[最終更新日]2023年9月12日 [記事公開日]2022年9月1日
既卒は新卒枠で応募することができる!?真相と内定に繋げる方法を教えます
既卒は新卒枠に含まれるのか?
既卒とは、高校や大学、専門学校を卒業してから、社会人として就職して働いたことがない人を指しています。年齢の制限は特にありませんが、卒業後3年以内である人を既卒と認識する企業がほとんどです。
既卒の就活時の扱いについて、2010年に「青少年雇用機会確保指針」を厚生労働省が改正し、「卒業後少なくとも3年間は新卒枠に応募出来るものとすること」と規定しました。この規定は、在学中に新卒扱いで内定をもらえなかった場合に、若手の就職のチャンスが大きく減少してしまうとの見解から定められたものです。しかし、これは政府からの要請レベルであり、採用活動時に既卒を新卒として扱うか否かは事業主に委ねられています。さらに、一般的には卒業後3年以内が新卒枠へ応募可能ですが、企業によってはその年数が異なる場合がありますので、応募前に確認することが大切です。
厚生労働省による調査では、既卒も新卒枠で応募可能としている企業は2014年から増加傾向にあります。2020年度に既卒者を新卒枠で募集した企業は全体の約70%で、そのうち実際に既卒者を採用した企業の割合は40%でした(今後の若年者雇用に関する研究会報告書)。新卒枠で応募した既卒者全員が採用されている訳ではありませんが、かなり多くの企業で既卒を新卒枠として募集していることが示されています。さらに直近10年で既卒の採用は少しずつ増えてきています。それだけさまざまなタイプの就活生を採用したいと思う企業が増えているということでしょう。
ただ、あくまでも新卒枠で応募が出来るだけなので、選考過程では既卒扱いとなることに変わりありません。また、内定を獲得出来るかどうかは応募者のスキルや価値観、アピールの仕方次第ですので、準備は入念に行いましょう。
既卒が新卒枠で応募するメリットと注意点
既卒者の場合、新卒枠で応募するのを躊躇する人もいるかもしれませんが、新卒枠で応募するメリットは多くあります。
1つ目は、大手企業にも応募が可能なことです。大手企業の中途採用では、経験者の求人が多い風潮があるので、既卒には少しレベルが高いケースがあります。しかし、新卒枠での応募であれば、経験は重要視されません。また、大手企業は新卒の採用に力を入れていますので、中途採用での応募に比べて新卒枠で応募した方が大手企業の求人に巡り合う機会が多くなる可能性は高くなります。ある調査では、「既卒を新卒枠で募集し、実際に内定を出した」社員数1,001人以上の大企業は36%、以下、中堅企業では22%、中小企業では10%という結果でした。このことから、大企業が積極的に既卒を採用していることがわかります。安定を求めるのであれば、大手企業に就職したいと考えるのは普通ですので、既卒でも積極的に大手企業を目指しましょう。
2つ目は、同期の仲間が多く出来ることです。既卒採用や中途採用の場合、採用は数名程度の場合が多いですが、新卒採用では、数十名単位で募集をかけます。募集人数が多いということは必然的にライバルも多くなりますが、同期入社の仲間が多ければ、何かあった時に相談したり、情報交換も出来ますので安心して仕事に臨めます。
3つ目は、充実した研修や講習が受けられる点です。中途採用で入社した場合、仕事をしながらスキルを身に付けていく場合が多いですが、新卒で入社すれば、仕事に就く前に長い場合は数か月かけて研修を受けさせてもらえます。特に大手企業では、新入社員の頃には、社会人としての心構えやマナーなど基礎的な教育を受けることが出来るので、社会人経験のない既卒でも丁寧にスキルアップしていけます。
このように新卒枠で応募するメリットがある一方で、注意しなければいけない点もいくつかあります。
