[最終更新日]2023年9月11日  [記事公開日]2022年9月22日

新卒一括採用を成功するにはどうすればいい?対策法を今すぐチェックしよう

若者の労働人口が減っていく中、新卒生をまとめて一度に採用する「新卒一括採用」に成功するには、従来とは違った対策が必要です。

本記事では、新卒一括採用のメリット・デメリットや、ミスマッチを防ぎ、より優秀な人材を確保するための方法を紹介します。新卒一括採用を成功させるための参考にしてください。

新卒一括採用とは

新卒一括採用とは

新卒一括採用とは、新卒(見込み)の学生を採用する仕組みのことです。日本企業ではこのシステムがあまりにも深く根付いているので、そもそも「新卒一括採用」という言葉そのものを使う機会が少ないかもしれません。長い間日本では「人材の採用=新卒一括採用」の図式が続いてきました。近年では中途採用やキャリア採用、さらには既卒や第二新卒に着目した若い人材の採用を積極的に行う企業も増えていますが、それでも人材獲得の主眼は新卒一括採用においている企業が多くを占めています。

この新卒一括採用の特徴は、まず「新卒学生が在学中に就職活動を行い、企業が在学中に内定を出す形で採否を決めること」です。つまり社会人としてのキャリアや能力はほとんど未知数の段階で採用する形になります。

また、ほとんどの企業が毎年同じ時期から採用活動を行い、学生もそれに併せて一斉に就活を始めるのも大きな特徴です。採用する側も就活をする側も、全員が「横並び」で一斉に動くわけです。

そしてもうひとつ、新卒一括採用の「一括」の語が示すように、一度にまとまった人数の新卒学生を採用するのもこの方式の大きな特徴です。その結果いわゆる「同期」の従業員が職場に何人もいることとなり、独特の連帯感や競争意識を生み出すことになります。

この新卒一括採用には、大きく分けて2通りのパターンが見られます。その1つは、さまざまな大学から人材を採用し、「同期」のくくりで一緒に教育・研修を行いながら、戦力として活躍してくれる環境を用意していくパターンです。それまで異なる環境で育ってきた学生たちが一括採用によってまとまり、会社の社風に合った戦力になるよう育てていくわけです。

もうひとつのパターンは、限られた特定の範囲から一括して人材を採用するパターンです。ある大学と結びつきを持っている会社がその大学の卒業生を数人まとめて採用するケースもありますし、特定の地域からまとめて採用するといったケースも見られます。かつては地方から集団で上京して就職する集団就職の形がよく見られましたが、これは新卒一括採用を日本に普及させた大きな要因でもありました。

この方式が広まったのは第二次世界大戦後、日本の社会・経済が復興から安定、さらに繁栄へと変化していくにつれて若い人材の需要が高まった時期のことです。そんなときに若い人材を一度に一括して採用できるこの方式は、企業にとっても社会にとっても都合が良かったのでしょう。

こうした特徴から、長らく日本社会・ビジネスシーン両方に適応性を備えていた新卒一括採用ですが、終身雇用や年功序列といった概念の崩壊などでそぐわない面も出てきています。少子化の影響で、これまで通りの新卒一括採用だけでは採用枠を満たしきれないという側面もあるでしょう。現代の日本企業においては新卒一括採用のメリットを活かしつつ、状況に応じて違うアプローチをとりながら、幅広く人材を探していくことが求められています。

新卒一括採用の現状とメリット・デメリット

新卒一括採用の現状とメリット・デメリット

このように新卒一括採用は現代日本のビジネスシーンに合わない面も出ている一方で、特有のメリットがあることも事実です。ただし新卒一括採用には、デメリットもありますので、メリット・デメリットの両方をきちんと把握しておきましょう。

新卒一括採用のメリット

例えば企業側のメリットとしては、採用コストの節約・削減ができる点が挙げられます。通年で採用活動を行ったり自社だけが単独で不定期に採用活動を行ったりするよりも、毎年決まった時期に大勢社会に出てくる新卒を対象に採用活動を広報し、まとめて採用した方が「効率が良い」のは間違いありません。少子高齢化の影響で若い人材が不足していることからも、このメリットは今後ますます重要になっていくはずです。

