[最終更新日]2023年9月12日 [記事公開日]2022年9月1日
既卒は就活で不利ってやっぱり本当なのか?その真相と覆すための対策法教えます
既卒はなぜ就活で不利なのか?
「新卒」は正式には「新規卒業(者)」と言い、「その年に学校を卒業する人」、つまり、まだ「卒業見込みの状態(在学中)で就職活動をしている人」を指します。それに対し、「学校を卒業した後、1回も就職していない人」のことを「既卒」と言い、アルバイトをしていれば「既卒のフリーター」、アルバイトもしていなければ「既卒のニート」という扱いになります。
既卒の人は、就職活動において不利だと一般的に言われています。例えば、2019年の調査データでは、8月時点での内定率を新卒と比較すると、新卒が80%以上なのに対して、既卒は40%ほどと約半分になってしまいます。なぜそのような厳しい結果になるのか、その理由には以下の4つがあります。
まず挙げられるのは、「高い内定率を誇る新卒の時に就職できていないことに、不信感を抱かれてしまう」という理由です。学校を卒業後、そのまま就職するというケースが一般化しているために、そうではないという点で「なぜ就職しなかったのか」と疑問を抱かれてしまうのです。それだけではなく、「働く意欲や人間性に問題があるのではないか」と問題視されたり、「就職後のさらなる成長や企業への貢献を見込めるのか」と疑問視されたりしてしまうため、内定をもらえる確率が下がる結果になってしまいます。
次に挙げられるのは、「既卒に対する求人が少ない」という理由です。どうしても新卒や「第二新卒」と呼ばれる「新卒で就職した後1〜3年以内に転職を希望している人」に向けた求人が多く、就職支援のサイトには既卒だと登録できないケースまで存在します。新卒と比べると卒業から今までの働いていないブランクの期間があり、第二新卒と比べると実務経験やスキルがないため、どうしても既卒を採用した際のメリットを企業が感じにくく、求人の数でも不利になってしまうのです。
3つめに挙げられるのは、「既卒は中途採用のように、スキルや実務経験が求められる」という理由です。既卒は「就職したことがない」という点では新卒と変わらないのですが、就職活動での扱いは中途採用に近いものとなります。そのため、卒業後すぐに社会人としての経験や知識をイチからその会社で学ぶことのできる新卒と違い、何かしらの秀でたところがなければ、内定は難しくなってしまうのです。その何かしらの秀でたところというのが、その企業が求めているスキルや実務経験であり、いわゆる即戦力です。しかし、第二新卒とは異なり、既卒は実務経験に乏しいため、自分自身の能力や資格などでアピールする必要が出てきます。
最後に挙げられるのは、既卒自身のメンタル的な面での理由です。既卒である自分自身に、あまりにも負い目を感じてしまうと、企業の対応が既卒の自分に対して厳しく感じるなど、周りへの対応とは違って見えることがあります。それが自信の喪失につながって、面接などでの受け答えに表れてしまうのです。企業側からしてみると、そのような既卒の受け答えの仕方が働く意欲に不安を感じる結果となり、内定を出しづらいという悪循環に陥ってしまいます。
不利な状況を覆すための条件と準備
就職活動において不利になってしまいがちな既卒ですが、絶対に内定をもらえないわけではありません。先ほど内定率は新卒の約半分だと述べましたが、つまり約40%の半数近くの既卒は内定をもらえているわけです。本人のやる気や就職活動の仕方次第で、不利な状況もはねのけて、内定を勝ち取れます。
それは、近年の企業の採用についての考え方も影響していると言えるでしょう。少子高齢化の影響を受け、若い力を求め、必要としている企業は少なくありません。そのため、スキルや実務経験にかかわらず、年齢を重要視している企業が多くあります。また、2010年には厚生労働省によって「青少年雇用機会確保指針」が改正され、「卒業して3年以内の既卒は新卒として扱う」「既卒を採用した企業には、3年以内既卒者(新卒扱い)採用拡大奨励金や既卒者育成支援奨励金などの奨励金が出る」という方針が打ち出されたのも後押しとなり、既卒の就職活動がしやすくなりました。
そうとは言っても、新卒に比べると厳しいという状況は変わりませんが、それでも既卒で就職活動を行うことにはメリットが2つあります。
1つは、就職活動をして内定をもらってから実際に働くまで、新卒は半年から1年近くタイムラグが発生してしまうのに対し、既卒はすぐに働けるという点です。新卒は4月入社が一般的ですが、それ以外の時期に人員を補充したいと企業が考えた時などには、入社時期に融通が利く点が既卒のアピールポイントとなります。このようなタイミングを逃さないためにも、時間に余裕があり、フットワークが軽いという点を生かして、できるだけ多くの企業の求人に応募しておくことが大切だと言えます。
もう1つは、在学中に就職活動をしなければならない新卒とは違い、時間を自由に使える点を大いに活用することで、既卒としての不利な点を少しでも挽回するためのアピールポイントを増やせる点です。例えば、目指す仕事内容につながるようなアルバイトの実務経験を積んでおく、仕事に役立つ資格取得のために勉強するなど、自分にとってプラスになる行動をすることによって、新卒よりも優位に立てるでしょう。
既卒での就職活動には、もちろんメリットだけではなく、デメリットもあります。「1, 既卒はなぜ就活で不利なのか?」でも触れましたが、既卒に関してはいいイメージを持っていない企業も多く、政府の既卒に対する方針が打ち出された今でも、やはり新卒が有利な点は簡単には変わりません。たとえ既卒になった理由が、将来を見据えた計画的なものであったとしても、それをうまく説明できない限り、受け入れられにくく、敬遠されてしまいがちなのが現状です。
