[最終更新日]2024年4月25日  [記事公開日]2022年9月22日

【人事向け】内定者フォローのやり方をご紹介!円満な入社に向けての準備をしよう

人材が売り手市場となり、企業が選ばれるためには内定者への手厚いフォローが必要になっています。また、入社後も定着してもらうためには環境づくりが欠かせません。本記事では、内定者フォローの目的とやり方を、具体的な施策を例に用いて解説しています。

内定者フォローを行う目的

内定者フォローを行う目的

採用市場では、内定者フォローがこれまでになく重視されるようになっています。人手不足、とりわけ新卒をはじめとした若い人材が不足していることで売り手市場になっており、「企業が人材を選ぶ」時代から「人材が企業を選ぶ」時代へと変化しています。そうしたなかで内定者フォローをいかにうまく行い、無事に入社までこぎつけると同時に、人材が定着してくれる環境を築いていくかが人材確保のうえで欠かせないテーマとなっているのです。

売り手市場の中、学生は複数の企業から内定をもらうことも珍しくありません。つまり企業の側としては内定を出したからと言って、安心はできないわけです。内定を出した後も内定承諾後も、常に内定辞退のリスクを抱えていることになります。

それだけでなく、早期退職のリスクもあります。新入社員の3割は3年以内に辞めてしまうとも言われており、いかに人材を定着させられるかも企業は考えなければなりません。内定辞退だけでなく早期退職が発生した場合も、再び採用活動を余儀なくされ、採用コストが増大してしまいます。

何しろ売り手市場ですし、第二新卒への関心も集まっていることから、早期退職しても次の就職先を比較的見つけやすい状況にあります。就職氷河期のように職場に、不満やミスマッチを感じても我慢して働き続けるという考えにはなりにくい面があるわけです。

少し前までは、不満やミスマッチを感じても従業員が我慢し、職場に馴染みながら仕事を覚えていく努力をすることが求められていました。しかし現在では企業の側が、従業員に仕事になじんでもらうよう工夫・配慮する必要に迫られていると言えるでしょう。その工夫・配慮の重要な第一段階が、内定者フォローなのです。

内定者フォローには内定辞退や早期退職を防ぐ以外に、実際に入社する前に働く準備を整えておく目的もあります。とりわけ新卒の場合は右も左もわからず、初めて社会にでるわけですから、入社後のイメージが掴みにくいものです。実際に職場でどんな仕事をするのか、どんなスキルや知識が必要とされるのかなど、分からないこと・入社前に知っておきたいことがたくさんあるでしょう。内定者フォローにはこうした点もカバーすることで、内定者の不安を解消し、やる気を引き出すメリットもあるのです。企業の側としてもこの段階でひとりひとりの性格や適性を見極め、入社後の教育方法や配属先の決定の参考にするといった目的にも役立てられます。

ただし企業は、内定者の視点から見た内定者フォローの意義も把握しておくべきです。内定者の期待に沿わないフォローをいくら実施しても、人材の確保にはつながりません。内定者が内定者フォローに何を期待しているのか、何を知りたいのか、つまり内定者のニーズを的確に把握したうえで、その目的に適うような環境を用意する必要があります。ここまで環境を整えてはじめて、人材を確保できる時代になっているのです。

内定者フォローのやり方とポイント

内定者フォローのやり方とポイント

内定者フォローのやり方では、内定者が入社前に知りたいことをしっかりカバーできるかが最大のポイントとなってきます。企業側が入社する前に知っておいてもらいたいと考える心構えや会社のルールなどを一方的に押し付けるのではなく、あくまで内定者のニーズに応える視点が欠かせません。この点でも「選ぶのは人材の側」「企業は選ばれるよう努力するべき」という、現代の採用市場の原則を忘れないようにしたいものです。

内定者が入社前に望むことの筆頭に挙げられるのが安心感です。とりわけ新卒の場合はまったく社会人経験のない状態で入社してくるわけですから、会社に馴染めるかどうか以前に、社会人としてやっていけるかという不安も抱えています。さらに就活していたときに描いていた理想と現実との間にギャップがないか、自分が思い描いている働く環境との間にギャップがないかなどの不安もあるでしょう。入社後にこうしたギャップを突きつけられると、モチベーションの低下や大きな失望感を抱くといった問題が起こりかねません。そのため内定者フォローの段階で、こうした点を丁寧に説明することが求められるのです。

