[最終更新日]2023年9月12日 [記事公開日]2022年9月1日
有利なはずの体育会学生なのに受からない!?その理由とは
経済不安が広がる世界情勢に加え、長引く新型コロナウイルスの影響もあり、就職活動がますます厳しい時代になってきています。就職活動に比較的強いと言われている体育会学生ですが、それは現在や今後も変わらないのでしょうか?
残念ながら、世の中の変化とともに、就職活動事情も年々変化してきていると言わざるを得ません。よほど強い縁故がない限り、体育学生だからという理由だけでは採用試験に受からないのが現状です。
そもそも体育学生会学生は本当に有利なのか?
体育会学生が就職活動に強いと考えられている理由は、他の学生に比べ、社会人としての資質を多く持ち合わせているという点が挙げられます。業界によって求められる能力は異なる部分はありますが、ビジネスマナーやコミュニケーション能力など、業種や業界に関わらず、最低限求められる資質として共通する部分があります。体育会学生には大きな3つの強みがあると考えられています。
1つ目の強みは先輩とのコネがある点です。実業団でも競技を続けるような学生であれば、就職活動を行わずとも企業側からスカウトが来る場合もありますが、全ての体育会学生がそうではありません。しかし、大学の体育部には長い歴史を持つ部も多く、先輩とのつながり、そしてOB、OGとのつながりが強いところが多くあります。もちろん、先輩から紹介してもらって、すぐに内定をもらえるほど簡単に就職活動がうまくいくケースは稀かもしれませんが、OB訪問を行ったり、企業研究のために話を聞かせてもらったりという機会は、他の学生よりは比較的持ちやすいと言えます。
2つ目は体育会学生は勝負の世界に身を置き、自分の心身を日々鍛錬しているため、ストレス耐性が強いと考えられます。日々の苦しい練習に耐え、それでも結果が出ずに落ち込むこともあります。そんな時でも、そこで気持ちが折れてしまうことなく、次の試合で勝つためにはどうすればいいかを考えながら過ごしてきたことでしょう。そうした努力の積み重ね、挫折からの立ち直り、次の試合に向けての気持ちの切り替えなど、相対的にストレス耐性の強い学生が多いと考えられています。
3つ目は協調性がある点です。団体競技の体育会学生はチームワークを大切にするため、協調性があると考えられています。個人競技を行っている学生でも、部内でのつながりがあり、マネージャーや顧問の先生など、周りの人に支えられている感謝の気持ちを持っていることでしょう。このように、人への感謝の気持ちを忘れず、協調性のある資質は、多くの企業が求める人材像であると言えます。
逆に体育会学生にも弱みがあります。新設の部活、先輩との結びつきが弱い部活の場合、コネが少ないという点です。女子大学などに特に多く見られますが、新しく新設されたばかりの部で、先輩は在学中の人しかいない、ほとんど練習や試合なども行われないなどといった活動状況であれば、就職活動にあまり有利とは言えません。OG訪問をする先輩もおらず、就職活動の相談ができる人脈がないような場合、逆に弱みとなってしまいます。
また、狭い人間関係だけに閉じこもる場合もあります。特殊な部活動や、非常に狭いコミュニティに所属している体育会学生も少なくありません。大学生活中にどっぷりとその価値観に染まってしまうような状況に身を置いていると、その中ではうまくコミュニケーションが取れても、その価値観から離れた場所に身を置いた時に、コミュニケーションを取りにくくなる場合があります。就職活動の場面では、全く価値観の違う人に対して、自分のことを言語化して伝える必要があります。狭い人間関係だけを強く構築している場合には、それが難しくなることが多々あります。井の中の蛙の状態では、面接で自己PRを行うことができず、たくさんの採用試験を受けても受からないといった事態にもなりかねません。特定の場面でしか生かされないコミュニケーション能力は、特殊な体育会学生の大きな弱みと言えるでしょう。
さらに体育会学生は練習や試合、そしてミーティングなど、学生時代は忙しく、就職活動のスタートが他の学生よりも遅くなる場合がほとんどとなり十分な準備ができない点も挙げられます。スタートが遅くなった分、採用試験を受ける企業の数が限定されたり、すでに募集を締め切っていたりといったことも起こり得ます。その場合は本選考の一発勝負になることもあり、その点も大きな弱みとなります。
体育会学生なのに受からない2つの原因
就職活動市場において、体育会系人気の陰りが出てきているのでしょうか?もちろん、現在でも体育会学生を積極的に採用したい企業も多くありますが、そうでもない理由があるのもまた事実です。世の中の変化に伴い、就職活動の方法が多様化してきており、時間がないからという理由だけで準備を怠ってしまうような体育会学生は、採用試験に受からないという結果になってしまうこともあります。
1つ目の理由は就活生の体験できる機会が広がっている点です。将来どんな仕事をやりたいのか、どんな職業に就きたいかを真剣に考え、活動している学生が増えてきています。学生団体に参加したり、長期インターンとして就業体験をしたり、学生時代に起業している人も昨今では珍しいことではなくなってきており、部活動だけの経験ではなく、就業やビジネスを実践し、体験している学生が増えてきているのです。
このようなビジネス体験の多様化から、体育会学生で有利だと言われている資質となるリーダーシップや素直さなどといった能力を、体育会学生以外でも持ち合わせていることが増えてきています。体育会学生は就活に有利とは言われていますが、企業が求める資質や能力の面でいうと、他の就活生よりも必ずしも有利だとは言えず、採用試験に受からないこともあるのが現実です。