まず、既卒は新卒と比較されてしまい内定をもらいづらい可能性がある点です。既卒が新卒枠で応募して、同じようなスキルを持っていた場合、少しでも若い応募者を採用する企業が多いのが現実です。そういった場合、少しでもマイナス要素を減らせるように、既卒に質問されがちな内容を理解してしっかりと対策を練ることが重要です。留学や親の介護など、特別な理由がある場合は別ですが、そうでない場合は、相手にマイナスイメージを与えない伝え方をしましょう。とはいえ、経歴よりも人柄を重視する企業も多くなってきていますので、履歴書や面接でのやり取りの印象が決定打になる可能性も大いにあります。
次に、新卒枠で応募する際には時期にも注意しなくてはなりません。新卒採用はたいてい毎年同じ時期に行われています。その為、その採用時期を逃してしまうと求人量が大きく減ってしまいます。多くの企業では、毎年6月頃から翌年度入社の応募受付を開始し、8月頃に内定というフローが一般的です。外資系企業は例外も多いですが、就活を始める時期にも十分注意しましょう。
さらに、前述の内容とも繋がりますが、新卒枠採用の場合、多くは4月入社となります。既卒の場合、すぐに働き始めたくても待たなくてはいけない期間が出てきてしまいます。なるべく早く働き始めたい場合は中途採用枠で応募するのもありでしょう。既卒は新卒枠で応募することは出来ますが、実際の選考中には新卒として扱われることはありません。既卒は働く意志が弱いと思われがちですので、既卒としてどのように新卒を超えていけるか考えていく必要があります。
既卒が新卒採用枠で内定を獲得する方法
採用担当者は、既卒に対して「きっちりと働くことが出来る人間か?」「働く意欲はあるのか?」など先入観を持って選考を行っている場合があります。そのイメージを払拭する為に、次のような点に留意して就活を行いましょう。
まずは既卒が履歴書作成や面接でアピール出来る点を探してみましょう。例えば、「学生時代に熱心に取り組んだこと」をアピールするのが良いでしょう。既卒は新卒同様、職歴がありませんので、学生時代に何を一番頑張ったのかを具体的な話を交えて伝えられるようにしましょう。勉強やサークル、文化祭、生徒会、留学、アルバイトなど、人によって様々な内容があると思いますが、最終的にはそこで培った自分の強みを、応募した企業に入社後どのように活かせるかまで伝えられるようにします。
また、「挫折した経験とそれをどう乗り越えたか」のエピソードもアピールポイントになります。企業側は、応募者が困難な局面を迎えた際にどう立ち向かっていくのかを知りたいのです。実際に入社し、仕事で苦手なことや難しいことに取り組む度にすぐに逃げていたのでは話になりません。既卒は、特に「在学中に内定をを獲得出来なかった」という挫折を経験しています。その後、「どうして就職しようと思ったのか」を前向きにアピールしてみると良いでしょう。
既卒はただでさえ働く意欲が低いと見られがちなので、新卒枠で応募出来るとしても、新卒以上に入社意欲を存分にアピールすることが大切です。また、面接では一般的な質問にすら回答できないと、それだけで意欲が低いと見られがちです。そうならない為には、企業研究や自己分析をしっかりとし、志望動機と自己PRの内容を濃くする必要があります。なぜその企業に興味を持ったのか伝えられるように企業理念や社風、企業が力を入れている事業などをリサーチしておきましょう。
また、チャレンジ精神をアピールするのも既卒にとって大切な方法の一つです。新卒枠で採用活動をしている企業のほとんどは、挑戦心を持っている人材を探し求めています。チャレンジ精神がある人は、企業の新規事業の展開や、個人の成長に繋がる行動をしてくれるだろうと期待されるからです。何事も積極的に挑戦する姿勢を見せると面接官の印象に残りやすいでしょう。