それからいつの時代も社会人にとっての悩みのタネ、人間関係の不安もやはりあります。先輩や上司とうまく関係を築いていくことができるのか、同僚になる他の内定者との関係は大丈夫なのかといった点です。内定者フォローの段階で、先輩になる社員と交流する機会を作っておくのは有効な手段でしょう。内定者は社内に頼れる味方を作ることができ、会社を身近に感じられると同時に、職場や仕事内容に関する具体的な話を先輩から直接聞く機会を得られます。説明会などでの説明では会社を代表する立場の人間の口から発せられる内容なので、どうしても「本当にそうなのか、実態はどうなのか」といった不安が拭えないものです。それに対して先輩、それも年齢の近い先輩からの意見やアドバイスは、内定者にとってはより真実味が伴って聞こえ、安心できるという面もあるのです。

入社前に同僚とある程度人間関係を築いておくのも、早期退職を防ぐうえで大きな意味があります。新入社員は職場に馴染み、仕事を覚えつつ、先輩との関係を築きながら、さらに同僚との人間関係も築いていかなければなりません。入社前にある程度人間関係の下地を作っておければ、こうした入社直後の負担を和らげるのにも役立ちます。早い段階で内定者同士のコミュニティを築き、同期の「ヨコの関係」を強化しておけば、早期退職を防ぐ役にも立ってくれるでしょう。また企業の側としては、内定者同士の人間関係を通してひとりひとりの性格をチェックできるメリットもあります。タテの関係ではどうしてもかしこまってしまう面がありますから、素の部分が出やすいヨコの関係でチェックするわけです。協調性や独創性、あるいはリーダーシップなどは、とくにヨコの関係で確認しやすいので、内定者フォローでぜひうまく見極めたいところです。

内定者フォローでは、内定者のモチベーションをいかにして高めるかを意識したやり方が求められます。先程も触れた不安を解消して安心感をもたらすのはもちろん、企業が内定者に対してどれだけ期待しているのか、どんな期待をしているのかを内定者フォローの段階で明確に伝えておきましょう。新入社員にはっぱをかけるために「採用しても数年は使い物にならないから、必死になって仕事を覚えろ」「最初の数年は給料をドブに捨てるようなもの」などと突き放すような言い方をする企業も見られますが、こうしたやり方はよい方法とは言えません。突き放すような言い方をする場合でも、それが期待の裏返しであることが相手に伝わるようなやり方が求められます。

内定者は会社が自分に何を期待しているのかを知ることでやる気がでるものですし、そうした期待に応えるために自分は何ができるのかを考えます。そして期待に応えるためには、どんな形で成長すべきなのか、キャリアを積んでいくべきかという、将来のビジョンを描きやすくなるでしょう。まだ採用前の、それも新卒社員に対する期待を具体的に伝えるのは難しいかも知れませんが、大まかでもよいので、期待しているという意志を伝えてください。くれぐれも、相手の尊厳を否定し、単に人手不足を埋めるための駒として採用されたと疑われるようなやり方は避けましょう。

もう少し具体的な手段としては、コミュニケーションの機会を頻繁に作る、オフィスを公開する、会社の情報を積極的に発信するといったやり方が挙げられます。採用オペレーションでは対応の迅速さが求められるとよく言われますが、内定者フォローにおいても速やかな対応と頻繁なコミュニケーションが必須です。不安を感じた内定者が問い合わせをしてきても、なかなか返信をしないような環境では、内定を辞退して他社へ乗り換えられてしまう恐れがあります。コミュニケーションの機会は懇談会など内定者を対象にまとめて行うものだけでなく、個別に行うものも必要です。メールで簡単に連絡を取り合えるわけですから、できるだけ頻繁に連絡をとり、内定者の不安を解消してやる気を高められる環境を用意しましょう。このようにコミュニケーションの「個別化」がしっかりできるかどうかも、大事なポイントです。内定者全員に同じ内容のメールを送る、説明をするといった全体への対応だけで済ませず、あくまでひとりひとりの不安や疑問、知りたいことに応えられるコミュニケーションをとることが大切です。手間はかかりますが、信頼関係を構築し、内定者に安心して入社してもらえる強力な手段となるでしょう。

