[最終更新日]2023年9月12日  [記事公開日]2022年9月20日

【採用担当者向け】既卒者を採用する際の人材の選び方を徹底解説

長引く不況の影響で就職難が続いているかのように思われがちですが、実際にはコロナ禍にあっても売り手市場が続いています。人材の確保が難しく、社員の流動性も高いままです。魅力的な人材を採用し長く働いてもらうために多くの企業が、社内全体で採用活動に取り組んでいます。

昨今では企業の採用条件から新卒者のみという条件を外し、新卒、既卒とも同じ条件で採用試験を行っている企業も多いです。企業の採用担当者は既卒者を採用する際にどんな点に気をつけて選べば良いのかや、既卒人材の具体的な選び方について知っておくべきでしょう。

既卒者の特徴と採用の心得

既卒者の特徴と採用の心得

「既卒」とは、学業を終了してから1度も正社員として働いたことがない求職者のことです。卒業後にやりたいことがあったため新卒時に就職活動を行わなかった人もいれば、新卒時に希望する企業から内定もらえなかった人もいます。いずれの理由にせよ、エントリーシートや履歴書に記載すべき職歴がありません。社会経験がないという点から既卒者をネガティブに捉える企業も一定数あるのは事実ですが、労働人口の減少から、最近では既卒者の内定率も上がってきています。

新型コロナウィルスの影響でオンラインでの企業説明会や面接が行われている場合もありますが、既卒者を採用する場合には学歴や資格など書類選考だけを重視するのではなく、人物像をじっくりと見極められるよう面接に時間を多くとるべきです。残念ながら既卒の中には、本当は仕事をしたくないけれども、親に言われて仕方なしに就職しておこうとする意識の低い求職者も一定数存在します。そういった人材を採用しても長続きしないことが多く、更なる人手不足を招く恐れがあるからです。

企業や仕事に対するモチベーションを面接で判断するには、事前に自社で採用したい人物像を明確にしておく必要があります。その上で、求める人物像に合う既卒者を見極められるよう、しっかりと準備していきましょう。

優秀な人材の見極め方と選び方

優秀な人材の見極め方と選び方

企業にとって優秀な人材とは、礼儀正しく、謙虚でありながら、明確な目標を持って仕事に取り組む人のことだと言えるでしょう。さらに相手の立場に立って物事を考えられる資質を持っていれば、チームワークを乱すことなく、社内の人間関係が円滑になります。物事をポジティブに捉えることはもちろんのこと、問題が発生したときにもパニックになることなく冷静に対処できるメンタリティを持った人は、どこの企業でも欲しがる人材です。

優秀な人材の選び方としては面接である程度の時間をとり、自分自身の性格についてや、今後の目標などを聞いてみることが大切です。企業面接では誰もが自己PRと志望動機を準備してきているでしょうが、暗記しているものをスラスラと読み上げているような話を聞くだけでは、人物像を見極められません。面接官側からも積極的に、人物像がよく現れやすい質問を投げかけてください。

例えば、学生時代に熱心に取り組んだことなど、本人にしか答えられない質問が良いです。その時のモチベーションを維持するために工夫したことや、問題が起こったときにどのように解決してきたのかに着目すると、仕事に対する姿勢と問題解決能力の有無を見極められます。また、既卒の多くは卒業後はアルバイトで生計を立てていますから、アルバイト経験について話を聞くのも良いです。アルバイトとして真剣に仕事に取り組んできた既卒者には、正社員の経験がなくても、十分な社会経験を積んでいる人もいます。

物事をゆっくりと考えるタイプの人だと、返答までに少し時間がかかるかもしれませんが、その時の表情や態度から人柄が現れるはずです。すぐに応えられなくても、誠実に質問に対して返答しようとしたり、正直な意見を述べたりする人は、仕事に対する態度でも誠実で正直であろうとする優秀な人材であることが想像できます。

また既卒に対する面接の質問では、仕事やこれまでの経験のことだけではなく、休日にどんなことをして過ごしているのかといった、求職者の趣味や普段の生活について尋ねてみることをオススメします。既卒となってから就職活動をする背景には、何かやりたいことや趣味に費やす時間が必要だったのかもしれません。普段どのようなことに対して興味を持っているのかを尋ねれば、その人らしさが現れやすい返答を得られるでしょう。面接中に緊張のあまり強張った表情をしていた人でも、自分の興味のある分野の話になると表情が生き生きしてくることが多いです。そういった普段の表情を見ることで人柄を知ることもできるため、既卒者の見極めに大いに役に立ちます。

優秀な既卒者を選ぶための具体的な動き

優秀な既卒者を選ぶための具体的な動き

大量採用をするような大手企業であれば、新卒、既卒に関わらず、優秀な人材であればできるだけ多く採用し、さまざまなタイプの人材を確保することができます。しかし採用枠が少なく、限られた中で優秀な既卒者を選ぶためには、自社の社内エンゲージメントを確立させることが大切です。

「社内エンゲージメント」とは、会社の方針や戦略を社内に浸透させるための手法です。婚約指輪のことをエンゲージリングと呼ぶのが広く知られているように、婚約や強い絆を表す言葉である英語のengagementから来ています。マーケティング業界では、顧客の興味をひいて企業と顧客の結び付きを強めるといった意味で、顧客エンゲージメントなどと使われることもありますが、最近ではこのキーワードが人事領域でも使われるようになってきました。社内エンゲージメントとは社員の興味や注意を惹きつけ、企業への信頼を生み出し、企業と社員の結び付きを強めること、すなわち社員と企業がお互いに愛着を持っている状態のことです。

