[最終更新日]2023年9月13日  [記事公開日]2022年7月21日

母集団形成を強化したい!具体的なやり方から成功法教えます

採用活動を成功させるためには、母集団の形成が非常に重要になります。知名度の低さなどからそもそも応募者が集まらないのも問題ですが、自社の求める人物像とかけ離れた人間ばかり大勢応募してきても採用活動の手間が増えるだけです。企業の採用担当者には、母集団形成を強化し「もっと応募者を集めたい」「もっと効率化を図りたい」と考える人が多いのではないでしょうか。

このコラムでは、そもそも母集団形成とは何か、母集団形成を強化するうえで意識すべきこと、母集団形成を強化する方法などについて解説します。今後の採用活動の参考にしていただければ幸いです。

母集団形成とは

母集団形成とは「企業に関心を持ってくれる人材を集めること」を言います。おもに就活をしている新卒の学生と就業未経験の既卒を対象にしています。母集団とはもともと統計学で使われる用語で、ある調査を行う際に集めた調査対象のことを言います。つまりビジネスの分野における母集団形成とは「いかに自社で働きたいと思ってくれる学生を確保するか」という意味なのです。

この母集団形成が注目されるようになった背景にはすでに日本のビジネス市場全体の流れとなっている慢性的な人手不足が挙げられます。とりわけ就活生の確保は少子化の影響もあって多くの企業が確保に苦労させられています。この人手不足の問題を解消するためには、まず会社に関心を持って、応募してくれる人を増やす必要があるわけです。

また、こうした人手不足の問題には「量と質」のバランスもポイントとなってきます。例えば新卒を5人採用したい場合、5人応募してくればよいわけではありません。できるだけ多くの応募者を集め、その中から会社が求める優秀な人材、または会社に馴染めそうな人材を選び出して採用するのが理想的です。そうなると母集団をできるだけ大きく形成する必要があります。しかし母集団が大きく形成できても、求める人物像とかけ離れた応募者ばかりでは意味がないばかりか、採用活動にかかる手間とコストが大きくなるのが問題です。そのため母集団の形成には、量と質のバランスが重要になってきます。

厳しい経済状況が続いている現代の日本ではどうしても就活生は安定した就業環境が期待できる大企業や将来性が見込めるベンチャー企業など、一部の企業や業種に関心が集まりがちです。そのため業種・職種によってはなかなか人材を集めるのが難しく、募集をかける段階で母集団形成をうまく行っていくことが求められています。

そしてもうひとつ、母集団形成が注目されている背景にはインターネットをはじめとした企業アピールの選択肢の多様化も挙げられます。知名度やブランドイメージに頼るだけでなく、さまざまなアプローチで会社をアピールすることでうまく母集団形成を行っていくことが可能になっています。ライフワークバランスを重視して就活を行う学生も増えているなか、知名度やブランドイメージはそれほどなくても、「よい環境で働ける」「やりがいのある仕事に就ける」といったイメージをうまくアピールしていくことができれば、母集団形成を効果的に行っていくことも十分に可能なのです。

母集団形成を強化するうえで意識すべきこと

母集団形成を強化していくうえではまず具体的にどんなメリットがあるのかを確認しておくことが大事です。何らかの対策を行う以上、時間やコストが新たに発生するケースが出てきますから、費用対効果も意識した上での環境づくりも欠かません。つまり母集団形成を行うコストに対してそれを上回るメリットを得られるかどうかが問われるわけです。

ここからは、母集団形成を強化するメリットと、母集団形成を強化するうえで注意すべきことについて説明していきます。

母集団形成を強化するメリット

母集団形成を強化する具体的なメリットとしては、計画的な採用計画を行いやすくなる点が挙げられます。就活市場は社会の状況によってさまざまな影響を受けるものです。景気が悪ければ学生たちの安定志向が高まり、ベンチャー企業の活躍が目立てばその方面の企業の人気が高まるなど、漠然と人材の募集と採用を行っているとこうした「世の中の波」の影響を受けてしまう恐れがあります。本来なら今年5人採用するつもりだったのが3人しか応募がなかった。逆に3人採用するつもりだったのにたくさん優秀な人材が応募してきて絞り込むのが大変だった。といった問題が起こりうるわけです。