2つ目にビジネス環境の変化が挙げられます。企業や世の中のIT化、AI化が進むにつれ、ビジネスの世界では問題解決能力が求められています。こういった問題解決能力で力を発揮するのはやはり理系の学生であり、企業によっては体育会学生よりも、理系の学生を採用したいと望むケースが年々増えてきています。
理系の学生は、研究の場面において仮説を立て、その仮説の答えを導き出すために日々実験を行っています。PDCA、いわゆるPlan(計画)・Do (実践)Check (評価)・Aciton(改善)を繰り返し行い、答えを導き出すことを日々の研究を通じて行っているのです。このPDCAのスキルこそ、ビジネスの現場において非常に重宝される部分となる問題解決能力のスキルであり、人事採用において内定に通じる有利な資質だと言えるのです。こういった就活市場の変化から、必ずしも体育会学生だけが就活に有利だとは言えなくなってきているのが現状です。
“受かる体育学生会学生”になるための対策法
企業が求める人材とはどういった資質を持っているのか、自分の資質をビジネスの現場でどのように活かせるのか、といったことをきちんと考えることが大切です。また、体育会学生にとって、限られた期間内でどれほど効果的な就職活動ができるかが肝となってきます。
体育会学生が希望する職種で内定をもらうには、自分にぴったりの企業リストを作成していくことが大切です。企業リストを作るために必要なステップは、全部で3つあります。
1つ目のステップでは業界を2つ程度に絞りましょう。興味がある業界であれば3つ以上にしても良いでしょうが、業界が増えれば増えるほど企業研究が大変になり、それだけ時間が取られることとなります。志望動機を書くのもそれぞれの業界に対して必要になってきますので、難しくなってきます。
大学の学部などで研究してきたものがあれば、その研究対象を扱う会社を志望し、専門性と強みを活かせる可能性のある業界を選べば良いでしょう。専門分野が絞れなくても、営業力に自信があるのであれば、ハウスメーカーなど志望動機が書けそうな業界に絞ることが大切です。このように業界を絞って就活することで、内定確率を上げていくことができます。
逆に失敗しやすい就活は、世間体の良さそうな大手有名企業だけをピックアップして、業界を6つも7つも受験するようなやり方です。準備にかける時間もあまり取れないのに、受ける企業が倍率が高いところばかりでは、各業界の業界研究も自信を持って言葉にできるほどはできないでしょう。こんな決め方では、まず受からないと肝に銘じておくことが大切です。
2つ目のステップでは、絞った2業界の中からそれぞれ50社程度リストアップします。就職を希望する業界を2つ程度に絞ったら、その業界の大手から中堅どころの企業まで、50社ほどリストアップしていきましょう。就職四季報を活用すると、作業が比較的簡単にできるでしょう。就職四季報には青色と緑色があり、青色版が大手企業、緑色版が中堅と分かれています。年収いくら以上など条件を決めておき、四季報の中から大手、準大手、中堅とピックアップしていく作業を行うことで、目指す業界のイメージが掴みやすくなってくるでしょう。
3つ目のステップではリストアップした企業の数を削っていきます。業界ごとに企業をリストアップできたら、働き方が合わないと感じる企業を削っていく作業へと移ります。就職四季報には様々な情報が掲載されており、平均残業時間なども確認することができます。就職後も運動を続けたい、自分の時間も大切にしたいと考えている体育会学生にとっては、残業時間があまりにも多い企業に就職してしまうと、苦労して就職した企業であるにもかかわらず、長く続かないということにもなりかねません.。残業時間が45時間を超えているような企業であればリストから削り、残業時間20時間くらいの会社を選ぶなど、自分自身で線引きを行いながら作業を進めましょう。
また、すぐに社員が辞めてしまうような企業は、社員が働きにくいと感じている割合が多いという判断材料になります。1つの企業に長く勤めたいと希望するのであれば、そのような会社もリストから削除しておくのが良いでしょう。企業全体の離職率は、平均して33%程度だと言われています。リストアップした企業の中で、離職率が40%を上回るようなところがあれば、リストから削っておくと安心です。
この3つのステップを経て、最終的に20社ぐらいまでにリストを絞り込めたら、しっかりと企業研究を行い、採用試験に向かって勉強していくのみです。
まとめ
就職活動はこれまで経験してきた高校や大学の入学試験とは異なり、自分はどんな人間なのかを徹底的に分析し、誰が聞いても理解できるように言語化することが大切です。自分は平均的な学生で、他の学生と比べて特に秀でている部分はあまりない、と落ち込むこともあるかもしれません。そんな時にこそ、体育会学生は今までの競技人生を振り返ってみてください。頑張ってきたこと、大切にしてきたことを自己PRとして伝えることができるはずです。どんなことに気をつけて、どんなふうに努力してきたのか、しっかりとこれまでの競技人生を振り返り、考えてみましょう。
採用試験では、初めて会う面接官にほんの短い時間で自分のことを伝え、その企業に入社したいという熱意を感じてもらう必要があります。採用試験に行く前には自分のことをどう話すかばかりを考えてしまいがちですが、案外見落としがちなのが、変則的な質問が来た時の反応です。いきなり知らないことを聞かれて、動揺したり、黙り込んだりしてしまわないように、事前に企業研究をしっかりと行っておきましょう。それでも知らないことを聞かれた場合は、「勉強不足で今は答えられませんが、今後は積極的に学んで行きます」という前向きな姿勢を示しましょう。
大切なのは、コミュニケーション能力を高めておくことです。身だしなみを整え、爽やかな笑顔で採用試験に臨んでください。
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