入社前に内定者を会社に招いてオフィスを公開する、あるいはSNSなどを通してオフィスの光景を紹介するといった手法も役立ちます。あくまで内定者向けの内容を意識し、職場の雰囲気を具体的に伝えられるものにするのがポイントです。また、SNSなどを通して発信する情報はオフィスの様子だけでなく、会社の最新の動向や、会社としてどんな取り組みをしているのか、どんなビジョンを持っているのかといった、将来のビジョンを思い描けるような内容が理想的です。それを見た内定者に入社後のポジティブなイメージを抱かせ、期待感を与えることができれば成功と言えるでしょう。

内定者フォローの施策例

内定者フォローの施策例

では他の企業は実際にどのような内定者フォローを行っているのでしょうか、その施策例は多くの会社で共通していますが、複数の方法をどう組み合わせるかによって、企業ごとの特色が見られます。ですから、この方法なら完璧と言えるようなフォーマットはなく、自社にとって理想的な方法・組み合わせを考え、それに相応しい環境を整えていくことになります。

内定者フォローのやり方として、もっとも基本となるのが内定者懇談会=内定者同士の顔合わせです。まず同期にどんな人がいるのかを確認してもらい、人間関係を築いてもらうのです。先輩と会う前に同期と仲良くなっておけばある程度安心感を持てますし、余裕を持って先輩とコミュニケーションをとることもできるでしょう。ヨコのつながりに関しては実際に対面して話し合うのが理想的ですが、入社前にそれを頻繁に行うのは難しい面もありますから、Webを利用したオンライン上での交流会もうまく組み合わせて機会を作るのが現実でしょう。

内定者懇談会で内定者同士がヨコの関係をある程度築いたら、次の段階として社員との交流会・座談会を開催する例が多く見られます。この交流会や座談会は、どのような目的・環境で行うかによって内定者にもたらす影響に大きな違いが出てくるので注意したい部分です。例えば内定者と既存社員の顔見せを目的とし、ベテランの社員や管理職までも出席したうえで少々堅苦しい雰囲気で行う場合もありますし、文字通り「交流」を目的として、若い社員を中心に参加する親しみやすい雰囲気で行う場合もあります。

あるいは社内でもエース格の社員が参加して、内定者と交流する機会を作る例も見られます。バリバリ活躍している社員の話を聞くことで仕事への期待を高めたり、将来のキャリアビジョンを描いてもらうのが目的です。ですからこうした交流会・座談会は一度で済ませるのではなく、目的に応じて複数回行うのが理想的です。何度か参加していく過程で内定者は、職場の雰囲気はもちろん、自分の立ち位置、何を期待されているのかを把握していくことができるようになります。

内定者の不安を解消する手段として有効なのが内定者研修です。入社する前に研修を行っておくことで、より職場に溶け込みやすい環境を作っておくのです。これは内定者同士の人間関係の構築にも役立ちます。この場合、社会人としてのマナーやルールを身につけるといった基本的な研修内容が多く、研修を通したコミュニケーションが重視される傾向が見られます。まだ入社前なので内定者の予定に合わせて開催する必要がありますが、社員教育の前段階の意味も含め、有益な内定者フォローの選択肢となるでしょう。

内定者とのコミュニケーションをとる手段として、社内イベントに招待する方法を採用している企業もあります。交流会・座談会と共通した部分もありますが、こちらはより親しみやすい雰囲気で、仕事の話がメインではなく、会社や職場の雰囲気を知ってもらうのが主な目的になります。ゲームなどをうまく活用すれば、気軽な雰囲気ながら、会社のことをもっと深く知ってもらうことが可能です。オンライン上で行う機会も多く、よりハードルが低い方法としても評価できるでしょう。

研修の内容には、「会社が内定者に望むスキル」だけでなく「内定者が望む内容」も盛り込むことが成功させるポイントです。内定者が抱えている悩みや不安に答えることも、研修のゴールの1つです。
※参考:内定者研修| 株式会社リスキル

まとめ

内定辞退や早期退職を防ぎ、若い人材を確保する。そのためには採用するまでがゴールではなく、内定を出した後のフォローの充実が求められる時代です。内定者の不安を払拭し、期待やモチベーションを持って入社してもらえるような工夫が、内定者フォローとして企業側に求められているのです。もし、内定後のフォローについて疑問等があれば、お気軽に弊社ジールコミュニケーションズまでご相談ください。

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