[最終更新日]2023年9月12日  [記事公開日]2022年9月2日

アスリート引退後のセカンドキャリアを受け入れる“採用企業”を教えます

アスリートセカンドキャリアに関して公式に調査したデータは少ないのが実情です。2013年に笹川スポーツ財団がオリンピック出場選手に対する調査を行っていますが、そもそもオリンピック出場選手というトップアスリートが対象であり、かつ回答者の半数以上が60代以上であることから、現役の一般アスリートに適用できるデータではないことは確かです。

このような実情を鑑み、引退後のアスリートセカンドキャリアを考えるためには、実際に引退したアスリートを受け入れている採用企業がどのような企業なのか、アスリートを採用する目的を理解した上で、どの企業がアスリートを受け入れているのか、その見つけ方と合格するための対策法を考える必要があります。

引退したアスリートを受け入れる企業の特徴と目的

引退したアスリートを受け入れる企業の特徴と目的

アスリートが競技を引退する時期はその競技によって異なっていますが、多くの場合は20代後半であると言われています。実例として、日本プロ野球連盟は、2013年時点での現役引退もしくは戦力外となる平均年齢を30.5歳であることを公表しています。

一般の社会人の場合、30歳過ぎの年齢となれば初心者の時期を終えて中堅の域に入り、会社から戦力として期待される年齢になっています。アスリートが引退後に就職する場合、その年齢で初心者として仕事を始めることになり、その点に不安を感じる人も多いでしょう。

しかし、仮にもアスリートとして生計を立てるほどの実績を築けたということは、既に一般の人よりもある意味においては能力値が高いことを示しているとも言え、アスリートを受け入れる採用企業の多くが、アスリートの持つ特定の能力の高さを期待して採用していると言えるでしょう。

特に企業側がアスリートに求めているのは職業アスリートとしてそのポジションをキープしえた「強靭なメンタル」や、結果を出すために改善計画=PDCAサイクルを回すことができる「問題解決能力」、アスリートとして必須である「体力」といった能力です。アスリートを受け入れる採用企業の多くは、これらの能力を期待して、セカンドキャリア採用を行っているという特徴があると言えるでしょう。

具体的に、アスリートの採用企業はどのような職種で引退アスリートの活躍を期待しているのか、その例を見てみましょう。

引退アスリートが所属する職種の中でも最も実例が多いのは「営業職」です。テレアポや飛び込み営業といった精神的に大きな負担をかける過酷な営業活動において、アスリートの持つ強靭なメンタルは強い武器になります。営業職には欠かすことのできない提案力も、現役時代に培ってきた問題解決能力が大きく役立つことは間違いありません。これらの業務を短期間にしかも大量にこなすことができる体力を併せ持っていることも強みです。一般の人よりも、成長速度が速く戦力として期待されるでしょう。

教育関連職も、アスリートのセカンドキャリアとして就職率の高い職場です。アスリートが自身のレベルアップのために論理的な方法をくみ上げることができるという能力は、教育対象となる子供や若者にも浸透しやすく、メンタルの強さが指導力や管理能力にもつながることから、指導者として期待されることがその理由です。スポーツの指導者としてだけでなく、学校教師や塾講師など、教育関連の幅広い現場で元アスリートが活躍しています。セミナー講師や社員指導に従事している人もいます。

飲食関連職、特にその現場は体力を要求される職場でもあり、そのことからアスリート出身者が求められる職種となっています。また、将来独立して自分の店を持ちたいと考える元アスリートにとっても、飲食店の現場で仕事をすることは有益で、店舗のマネジメント経験を積むことで独立にも役立つことは大きなメリットとなります。

