[最終更新日]2023年9月12日 [記事公開日]2022年8月2日
【採用担当者向け】フリーター採用のコツと見極めポイントを解説
少子化による人手不足が深刻さを増す中で、これまでのような「新卒採用=未経験者採用」「中途採用=経験者採用」といった2つの採用パターンだけでなく、既に学校を卒業したフリーターからの未経験者採用を検討する企業も増えています。しかし新たな試みであるがゆえに、その採用方法や人材の見極めについては不安をぬぐえない人事の方もいるはずです
そこでこのコラムでは、フリーター採用の仕組みと流れ、フリーター採用のコツと見極めポイント、優秀なフリーターを採用する方法などについて解説します。フリーター採用は、人材不足を補う手段として有効な施策です。これを読んでフリーター採用についての理解を深め、今後の採用活動に役立ててください。
フリーター採用の仕組みと流れ
フリーター採用とは読んで字のごとく、人材の中でも「フリーター」に焦点を当てて募集することです。一般的にアルバイト・パートの募集対象は「学生層」「主婦層」「フリーター層」の3点に分かれます。この中でも「フリーター層」に焦点を絞るということは、フリーターだからこそのメリットや特性の理解が必要になってきます。
フリーターの中でもターゲットを絞る
フリーター層は、更に2分すると「A:長期契約や正社員登用を求めている層」と「B:他の活動の兼ね合いで短期契約の繰り返しを求めている層」とで分けられます。Aはいわゆる目的が無いまま学校を卒業し、当座の生活費を稼ぐ目的でアルバイト・パート募集に応募する層であり、Bは音楽活動、芸能関係など明確な夢があり、その活動に集中する期間がある為に短期的な契約を求めている層です。これら2つの層、どちらを自社で求めているかによって、フリーター採用の流れは人材募集の応募文面構築の時点で二分していきます。
採用活動の一連の流れをビジネス用語で「採用フロー」と言いますが、フリーター採用に限らず、採用フローにおいてはまず自社や求人広告の場に「求人募集の文面」を作成・掲載する必要があります。その後、募集への応募を確認、書類選考、面接を経て内定、勤務となるのがフリーター採用の流れです。専門的な業務があり、その際に即戦力が必要な場合には採用テストが設けられることもありますが、フリーター採用=未経験者が応募可能な募集であるのが一般的となっています。
採用フローの最初、求人募集の文面を考えるには、「どのような人材を」「どういった期間で」、「何人採用し」「ゆくゆくは正社員にする・しない」、採用者は最低でもこの4点を事前に採用計画しておくことが大事です。これらをしっかりと絞り込むことで、自社の目的に効果的な人材を集めやすくなるというだけでなく、応募側にとっても自身の目的に見合う募集の判断がつけやすくなります。結果として、必要な時期までに必要な人材が集まりやすくなり、企業にとっても応募者にとっても理想的な結果に繋がるのです。
長期間の契約で、優秀な人材がいれば正社員登用も見込みたい場合
企業側が「長期間の契約で、優秀な人材がいれば正社員登用も見込みたい」場合、狙いを定めるべきフリーター層はAタイプです。特に働きたい業種が見つけられなかったからこそ、学校卒業までに内定を見つけられなかったフリーターは少なくありません。つまり「きっかけさえあれば社員として登用できるチャンスがある」のがこの層です。自分がやりたい事を見つけられなかった、内定が決まらなかった人材と考えてしまうと、少しでも優秀な人材が欲しい採用者としては悪印象を持ってしまうかもしれません。しかし、実際にその人材が印象通りの人物かどうかは、実際に話し、働き始めてみないと判断はつきません。「アルバイトを経て実地経験を積んだ人を正社員に欲しい」と考えているならば、こうした「正社員としての就職を見込める」フリーター人材こそ狙い目です。
しかしただ「正社員登用制度あり」と書いただけでは、比較対象に似たような募集があり、そちらの方が給料や条件が良いと判断されてしまえば人材は応募すらされません。そこでキーになるのが、「このアルバイトで働き始めることで出来るようになること」というスキル面のメリットです。例えば、飲食業界に関連する国家資格である「調理師免許」は、取得方法の1つに「2年以上の実務経験」がありますが、これは食品衛生法に基づく営業許可を受けた施設での継続勤務が条件になります。既定の日時での勤務を行えば、2年後に調理師試験を受ける資格が得られるのです。