そして、既卒が一番頭を悩ませるのは、既卒学生になってしまった理由と、卒業後の空白の期間に何をしていたかをどう伝えるかということです。このふたつは既卒の採用面接では、必ずと言って良い程、聞かれる内容ですが、「就職活動に対してやる気が起きなかった」や「卒業後何もせずに毎日ぼーっと過ごしていた」という回答では、「本気で働く気があるのか?」と面接官に思われてしまっても仕方がありません。もし本心がそうであったとしても、決してネガティブな発言はせずに、前向きな言葉に置き換えるようにしましょう。例えば、「資格取得の為に勉強していた」や「自分の本当にやりたいことを見つける為に様々なアルバイトを経験していた」、「知識の幅を広げる為に毎日1冊は本を読むようにした」といった内容であれば、日々の前向きな取り組みを面接官は高く評価してくれます。本番で焦ってしまわないよう、「既卒になってしまった理由」と「卒業後の空白期間」については、一番力を入れて入念に準備しましょう。
最後に心持ちの対策です。既卒の場合は、なるべく早く就活をスタートさせましょう。卒業してからの期間が長ければ長い程、企業側としてはその間何をしていたのか?と気になるところです。就職する気があるのであれば、いつか動こうではなく、今から積極的に行動していきましょう。待っているだけでは就職は出来ません。また、「既卒」という言葉に捕らわれ過ぎて、自信をなくさないようにすることも大切です。既卒の場合、卒業後に仕事も勉強も出来ていないという劣等感を感じてしまう傾向にありますが、就活においてはその劣等感を面接官などに見せてはいけません。どんなに高いスキルを持っていたとしても、劣等感を感じ自信をなくしている態度は相手に不安感を与えるに過ぎません。面接では新卒枠で応募している他の応募者達と同じように、明るく元気にハキハキと質問に答えるようにしましょう。自分が在学中に新卒採用試験を受けているようなつもりで準備を進めるのが良いでしょう。そして、既卒が新卒枠で応募する場合には、業界や業種を幅広く調査し、視野を広げて複数の企業に応募してみることも大切です。当たり前の事ですが、受ける企業が多い程、内定をもらえる可能性が高くなります。例えば、「旅が好きなので、旅行代理店に就職したい」と考えた場合でも、航空業界や鉄道業界にも目を向けてみるのも一つの手です。ただし、目指す職域の幅があまりに広すぎてしまうと情報収集も大変になってしまうので、自分の仕事に対する軸はぶらさずに選択していきましょう。
まとめ
政府の呼びかけにより、既卒は新卒枠でも応募が出来るようになったことで、既卒学生の就活における選択肢は確実に増えています。新卒枠で応募するメリットを認識した上で、自分のモチベーションと合うようであれば積極的に活用していきましょう。ただ、応募という入口は同じでも、既卒扱いであることに変わりはありません。気持ちの持ち様によっては、新卒と既卒では自分自身のアピールの仕方や面接での態度に違いが出てきてしまいます。まずは就職に対するネガティブな思考を捨て前向きに考えること、そしてどんなことにも挑戦してみる意欲があるという姿勢を見せるのが内定への第一歩です。
自分に自信を持って選考に望むには、とにかく入念に就活の準備をすることです。特に、「在学中に内定をもらえなかった理由」や、「卒業後何をしていたか」「働くことに対する熱意」をしっかりアピール出来るように自分の棚卸しをして自己を見つめ直すのが重要です。
一人で就活をしていると、この方向性で合っているのかと悩んでしまったり、不安に思うことも生じます。そんな時は既卒の就活に力を入れている就職エージェントにサポートをお願いしてみましょう。そういったエージェントのカウンセラーは、既卒の就活の実態をよく理解していますので、適格なアドバイスがもらえます。周りの人に頼りながらも自分が納得のいく形で就職が出来るよう前向きに頑張りましょう。
ジールコミュニケーションズでは、新卒・既卒での就職活動、第二新卒、中途で転職活動をはじめ、企業向けの採用支援や学校・キャリアセンター向けのサポート支援を行っております。豊富な実績や手厚いサポートによってお客様に向き合った支援サービスをご提供いたします。
お問い合わせよりお気軽にお悩みや希望をご相談ください。
問い合わせから相談する