[最終更新日]2023年9月12日 [記事公開日]2022年9月22日
採用コストの見直しポイントを徹底解説!コスト削減方法と合わせて解説します
採用コストの見直しには、まず1人当たりの採用コストの割り出し、早期退職者や内定辞退者の数、採用人数に問題がないかのチェックをしたあとに対策を講じる必要があります。
本記事では、採用コストの見直し方とチェックポイント、採用コストを削減する方法を解説します。採用コストの見直しにお役立てください。
採用コストとは?
採用コストとは、企業が正社員やアルバイトなどの人員を雇う上でかかる費用のことです。
マイナビの発表によると、2021年卒マイナビ企業新卒内定状況調査において、新卒採用に投じた採用コストの平均は1社あたり約270.4万円でした。また、同じくマイナビの中途採用状況調査(2018年)によると、中途採用に投じた採用コストは1社あたり平均716.9万円だったそうです。
ただし、これが参考になるとは限りません。当然ながら、会社の規模によっても採用コストは変わり、大企業は採用コストも膨らみがちですが、逆に中小企業は採用コストはやや控えめな数字になるのが普通です。また、業種など他の条件によっても採用コストの数字は異なってくるため、自社の採用コストが適切な状態なのか、数字のみを見て判断することはできません。条件によって大きな差が生まれる以上、自社の採用コストが平均を上回っている、あるいは平均を下回っているからといって、必ずしも問題があるとは限らないのです。
とはいえ、企業の規模と比較して採用コストが高くついている場合、効率的な採用が行えていない可能性はあります。規模は中小企業なのに採用コストの総額が企業全体の平均額に近い、小規模な企業なのに採用コストの総額が中小企業の平均額に近いといった場合は、採用関係の無駄がないか見直すのも手です。
まずは、自社の採用コストのどこに問題があるのかを把握するため、採用にかかった費用の総額を求める必要があります。費用の総額さえ分かれば、後の計算は非常にシンプルなのですが、費用を細かく割り出すのはなかなか大変です。
採用コストは、内部コストと外部コストの2つに大きく分けられます。内部コストは企業内で処理されているコストで、外部コストは外部の企業などに対して支払ったコストです。
代表的な内部コストとしては採用担当者の給与、内定者懇親会などに必要な交際費、応募者に支払う交通費などが挙げられます。この中で特に採用コストの割り出しが面倒なのが採用担当者の給与で、単純に給与全額をコストとして扱うわけではありません。採用担当者の勤務時間のうち、採用コストに含まれるのは採用活動に費やした時間の分のみなので、過去の仕事内容から採用コストを割り出す必要があります。
代表的な外部コストとしては求人広告掲載などの広告費、自社の求人ページの作成やリニューアルを外部に委託した場合の費用、合同会社説明会に出展するための費用などが挙げられます。領収書が残っている外部コストは総額を割り出しやすく、内部コストと比べると把握はかなり楽です。
具体的な採用コストを割り出せたら、新卒採用、中途採用、アルバイト採用などの雇用形態ごとに採用コストの総額を把握しましょう。それを採用人数で割れば、1人当たりの採用コストが算出できます。
採用コストの見直し方とチェックポイント
雇用形態のうち最も採用コストが膨らみやすいのは中途採用で、これには日本の転職事情が大きく関係しています。海外では、企業が求職者の情報をデータベースとして取得するシステムが一般的なため、企業が直接アプローチをすることも容易ですが、日本では転職希望者がその企業で働きたいと意思表示を行うのを待たなければいけません。そのため、自社のことを知ってもらうために必要な、求人広告の掲載などのコストが膨らみやすく、他の採用コストと比べて割高になりがちです。
もっとも、実力者を確保することは企業の業績アップに欠かせないため、割高な中途採用を縮小させるのが正解とは限りません。しかし、中途採用の社員を求めているのに、思うように人員が集まっておらずコストが高めに推移しているのであれば、何かしら改善を図りたいところです。もちろん、他の雇用形態についても見直す必要はあり、新卒採用と中途採用の求人コストがさほど変わらないのであれば、新卒採用の方に問題があるとも考えられます。
