[最終更新日]2023年9月12日 [記事公開日]2022年9月1日
大学卒業後の就活は厳しいのか?既卒就活の実情と内定獲得法について解説します
大学卒業後の就活事情について
在学中に内定を取れなかった学生は、卒業後には就活用語上「既卒」となります。就活情報サイト等では新卒者と既卒者の就職率を比較したグラフが掲載されている事がありますが、いずれのグラフでも新卒者の就職率(内定率)に比べると、既卒者の就職率はほぼ半減以下にまで下がっている事が判ります。ここまで顕著な差が出てしまうのは、「在学中の内定を取れるのが当たり前」なのではなく、企業人事側の「在学中に内定を取る学生は計画的な行動が取れる」という認識が転じて「在学中に内定を取れない学生は計画性が無い」と色眼鏡がかかってしまう事に原因があります。
確かに在学中に内定を取れるように行動することは、「4年目に就活の時間を取れるように単位を取る」「4年目の時間を効率的に使って就活する」、そして「卒業という締め切りに向けて内定という成果を出す」という計画性に繋がります。しかし全ての学生が怠惰の為にこの機会を逸するとは限りません。所属したゼミの4年目の成果物がどうしても一年を丸ごと費やさねばならないものだった、その大学でしか出来ない研究をやり遂げたかったなど、勉学的な理由で就職活動の時間が取れなかった学生もいます。
大学生である以上はその大学でしか出来ない勉強・研究が本分です。しかし上記のような勉学に励んでいた学生が既卒に劣等感を持ち、或いは孤独な就職活動の果てにそうした勉強の成果を活かせない、全く専門性が無い業種に就いてしまう事は昔から問題視されています。内定を得る為には大学4年目の時間の大半を就職活動に費やさねばならない、その風潮自体に近年では疑問を呈する声も上がっていますが、かといって風向きや通念が一朝一夕に変わる訳でもありません。実情として、「既卒は新卒よりも厳しい採用率になる」と理解した上で、就職活動を続けなければなりません。
大学卒業後に就活を行ううえで覚悟すべきこと
既卒の就活生が就活を失敗してしまうのは、間違った自己分析と度重なる就活の失敗によって、「この業界は自分では能力不足なんだ」と思い込んで自分の強みを活かせる業界・企業を除外してしまう事にも一因があります。これは在学中から一人で就活していた学生にありがちです。就職さえ出来れば、それはそれで別の道が拓ける事は否定できませんが、問題は思い込みの内容にあります。
実は専門性の高い業界ほど、現場レベルでは大学を卒業したての新入社員に専門的な知識・作業能率はそこまで期待していません。それは社内での先輩からの伝授や、社内のツールやノウハウに合わせて研修で育てていくものだからです。その業界で働くための基本的な知識を有しているかどうかは問われるものの、特に大手・有名企業になるほど、どちらかといえば学歴レベルの足切りが発生している可能性が高まります。つまり新卒の就職活動は一概に本人の能力で落とされている訳では無く、「たまたま自分よりも学歴の高い学生が多かった」「たまたま自分より何かメリットが1つだけ多い学生が居た」、偶然の要素によって合否が判断されているケースも多いのです。
しかし、実際の合否判定にそうした事は書かれません。これによって学生は「自分はこの企業には能力が足りないのか」と誤解してしまい、同じ企業に2度応募することは滅多にありません。その時受かった人材が、そのままその企業の内定を受けるかは判りません。あるいは新入社員のうちに辞めてしまう事もあり、既卒就活の強みはここにあります。「すぐに・確実にここで働きます」「すぐに辞めないメンタルの強さがあります」という点をアピールできれば、既卒就活生はその抜けていった新入社員の枠にそのまま入りやすくなるのです。既卒であってもあきらめずに就職活動しつづけたり、新入社員が辞めがちな時期に、自己分析やアピール方法を見直してリトライする事は、それだけで「どうしても御社で働きたい」熱意の証明になるのです。
既卒就活生は確かに、新卒に比べて内定率は下がります。それは「自分はこの業界では求められていない」と早合点し、心が折れてずるずるとアルバイトで日々を過ごしてしまったり、「既卒の強み」を知らないまま就職活動をしてしまう事にも原因があります。間違った自己分析とそれを助長させる孤独な就活を続けてしまえば、その状態は延々と続いてしまいます。
これも在学中の就活生にはあまり知られていない事実ですが、国の「三年以内既卒者等採用定着奨励金」という制度により、企業は卒業から3年以内の既卒者を雇用すると助成金が出ます。かつ、社内の扱いとしては新卒と同じになるケースが殆どです。より優秀な人材を選んで雇用する大手企業では既卒者募集は少ないものの、その業界全体では「既卒応募枠」を設けている企業も少なくありません。これを知っているか知っていないかで、大学卒業後の就活は大きく変わります。そしてその既卒応募枠を効率的に見つけるには、かつ「自分に合っているかどうか」を加味した上で探すには、就活エージェントとの提携が不可欠になってくるのです。
大学卒業後の就活を成功させるための対策法
就活エージェント、就活サービスは就活者が自分の情報や就職したい業界について登録し、それに基づいて就活のプロとも言えるスタッフによるサポートを受けて就活するサービスです。有料のところもあれば、人材マッチングを求める企業からマージンを貰う事で就活者は無料で利用できるサービスもあります。無料のところは無料である事がメリットなものの、スタッフ1人あたりの扱う就活者の数が多くなってしまう事もあり、有料のところは有料である点がデメリットであっても専任スタッフによるサポートが得られる等の違いがあります。
