[最終更新日]2023年9月11日 [記事公開日]2022年9月22日
【オンライン面接】学生の見極め方と優秀な人材を確保する方法
以前から、就職活動にかかる移動時間や交通費といった学生の負担を減らせる方法として、オンライン面接は注目されていました。しかし新型コロナウイルスが蔓延した今となっては、もはやオンラインで面接できる準備を整え、自社の選考を受ける学生の感染を防ぐことが、企業側のマナーのひとつに変わってきています。
オンライン面接で学生が見極めにくい理由
オンライン面接を行うようになって、企業の採用担当者の多くが「画面越しでは相手がどんな人柄なのか分かりにくい」「相手と意思疎通できたという感触が持てない」といった、オンライン面接ならではの悩みを抱えているのではないでしょうか。このような悩みを抱えてしまいやすいのは、オンライン面接には学生を見極めにくい、次の4つの理由があるからです。
1つ目は、「コミュニケーションが取りづらいから」です。オンラインでは同時に発言してしまうと発言が聞き取れなくなるので、互いに積極的に発言するのを遠慮してしまうケースがよく見られます。対面であれば採用担当者が少し脱線して突っ込んだ質問をするような場面であっても、オンラインでは予定していた手順通りに淡々と面接を進めてしまうことが多く、その結果として「コミュニケーションをうまく取れなかった」「盛り上がらずに終わってしまった」という印象が残りやすくなっているのです。
また、対面での面接であれば、学生がドアをノックして部屋に入り、席に座るまでの間に、姿勢や顔色を見ることができます。表情が強張っていれば「緊張しているからちょっとした雑談から始めよう」と考えたり、姿勢がとてもきれいなら「とても姿勢がきれいですが、エントリーシートに書かれている部活動の影響ですか?」などと声をかけたりして、空気を和ませることができます。オンラインでは言葉以外に受け取れる情報が極端に少ないので、相手への気遣いを発揮する機会もないまま、面接を終了してしまうことが多くなります。つまりオンライン上での面接では、どのようにしてコミュニケーションを活性化させるかを、面接官側がよく考える必要があるのです。
2つ目は、「相手との相性が分かりづらいから」です。それぞれの企業が持つ独特な雰囲気は、そこに集まる社員の考え方や雰囲気によって形作られています。学生の持つ雰囲気が既存の社員のものと合わないと、入社後会社に馴染むことができず、大した活躍はできないでしょう。能力や素養だけでなく、雰囲気の面でも企業と学生には相性があります。対面での面接であれば、相手から伝わってくる素直さや真面目さ、熱心さといった雰囲気から、既存の社員が一緒に働きたいと思える、自社に合った学生かどうかを判断できました。しかし、コミュニケーションが取りづらいオンラインでの面接では、そうした雰囲気・気迫・温度感のようなものは感じ取れません。逆にオンラインに慣れている相手とはスムーズに面接を進めることができるため、たったそれだけの理由で採用してしまうケースが増えています。
採用活動の時期によっては、最終面接まで一切会うことなく、オンラインで面接を重ねてきた相手もいます。そのため、実際に初めてその相手に会ってみると、想像していた雰囲気とは異なると感じることも少なくありません。相性は言語化や数値化するのが非常に難しく、姿勢や仕草まで感じ取れる対面面接でさえも見極めにくいものです。ましてや、オンラインでの面接で相性を見極めることはとても難しいことなのです。
3つ目は、「ネットワーク環境のトラブルによって面接がスムーズに進まないことがあるから」です。学生の多くは、就職活動の中心となるオンラインでの面接に備えて、ネットワーク環境を万全に整えています。しかし、中には家庭の事情や経済的な理由によって、最低限のネットワーク環境しか整えられていないケースもあります。また、諸事情によって、パソコンではなくスマホで面接を受けている学生がいることも忘れてはなりません。万全なネットワーク環境でもトラブルは起こることがあるので、そうでない環境ではトラブルが頻発することになります。
