[最終更新日]2024年10月24日 [記事公開日]2022年9月22日
リファラル採用のデメリットは?採用を行う際の注意点と成功のための対策法
リファラル採用は、使い方次第では非常に有効となる採用活動です。しかし、手間がかかったわりには成果が出ないとか、反応がほとんどなく、やってはみたけど風化してしまったなど、失敗を経験している人事の方もいるかもしれません。
既存の採用活動を行いながら、リファラル採用を有効活用するためにはコツが必要です。リファラル採用時のデメリットや注意点、問題を回避する具体的な事例などを理解して、長期的戦略を考え、採用方法の選択肢を広げていきましょう。
リファラル採用とは?
「リファラル」とは英語で言うところの「Refferal」で、「紹介」や「推薦」などの意味があります。リファラル採用は社内で求人情報を共有し、社員の紹介によって応募者を募る採用活動です。縁故採用との違いは、応募者は通常ルートからの応募者と同じように面接や試験を受け、合否に関する優遇措置はほとんどなく、場合によっては不合格も十分あり得るということです。
採用コストの削減に効果的という理由で海外では昔からあるやり方ですが、日本ではあまり馴染みがありませんでした。その原因は、日本企業の体質とリファラル採用の相性が悪かったからです。日本社会では欧米などと比べると転職の回数が少なく、1つの会社に長く勤めるのが美徳とされていました。
現在、IT業界ではベンチャー企業を中心に、キャリアアップや好待遇を求めて転職を図るエンジニアも現れ始めています。転職回数が多いからといって敬遠され、不採用となる時代は終わったのです。どこの会社でも人材不足が悩みの種ですが、採用コストをこれ以上かけられないという理由から、リファラル採用を選択する会社が増えたのにはこのような背景があります。
導入済みの企業には、トヨタ自動車株式会社、KDDIエボルバ株式会社、帝人株式会社、株式会社博報堂など、上場企業も多く見られます。リファラル採用導入にあたって、専門のツールを入れたり、地方勤務の社員向けに一部導入したりなど、自社の採用事情に合わせて各社工夫をこらしているようです。
なぜ人材確保でリファラル採用が効果的なのでしょうか。例えば、技術職はITに限らず、専門的なスキルと経験が必要です。しかも優秀な人ほどその会社に満足していますし、会社も優秀な人材を離したくないため、特別な待遇を設けていることもあります。つまり企業が欲しがる人材は、現在求職中の人よりも、在職中の人がほとんどです。とはいえ、会社のビジョンや文化、製品のクオリティなど、会社が目指す方向性とその人が本当に求めているものとが必ずしもマッチしているとは限りません。
そこで有効なのが、リファラル採用です。例えば、転職したいと思っていても行動に移すのが面倒で躊躇している人や、まだそんなに真剣には考えていないけれど、良い会社があれば転職してもいいと思っている人は大勢います。こういう人材は、転職市場と呼ばれる求職者のマーケットにはまだ顔を出していません。潜在的求職者は、企業がいくら求人広告に予算をかけても、人材紹介会社を活用しても、求人情報すら見ていない可能性があります。
しかし、リファラル採用ならば、企業理解のある社員からの紹介によって、潜在ニーズのある求職者と面談できるチャンスを得ることができます。言ってみれば、社員が率先してヘッドハンティングを行ってくれるようなものです。単純に求人広告をだせば、人材不足が解消される時代は終わりました。「欲しい人材」を獲得するには、企業側から積極的にアプローチする必要があるのです。
リファラル採用のデメリット
リファラル採用は、既存の採用方法とは異なるアプローチでチャンスも広がりますが、デメリットも多く存在します。ここでは、リファラル採用導入にあたって可能性の高いデメリットを解説します。必ず起こるということではなく、起こり得るトラブルを想定し、未然に防ぐことが目的です。
1つ目は、リファラル採用の応募者が面接や試験の結果、採用に至らなかった場合の紹介者のケアです。紹介者と応募者の人間関係があるため、リファラル採用が原因で関係が悪くならないように、企業としても注意が必要です。不採用となった応募者はもちろん、紹介者した自社の社員も少なからず気まずい思いをします。これを防ぐためには、採用基準を明確にしておくこと、不採用の理由を開示すること、個人情報の取り扱いに細心の注意を払うこと、応募者、紹介者ともに、不採用の可能性を事前に理解してもらうことが必要です。
2つ目は、計画的な人材採用ができないことです。あくまで社員の紹介は任意となっており、求人情報を社内に通達しても、見合った紹介がすぐに来ることはありません。また、職種によっては必要枠以上の応募がある場合も考えられます。時期や人数を優先し、急を要する採用活動なら、人材会社への依頼が最も適しています。リファラル採用は通年募集のような長期的なスパンで採用活動を行う場合に適しているため、従来の採用方法と合わせたハイブリッド採用活動なら、デメリットを補いながら採用の選択肢を広げることができます。
3つ目は、社員に依存してしまうことです。人事としては紹介をしてほしいと思いますが、働いている社員のほとんどは、自社の人材採用について関心が高いとは言えません。通常業務が忙しい場合、優先順位が高くないため、後回しされがちです。業務に負担がない範囲で紹介してもらうには、紹介フローの入り口をできるだけ広く低くする、紹介者には採用の有無に関係なくインセンティブの設定をするなど、お互いにメリットのあるシステムづくりが必須です。
4つ目に懸念されるリファラル採用のデメリットは、採用者に対する既存社員の干渉で、ストレスを感じてしまうケースがあるということです。妬みや嫉妬で「あの人は○○さんに推薦されて入社した」という噂があっという間に広がるという話は、会社では日常茶飯事です。採用者と紹介者の部署は分ける、個人情報の取り扱いに十分注意する、本人たちへの周りの配慮指導など、変な風評を作らない文化づくりが重要なカギを握ります。人間関係が裏目に出てしまうパターンですが、あくまで採用されたのは企業面接や試験に合格したからだという認識を社員が持つように、教育しなくてはなりません。