ここで「ハローワークでは駄目なのか」と思う人もいるかもしれません。ハローワークと就活エージェントの大きな違いは、「求職者の希望や適性に合っているかどうか」です。ハローワークは求人数こそ多いものの、あくまで「求人している企業」を一覧できるだけで、そこが自分の適性や勉強してきた事に向いているかどうかを決めて紹介されるものではありません。ブラック企業が混ざっている事もあり、既卒の就職に関して詳しいキャリアアドバイザーが居る可能性はあまり高くありません。就職活動において対面で相談したい人ならば足を運んでみる価値はもちろんありますが、「とにかく当たって砕けていけ」「えり好みするな」といった精神論的なアドバイスをされる事もあり、親身さに欠けるケースもあります。しかしいまいちなアドバイザーも居れば、親身になってくれるアドバイザーが居る可能性があることも確かです。ハローワークを利用するならば就活サービスと併用し、「この募集は良さそうだけれどブラックかどうか」「自分に向いているかどうか」を就活エージェントで確認してみる方法もあります。
次に、就活エージェントを利用するならば、とにかくエントリー数を増やしましょう。個人で就活をやっていた時の感覚では、日時的な制限もあってどうしてもエントリー数は少なくなりがちです。しかし先述したように、採用されるかどうかは運も大きく関わる事であり、エントリー数が増えるだけチャンスは増していきます。内定者がエントリーした平均数は26社で、内定にならなかった既卒者のなかで、在学中に行った平均エントリー数は14社程度だというアンケート結果も出ています。ある意味、ハローワークでの「とにかく当たって砕けていけ」は間違っていませんが、就活エージェントを利用すれば駄目だったとしても自分一人だけで思い悩みがちなだけの反省会にはなりません。まして、よほどアルバイトを入れていなければ日時の括りは在学中よりも緩くなっている既卒こそ、日時的なアドバンテージは上がっているのです。
最後に、既卒であれば必ず聞かれる質問に対して万全の準備をしておきましょう。それは「どうして既卒になったのか」という質問です。在学中に計画的な就活が出来なかった理由が怠惰であったのか、そうではないのか、企業は当然考慮に入れます。興味本位で聞く面接官も少なくありません。勉学や研究、活動に打ち込んでいた訳では無かったにしろ、半笑いで「サボってました」という正直さはマイナスでしかありません。先の例に倣えば、「日時の都合が思うように取れず、エントリー数が足りなかった」など、言い方はいくらでも工夫が出来ます。既卒での就職活動、それ自体は「新卒で採用されなかった失敗」ですが、失敗談は面接においては挽回とアピールのチャンスです。「こうした失敗をした」と「だから今後はこういう事を心掛ける」という理由と反省をセットで説明出来る、つまり入社後も起きるだろう「失敗」に対して、どういう心構えでどう行動できるかをアピール出来るのです。
例えば「アルバイトに没頭していた」のなら、どうしてアルバイトに没頭していたのか(旅行や夢の為だったのか)、それで就活に失敗したことをどう反省して今の就活をしているのか(同じくアルバイトしながらも内定を貰った友人、就活アドバイザーにアドバイスをもらうなど)をアピール出来ます。特に新入社員がやりがちな失敗として、「大きな失敗をしてしまい、それを隠して自分一人でどうにかしようとする」事があります。しかし実際には、ミスは迅速に報告した方が被害は小さくなるものです。1人で何とかできる限界を知っていること、それに対して他人を頼る事を知っていることは、印象上のメリットに繋がります。
特になにも打ち込んでいた訳でもなく、ずるずると日々を過ごして就職出来なかったとしても、「エントリー数が少なかった」「就活に本気になれず、適切な企業研究・自己分析が出来ていなかった」という点に嘘はありません。そしてそれを反省しているからこそ、今の既卒の就職活動に繋がっている筈です。失敗だった、もっとこうしておけば良かったという点があれば、それをただ失敗として重く抱えるだけでなく、「反省を得るための人生経験」としてポジティブに受け止め直し、実際的にも改めた行動へ移せていれば堂々とそれを説明すればいいのです。
また、既卒だからこそのメリットとして、「卒業から何をしていたか」の空白期間に取り組んだこともアピールに加えられます。スキルアップのための資格取り、海外留学などが鉄板ですが、就活エージェントを利用した企業研究、業界研究もアピールポイントに繋げられます。資格も通信教育を経て在宅での試験が受けられるもの、その際にテキストを見ながらの回答が許されているものが増えており、「高い受験料や交通費を都度払って挑まなければならない」という従来のイメージが払拭されつつあります。
まとめ
大学卒業後の就活は「卒業までに」というゴールが無くなった分、先の見えないマラソンのように感じられ、活動にも波が出てしまいがちです。しかし、国が「青少年雇用機会確保指針」や様々な制度で「卒業後も3年以内ならば新卒扱いにする」と方針を決めたところで、企業の中にはそれを採択していない所もあります。最長でも3年以内という期間と、そうした猶予が最初から無い事も理解した上で、いち早く就活に取りかからなければより不利になっていくのが実情です。
既卒者が第一に狙っていきたいのは「既卒応募」であること、そして既卒の強みが「新卒内定のように辞退をしにくい人材」「すぐに働ける人材」という点を念頭においた就職活動をするならば、狙うべきは「新卒が辞めがちな時期」です。一般的にはゴールデンウィーク後、5月病の時期に辞める人が多いとは言いますが、厳密には業界ごとにも違いがあります。業界ごとにある、人が離れがちな時期や求人が増える時期を就活エージェントから情報を得るなどして、そこにエントリーを定めたメリハリのある就活を行っていきましょう。
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