もちろん、受かるかどうかはその間に継続する試験勉強次第になりますが、自社の業務にそうした「国家資格、スキルアップに繋がる勉強が出来る」要素があれば、フリーターにとって魅力になります。フリーターのアルバイト採用からの正社員登用を本気で考えている企業では、こうした「フリーターにとって明確な、そこで働く給与以外のメリット」を疎かにしません。その企業の正社員になりたい環境・評判であるか、実際に正社員として働けるだけの知識が得られるのか、応募の時点で判断が始まっています。不自然なほど虚飾しても、実態が伴わなければ離職→再募集の繰り返しになってしまうので、あくまで誠実な、実現可能である条件を提示しましょう。元々就職を目指している人材であればそうした企業側の本気に応え、定着率・生産性の高い人材となってくれる可能性が十分にあります。
具体的に、「本気で正社員登用をしようとしている」という姿勢をどう表現すればいいかを知るには、自社で過去にフリーターから正社員になった人や新入社員に「この会社で得た知識・スキル」の体験談を聞いてみたり、実際に出ている他社の求人広告から案を得てみましょう。
短期間の契約で、人件費を抑えつつ時間の融通が利く人材が欲しい場合
企業側が「短期間の契約で、人件費を抑えつつ時間の融通が利く人材が欲しい」場合、狙いを定めるべきフリーター層はBタイプです。繁忙期に限定的に人手が欲しい、閑散期の人件費削減をしやすい流動的な人材が欲しい場合、そうした時期の波に対応しやすいのが「集中的に働く/自身の夢や将来の為の活動をする」というメリハリがある生活をしているBタイプのフリーターです。アルバイト・パート募集の候補となる学生や主婦と比較した場合、フリーターのメリットは、夜間・早朝・日中といった学生や主婦がそれぞれ学業・家事で忙しい時間帯でも概ね融通が利く人材であり、シフト調整がしやすい事も挙げられます。
一見、長期契約でも募集したい人材ではあるものの、このBタイプは「自身の目指している活動が実ったら、或いは優先させる事態になれば、その時点でアルバイト・パート、勤務をやめてしまう可能性が高い」というデメリットもあります。Bタイプにとってはフリーター採用の応募はあくまで生活費や活動費を得る手段であり、よほどその就職した先の環境が自身に合致していなければそのままそこで働き続ける事は稀です。中には夢を諦めて、今働いている場所での正社員登用を目的に働き始める人もいますが、どうあれ定着に関しては不確実性の高い人材です。
Bタイプの人材を応募するなら、彼らのもつ「時間の融通が利く」という点がそのままメリットとなるような文面・条件を考えましょう。例えば「シフトの穴埋めをしてくれる人には時給アップします」「短期間で特にシフトを入れた人にはボーナス制度があります」など、短期間に稼げるだけ稼ぎたい人にとっては魅力的な条件です。食堂がある施設であれば「まかないあります」も、食費を浮かせたいフリーターにとっては好条件です。
フリーター採用のコツと見極めポイント
フリーター採用において、採用フローの中でその人材が「ちゃんと働いてくれる人だろうか」と見極めるポイントが出てくるのは「書類選考」と「面接」に2点です。もちろん一概に、面接を経た上でもその人材がきちんと働いてくれるかどうかは、本人の状況や職場環境によっても大きく左右されます。その上で「まっとうな環境ならば優秀な人材として働いてくれる可能性が高いかどうか」を見極めるコツは、その人の前歴・活動歴にあります。