このようなデメリットを打ち消して、メリットを生かして内定を勝ち取り、就職活動を成功させるためには、失敗する主な理由を知って、その対策を考えることが必要条件となってきます。
失敗する主な理由として、「企業への応募そのものが少ない」「既卒に合わせた就職活動ができていない」の2つが挙げられます。ただでさえ既卒を対象とした求人は少ないので、応募が少ないと、それだけ内定をもらえるチャンスも減ってしまいます。また、就職のために学校で学び取り組んできたことをアピールすればよい新卒と異なり、既卒はそれに加えて、ブランクの期間ができた理由や、その期間に就職のためにどのように行動してきたのかを、明確に説明できなければならないのです。
既卒に対して企業から求められていることをしっかりと理解した上で、自分のアピールポイントを主張できるような就職活動を行いましょう。
不利な状況に負けずに内定を獲得する方法
そんな状況にも負けずに、既卒で就職活動を成功させるためには、4つのポイントを押さえると効果的です。
1つめは、「自分のスキルや希望をしっかりと理解し、就職したい業界についての事前研究を怠らない」ことです。これは既卒だけに限らず、新卒の就職活動においても重要なポイントです。自分が希望する仕事は何なのか、どんな内容なのか、自分にはその仕事をこなす能力があるのか、その仕事に就くにはどの企業が最適なのか、ということが理解できていなければ、就職活動はできません。もし中途半端な知識で就職活動して内定が決まったとしても、いざ入社してみたら、希望とのギャップに離職を余儀なくされるといったことにもなりかねません。そのような事態を防ぐためにも、事前準備を怠ってはいけません。
2つめは、「就職活動に新卒以上に時間をかける」ことです。ただ時間をかければ良いというものでもありませんが、就職活動しなければ、それだけチャンスが失われてしまうのは確実です。「新卒よりも不利なのであれば、その分応募件数を増やそう」というくらいの気持ちで活動量を増やすことで、新卒の時と同じ活動量の既卒とは差をつけられるはずです。
しかし、いくら在学中ではないと言っても、アルバイトをしていたり、資格取得のために勉強していたりなど、時間が100%自由になるわけではない場合もあるでしょう。ただ単に活動量を増やして、それぞれの応募に対する書類作成や面接対策などが雑になってしまっては、かえって逆効果になってしまいます。就職活動にかける時間や応募する量を自分の手に負える範囲で調整することも、たいへん重要です。就職エージェントなどのサポートサービスを利用するのも、効率的に多くの就職活動をするための1つの方法としておすすめします。
3つめに挙げられるのは、「既卒も応募することができる求人に応募する」ことです。既卒は新卒の求人にも、中途採用の求人にも応募することができます。新卒の求人には「入社後、新卒と同様に新人研修などが受けられる」というメリットとともに、「選考では新卒が有利になりがち」というデメリットがあります。一方で、中途採用の求人には「入社する時期を選べる」というメリットがありますが、「実務経験者と比較される」などのデメリットがあります。どちらも一長一短ですが、最終的に内定を勝ち取る上で重要なことは同じであり、それは学歴や資格といった、他と比較して分かりやすく、確かな基準となるものです。
自分の希望する入社時期や入社後の対応などに合わせて、どの求人に応募するかを決めると良いでしょう。その際には、しっかりと自分のアピールポイントを主張できるように、事前準備で自分自身について理解を深めておきましょう。
最後の4つめは、「卒業してから今までのブランク期間を説明できるようにしておく」ことです。企業が既卒に対して気にする点は、「なぜ卒業後就職しなかったのか」「卒業してから今まで何をしていたのか」というところです。直接説明できる場があればよいのですが、そのためにはまず応募して、書類選考を通らなければなりません。
そこで、履歴書にどのような内容を書くのかが重要なポイントになってきます。卒業後に経験してきたアルバイトについて、また資格取得のための勉強など、夢に向けて行っている活動があれば、併せて書いておきましょう。これによって、卒業後も就職に向けて有意義に過ごしてきたのだというアピールになります。
まとめ
既卒の就職活動は新卒に比べて不利な点もあるとはいえ、対策を練って計画的に行えば、就職できないわけではありません。要は、自分自身の就職活動へのやる気が一番大切であり、「既卒だから」とネガティブになって二の足を踏んでしまっては、内定を勝ち取るのは難しくなってしまいます。
まず、「どのような仕事に向いているのか」「その仕事に就きたいと本気で思っているのか」ということをしっかりと自己分析し、その上で「その仕事で働けるのはどのような企業か」「既卒向けの求人があるのか」を調べましょう。チャンスを増やすためにも、できるだけ多くの求人に応募してください。
もし、就きたい仕事に対して、自分の持っているスキルで足りないものがあれば、資格や技能を修得するための行動をできるだけ早めに始めることをおすすめします。就職までに修得できていればベストですが、もし間に合わなかったとしても、履歴書に今学んでいるところだと書くことが、企業へのアピールの1つになるからです。
そのようにして、企業が既卒に抱きがちなブランク期間への不信感を打ち消すほどの仕事への前向きな姿勢や意欲を示せれば、必ず評価を得られるでしょう。ブランク期間ができた理由や、その間にどのような活動をしていたのかを、きちんと説明できるようにしておきましょう。新卒とはまた異なる既卒に特化した就職活動をすることが、内定を勝ち取るためのカギとなります。
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