一方就活をしている学生の側としては、将来性を武器に大手企業・有名企業に就職できるチャンスを得られます。先行き不透明な経済状況から新卒の安定志向が高まっており、大手企業・有名企業への就職を希望するケースが増えています。中途採用の場合、こうした企業に就職したければそれなりのスキルや能力の証明、あるいは実績が求められます。しかし新卒なら学歴と年齢の若さ、将来性だけで採用されるチャンスが得られます。

こうした現状・実情とフィットするメリットだけでなく、この方式ならではのメリットも見逃せません。企業側としては優秀な人材、将来性のある人材を採用しやすく、しかも複数の人材をまとめて確保できるというメリットがあります。

先述したように、新卒一括採用では横並びの状態で就職活動がはじまりますから、積極的な採用活動を行えば行うほど、優秀な人材を確保するチャンスが増します。せっかくよい人材がいるのにひと足先に採用活動をはじめた企業に奪われてしまう、といった中途採用に見られる問題が起こりにくいわけです。ただ、これはあくまで後述するようにきちんとした採用活動ができていてこそのメリットになります。

もうひとつ、企業側としての大きなメリットとして挙げられるのが、先程も少し触れた社員教育を施しやすい点です。大学を出たばかりの人材を一括して採用するわけですから、全員横並びで一から教育を施すことができます。まずは社会人としてのマナーやルールからはじめて、自社の戦力になる上で必要なスキル・知識を身に着けさせ、自社の理念を徹底することで、まっさらな状態から「自社の色」に染められるわけです。ひとりひとりにフィットした研修内容やメソッドを用意する必要もないですし、その過程でひとりひとりの能力や適性を見極めて配属を決めていくこともできますから、効率が良いという側面もあります。

新卒一括採用のデメリット

新卒一括採用の上でとくに注意したいデメリットは、人材の偏りです。将来性や学歴ばかりに目を向けた採用基準を設けていると、同種の人間ばかりが集まってしまいます。そのうえ全員に同様の教育を施すわけですから、なおさら画一化された同じ思考回路を持つ人間ばかりとなるのは必定です。ますます多様化するビジネスシーンにおいて、人材が偏り、偏った発想しか生まれない企業は、企業としての柔軟性や適応力を失い、他社との競争に打ち勝てません。

また、多様化するビジネスシーンにおいては、「学歴=能力」「学歴=適性」といった従来の図式が通用しにくくなっています。有名大学の出ではなくても、ビジネスで優れた能力を発揮する人材は必ずいるものです。将来性や学歴ばかりに目を向けた新卒の一括採用に頼っていると、そうした「未知の人材」を見つけ出すチャンスを失ってしまいかねないのです。

それから「新卒」の枠に収まりきらない人材を確保しづらい点が挙げられます。もっともわかりやすい例が留学生、留学経験者でしょう。4年間大学に通って3月に卒業する就活生だけをターゲットにしてしまうと、その枠から外れた人材を獲得しづらくなるわけです。海外留学やワーキングホリデーで勉強や経験を積んできた人材は、語学力はもちろん、新しい視点を持ち込んでくれるなどの魅力を備えています。

そして最大のデメリットとも言えるのが、ミスマッチと早期退職のリスクです。何しろスキルや能力の裏付けもなく、もっぱら学歴と将来性だけで判断して採用するわけですから、いざ入職した後に職場になじんでくれるかどうかはまったくの未知数です。まして社会人としてのマナーを身につけさせる段階から社員教育をはじめる必要がありますから、この段階で適応が難しい人材が出てくる可能性もあります。それこそ入社から数日で退職してしまう、ようやく研修が終わって配属先での勤務を始めたとたんに辞めてしまう、といったトラブルもよく聞きます。

先程メリットとして優秀な人材を確保しやすいと書きましたが、その優秀な人材が会社で戦力として活躍してくれるかどうかは別問題です。新卒一括採用で人材の確保を目指す場合には、この点をいかに解消できるかが重要なテーマとなるでしょう。

もうひとつ、デメリットというより注意点と言えるものですが、横並びで就職活動が行われる分、自社が学生から「選ばれない」可能性も出てきます。限られた期間に多くの会社が説明会や面接を実施します。例えば自社の面接日が大手企業とぶつかってしまった場合、多くの就活生がそちらに流れてしまう恐れが出てきます。横並びの環境はメリットだけでなく、こうしたデメリットももたらすわけです。