母集団形成を強化し効果的に行っているとこうした問題を避けることができます。毎年コンスタントに応募を集めることができますから、「今年は3人採用、来年は事業を拡大するから7人、再来年はまた3人にする」など、長期的にプランに基づいた採用計画を実行していくことができます。逆に言えば、母集団形成を強化する際には自社の事業や運営状況を踏まえた上で長期的な採用計画もしっかり練った上で行っていくことが重要です。行き当たりばったりな採用計画ではせっかくの母集団形成の強化のメリットが得られにくくなります。

また、採用にかかる予算をより計画的かつ適切に見積もり、実行していくことができます。母集団形成が十分にできていないとひととおり採用計画を実行しても思ったように募集が集まらず、追加で何か対策をしなければならないといったケースも出てきます。逆に、想定以上に応募が集まったため、それほど時間と労力をかけて募集をかける必要はなかった、といったケースも出てくるかもしれません。

あらかじめ母集団形成をしっかり行い、「これぐらいの採用計画でこれぐらいの応募が期待できる」と事前に想定できるようになれば希望する募集数に合った採用計画を練りやすくなるわけです。これは適切な予算を設定するうえでだけでなく無駄な労力を削減するうえでも重要なポイントとなってきます。

母集団形成を強化するうえで注意すべきこと

母集団形成を強化する上での最大のポイントは、先程も少し触れた「量と質」のバランスです。母集団形成をして応募者の量を増やすことで質も高めることができるわけですが、一方で量ばかり増えて質が十分に伴わないケースも出てきます。例えば話題性ばかりを重視したアピールをすると本当に自社の事業や業務内容を理解しないままイメージだけで応募する学生が増えてしまう恐れが出てきます。

母集団形成では自社で活躍してくれそうな適性を持った人材を確保することも大きな柱となるはずです。つまりターゲティングが非常に重要になります。「うちは知名度にやや難があるからネームバリューを強化するアプローチをしよう」など、情報の拡散に頼ったアプローチを取っているとターゲティングがおろそかになり、もし母集団の形成に成功しても「多すぎる応募者に少なすぎる適性な人材」の状況に陥ってしまいかねません。

これは人材採用にかかるコストや労力の負担となってはねかってきます。例えば自社の知名度を高めるマーケティング戦略が成功して5人採用したいところに200人応募してきた場合、最終的に195人を落とすためにさまざまな選考を行わなければなりません。その200人がみな自社で活躍してくれそうな優秀な人材なら手間をかける価値が十分にありますが、単に知名度や給与面の魅力など表面的な条件に釣られて応募してきた人材が多くを占めている場合、ふるい落とすのに多大な時間と労力を費やさなければならなくなります。

この母集団形成における量と質のバランスにおいては職種や市場の動向、またはアプローチをかける方法などを考慮に入れたうえで慎重に行う必要があります。ある求人サイトに求人を掲載した場合、おもにどんな層の目に届くのかをチェックする、どんな会社のアピールをすると自分たちがほしい人材の心に響くのかを確認する。こうした慎重な計画に基づいた実践が求められるわけです。

そのためにもどんなチャンネルを利用して自社のアピールと募集を行うのか、どんなタイプの人材をターゲットにするのかなど母集団形成のうえで鍵になる部分をしっきりと吟味したうえで準備を整えておくことが求められます。

母集団形成の強化を成功させる方法

母集団形成で狙うターゲットを明確にする

母集団形成の強化を成功させる方法としてはまず、新卒と既卒のどちらを採用したいのかを決めたうえでそれぞれに合った手法を採ることが第一です。

例えば学生を新卒で採用したい場合には学校のスケジュールに合わせて説明会や面接の日時を決める必要があります。あくまできちんと学業を修めて卒業した学生を採用することになるわけですから、学業の邪魔になるようなスケジュールは避けたいところです。この点を無視して計画を立てると説明会や見学会など会社を知ってもらう機会に学生が集まらず、結果的に応募も集まらなくなるという悪循環に見舞われてしまう恐れがあります。

既卒の場合はその点スケジュールはそれほど大きな問題となりませんが、面接や説明会の方法や環境への配慮が不可欠です。新卒の場合は全員未経験からのスタートなので全員に同じ環境で面接や説明会を行ってもとくに問題はありません。しかし既卒の場合は、卒業後の時間をどのように過ごしてきたかで、経験やスキルが大きく異なります。応募者一人一人の経験やスキルを考慮したうえで採用の有無や、どの部署に配置するかといったことを決める必要があるわけです。あらかじめそうした環境を用意しておくかどうかで応募する側の評価も変わってきます。「きちんと過去の実績を評価してくれそうな会社だな」と思わせることができれば母集団形成を大幅に強化することができるでしょう。