5つ目は、人選が偏り、改革的な人事がしにくいことです。人はそれぞれ人間関係で、得意不得意があるものです。社内の従業員から紹介してもらうリファラル採用は、その人数が多くなればなるほど、グループ気質が高まります。急激な変化はなくても、少数意見を言いにくい雰囲気が作られてしまうとか、気が付くと社内になんとも言えない空気感がただよってしまうこともあります。リファラル採用の比率と既存社員のバランスを常に注意して見ておくことが必要です。こうした状況を作らないように、常日頃から会議や意見を述べる場で否定しないというルールを作るなど、社内的なバランスを取っていくのがよいでしょう。
リファラル採用を行う際の注意点と成功法
どの採用方法もメリット・デメリットがあり、リファラル採用にも注意点があります。リスクを心配して避けるよりも、トラブルを想定しておくことで、長期的には効果的な人材確保につながる可能性が高いです。どんな点に配慮するべきか、事例と成功法を見ていきます。
リファラル採用の要となる段階は、時系列で起こります。初期段階での注意点は、リファラル採用制度の制定です。
経営者自らリファラル採用を決定するのであれば、話は早いのですが、大企業での導入や最終決定者がリファラル採用を知らない場合、まずは社内提案から行います。新しいプロジェクトは、何かと反対が付き物です。リファラル採用は長期戦略であること、採用基準の明確化や仕組みづくりは協力体制が必要なことを理解してもらわなければなりません。人事部署にリファラル採用経験者がいなければ、専門家にアドバイスを乞うなどすると、効率がいいでしょう。社内整備が必要なこの採用方法は、協力者やアドバイザーが特に必要です。会社全体に浸透させる前に、トライアルで、限定部署で少人数で行うのもおすすめです。
制度が決まり、基準ができたら、紹介者のリクルートスキルを高めるサポートを行います。「こんな人が欲しい」と要望を提示するのは、主に現場からです。人事担当者はそれを吸い上げ、できる限り要望に近い人を、人材会社や広告経由で集めていました。しかし、リファラル採用は現場からの紹介で、採用したい人材を集めることができます。その際に、人事的に「これだけは確認してほしい」というチェック項目や問い合わせ窓口を設けるなど、気軽に聞ける場所を作りましょう。
また、会社が自社の全体像やビジョンなどを社内向けだけに発信をしていて、外部メディアでの露出を行っている所が少ないため、自社ホームページで求人を促し、求める人物像やキャリアに関するページを広告のプロと一緒に作成するのもいいでしょう。ポイントは、社員自身が一緒に働きたいと思っている人を誘える環境づくりができているかどうかです。
導入時の注意点は、小さな成功体験を積み重ねていくことです。長期的な導入へとつなげるためには、対象職種を一部とし、そこでの経験を次に生かして、また導入してみるなど、試行錯誤が必要です。一度の統計ではいい結果にはつながりません。長期的な計画と地道な人間関係作りがカギとなるでしょう。万が一、リファラル採用での応募で採用に至らなかった場合を想定して、対応策を練っておくことも重要なポイントです。この時点では自社内のリファラル採用に関する経験が乏しいため、外部からのアドバイザーからの助言を取り入れるのも一つの方法です。
リファラル採用を通じて、企業文化や強み、こんな人が欲しいなどのビジョンを明確にしましょう。今までは株主やクライアントに対するPRが主流でしたが、リファラル採用を行うということは、社員がこの会社で一緒に働いてほしいと思える環境が整っていなくてはなりません。働き方や社員の声を公の場に露出することで、外部の人からの関心を惹きつけ、リファラル採用を利用してもらえるかもしれません。採用する人材や職種によって、その見せ方は変わってくると思いますが、社内の風通しがいいことでリファラル採用も成功へ導かれていくでしょう。
まとめ
リファラル採用のデメリットや注意点を知って、まずは何から手をつけていいかと悩んでしまうかもしれません。求人広告で人が集まらない状況でリファラル採用を導入検討されるなら、リファラル採用を熟知したエージェントを見つけるのが早道です。リファラル採用の成功する秘訣は社内改善と新しいシステム構築なので、そのリファラル採用の経験や成功事例を多く持ち合わせている所に相談してみましょう。弊社ジールコミュニケーションズも、リファラル採用の支援を行っておりますので、お気軽にご相談ください。
急な募集や大量採用には向いていないため、従来の採用方法と合わせて複数の採用活動を行う、ハイブリッド式をお勧めします。キャリア人材募集にはリファラル採用と人材会社、新卒採用には求人広告など、どんな人を採用したいのかによって効果が変わる場合もあるため、効果事例を残しておくのを忘れないでください。企業がリファラル採用を成功させることは、長期的な視点においてもメリットしかありません。考えられるデメリットを回避し、求める人材が集まるように、経営陣を巻き込んで社員と一緒に会社の体質を整えていきましょう。
ジールコミュニケーションズでは、新卒・既卒での就職活動、第二新卒、中途で転職活動をはじめ、企業向けの採用支援や学校・キャリアセンター向けのサポート支援を行っております。豊富な実績や手厚いサポートによってお客様に向き合った支援サービスをご提供いたします。
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参考:リファレンスチェックとは?メリットや質問内容、注意点を解説 | ピタリク | 人材採用サービスの比較&資料請求サイト