引退したアスリートを受け入れる企業の見つけ方

引退したアスリートを受け入れる企業の見つけ方

アスリートを受け入れる採用企業を探す手段としてまず考えられるのは、先輩や就職経験のある元アスリートの知人に聞くということです。誰でもアスリートである以上、引退してセカンドキャリアとして就職を選んだ先輩がいるはずです。まず、その先輩から引退後の話を聞くというのは有効な手段と言えるでしょう。信頼のおける先輩であれば、その意見は非常に貴重なものになりますし、場合によってはその先輩の知り合いの企業を紹介してもらえる可能性もあります。セカンドキャリアとして就職を考えているけど、何から手をつけて良いかわからないという方は、まず心当たりのある先輩から話を聞いてみるとよいでしょう。

セカンドキャリアとして受け入れてもらえる会社を探す手段としては、ネット検索を利用するというのが一番手っ取り早い方法でしょう。ネット検索をした場合、まず検索ヒットするのはリクナビやマイナビといった大手の転職サイトになるでしょう。ただし、こうした大手の転職サイトはアスリートのセカンドキャリアだけではなく、広く一般の転職希望者向けの求人情報を掲載していますので、思うように希望する求人情報が見つけられなかったり、なかなか転職活動が進まないということもあり得ます。大手転職サイトで希望する企業が見つからないような場合は「アスリートエージェント」や「スポナビキャリア」などの、元体育会系やプロスポーツ選手専門の転職サイトを利用してみると良いでしょう。

独力でアスリートの採用企業を探しても、なかなか良い企業が見つからないこともあるでしょう。実際、一般の社会人としての経験がないアスリートが独力で転職先を見つけようとするのは決して効率的とは言えないのも事実です。そのような場合は転職エージェントサービスを利用してみると良いでしょう。転職エージェントサービスを提供している企業は2022年3月の時点で17,000社もあるとされていますが、その中にはアスリートを受け入れる採用企業に特化したサービスを展開している会社もあります。代表的なサービスは「アスリートエージェント」と「doda」、そして弊社「ジールコミュニケーションズ」です。

「アスリートエージェント」

「アスリートエージェント」はアーシャルデザインが運営している体育会系出身者やアスリートに特化した転職支援サービスで、「体育会・アスリート人材が就職してからも輝き続けられること」をゴールとしてサービス提供しています。そのため、求人情報の紹介や就活に関する相談以外にも体育会系やアスリートを対象としたオリジナルの教育研修や入社以降のフォロー研修などを実施し、アスリートをフォローしてくれます。

「doda」

「doda」ではアスリート専門のスタッフが希望や適性に沿った求人を紹介したり転職活動をサポートするサービスを行っています。非公開求人を含む約10万件もある求人情報の中から個々のアスリートに合っている求人を紹介し、企業へのエントリーから選考結果の通達、面接日程の調整など、内定決定までのトータルサポートを行ってくれます。必要に応じキャリアカウンセリングも行っています。

「ジールコミュニケーションズ」

弊社ジールコミュニケーションズはもともと、社長を始めとした元アスリートが、アスリートのセカンドキャリアを支援するために立ち上げた転職エージェントです。アスリート以外の人材紹介も行うようになった現在も、元アスリートのキャリアプランナーが多数在籍。弊社の「アスリート向け就職サポート」では元アスリートのキャリアプランナーがマンツーマンで就職支援にあたり、どこよりもアスリートの気持ちが分かる、アスリートに寄り添ったサポートを行います。もちろん、弊社が紹介するのはアスリートの就職に理解があり、歓迎してくれる企業ばかりです。全く就職活動を行ったことがない人もゼロからサポートしますので、安心してお任せください。

引退アスリートを採用する企業に受かるための対策法

引退アスリートを採用する企業に受かるための対策法

アスリートがセカンドキャリアとして企業に就職しようとする場合、いくつかの課題を抱えていることを理解しておくことは大切です。

まず大きな壁となるのは日本特有と言われる「終身雇用制度」の問題です。副業の解禁など、日本の雇用制度は大きく変化しつつありますが、いまだに新卒を採用しての終身雇用制度が主流であるというのが現実です。人材不足の問題から大手でも中途採用に積極的になっている事例も増えてはいますが、海外と比較すると日本では転職率も低く、大手の中には今でも中途採用を積極的に行わないケースも多いです。海外のように転職を繰り返してキャリアアップを図ることを肯定的に捉える見方はまだまだ少なく、「転職」そのものにネガティブなイメージを持つ人が多いというのが現状であるのは否めません。社会全体がビジネス経験のないアスリートを中途採用することに積極的になっていないことが、アスリートの採用企業がまだまだ少なく、転職を難しくしている要因になっています。

