[最終更新日]2023年9月12日 [記事公開日]2022年9月1日
既卒を受け入れてくれる企業はない?既卒就活の厳しさと乗り越え方教えます
既卒を受け入れてくれる企業が少ない理由
「既卒」とは一般的に、卒業してから3年間、1度も就職していない人を指します。しかし、はっきりとした定義はなく、企業によって基準は異なるので、どこまでを既卒として扱っているのかを調べておくとよいでしょう。
既卒は新卒に比べると、就職に不利だと言われています。割合でいうと、2020年度の既卒者の内定率は約34%です。新卒の内定率の半分以下となり、決してゼロではありませんが、難しいということが分かります。
なぜこのような差が出るのかというと、「卒業から今までブランク期間のある既卒を採用するよりも、卒業してすぐの、まだ何の影響も受けない内に、働き方をイチから教育できる新卒を採用したい」という、企業の考えによるものです。また、「新卒を採用する」という就職についての文化が日本では一般化しているために、新卒の方がどうしても有利になりがちなのも、理由の1つに挙げられるでしょう。
その他の大きな理由に、企業が抱く既卒へのイメージが挙げられます。「なぜ新卒で就職せずに既卒になったのか」「ブランク期間に何をしていたのか」という疑問、「在学中に就職できなかった(しなかった)のは、何か本人に問題があるのではないか」「怠けていただけではないか」という不信感が既卒者本人へのマイナスイメージにつながり、内定をもらえない原因になってしまうことがあるのです。即戦力となる中途採用の人とは異なり、社会人としての実務経験がない点も不利に働いてしまうため、応募の際に実務経験不足を打ち消すほどアピールできるような、その仕事に生かせる能力や資格などを持っていなければ、採用は厳しいものになってしまいます。
しかしながら、2010年に行われた厚生労働省からの通達により、卒業後3年以内の既卒は新卒としての枠で応募できるようになったため、既卒者も応募しやすくなりました。その結果、既卒が企業に応募できた割合は2018年から2020年では68%~70%を維持しています。要請以前は25%程度であったことを考えると倍以上に増えているため、就職できるチャンスは大いにあると言えるでしょう。ただし、あくまでも指針であるため、企業側の考え方によっては、既卒の新卒枠への応募について、年齢などの条件を付け加えていることがあります。応募できるようになったからといって気を緩めず、早めに行動に移すことが、より就職へのチャンスを増やすことにつながるでしょう。
既卒を受け入れてくれる企業の特徴と見つけ方
既卒で就職活動を成功させるためには、新卒重視の企業ではなく、既卒向けの求人を出している企業を探すことが重要なポイントです。そんな企業はないのでは?と不安に思うかもしれませんが、厚生労働省からの通達により、多くの大企業が既卒の採用を始めたため、実は大企業の既卒向けの求人も少なくありません。
例を挙げると、トヨタ自動車株式会社や三菱自動車工業株式会社といった自動車製造業界、パナソニック株式会社やソニー株式会社などの電機業界、日本たばこ産業株式会社(JT)や江崎グリコ株式会社といった飲食料業界、その他、重工業界や製薬業界や情報通信サービス業界、インフラ業界など、さまざまな業界の誰でも名前を知っている大手の企業から、既卒可の求人が出されています。
企業規模ごとの内定が出た割合では、従業員が1001人以上の企業で36%、301人以上1000人以下の企業で22%、300人以下の企業で10%となっており、求人だけではなく、実際に採用する数も大企業は多いことが分かります。
以上のように、大企業からの求人は「中小企業に比べて採用人数が多い」という点が特徴として挙げられます。新卒以外にも、既卒、第二新卒など、さまざまな人を採用したいと考え、また受け入れる余裕があるのです。
とはいえ、新卒より不利であることには変わりないので、大企業ばかり狙っていては、既卒とされる3年間を過ぎてしまう可能性があります。また、大企業というだけで選んでしまっては、もし内定が出たとしても、自分にその仕事が合わなければ、離職ということになってしまいかねません。企業名だけではなく、自分が就きたい仕事であり、働きやすい環境であるかどうかも、求人を探す上では忘れてはいけない重要なポイントです。
そのような企業を探すためには、「どんな仕事が実務経験がなくても応募しやすいのか」を知ることが大切です。営業職や事務職、IT系の技術職や販売職などが挙げられます。これらの職業は、学歴や実務経験よりもその人の意気込み、気質や性格といった点が重視され、しっかりと教育体制が整っているなど、既卒であっても関係なく働きやすいためです。
いざ企業を探し、検討する段階になったら、自力で企業サイトの求人情報や就職支援サイトで調べるだけでなく、就職支援サービスを利用するのもおすすめです。
いくら就職していなくても、アルバイトをしていたり、就職するために資格を取る勉強をしていたり、時間が全て自由になるわけではありません。そんな中で、できるだけ多くの企業に応募して就職活動を進めていくのはとても大変なものです。そんな時に、プロのアドバイザーの力を借りることによって無駄をなくし、効率的に就職活動ができます。
「自分はどのような仕事がしたいのか」「どのような仕事が向いているのか」といった自己分析から、どのような求人に応募できるか、内定を勝ち取るためにはどのようなことが必要なのか、有益なアドバイスをアドバイザーから受けることができます。また、応募書類の書き方や面接での受け答えなど、自分だけでは正確に対応することが難しいものも、過去の実績からのノウハウで、適切なサポートを受けられます。1人での就職活動が不安だと感じるならば、こうしたプロの力を借りるのも1つの手であると言えるでしょう。