雇用形態ごとの採用コストが割高かどうかは、採用した人員のその後の活躍や評価とも関係してくるため、判断が難しい部分もありますが、まずやるべきことは早期退職者や内定辞退者の数の確認です。たとえ採用コストが平均を超えており、少し割高であっても、採用した人員が継続的に働いてくれて、業績に貢献しているのであれば、決して無駄なコストではありません。反対に、早期退職者や内定辞退者が出てしまった場合、その人を雇うためにかかった採用コストは完全に無駄となってしまいます。たとえ採用コストの数字がそこまで悪くないとしても、早期退職者や内定辞退者が定期的に出ている場合には無駄なコストが発生しているため、抜本的な見直しが欠かせません。
続いてチェックしたいのが採用人数で、トータルの費用を採用人数で割るという計算式の都合上、採用人数が少ない場合は採用コストは高くなるのが普通です。もちろん、社員を増やせば給与を始めとする人件費も大きく上昇するため、採用人数を増やすことが正解ではありません。しかし、想定した採用予定人数に届いていない場合は、採用のシステムのどこかに問題を抱えている可能性が高いです。専門的なスキルや経験を持っているなど、一定の基準をクリアしている人員のみを採用しているという理由で、採用予定人数が少なくなっている場合はともかく、多くの人材を求めているにも関わらず採用人数が少ないのであれば、使用する求人サービスなどの採用方法の見直しが急務です。
採用コストを削減する方法
見直しの結果、採用コストを削減する必要ありと判断した場合の最優先ポイントは、採用ミスマッチ対策を行い、早期退職者や内定辞退者をできる限り減らすことです。採用ミスマッチとは、求職者が企業に求めるものと、企業側が求職者に求めるものに大きな隔たりが生じている状態を指す言葉です。早期退職、内定辞退を完全に防ぐことはできませんが、採用ミスマッチ対策を意識すればある程度は改善できます。
採用ミスマッチの原因は複数ありますが、その中でも特に注意したいのが雇用条件で、給与や残業の有無、休日の少なさなどに不満や不信感を持たれては、早期退職や内定辞退が増えるのは当然の話です。特に近年はブラック企業、もしくはそれに近い状態の企業を求職者が警戒する傾向があり、事前に残業が少ないと説明されていたのに実際は残業が多いといった、悪い意味でのギャップがあれば、あっさりと見切られかねません。
特に危険なのは、人材を確保しなければいけないと考え、自社のよい面をアピールしようとした結果、残業や休日出勤といった悪印象になりそうな情報を隠そうするケースです。このようなやり方だと、求職者の期待は後日失望に変わりやすく、早期退職や内定辞退が続出することにより、結果的に採用コストを大幅に増やしかねません。採用するかどうか分からない状態で、求職者に対し自社の悪い情報を伝えることに抵抗を感じるかもしれませんが、長期的に見れば誠実な姿勢はプラスになります。逆に、悪い部分を隠そうとした場合、失望した社員や元社員経由で悪い評判が広まる恐れも大きく、短期的にはメリットがあっても、長期的に見れば非常にリスキーな手法です。
そうしたリスクを回避する上で役立つのが、求職者に対し適切な情報を伝えるRJP(Realistic job preview)という考え方です。この理論では、企業の仕事内容から労働環境、社風までをありのままに伝え、メリットだけでなくデメリットもしっかり把握した上で働いてもらうべきと説いています。デメリットを嫌がる求職者には避けられやすいものの、一方でデメリットを納得した上で入社を選択してくれる、自社に合った人材を確保しやすいというのです。長期的な視点を持ち、RJPの理論を取り入れれば、早期退職や内定辞退、悪評の拡散などを回避でき、結果的に採用コストの削減にもつながります。