この記事を読んでいる人の中で、自身が就職活動をするにあたり、「人事ウケの良い部活動、アルバイト」の存在を聞いたことがある人はいるでしょうか。運動部・体育会系ならば集団行動や先輩・後輩の厳しい上下関係があるので目上を敬う態度が身についている、〇〇でアルバイトしていたならば研修制度がしっかりしているから接客のみならず電話応対もしっかりできる、そうした傾向が「人事ウケがいい」という話に繋がります。これはフリーター採用する上でも無視できない視点です。特に未経験者募集では、自社側が最低限、そこで勤務する上での研修を行うものですが、その研修がマニュアル化されていない場合、従業員の質はピンキリにばらけます。しかし既に他社で研修を終えていたり、しっかりと「チームとして動く」「チームの和を重んじる」「目上の人間への態度を心得ている」人材であれば、それだけ質の高い即戦力としての活躍が見込めるのです。
どういった部活動、アルバイトがそうしたポイントから人事ウケが良いかは、「人事ウケ 部活動」「人事ウケ」 アルバイト」で一端を知ることができますが、地域的にそれがどんな学校でも適応されるとは限りません。特に部活動については、地元の学校での評価がどうであるのか情報収集をするのがコツです。
書類選考においては「それまでのフリーターとしてのアルバイト歴に、研修で評判の良いアルバイト先があるか否か」「趣味やそれまでの部活動歴に体育会系の要素があるか」等をチェックし、面接においてはその点に関する質問でより見極めていきましょう。本人にとってはそれまでの経験から出来て当然の事で、特筆していないケースもありますが、最初から電話応対、客人への振る舞い方を心得ている人材は実はとても貴重です。
優秀なフリーターを採用する方法
優秀なフリーターを採用するには求人広告での広告文に、「Aタイプ」「Bタイプ」それぞれにとって魅力的な文面を載せるべきだ、というのは先述した通りですが、そうした文面は「何処」に掲載するべきでしょうか。
これはフリーター側のロールプレイをしてみると一目瞭然ですが、「フリーター アルバイト」「フリーター 求人」で検索し、ヒットする採用求人サイトを利用してみましょう。大手求人サイトといえば「タウンワーク」「バイトル」が昔から有名なアルバイト求人掲載サイトですが、近年ではスマホアプリを用いた求人探しも行われています。「マイナビバイト」「LINEバイト」ではそうした10代~20代の若年層が多く、正社員登用を見込む場合も、短期集中でのフリーター人材を見込む場合にも目的に合致しています。
採用求人サイトを採用者側として利用するにはそのサイトごとに掲載料金がかかりますが、その形態は業界の中で統一されていません。採用業種や採用エリアによって変化するサイトもあれば、年間での料金プラン、回数での料金プランを組んでいるサイトもあります。中には「採用が決定するまでは費用がかからない」というプランを用意している採用求人サイトもあります。
冒頭でも触れましたが、求人広告で人材を得るには「どのような人材を」「どういった期間で」、「何人採用し」「ゆくゆくは正社員にする・しない」、求人広告にかける予算と見込み期間を含めた採用計画が不可欠です。そしてその計画と、各社の打ち出す掲載プランを料金で比較していけば、自ずと候補は絞り込めていきます。
また、応募の時点では企業は「選ばれる側」であり、一度打ち出してしまった広告はそうそう止められません。ただプランの良さやコスト面だけで比較するだけではなく、自社と似通った、または自社よりも良い条件で応募を出している企業が無いか、直前に必ず確認しておきましょう。特に同業界での繁忙期は特に似たような応募が集中してしまいがちです。一覧された時に「どう目立たせるか」「どこの文章が一瞥した時に印象に残るか」、これも掲載サイトごとに傾向が異なっているので、判断する上ではかならずチェックしておきましょう。
まとめ
一昔前まで、フリーターは「便利で安価な人材」でしたが、企業的にも人材不足が騒がれている昨今では、フリーターも「将来的に育てた方が良い人材である」という観点が生まれ始めています。「確実に優秀な人材を育てたい」という企業にとっては、フリーター採用はその試金石としての役割もこなし得ます。一時的なフリーター採用だからといっておざなりにせず、フリーターという人材が自社にとって「定期的に出入りしてほしい人材であるか」「長期的に定着して欲しい人材であるか」、その見極めをする視点や判断材料を意識していくことも大切です。
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