[最終更新日]2023年9月13日  [記事公開日]2022年7月21日

デュアルキャリアを目指すアスリート必見!企業の探し方教えます

デュアルキャリアを目指したいけれど、どこをどう探せばいいのか見当もつかない、そもそも就活のやり方が分からないというアスリートも多いでしょう。

このコラムでは、デュアルキャリアを受け入れる企業の特徴や探し方、デュアルキャリアを受け入れる企業の選考に受かる方法などについて解説します。想像だけでなく、実際デュアルキャリアへと大きな一歩を踏み出すための参考にしてください。

デュアルキャリアを目指すアスリート事情

デュアルキャリアを目指すアスリート事情

デュアルキャリアを目指すアスリートが増えている背景には、現代のスポーツ界・ビジネス界両方の事情が深く関わっています。

かつて日本では社会人スポーツが活発に行われていました。現在でももちろん実業団スポーツの名称で行われていますが、80年代、90年代ころに比べると規模は確実に縮小しています。かつて多くのアスリート、とくにオリンピックの種目になる競技のアスリートたちは会社に所属する形で活動を行っていました。この場合、肩書はその会社の社員の形となりますが、実際に勤務をする機会はごく限られており、半ばプロのような立場で競技最優先の環境に置かれます。

こうした社会人スポーツはよい宣伝になるほか、所属選手が活躍する、またはチームが大会に優勝するなどすることで会社全体の士気向上に役立つといったメリットが注目されていました。「自分の会社の選手がオリンピック選手」「同じ職場の同僚が国際大会で活躍している」といった意識が従業員たちによい影響を及ぼすわけです。

アスリートの立場からすれば、企業に身を置くことで生活の安定を確保したうえで、競技に専念できるメリットがありました。

しかし長引く景気の低迷などの影響で、こうした従来の社会人スポーツを維持するのが難しい状況になっています。すでに特定の競技で名門と言われた企業チームが撤退するケースも相次いでおり、企業がアスリートを「抱え込む」環境がコスト的に難しい状況になっているのです。社会人スボーツはプロスポーツのように、親会社が観客動員や選手のグッズの売上で利益を得られるわけではなく、先述した宣伝効果など、直接お金に還元されないメリットがメインのため、コストの問題で部門そのものがリストラの対象になってしまう機会が増加しているのです。

そうなるとアスリートは別の方法で生計を安定させる手段を見つける必要が出てきます。その一つの選択肢として注目を集めるようになっているのが、デュアルキャリアなのです。もうひとつの選択肢としてスポンサー契約も増えていますが、こちらはどうしてもある程度メジャーなスポーツの、しかもある程度ネームバリューがある選手でないかぎりなかなかスポンサーを見つけるのは難しいものです。そこでアスリートが競技生活と社会人としてのキャリアの両立を目指すデュアルキャリアへの関心が高まっているのです。

こうした事情に加えて、アスリートのセカンドキャリアへの不安もデュアルキャリアへの注目を高めている理由として挙げられます。雇用の不安定化が日本社会全体の不安材料となって久しいですが、それは引退後のアスリートにも影響を及ぼしています。引退後に「次の仕事」を探そうとしても思うように見つからない、その結果、経済的な苦境に立たされてしまったり、切羽詰まって「働けるならどこでもいい」とばかりに短絡的な選択をしてしまったりといった問題も出てきているのです。

その点、現役時代から社会人としてのキャリアも形成していくデュアルキャリアなら、引退後の生活も安定させた状態で競技に専念することができます。

アスリート側は将来的な視点から安定した環境を求め、企業側はひと昔前のように多くの選手やチームを丸抱えするのが難しい状況にあります。両者が置かれた状況が上手くマッチした形でデュアルキャリアのメリットが注目されるようになっているのです。

その一方でまだまだアスリートを積極的に採用する企業、または競技と仕事を両立できる環境を用意できる企業はまだまだ限られているのが実情です。アスリート側としては現役中に引退後もキャリアを重ねていけるような仕事、やりがいを持って続けられる仕事を探す必要が出てくるわけです。それがうまくできずにミスマッチが生じてしまうケースも見られます。セカンドキャリアの場合に見られる「働けるならどこでもいい」という問題が、デュアルキャリアでは「競技と両立できるならどこでもいい」という問題に置き換わっただけ、といったことにならないよう慎重な職場の選択が求められています。