また、どの企業も横並びの環境で採用活動ができる一方、青田買いのリスクを抱える恐れがあります。「○○大学の新卒をなんとか確保したい」と意識するあまり、焦って他社に先駆けて内定を出そうとした場合、その新卒の人物評価を十分に行わないまま採用してしまう恐れもあります。それが先述したミスマッチ・早期退職のリスクをもたらしてしまうこともあるのです。

多くの会社が同時期に採用活動を行いますから、せっかく内定を出しても辞退されてしまう恐れもあります。自社が採用したいと思う優秀な人材ほど、他社からも多くの内定をもらうものです。その中で選ばれる企業でなければ、内定を出しても辞退されてしまい、人材は確保できません。また内定の承諾が得られ、優秀な人材を確保できたと思っても、後からもっとよい条件を提示する企業が現れて「横取り」されてしまうこともあります。内定を出したからといって、確実に若い人材を確保できるとは限らないことも、新卒一括採用の難しい部分です。

新卒一括採用を成功させる方法

新卒一括採用を成功させる方法

新卒一括採用を成功させるには、これまで挙げてきたメリットを活かしつつ、デメリットをいかに克服・解消できるかが重要なポイントとなってきます。

成功するには、まず採用に関する情報を広く拡散させる手法が欠かせません。同時期に多くの会社が採用活動を行っているわけですから、せっかく説明会や面接を計画しても情報が埋没してしまい、就活生に十分に伝わらない恐れがあります。

とくに現在ではソーシャルリクルーティングや採用オウンドメディアの活用など、オンラインを積極的に活用した採用活動が求められています。「まずは学生に情報を届ける、興味を持ってもらう」環境を整えましょう。

情報発信の過程では単に採用情報を伝えるだけでなく、会社や職場の雰囲気、理念、ビジョン、目標などについてもできるだけ伝えましょう。給料や休日などの待遇目的ではなく、会社の仕事内容そのものに興味を持ってくれる新卒を集めるためです。これはミスマッチや早期退職のデメリットを克服するうえでとても重要です。

他社との日程の兼ね合いを意識してスケジュールを組むことも必要です。先述したように説明会や面接が大手企業・有名企業とぶつかってしまうと、間違いなく不利になります。できるだけ学生に「どの会社を選ぶか」の選択を迫らないよう、意識した日程調整を行っていきましょう。

さまざまなネットワークをうまく駆使できるかも、成功するには重要なポイントです。特定の大学とコネクションを持っていれば、事前に優秀な人材の情報を知った上で採用することもできます。またこうした従来型の「コネ」だけでなく、先述したソーシャルリクルーティングを活用したネットワークづくりも意識してみましょう。SNSを活用した情報発信は、就活生と直接コミュニケーションがとれるというメリットがあります。この段階で相手の性格や能力をチェックしたうえで判断材料に取り入れる、あるいはぜひともこの人材が欲しいと思った時には直接企業側からアプローチするといったやり方も有効です。従来のやり方と、現代ならではのやり方の両方でうまくネットワークづくりを目指したいものです。

そして最大のポイントとなるのが「あくまで人物評価を最優先にすること」です。これまで触れてきたように学歴や年齢の若さ、将来性ばかりに目を向けてしまうと、その人物の能力や適性を見極めにくくなります。面接の際にしっかりチェックするのはもちろん、カジュアル面談や先述したソーシャルリクルーティングを駆使して、できるだけ学生の人となりを知る機会を作り、よりよい人物評価ができる土壌を整えましょう。

まとめ

目まぐるしく変化する現代のビジネスシーンおいても、新卒一括採用のメリットは多々あります。何しろ若い労働人口が減少し、売り手市場になっていますから、新卒一括採用でいかにミスマッチを防ぎつつ優秀な人材を確保できるかが、会社の将来性を左右するといっても過言ではありません。メリット・デメリットを踏まえた上で、新卒一括採用が成功するのにはどうすればよいか、自社に合った方策を検討していきたいものです。

弊社「ジールコミュニケーションズ」では、新卒・既卒の人材紹介や合同企業説明会、少人数制のマッチングイベントなど、様々な新卒採用支援を行っています。新卒一括採用にお悩みの際は、ぜひご活用ください。

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