ただしRJPの手法を取り入れる場合、デメリットを強調するだけにならないよう注意が必要です。仕事内容、職場の雰囲気などには必ずメリットとデメリットの両方があるため、デメリットを伝える場合は必ずメリットとセットでなければいけません。たとえば営業職を募集している場合、成功率が全体的に低く精神的につらく感じやすい点は大きなデメリットですが、インセンティブがあり契約をまとめれば給与に期待できる点、新人のサポート体制が充実している点などのメリットをセットで伝えれば、デメリットばかりが強く印象付けられる事態を避けられます。会社説明会などでは、単に自社の情報を羅列すればよいというわけではなく、順番などに気を配りましょう。また、自社のリアルな雰囲気を知ってもらうため、インターンシップ制度を採用するのも有効です。仕事を体験してもらう、社員と交流してもらうなどの方法で、企業の内情を知ってもらえば、事前に過剰な期待を持たれる心配もありません。
採用コストを削減するには、リファラル採用を推し進めるのも有効です。リファラル採用とは、自社に向いていると思われる人材を社員に紹介してもらう採用手法を指します。縁故採用、いわゆるコネによる採用とどこが違うのかと感じられるかもしれませんが、縁故採用では実力が問われないことが多く、業績アップにつながるとは限らないのが難点です。一方、リファラル採用では社員の知人だからといって甘い判断は行われないため、実力不足の人を入社させることはありません。
リファラル採用のメリットとして挙げられるのが、先に書いたRJPの手法と同様に、入社前から社内の実情を知ることができる点です。あらかじめ、自社で働いている社員から職場の雰囲気、メリットやデメリットについての情報を得られるため、入社前と入社後のギャップが起こりにくく、結果として長く働いてもらえる可能性が高まります。海外ではすでにリファラル採用が大きく普及しており、日本でもリファラル採用を行う企業はベンチャー企業を中心に増えているので、自社向きの人材がいたら紹介して欲しいと社員に呼びかけてみるのも手です。
採用コストの内訳で言うと、削減しやすいのは外部コストの方です。利用している外部サービスには様々なものがあると思いますが、実質的に採用に結びついていないサービスがあるなら、思い切って利用を見直すことをおすすめします。特に求人広告の媒体には、地方に強い、首都圏に強い、特定の業界に強いなどそれぞれの特色があるため、その特色と自社がうまく噛み合っていない場合、どうしても効率のよい採用にはつながりません。
また、求職者が気になる求人広告を見つけた場合、まず間違いなくその企業のホームページはチェックされるため、採用に関する特設サイトを作成するなり、自社の理念や社風などの情報を充実させるなりして、求人媒体に頼りっぱなしの状態を改善するのも有効です。
内部コストに関しては、人件費など削減しにくい部分も多いものの、採用までの過程に無駄がある場合、工数を減らすことで改善可能です。面接の回数が多いため無駄にコストがかかっているのであれば、面接を減らし作業の効率化を意識することで、採用コストを減らせます。
加えて、人材紹介サービスを利用するのも一案です。額面だけ見ると一層コスト高に見えるかもしれませんが、人材紹介サービスは基本的に成果報酬型なので、採用につながらなければ費用は発生せず、無駄なコストがかかりません。また、事前に伝えた自社の求める人物像に合った候補者だけを厳選して紹介してくれるので、マッチング率が高く、無駄な面接による内部コストを減らせるのも利点です。内定辞退や早期退職のリスクも減らせるため、結果として採用コスト全般の削減につながります。
まとめ
まずは雇用形態ごとの1人当たりの採用コストを割り出し、早期退職者や内定辞退者の数、採用人数に問題がないかをチェックしてください。自社で長く働いてくれる人材を獲得するため採用ミスマッチをなくす、外部コストや内部コストの無駄な部分をなくすといった手法が、コストを削減する上で役立ってくれます。
弊社「ジールコミュニケーションズ」でも、高いマッチ度と入社までの徹底フォローで、内定辞退や早期退職が起こりにくい人材紹介サービスを提供しています。採用コストの見直しを検討する際は、ぜひご一考ください。
ジールコミュニケーションズでは、新卒・既卒での就職活動、第二新卒、中途で転職活動をはじめ、企業向けの採用支援や学校・キャリアセンター向けのサポート支援を行っております。豊富な実績や手厚いサポートによってお客様に向き合った支援サービスをご提供いたします。
お問い合わせよりお気軽にお悩みや希望をご相談ください。
問い合わせから相談する