ネットワーク環境のトラブルが起こった時に、企業の採用担当者には大きく分けて、「オンラインでの再面接の日程を用意する」「対面面接に切り替える」「ご縁がなかったことにする」という3つの選択肢があります。たとえその学生を優秀だと感じていても、ネットワーク環境のトラブルが多発して面接がスムーズにいかないと苛立ちがつのり、ついつい厳しい評価をしてしまいがちです。しかし、面接官はそうした感情を抜きにして、学生の事情や自社の採用方針に基づき、学生の本質をよく見極める必要があります。
最後に、4つ目は「学生が企業の採用担当者が思うよりも多くの企業を受けているから」です。どの企業でもオンラインでの面接が進められるようになり、学生にとって負担となっていた移動時間や交通費が軽減されるようになりました。これまでなら、2つの企業の面接が同じ日程になってしまうと泣く泣く片方を辞退するようなケースもありましたが、オンラインなら離れた場所でも移動に時間をとられないので、1日に受けられる面接の数が増えています。また就活全体としても、費用がかからない分金銭的な制約に縛られず、より多くの企業を受けられるようになったのです。結果として、採用担当者が思うよりも、学生ははるかに多くの企業を受けるようになりました。
採用担当者は仕事として一人一人に真剣に向き合い、自社に貢献してくれる人材や即戦力となり得る人材を探しています。一方で、学生の中には志望度はそれほど高くないけれども、時間が空いていたからとりあえず受けてみるという人がいることも確かです。わざわざ自宅から移動時間と交通費をかけなくても面接を受けることができるという現在の状況を踏まえた上で、採用担当者はこれまでよりも真剣に、一人一人の熱意や志望度を見極めなくてはならないのです。
対面とは違ったオンライン面接でのコツ
企業の採用担当者はこれまで積み上げてきた対面での面接のノウハウを活かしながらも、対面とは異なるオンラインならではの面接のコツを取り入れなくてはなりません。以下に挙げる3つのコツを参考に、面接に臨みましょう。
1つ目のコツは、面接時に雑談から始めることです。ただでさえ緊張している学生は、オンラインではさらに発言しにくく、コミュニケーションを取りづらい傾向があります。最初に雑談から始め、場を温めることが大切です。たとえば、出身地が地方の学生なら「ご出身地の特産品にはどのようなものがありますか?」「以前観光に行ったことがあるんですが、とても素敵なところですね」といった会話です。
学生にとってよく知っている話題は話しやすいので、本題に移る前に少し雑談をするだけで緊張が和らぎ、採用担当者に対して親しみを感じて、話しやすくする効果が期待できます。採用担当者が相性が良い相手を探しているのと同様に、学生にとっても「こんな人がいる企業で働いてみたい」と思えるような、相性が良い企業を探しているのです。前述のように淡々と進めてしまいがちなオンライン面接だからこそ、面接前の雑談を有効活用しましょう。
2つ目のコツは、学生側から質問できる機会を、複数回設けることです。オンラインでは、ちょっとした疑問点があっても学生からはなかなか発言しにくく、つい質問を飲み込んでしまいがちになります。採用担当者としても、相手に本当にちゃんと理解してもらえたのか、意思疎通ができているのか、不安に思うことがあるでしょう。不明な点があるなら、質問してもらった方がありがたいのではないでしょうか。
面接の最後に「質問や聞いておきたいことはありますが?」と尋ねる採用担当者は多いと思いますが、オンライン面接では最後の1回だけではなく、面接中にも質問の機会を設けるのがおすすめです。話の合間合間に「ここまでで何か質問はありませんか?」と気軽に尋ねることで、質問しやすい雰囲気を作り、相手の本心を聞き出すことに繋がります。
3つ目のコツは、リアクションをオーバーにすることです。採用担当者が相手とコミュニケーションを取りづらいと感じているのと同様、学生も「自分の熱意が伝わっていないのではないか」「話を理解してもらえただろうか」と不安に思っています。そのため、リアクションは普段よりもオーバーにするよう心がけ、「伝わっている」ということを明示しましょう。