デュアルキャリアを受け入れる企業の特徴と探し方

デュアルキャリアを受け入れる企業の特徴と探し方

前述のようなデュアルキャリアを巡るアスリート側、企業側両方の事情・実情があるため、職探しを行っていくためにはさまざまなアプローチの探し方を活用していくことが大事です。

デュアルキャリアを受け入れる企業の探し方

例えば東京都では委託事業として東京都スポーツ文化事業団によるアスリート・キャリアサポート事業を行っています。これはオリンピック・パラリンピックを目指すレベルのトップアスリートがデュアルキャリアを実現できるよう、就職や採用をサポートするものです。履歴書や面接対策といったサポート、セミナーの開催、先輩のアスリートとの交流会の開催といったさまざまな取組を行っています。

この東京都の取り組み以外でもアスリートのデュアルキャリアをサポートするイベントが各地で開催されていますから、積極的に参加し、情報収集や人脈の形成などに活用してみましょう。

また、JOC(日本オリンピック委員会)がアスリートの就職を支援する「アスナビ」というプロジェクトを実施しています。これまで累計200社以上、300名を超えるアスリートの就職を手がけています。無料で利用できる職業紹介サービスのようなもので、説明会や交流会なども実施しています。登録したうえで利用する形を取っており、登録のためにはアスリートとしてのある程度のレベルや競技の知名度などが問われるため、必ず利用できるわけではありませんが、トップクラスのアスリートにとっては必須ともいえる選択肢となるでしょう。

その他、デュアルキャリアを受け入れる企業を自力で探し、自分で売り込む方法もあります。とくにデュアルキャリアを支援している企業でなくても、アスリートを採用したいと考えているところは多いものです。またデュアルキャリアの概念そのものをまだ知らない企業もあります。そうしたところに自分で競技と仕事を両立できる環境で採用してもらえないか売り込むわけです。デュアルキャリアがその企業にとってどんなメリットをもたらすのか、また自分のアスリートとしての「商品価値」と企業の従業員としての「付加価値」をうまくアピールすることができればチャンスがあるかもしれません。

しかしデュアルキャリアを受け入れる企業を探すうえでもっと確実な方法は、アスリートを対象とした転職エージェントに頼ることです。アスリートを対象とした転職エージェントも登場しています。例えば人材紹介事業を幅広く扱っているマイナビグループでは、アスリートを対象とした「マイナビアスリートキャリア」というサービスを提供しています。転職エージェントとして培ってきた各業種とのパイプやノウハウをもとに、アスリートのデュアルキャリアをサポートするサービスが行われています。

そして弊社ジールコミュニケーションズでも、アスリートのデュアルキャリア実現を支援する「アスリート向け就職サポート」を提供しています。企業紹介も選考対策も、もちろん完全無料です。弊社にはアスリートの気持ちが分かる元アスリートのスタッフが多数在籍していますので、お気軽にご相談ください。

デュアルキャリアを受け入れる企業の特徴

デュアルキャリアを実現できる企業を探していく場合、そもそもデュアルキャリアに理解がある、またはアスリートの支援に積極的な企業を見極めることも大事です。

例えばスポーツ関連の事業を手がけている会社はデュアルキャリアを受け入れやすい土壌が整っていると言えます。選手にお金を払ってスポンサーになる必要もなく、逆に従業員として働いて利益をもたらしてくれるうえによい宣伝にもなるわけですから、積極的になるのも当然と言えるでしょう。

社会への貢献や慈善事業を積極的に行っている企業も、デュアルキャリアを受け入れやすい企業のタイプとして挙げられるでしょう。アスリートを採用することで「スポーツを通して社会に貢献している」というアピールをすることができるからです。環境・エネルギーに関連した業種にこうした社会貢献を重視している会社が多いので探してみるとよいでしょう。