ビジネススキルが一般の転職者と比較して不足していると思われがちなことも克服しなければいけない課題となります。多くの場合、アスリートがプロになるのは高卒もしくは大卒後になると思いますが、一般的には同じ時期に就職し、新人研修などでビジネスの基本を学んで業務での経験を積むことになります。あくまでビジネス経験という観点から見る限り、どうしてもアスリートはビジネス経験が乏しいと判断されがちです。特に退社した人員の補充として企業が中途採用を行っている場合、必要とされるのは即戦力となる人です。業務経験のある人とこれから企業に勤めようという意志を持つアスリートであれば、どうしても経験のある人の方が採用されやすくなってしまいます。

以上のような状況を踏まえた上で、セカンドキャリアを成功させるための対策としては「デュアルキャリアの実践」「資格・スキル習得のため専門学校等に通う」「他業種への理解を深める」といったことが挙げられます。

近年話題となっている「デュアルキャリア」とは海外では主流になりつつある方法で、アスリートとしての活動と同時に社会人としてのビジネスキャリアを並行して形成する手法のことです。つまり、アスリートとして現役活動中にビジネス活動を並行して行っていくというのがデュアルキャリアです。有名な事例としては現役サッカー選手として活動しながら事業や投資を手掛けている本田圭佑選手などの事例があります。デュアルキャリアとしての経験を積むことで視野が広がり、引退後のキャリアにもその経験を活かすことが可能となります。いきなり起業したり投資をするのではなく、現役である間にできる範囲で行動を起こすことが重要です。アスリートのデュアルキャリアを支援するサービスを提供している会社などもあるので、そのような会社に相談してみるのも良いでしょう。

引退直後で企業に就職するのではなく、何らかのスキルを身に着けた上で就職活動に臨むというのも選択肢のひとつとしてありと言えます。専門的なスキルを必要とするプログラミングやウェブデザイン、動画編集といった専門職は未経験からの採用が厳しいケースが多く、そのような専門職を目指したいのであれば、専門学校に通って必要なスキルを身に着ける必要があります。専門学校によっては転職支援サービスを行っているところもあるので、そのような制度のある専門学校に通うのも良いでしょう。簿記や宅建などの資格の取得を目指すのも良いでしょう。現役のうちから資格やスキルの習得をしておくことで、セカンドキャリアでもそれが大きな武器として役立ちます。

セカンドキャリアを目指して就職活動を始める前に、他業種に関する理解を深めておくことも重要なステップとなります。世の中にどのような業種・職種があるのかも知らないというのであっては、引退後のキャリアを考えることができません。一般社会にある業種や職種の知識がなければセカンドキャリアの選択の幅もおのずと狭くなってしまいます。そうならないためにも、まず他業種への知識を身につけましょう。自分が興味ある分野から始めるので構いません。いろいろな業種の人と実際に会ってみることも有効です。さまざまな業界の情報や知識を得ることで、セカンドキャリア選択の幅が広がります。

まとめ

近年ではアスリートの能力を見込んで積極的に受け入れる採用企業が増えている一方、社会全体としてみれば、諸般の事情からアスリートの中途採用に積極的ではない企業がまだまだ多い実情も現実としてあります。セカンドキャリアを成功させるためには、まず自分のセールスポイントをきちんと把握し、アスリートの積極採用を行う企業についての情報や知識をしっかり学ぶことが重要です。一人で悩むのではなく、周囲の人に相談してみるのも良いでしょう。しっかりとセカンドキャリアの計画を立てて成功に結びつけてください。

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