最初のうちは慣れないかもしれませんが、相手が発言している間は深く頷きながら話を聞くことで、相手に「興味を持って話を聞いてもらえている」という安心感を与えられます。また、表情も普段の2倍のメリハリを心がけ、素晴らしいと思った時にはあふれんばかりの笑顔を、挫折の話を聞いた時には真剣な表情を作って、共感していることを言葉だけでなく、リアクションも含めて相手に伝えることが大切です。
オンライン面接で学生を見極める方法
オンライン面接では、これまでの対面面接と同じ内容をなぞるのではなく、これまでとは異なる見極め方法を導入したいものです。オンライン面接では実際に顔を合わせておらず、判断しにくい部分があるため、対面面接と同じ評価基準が使えない場合があります。どのようなポイントを重視すべきか考えるためにも、次の2つの方法を取り入れてみましょう。
1つ目は、「質問解説シートを活用する」方法です。質問解説シートとは、その面接中に採用担当者がどのような質問を行い、その質問にはどのような意図があるのかを簡単に解説したものです。そもそもオンラインではネットワーク環境に左右されて相手の発言が聞き取りにくいことがあるので、真剣な態度で臨んでいる学生でも、採用担当者の発言の一部を聞き逃してしまうことがあります。そんな時に「聞き直したら良くない印象を持たれるのではないか」と聞き直すことを遠慮されて、ちぐはぐな回答が返ってくれば、互いに時間の無駄になってしまいます。スムーズに面接を進めるためにも、質問解説シートを活用するのがおすすめなのです。
質問解説シートは、参考資料として面接前に送っておくのもいいですが、それでは質問への対策を練られてしまい、対応力などは見極められなくなります。そこで、映画の字幕のように、面接中にシートを画面に映すようにすると、コミュニケーションを円滑にするのに役立ち、学生のことを見極めやすくなります。ただし、スマホで面接を受けている学生がいることも考慮して、字の大きさに気を付け、読みにくくならないようにしましょう。
学生を見極めるために取り入れたい方法の2つ目は、「個人用の課題を用意する」というものです。オンラインでは姿勢や仕草といった非言語的な部分は伝わりにくい半面、言葉を使ってしっかりと発言すれば相手に伝わりやすくなります。オンラインでグループワークを実践するのも不可能ではありませんが、グループワークを取り入れると、オンラインではかえって、誰がどんな役割を担っているのか、判断するのが難しくなってしまう可能性があります。そこで、個人用の課題を用意して、それぞれ考えたことを発表してもらい、総合的な知識量や論理的思考力、プレゼン能力の評価に繋げるのです。
どんな課題を用意するかは面接にかけられる時間や面接段階によっても異なりますが、5~10分程度の比較的短時間で考えをまとめられる課題がおすすめです。事前に面接内で課題があることが分かっていれば、興味本位で応募してくる学生も少なくなり、志望度の高い熱意溢れる学生のみを対象とした、濃密な選考となることが期待できます。課題に取り組む姿や発表する姿から、自社にマッチしているかどうか、欲しい人材かどうかをしっかりと見極めましょう。
まとめ
オンラインでの面接で相手を見極めにくいのは、対面よりもコミュニケーションが取りづらく、相性が分かりづらい上に、ネットワーク環境のトラブルによって面接がスムーズに進まなかったり、学生が企業の採用担当者が思うよりも多くの企業を受けていたり、といった現状があるからです。
対面とは違うオンラインでの面接では、面接時に雑談から始めて場を温め、学生から質問する機会を複数回設けること、リアクションをオーバーにすることがコツです。また、質問解説シートを活用したり、個人用の課題を用意したりといった取り組みもオススメです。オンラインであってもコミュニケーションを円滑にし、相手のことをよく知るために工夫を凝らしましょう。その他にも、採用に関する疑問等ございましたら、弊社ジールコミュニケーションズまでお気軽にご相談ください。
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