募者がいることは、企業にとってはより適した優秀な人材を確保する上では、欠かすことができない要件です。転職市場に優秀な人材がいても、自社の求人募集に対して応募してくれなければ意味がありません。採用ブランディングを行うことによって応募者が増えることは、企業にとっては即戦力を確保できるだけでなく、中長期的に企業へ長く貢献してくれる人材を確保する上でも大きなメリットがあるのです。

2つ目のメリットは、応募者の質が高まるという点です。採用ブランディングを行うことによって自社の価値観やカルチャー、特性といった情報を公開すると、それに共感できる人物だけに応募者が絞られてきます。また、企業の知名度と就職難易度は比例関係にあるものです。そのため採用ブランディングによって自社の知名度が高まると、求職者の方も高い競争率を予想し、能力的に自信のない応募者や志望度の低い応募者が自然に減少します。その結果、より自社の求める人物像に近い質の高い人材だけが応募してくれるようになり、企業は無駄な選考にかける手間を減らせると同時に、より優れた人材を確保できる可能性が高まるのです。

3つ目のメリットは、経費削減です。企業が人材を採用する際には、採用コストがかかります。例えば、企業側が希望する条件と、求職者側の条件がマッチングしなければ、働き始めても早期離職するリスクは高くなってしまいます。すると、企業は再び採用活動を行わなければならず、コストが発生してしまいます。しかし採用ブランディングによって、より企業が求める人材を確保できれば、早期離職リスクを低く抑えることができるでしょう。人材へ投資したリターンを得ることができ、中長期的には大きなコスト削減効果が期待できます。

また、企業の認知度が高まると、求人募集を出すと迅速に多くの人が応募してくれます。求人募集の広告掲載など、多大な広告費用をかけなくても、優秀な人材を確保しやすい基盤を手に入れられるのです。しかも前述のように、応募者の質が上がっていますから、無駄な選考に費用をかける必要もありません。その結果、採用コスト自体を低く抑えることにもつながるでしょう。

4つ目のメリットは、他社との差別化ができることです。採用ブランディングをすることで、同業他社との違いをアピールできます。どんな企業理念でどんな制度で運営しているかを、より多くの人へ伝えられます。他社と明確な違いを知ってもらうことによって、他社ではなく自社で働きたいという熱意ある応募者を増やすことができるでしょう。

ちなみにこの他社との差別化は、企業にとってメリットとなるだけでなく、求職者にとってもメリットがあります。求職者は、その企業がどんな企業なのかをより明確に理解し、他社との違いも知ることができます。同じ業界や分野に複数ある企業の中から、ピンポイントで「ここで働きたい」という判断をしやすくなります。

5つ目のメリットは、すでに働いている社員のモチベーションが高まることです。採用ブランディングを行うことで、世間が持つ自社へのイメージや評価は高まります。既存の社員は、その企業で働いていることにプライドを持てるようになりますし、より働きやすい職場環境づくりに貢献したいと考えるようになるでしょう。これは、職場全体を活性化することにもつながり、企業にとっても社員にとっても相乗効果が期待できます。

採用ブランディングを行うことには、上記のようにたくさんのメリットがあります。しかし、デメリットも存在することも理解しておかなければいけません。具体的に、採用ブランディングすることによってどのようなデメリットがあるのでしょうか。

1つ目に懸念されるデメリットは、採用ブランディングは会社全体で取り組まなければいけないという点です。採用ブランディングは、企業の採用活動においてより優秀な人材を確保する目的で行うイメージ戦略です。しかし、採用に直接携わる人事担当者や人事部のみが努力しても、残念ながら採用ブランディングの効果は出ません。すべての部署が一丸となって採用ブランディングに取り組むことで、初めて効果が出る作業なのです。社員一人一人の行動や言動がすべて企業イメージに影響を与えるため、社員がそれぞれ企業ブランドを背負っていることを自覚する必要があります。

