[最終更新日]2023年9月12日  [記事公開日]2022年9月21日

母集団形成における課題解決|新卒・中途別にまとめて解説

母集団形成における課題は、母集団の拡大、採用ペルソナのマッチング率などがあります。この課題を解決するには、SNSを使ったPR活動と採用条件を決めて母集団形成することが重要です。

本記事では、母集団形成における課題と解決方法を新卒と中途別に解説します。母集団形成における課題を解決し、採用活動の効率化を図りましょう。

母集団形成とは?

母集団形成とは?

採用活動における母集団(ぼしゅうだん)とは、「自社にエントリーする応募者」の集団をさしています。母集団形成とは、その集団を作ることというとわかりやすいでしょう。

採用活動では一人でも多くの応募者を集める=大きな母集団を形成し、その中から有能な人材をふるい分けることが求められます。そのためには少しでも自社に興味をもってもらい、エントリーを検討してもらうための仕掛けが必要です。

母集団形成における課題と解決法

母集団形成における課題と解決法

母集団形成の方法は、企業の特色によっても多岐にわたりますが、大きく分けると以下のような2つの課題があります。

課題1:母集団の形成数

母集団形成における課題の1つ目は、母集団の「形成数」です。母集団が小さければ、人材の選択肢が少なく、より良い人材を選ぶことができません。よい人材を一人でも多く確保するために、少しでもエントリー数を増やし、母集団を大きくしたいというのが人事や採用担当者の願いです。

母集団を拡大するためには、次のような行動が考えられます。

  • 登録する就職サイト数を増やす

  • 自社採用サイトの拡充を図る

  • SNSでの自社PR活動を充実させる

ただし、これらの行動には費用が発生します。ツイッターやインスタグラム、Facebookなどを利用した自社PR活動はほぼ無料で行えますが、採用サイトのコンテンツ制作などを外部業者に依頼すると大きな金額が必要になります。また、就職サイトへの掲載は、原則として有料です。登録自体は無料のサイトもありますが、ほかの登録企業と差別化を図るために特別コンテンツを作成する場合、こちらの追加費用が必要になる場合があります。また、母集団確保のための行動を1つでも多く行うほど、企業の知名度を高めることができますが、それぞれの行動に対する企業対応がおろそかになりがちです。

課題2:母集団と採用ペルソナのマッチング率

2つ目は、母集団と「採用ペルソナ」のマッチング率の課題が挙げられます。どんなに母集団が大きくても、肝心な採用活動の成果につながらないことがあるのです。

一般的に企業側は、「どのような人材が何人欲しいか」をあらかじめ検討し、採用募集を行うものです。部門の強化を図りたい、新設部署で若いマンパワーを補充したいといった社内の要望をかなえるための採用条件などを決めていきます。これが、いわゆる「採用ペルソナ」と呼ばれるもので、応募時のミスマッチを防ぐために欠かせないものです。

しかし、いざエントリーの内容を確認すると、「とりあえず応募」というような就活生が多く見られ、「求める人物像とはかけ離れた人材の応募」が母集団の大半を占めていたという事例も見られます。この状態では、無駄な作業が増えるばかりで、より良い人材を見分けるどころではありません。その結果、最終的にペルソナに合致する人材を確保できず、「採用活動が難航した」という事例も少なくないです。

つまり母集団の形成数がいくら大きくても、ペルソナのマッチング比率が低いと、採用活動の成功にはつながりません。母集団の形成数もペルソナのマッチング比率も高ければ、採用活動は成功といえるでしょう。ペルソナに合致する質の高い母集団を形成できれば、企業側も吟味をしながら良い人材のふるい分けが可能になります。

解決法

母集団の形成数と採用ペルソナのマッチング率をイコールに近づけ、課題解決するためには、採用目標と入念なペルソナの設定が必要です。

採用目標の設定は、次のポイントを軸に組み立てていきます。

  • 採用活動で自社が補強したいもの(知識や経験、資格等)

  • 何のために募集するのか(新設部門の人員確保、欠員補充など)

  • この2つの項目を満たすために、人材は何名確保したいのか

これらを組み立てていくと、「法務部門1名」「施工管理部門(有資格者)2名」というようにそれぞれの部門で受け入れ可能な採用人数などが決まっていきます。この軸が決まればそれに合致する採用ペルソナを打ち出す作業がスムーズになるでしょう。