既卒でも内定を獲得するための対策法
不利な状況下でも、就職活動で既卒でも内定を勝ち取るためには、6つの対策法があります。
1つめに挙げられる対策は、「今まで以上に就職活動をする」ことです。新卒の時にしていた就職活動をそのまま既卒になってからも行っているのでは、活動量が足りません。不利な状況をカバーするだけの行動力が必要となります。例えば、応募する量を新卒の頃の倍にしたり、ボランティア活動や就職セミナーに参加してさまざまな経験を得たり、在学中以上に活発に就職活動を行うように心がけましょう。
2つめの対策は、「前向きに長く働く意欲があることをアピールする」ことです。既卒について企業が持つマイナスイメージを払拭するためにも、ブランク期間に就職に向けてどのような行動をしていたのかを、具体的にアピールすることがとても大切です。その際は、決して言いよどんだりせずに、明るくはきはきと答えられるよう心掛けておくと良いでしょう。「この職種に就くためにこのようなアルバイトをしていた」「仕事に生かすために資格を取る勉強をしている」など、応募書類や面接でしっかりと伝えることができれば、自分自身への評価へとつながります。
3つめに挙げられるのは、「既卒に向けた求人を調べて応募する」という対策になります。先ほど、新卒の枠でも既卒が応募できるようになったと述べましたが、やはり新卒の方がどうしても優先されてしまいがちです。その点、既卒向けの求人であれば、新卒であることよりも働く意欲を重視した求人であることが多いため、実務経験に乏しい既卒でも不利になることが少なくなります。「既卒歓迎」と書かれている求人を探してみましょう。
4つめに挙げる対策は、「ブランク期間ができた理由を説明できるようにする」ことです。「何故就職せずに既卒になったのか」という質問は、面接でよく問われます。その時にはっきりと答えられずに、下手に言い訳をしてごまかそうとしたり、あやふやなことしか答えられなかったりすると、企業側の心象が悪くなり、評価が下がることにつながってしまいます。ブランク期間が長ければ長いほど、問われる可能性も高くなるので、ここは確実に答えられるようにしておきましょう。
その際に重要なのは、その理由をポジティブで建設的なものにすることです。例えば、資格の取得や海外への留学など、目的を持った上で就職しないと決めたのであれば、今後その経験をどう仕事に生かしていくのかを、就職活動を失敗したのであればアルバイト経験から何を学び、就職後はどう生かせるのかを、具体的かつ前向きに、かつ堂々と答えられるようにしておきましょう。
5つめは、「余裕を持って臨めるよう面接の練習をしっかりとしておく」という対策です。応募書類の選考が通れば、面接選考が待っています。その際に、既卒だからとネガティブになり、自信のない姿を見せてしまっては、企業側も余計に採用をためらってしまいます。どのような質問がされやすいのかを調べ、スムーズに答えられるように何度も練習しておきましょう。「何を聞かれても答えられる」と自信をつけることで、いざ本番となっても緊張しにくくなり、余裕を持って臨めるようになります。
6つめの対策は、「既卒も対応可能な就職エージェントを利用する」ことです。既卒の就職活動は新卒のように学校のサポートがないので、分からないことも多く、不安になりがちです。そんな時にプロのエージェントに頼ることは、内定を勝ち取るためにはとても有効な方法となります。エージェントではさまざまなサービスが行われており、「こんな仕事がしたいが、ぴったりな企業ないか?」という希望に合った求人を紹介する他、応募書類の書き方の指導、面接対策など、スムーズに就職活動が進められるようにサポートを行ってくれます。
まとめ
既卒という立場での就職活動は、新卒の時よりもしなければならないことが増えます。それは、単純に「応募量を増やす」ということでもありますが、それ以上に大切なのが「企業側が抱いている既卒へのマイナスイメージを、少しでも取り除かなくてはならない」ことです。
ブランク期間のある既卒への「なぜ?」という企業側の疑問や不安を打ち消し、評価してもらえるようにするためには、いかに行動できるかが重要になってきます。
この「行動」とは就職活動のことだけを指すのではなく、その前の段階の、既卒になることを決めた時からのことも指します。「将来どのような仕事に就きたいのか、そのためにはどの企業に就職するのが良いのかを調べておく」「ブランク期間を無駄に過ごさず、将来の仕事に生かせるアルバイト経験を積んだり、資格を取ったりする」といった前向きな行動を続けることで、いざ就職活動が始まった時にそれが自分のアピールポイントとなるのです。
もちろん、本格的に就職活動が始まってからの行動もとても重要です。「できるだけ多くの企業にしてチャンスを増やす」「応募書類や面接で、質問によどみなくスムーズに受け答えする」ことなどが、内定を勝ち取ることにつながります。そのためにも、何度も質疑応答の練習をしたり、時には就職エージェントを利用したりなど準備を怠らず、臆することなく自己アピールを堂々と行えるようにしておきましょう。
既卒は就職に不利だと言われていますが、最初に説明したように、内定率はゼロではありません。新卒でも就職できない人がいるように、新卒でも既卒でも、最終的に大切なのは「いかに努力してきたか」なのです。新卒よりも長く就職までの時間を持てた分、のんびり過ごすのではなく、目的を持って努力を続けられるかどうかが、就職活動で成功できるかの重要なカギになります。やる気を持ち続けるのは難しいかもしれませんが、就職のためのしっかりとした目標を立てて行動を継続し、内定を勝ち取りましょう。
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