もうひとつ、ベンチャー企業も有力な選択肢です。ベンチャー企業にとってはいかに知名度を高め、ブランドイメージを確立させていくかが大きなテーマとなっています。トップアスリートを従業員として採用する、国際大会で活躍している選手が自分の会社に所属しているという環境はまさにその目的にピッタリなため、積極的に採用している企業も見られます。また、ベンチャー企業は会社だけでなく、その業種そのものの歴史が浅いところが多く、特に経験やスキルがなくてもゼロからキャリアを重ねやすい面があります。その点もこれまで社会経験がないアスリートでも馴染みやすく、社会人としてのキャリアをスタートさせやすい環境と言えるでしょう。


転職エージェントとアスリートの就職支援事業・サービスをうまく利用して情報収集を積極的に行いつつ、自分なりの価値観で長く働ける職場を見極めていく。これがデュアルキャリアを成功させる上での基本的なポイントとなります。

デュアルキャリアを受け入れる企業に受かる方法

デュアルキャリアを受け入れる企業に受かる方法

デュアルキャリアを受け入れている企業に採用されるには、以下のようなポイントが考えられます。

デュアルキャリアを受け入れている企業に採用されるには、まず自分の競技環境と相性が良い就業環境の企業を選ぶことが大切です。例えばシフト制がメインの職場は、勤務日の都合をつけやすいためアスリートに向いていると言われます。遠征や試合が多い競技のアスリートはこうした職場のほうが採用されるチャンスが多くなります。逆に納期が迫ると休日返上で集中的に働く必要がある職場だとなかなか休める機会が作れないため、いくらアスリートの採用に積極的な企業でも難しくなってきます。自分の競技がどれだけ会社を休む機会が多くなるかも考慮しながらうまくマッチする職場を探してみましょう。

2つ目のポイントは、自分にいかに付加価値をつけることができるかです。採用する側としては純粋に従業員として採用するのではなく、やはりアスリートとしての価値も考慮したうえで採用するものです。だからこそ試合や遠征で仕事を休むことも認められるわけです。そうなると自分がアスリートとしてどれだけ価値があるかもやはり重要になってくるわけです。成績だけでなく、競技や自分自身の知名度なども踏まえた上でうまく自己アピールをしたいところです。

もうひとつのポイントは、従業員としての価値がどれだけあるか、そしてアスリートとして培ってきたものをいかに社会人として役立てられるかをアピールできるかです。アスリートとしての価値を売り出す一方で、いち社員として「どれだけ使えるか」をアピールすることもやはり必要です。

例えばスポーツを通して身につけた忍耐力や向上心、あるいは結果を得るためにひたすら挑戦を続けるモチベーションの高さややる気など。こうしたアスリートならではの魅力をいかに従業員としての魅力としてアピールできるか。営業職なら体力とやる気の高さが評価の対象になるでしょうし、広報部門なら自分を売り込むノウハウが役立ちます。こうしたこれまでアスリートとしての長所をいかにあまく社会人の魅力にはめ込んだ上でアピールできるか。一般人に加えてアスリートは競技の成績・実績に裏付けられた自信を持ちやすい面を持っています。この自信・自己肯定感を土台にして自分をうまく売り込む工夫をしてみましょう。

アスリートとしての成績・実績は自己アピールにおける大きな「武器」ですが、それだけではかえって逆効果、「従業員として採用するメリットがない」とみなされてしまう恐れもあるので注意しましょう。

もうひとつ、受かる方法としてどのような形でデュアルキャリアを実践していきたいかできるだけ具体的にイメージしたうえで面接などの際に説明できるかもかなり重要になってきます。どれぐらい競技のために休みをとる必要があるのか、一日にどれぐらい練習時間を確保できるのかなど。採用する側も具体的な話を聞ければ「うちでも十分働ける」とゴーサインを出す可能性が高くなります。

まとめ

アスリートがデュアルキャリアを実現させるためには、自分自身が競技を無理なく続けられるだけでなく、職場に負担をかけることなく競技と仕事を両立できる職場を見つけることが第一です。そのためにも情報収集をしっかり行うこと、そしてアスリートと企業側両方が納得した形で双方にメリットが得られる「Win-Win」の関係を築けるデュアルキャリアの環境の構築が求められます。

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