採用ペルソナとはいわゆる「会社が求める人物像」といわれるものです。

  • 必要なスキルや資格、中途入社なら経験年数、学歴

  • 人柄や行動特性、性格などの適性

このポイントは、自社の現状や仕事内容、待遇と重ね合わせて細やかに設定することをおすすめします。採用目標の設定のすり合わせを行うと、新卒か中途かといった経験の有無にまで掘り下げることができます。また、入社に必要なスキル等の経験年数が浅い、資格を持っていない場合の研修制度を行う予定はあるかなども視野に入れていくと、マッチングの確率が高まるでしょう。

新卒・中途それぞれの母集団形成の方法

新卒・中途それぞれの母集団形成の方法

母集団形成の方法にはいくつかの方法があります。もちろん新卒・中途それぞれのアプローチの仕方は異なるので、効率よくターゲットを絞った方法の選択が必要です。

新卒採用の場合

新卒採用の場合には、以下のような母集団形成の方法を検討しましょう。

■ 会社説明会

新卒採用の母集団形成でまず必要となるのは、会社説明会です。母集団形成の前段階として会社説明会を開催し、会社に興味を持ってくれる人材を集めます。「当社はこんな企業である」といった単なる説明だけでなく、会社の魅力を伝える工夫が大切です。

手っ取り早く大きな母集団を形成するには、合同説明会のような複数の企業が集まって行うイベントへ参加するのが一般的です。興味を持った就活生と、その場で質疑応答できるメリットがあります。しかし、こうした説明会はあくまで「就職を検討しているヒト」に対する広報活動に過ぎず、会社説明会を開いた後の母集団形成に発展できるかは未知数です。また、広報対象が広いために、会社が望む質の母集団形成になりにくい部分も否めません。

■ 学内セミナー

新卒採用の母集団を形成する2つ目の方法は、学内セミナーです。新卒の学生へ直にPRでき、自社に興味関心を持ってもらいやすくなります。特定の学部・学科に在籍する学生などを対象にセミナーを開催することで、大学が養成施設を担う特定の資格保有者や理系の学生など、求める人物像にターゲットを合わせた質の高い母集団を形成しやすくなります。また、大学内で開催されるため、積極的な就職活動に至っていない学生なども囲いこみやすくなります。

■ 就職サイト

3つ目は、就職サイトの活用です。外資系、IT系、マスコミ系といった業界別に特化した就職サイトと、「理系」「体育会系」「土木」「薬学系」など学生が専門履修している学科に特化した就職サイトが存在します。特化・分類がない一般的な就職サイトもありますが、特化型の就職サイトでは、形成したい母集団ターゲットが明確化しやすいのがメリットとなるでしょう。しかし競合他社の掲載も多いため、母集団の形成を核としたい場合は、情報の差別化を図る必要があります。

■ 大学訪問

4つ目には、大学訪問が挙げられます。大学の就職キャリアセンターや、研究室の教授などと、地道に信頼関係を構築していくわけです。長期的には学生を紹介してもらいやすくなり、産学連携で特定の研究活動を行っている企業には大きなメリットとなるでしょう。

大学という狭い範囲ではあるものの、企業が求める人物像に合致するピンポイントな母集団形成となりやすいのが特徴です。そのため、新卒採用でも即戦力となりうる人材が獲得しやすくなります。しかし大学名に固執しやすくなる点も否めず、人材の偏りは避けられません。企業が意図しないところで「学歴フィルターをかけている」といったいわれのない批判を受ける可能性もあります。

■ インターンシップ

そうした課題を解決する母集団形成の方法としては、インターンシップも有効です。学生が興味を持った企業を選択した上で参加しているため、志望度の高い母集団を形成するには一番確実な方法だと考えられています。インターンシップの中で就業体験を行えば、企業としても適性を直に見極めることができますし、学生の囲い込みも可能となります。

■ SNS

新卒採用の母集団を形成する6つ目の方法は、SNSによる情報発信です。昨今では、企業の担当者が「採用サイト」や「人事部採用アカウント」などを設け採用活動に関することや、企業の魅力を発信するようになりました。SNSでの情報収集が主体となっている就活生にとって便利な「就活ツール」の一つです。簡単に「SNSのフォロワー=母集団」と位置付けやすく、興味を持つ学生への情報発信がしやすくなります。