社内エンゲージメントが確立されている企業は、社員のモチベーションを高く保つことができるため、自発的に業務に取り組む人材が増えます。そのことで離職率が低下し、会社への貢献度が高くなるのです。会社が危機的状況にさらされた時にも、簡単に見切りをつけて会社を見捨てるのではなく、社員一丸となって行動できるようになります。このような状態を社内エンゲージメントが高い状態と言うわけです。

社内エンゲージメントを高めることは、組織が1つの方向に向かっていくためにとても重要なことです。一見採用とは無関係に思われるかもしれませんが、社内エンゲージメントが確立されている会社は、マッチ度重視の採用ができるというメリットがあります。なぜなら既存社員のエンゲージメントに注目することで、社内エンゲージメントの高い人の要素や資質がわかるようになるからです。エンゲージメントが高い社員の要素やスキルなどを定義し、採用ポイントとして選考に活かすことで、自社に合う人材の選び方が容易になります。そうすればミスマッチからの早期離職を防ぐとともに、より貢献度の高い、自社に合った働き方ができる人材を採用できるのです。

また社内エンゲージメントが高い企業は、自社の社員からの紹介で採用が決まるリファラル採用を増やせるというメリットがあります。社内エンゲージメントが高まると、会社に自分の友人や大切な人を紹介することに抵抗がなくなるためです。つまり、社会エンゲージメントを高めることでリファラル採用を増やすことにつながっていきます。逆の見方をすると、社内エンゲージメントの低い企業では報奨金などを用意しても、リファラル採用の成功は望めません。

新卒や経験者採用に比べて懸念点の多い既卒人材の選び方としては、人物像を見極めやすいリファラル採用は非常に有効です。また、既卒者自身も紹介者に迷惑を掛けたくないという思いから、公募の場合より離職率が低く、仕事にも真摯に取り組んでくれます。紹介者も率先して面倒を見るため、公募で入社した場合より成長も早いです。

エンゲージメントが高い社員が多く在籍する会社は、PR活動、採用活動など会社をよくする取り組みに対して積極的に参加してくれる傾向があります。採用の難易度が上がっている今、人事だけで採用活動を完結させるのは難しいといっても過言ではありません。メディアの社員インタビューや採用イベントの開催には社内の協力が必須となります。そういった取り組みに快く対応してもらうためにも、社員のエンゲージメントを高めておくことが重要となるのです。

会社へのエンゲージメントが高い社員は仕事へのモチベーションが高く、会社への愛着が強いため、離職率が低い傾向にあります。そのため、採用活動の段階から社内エンゲージメントが高くなりそうな人材を採用することで、人材の流出を防止し、離職リスクを抑えることができます。

社内エンゲージメントが高まる具体的な方法はいくつかありますが、社員一人一人にミッションを与えるということが大切になります。会社での仕事がタスクをこなす、いわゆるやらされ仕事になっていては社員のモチベーションも下がるでしょう。しかし社員一人一人にミッションを与えることで、会社の目指す方向に向かっていくために欠かせない人材であるということを伝えることができます。この方法で社員の仕事に対するモチベーションが上がり、エンゲージメントを高めることができます。

次に成長につながるフィードバックを行うことが大切です。数字的な成果を評価するのは当然ですが、スキルアップの取り組みや、チーム事業部までの貢献度までをフィードバックすることが社内エンゲージメントを高める上で大切な要素となります。上司と部下、同僚同士など双方向でのフィードバックや賞賛によってエンゲージメントが高まるため、人事評価につながるか否かに関わらずこうした取り組みを行うことをオススメします。

そして社内コミュニケーションの活性化も大事な要素となります。全てのメンバーが同じ価値観を持ち、同じ目標を目指しているような組織は皆無と言っても良いでしょう。そのため組織の中にいるメンバー同士が価値観や思考の違いを理解しあい、その中で一緒に目指せる目標をすり合わせていく必要があります。同じ部署間やメンバー同士はもちろん、会社が目指す方向性を社長が定期的に全社に伝えたり、少人数で経営陣と対話する機会を作ったりするなど、オープンで親密なコミュニケーションを取れるようになるのが理想的です。

このように社内エンゲージメントを高めることは、会社の士気をあげるために重要なことがわかります。そして優秀な既卒者はそういった士気の高い企業への就職が決まると、同様に自社にエンゲージメントを高く持ち、さらに会社の発展へと大きく貢献してくれることが期待できます。またエンゲージメントを高くキープすることで、社員全体が幸せとやりがいを感じながら長く会社に勤めてくれるようになるため、結果的に人材不足の問題解消にも繋がってくるのです。

まとめ

社内のエンゲージメントが高まると、会社が成長するために貢献してくれる仲間が社内に増え、さらにその様子を見たマッチ度の高い社員が入社してくれるようになります。社内エンゲージメントを高める施策はすぐに結果が出るというものではありませんが、できるだけ早い段階で取り組むことが大切です。

社内エンゲージメントを測るため、社員が会社や仕事に関してどのように感じているのか?といったことを調査、分析する必要があります。そして社内エンゲージメントが高い社員に対して、さらに聞き取り調査を行い、どのようにしたら社内エンゲージメントを高くたもった社員を増やすことができるのかを人事採用部のみならず、会社全体で考えていく必要があります。

お金のためにだけ仕事をするというのでは、モチベーションが続くはずがありません。社員全員が仕事にやりがいと誇りを持ちながら仕事ができる環境づくりを行うことで、多くの求職者がこんな企業で働いてみたい!と感じるようになるはずです。ぜひ社内エンゲージメントを高める活動を実施し、既卒者の選び方に活かしてみてください。

ただし、社内エンゲージメントを採用に活かせるようになるには時間がかかります。取り急ぎ既卒を採用したい場合には、人材紹介サービスなどの活用が有効です。弊社「ジールコミュニケーションズ」でも、既卒の人材紹介やマッチングイベントなどを行っていますので、お気軽にご相談ください。

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