2つ目のデメリットは、企業が発信するブランディングの内容と、実際の職場環境が一致していなければならないという点があります。実際の職場環境とは大きく外れた「真実ではないイメージ」を発信しても、残念ながら採用ブランディングとしての効果は期待できないでしょう。誇大広告のようなブランディングで採用された人物は入社後ミスマッチを感じ、早期退職となるだけでなく、その事実をSNS等で拡散してしまう恐れがあります。そうなれば、かえって企業イメージを損ない、応募者がいなくなってしまうことでしょう。

3つ目のデメリットは、採用ブランディングの効果が出るまでには時間がかかるという点です。一朝一夕に大きな効果が出るわけではありません。適切な方法とコストで採用ブランディングを行っても、はっきりと採用プロセスにおける効果を実感できるまでには、2~3年程度の期間がかかると覚悟しておくべきです。

4つ目のデメリットは、採用ブランディングは継続的な作業が必要となるため、手間がかかるという点です。採用ブランディングにおいては、1回か2回情報を発信すればそれで終了というわけではありません。コツコツと継続した情報発信が必要となりますし、発信する情報は常に最新のものであることも重要です。最新ではない古い情報を発信すると、採用ブランディングの効果が表れないどころか、企業のイメージを下げてしまうリスクもあります。

採用ブランディングのやり方

採用ブランディングのやり方

採用ブランディングのやり方は、基本的なステップに従うのが効果的です。

最初のステップでは、自社が採用市場においてどんな立ち位置にいるのかを客観的に把握するため、分析作業を行います。ここでは、採用のトレンドや現状を分析したうえで、自社が希望するターゲット層のトレンドや動きも把握します。それらを踏まえ、何をすればターゲット層の興味や関心を集められるかを対策として打ち出します。

その際には、自社が社会全体からどのようなイメージを持たれているかという認知度についても、客観的に把握する必要があります。分析作業においては、ターゲット層のペルソナ設定をしてニーズを探っても良いですし、3C分析のようなマーケティングのフレームワークを活用するのも効果的です。

2番目のステップは、自社の企業理念やポリシーをより明確なものにするという作業を行います。この部分は、採用ブランディングにおいては軸となる部分なので、抽象的で漠然としたものよりも、求職者により具体的にアピールできるように、視覚的に訴求すると良いでしょう。できるだけターゲット層から共感を得られるようなアウトプットで、分かりやすくアピールするのが得策です。

3番目のステップは、ターゲットへ向けた採用案を作るという作業です。ペルソナ設定などの手法で企業が求めるターゲット層を設定したら、ターゲット層へ訴求できるような採用コンセプトを作りこんでいきます。広く大勢へアピールするのではなく、設定した狭い範囲のターゲット層へ訴求することによって、企業にとってはより理想的な人材からの応募が期待できます。

4番目のステップは、採用ブランディングをどのように発信するかという方法や媒体を決める作業です。自社のWebサイトを利用するのか、それともTwitterやInstagramなどのSNSを使うのか、又は対人で会社説明会やセミナーを開催するなど、方法や手法は多種多様です。

媒体を選ぶ際には、ターゲット層が多く活用するものを選ぶことが大切です。また媒体ごとにかかる予算は異なるため、予算に合わせて訴求力が高い方法を選択しましょう。費用面においては、採用ブランディングをどのぐらいの期間継続するかという点も視野に入れながら、予算設定をすると良いでしょう。

5番目のステップは、採用ブランディングの運用作業です。これは、コツコツとした継続的な作業が必要となるだけでなく、PDCAを考慮しながらニーズや効果に合わせて微調整も必要となります。

まとめ

企業が理想的な人材を確保するためには、採用ブランディングを行うことが効率的で効果的です。一朝一夕に効果が出る戦略ではありませんが、正しい方向性で採用ブランディングを行うことで、企業はより優秀な人材を確保できる環境を手に入れることができるだけでなく、職場内の雰囲気作りにも大きく貢献できるでしょう。もし、採用業務についてお困りごとがあれば、ぜひジールコミュニケーションズまでご相談ください。

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