しかし、双方向のやり取りには向かない場合があること、担当者の不用意な発言が「メディアも巻き込んだ炎上」を呼ぶ可能性があります。またフォロワーが純粋な母集団になるかはまた別の次元ともいえるでしょう。

中途採用の場合

中途採用の場合でも、いくつかの母集団形成方法が考えられます。

■ 転職サイト

1つ目は、転職サイトの活用です。転職(中途採用)に特化し、求職者と企業とを結びつけるサイトがあります。特定の資格を持ち実務経歴もある人や、管理職候補で迎え入れられる能力を持った人材など、ピンポイントで募集をかけられます。「転職希望者」というマイノリティーの募集になるため、母集団形成としては大きな力を発揮するものではありません。しかし、採用ペルソナに合致する人材の採用が急務である場合や、選考の上採用をしたいという場合には都合がよいでしょう。

■ ハローワーク

中途採用の母集団形成方法としては、次にハローワークが挙げられます。再就職、転職の違いや年齢などを問わず、広く募集をかけられる方法です。ハローワークを経由した雇用は国からの補助金がもらえるほか、求人票を掲載するコストを抑えられるためメリット先行型といえるでしょう。ある程度まとまった人数を雇用したいといった場合や、障碍者枠などで採用を検討しているといった場合には最適です。しかし、設定した採用ペルソナに合致した母集団を形成する可能性は低くなります。

■ リファラル採用

中途採用の母集団形成方法としては、リファラル採用も有効な方法です。リファラル採用とは、自社社員からの紹介を受けて採用する方法です。採用活動にかかるコストを削減できるほか、求職者側の人柄を熟知する社員が推挙する人材なので、採用ペルソナに合致しやすいというメリットがあります。しかし、社員の推挙が会社側の採用タイミングと合致しないケースもあります。また、推挙する社員自身の信頼性がなければ成り立たない採用であることも熟慮しなければいけません。リファラル採用に至るには、社員の協力が不可欠です。それに伴い、紹介や採用に対するインセンティブの準備などが必要になります。社員の交友関係や人脈に依存することになるため、それを嫌う社員がいることも頭に入れておきましょう。

■ 人材紹介サービス

こうした課題を解決する手段としては、人材紹介会社を利用した母集団形成方法が有効です。人材紹介会社は事前に求職者と面談し、適性を見極めたうえで紹介してくれるので、ペルソナに合致する質の高い母集団を形成できます。しかも人材紹介会社は自社の魅力を求職者に伝え、入社意欲を喚起してくれるので、内定辞退が起こりにくいのもメリットです。

人材紹介の利用は当然有料ではありますが、料金は採用と引き換えに発生するため、採用者が出ていないのに料金だけ請求されるということはありません。質の高い母集団の中から、より良い人材を確実に獲得でき、手間の上でもコストの面でも最も無駄のない採用手段だと言えるでしょう。弊社ジールコミュニケーションズでも、マッチング精度の高い人材紹介サービスを提供していますので、ぜひご活用ください。

■ フリーペーパー

中途採用の母集団形成方法としては、求人情報を取り扱うフリーペーパーなどへの掲載も一案です。「地域を絞った規模が大きい母集団形成」に最適で、多数の採用を検討している場合や、年齢や経験を問わない採用を検討している場合にも利用されています。掲載には広告の規模に応じた費用が掛かりますが、地域に密着した人材の獲得が期待できるでしょう。「年齢や経験を問わない採用」が期待できる一方、選考などのふるい分けの作業が煩雑化する可能性があります。また広告効果が得られず、納得できる採用活動にならない可能性もあるので、掲載媒体を吟味する必要があります。

まとめ

母集団形成は企業の採用活動にとって大事な要素となります。自社に興味を持ってくれる人を一人でも多く「母集団」として囲い込むためには企業のネームバリューを高める工夫が必要だとされています。会社説明会などを積極的に開くほかSNSの発信などを通じて興味を持つ人を増やしましょう。また、母集団の形成が進んだところで、すべてが採用選考にかかる人材になれるとは限りません。形成された母集団のすべてが、会社が求める人材候補と等しくなれるよう、母集団形成の方法を検討することが求められます。新卒・中途それぞれの形成方法を参考にアプローチの仕方を変えていくことをおすすめします。

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