母集団形成の「質」を強化するアプローチ

母集団形成の「質」を強化するには、どのアプローチを採用するのか、そのアプローチではどんな対策が必要になるのかをしっかりと吟味することが大切です。例えば学生を採用したい場合には大学内で行われるセミナーや大学・研究室を訪問する方法もあります。いわばその大学の学生を囲い込むのような手法です。特定の大学で母集団形成を強化するのに役立ちます。また文系に比べて忙しく就活が遅れがちや理系の人材を引き込むのにも適した方法です。

大学・研究室への訪問はその大学や教授とのパイプを作ることで優秀な人材を確保するのに役立ちます。質の充実を最優先に考えた母集団形成の手段となるでしょう。この方法は単に挨拶まわりをするといった手法ではなく、産学が連携した活動に参加するなどそれなりのコストもかかります。こうした活動そのものが企業にメリットをもたらすような環境で行っていく必要があるでしょう。開発方面の専門的な分野、優れた人材を必要としている業種でとくに有効になる手法です。

母集団形成の「質」を強化するその他のアプローチとしては、就職エージェントを活用するという方法もあります。就職エージェントの中には、特定の業種に特化したり、強みを持っているところも多いです。自社の特色にマッチした就職エージェントに求人を掲載することで、大学などにコネクションを持たない企業も、適正のある人材に関心を持ってもらうチャンスが得られます。誰でも情報を入手できる求人サイトと、登録が必要な転職エージェントの両方をうまく活用しましょう。

母集団形成の「量」を強化するアプローチ

母集団形成の「量」を強化する上でもっとも手っ取り早い方法が、複数の企業と合同で行う合同説明会です。会社のことを知ってもらうだけでなく、直接就職・転職活動をしている人材と会って話をすることで適性を見極めやすくなるという大きなメリットがあります。たくさんの人材と会って母集団を大きくする手段として役立つ一方、この場で面接した段階で「ぜひこの人を獲得したい」と思った人材がいた場合には直接アプローチをするなど、母集団の質を高める手法としても使えます。

ただ合同説明会では他の企業も優秀な人材の獲得を目指していますし、採用のための面接とは違い人材と接する時間も限られてきます。その限られたチャンスに会社のことをアピールしたうえで人材の吟味もできるか。説明の内容はもちろん、必要な資料を用意するなど、事前の準備が非常に重要なポイントとなってくるでしょう。

そして多くの応募を得るためには、求人情報を掲載しているサイトの利用が欠かせません。ただし「ライバル」となる競合する会社、あるいは就活生から人気の高い企業の動向もチェックしてください。例えば人気の高い大企業・ベンチャー企業と同じ日に説明会や面接を設定してしまうと単に「スケジュールが合わない」という理由で応募者が減ってしまう恐れがあります。また競合するライバル社がどんな形で母集団形成の強化を行っているのかをチェックし、よいものがあればうまく取り入れる、あるいは相手の行動に先手を打つといった柔軟かつ迅速な行動も意識したいところです。

ほかにはSNSを利用して情報の拡散を目指し、合同説明会や面接の日時を簡単にチェックしてもらえるような環境も検討してみましょう。忙しい就活生の場合、つい合同説明会や募集の締め切りをうっかり忘れてしまうというケースも考えられます。SNSは直接母集団形成に役立つ集団としては少々弱いかも知れませんが、合同説明会や就職エージェントなど他の方法とうまく組み合わせることで相乗効果が期待できるでしょう。

まとめ

母集団形成の強化は今後多くの企業にとって人材確保の重要ポイントとなっていくでしょう。自社の強みを知り、ターゲティングをしっかり行った上で「求人を届けたい人のところに届く」アプローチができるかどうかが成否を分けます。そのうえでできるだけ広く情報を拡散し、応募者の量も確保する。繰り返しになりますが量と質のバランスをとれるような手法を目指してみましょう。

弊社ジールコミュニケーションズでは、企業様の採用活動を支援する人材紹介サービスを行っています。文系・理系・体育会系の新卒と既卒のほか、専門学生や第二新卒など幅広い人材紹介が可能です。また少人数制の採用イベントなども開催しています。母集団形成の量と質を強化したい採用担当者の方は、下記の「お問い合わせ」より、お気軽にご相談ください。

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