[最終更新日]2023年9月13日 [記事公開日]2022年7月7日
母集団形成に活用できる手段をご紹介|基本的なやり方と合わせて解説します
「せっかく募集をかけても応募者が少ない」「応募者はいるが、採用のレベルに達している候補者が少ない」と悩む採用担当者は多いものです。その悩みはもしかしたら、母集団形成のやり方に問題があるのかもしれません。
このコラムでは、採用活動における母集団形成の基本的なやり方と、母集団形成に活用できる手段について紹介します。今後の採用活動を円滑に進めるための参考にしてください。
母集団形成とは
「母集団」という言葉はあまり馴染みのない言葉かもしれません。この言葉はもともと統計学で用いられる言葉であり、「ぼしゅうだん」と読みます。統計学において母集団とは、「調べる対象の全て」を表します。調べる対象については「標本(サンプル)」という言葉の方が馴染みがあるかもしれません。母集団は複数のサンプルを含む、もっと多くのものを包含する言葉です。
この母集団という言葉は採用活動においても用いられることがあります。その際に母集団という言葉には「採用される可能性のある人の集団」という意味を持ち、自社に応募してきた候補者全てを表します。しかし、母集団は単に応募してきた人だけを表す言葉ではありません。今後入社してくれる可能性のある人たちをも含みます。採用活動において母集団とは「応募者全員」ではなく、「採用される可能性のある人の集団」と定義した方がしっかりとした意味を捉えていると言えます。
母集団形成をする時には、この定義をきちんと理解しておくことが重要です。つまり、自社に入社してくれる可能性のある候補を探すためには、単に応募してきた人たちだけを集めれば良いというわけではありません。今後、社員として働ける人材の候補を積極的に集めることが必要になるのです。これには実際に応募してきた人に加え、自社の求める水準に達する人材をスカウトしてくることなども含まれるでしょう。
加えて、母集団形成はただ単に人数をたくさん集めれば良いというものでもありません。どんなに数が多かったとしても、最終的に採用したいと思う人材がほとんどいなければ母集団の意味を成しませんし、結局採用活動は難航してしまいます。母集団形成は、採用される可能性のある人の「質」と「量」の両方が重要なのです。
そのため、効果的な母集団形成を行うためには良い準備が必要です。単なる候補者集めではなく、「自社の採用基準に達している人材を可能な限り多く集めること」が母集団形成を成功させるために意識すべきことです。
母集団形成に活用できる手段と手法
効果的な母集団形成を行う上で大切なのは採用ターゲットを設定することです。このことが明確に設定されていないと、多数の候補を獲得できてもほとんどが自社の基準に達していないというような事態になりかねません。もちろん、候補者がどんな人材なのかは実際に試験や面接をしてみなければわからないかもしれません。しかし、面接するためには多大の時間やコストがかかりますし、候補者の数が多ければなおさらです。さらに候補者の数が多い場合には、一人あたりの面接時間もかなり限られるため、優秀な人材を発掘することは難しくなると言えます。
一方、母集団形成を行う段階で採用ターゲットがしっかりと設定されていれば、そのような無駄を省くことができるでしょう。資格やスキルなどに加えて、職務経験や専門知識の有無などを事前に調べるようにします。ターゲット設定を明確にするためには、該当する人事部門などと入念な打ち合わせが必要になるかもしれません。そのような打ち合わせには時間や労力がかかるかもしれませんが、とても大切な段階であることを忘れないようにしましょう。最初の準備にどれだけ時間をかけるかで、後の作業はずっと楽になりますし、質の高いものとなります。結果的に満足のいく人材を確保することもできるでしょう。
ターゲット設定には採用したい人数を明確にしておくことも含まれます。採用したい人数によって母集団の規模も決まるからです。採用したい人数の決定も採用する目的と関係しています。新規採用によってどんなことを成し遂げたいのか、そのためにはどんな人材が必要なのかが明確になっていれば、そのために必要となる人数もハッキリしてきます。ターゲットが経験者なのか未経験者なのかによっても人数設定は変わってくるでしょう。基本的に経験者よりも未経験者を集める場合には採用人数は多くなります。
ターゲットの設定や人数の設定ができたら、実際に「採用される可能性のある人」を集めることを始めます。その時、活用できる手段にもいろいろなものがあります。
【求人サイトや求人誌などを活用する】
自社の求人情報を求人媒体に掲載することで採用される可能性のある人を集めることができます。最もポピュラーな方法かもしれませんが、非常に効果のある方法の一つです。今では求人媒体にも様々なタイプのものがあるので、どのような媒体を選ぶのかも採用ターゲットなどを考えて選ぶことができるでしょう。
例えば、求人媒体にはインターネットで閲覧できるものもあればフリーペーパーのようなものもあります。新聞や広告に掲載するものもあります。職業や業種ごとのものもありますし、地域別にカテゴリ分けされているものもあります。若い人向けのものもあればミドルやシニア層をターゲットにしたものあります。そのため、求人媒体を選ぶ際にも自社が採用したいと考えている人材に最もマッチしたものを選べば、それだけ基準に合った人が応募してくる可能性は高くなるでしょう。
【ハローワークを活用する】
求人における別のポピュラーな方法にハローワークがあります。ハローワークは国が運営する求人団体なので、無料で利用できるというメリットがあります。しかし一方で、手続きなど面倒なことも多いことや面接の日程がハローワーク経由になるなどといったデメリットもあります。
【人材を紹介してもらう】
人材紹介などのエージェントを通して、欲しいと思う人材を紹介してもらうことができます。一般的な求人と違う点は、人材紹介のエージェントを経由しているためより希望する人材が見つけやすいということ、費用は採用決定と引き換えに発生することなどが挙げられます。そのため、たくさんの広告費用をかけて求人をしたにもかかわらず、欲しい人材が手に入らないというリスクはありません。しかし一方で、単価は一般的な求人に比べて高くなることが多いでしょう。
それでも、採用される可能性のある人が見つかる確率が高いことや紹介してもらえる人材の質が良いことなどを考えるならばメリットの大きな方法であると言えるでしょう。また、人材紹介のエージェントでは非公開の求人情報を取り扱うところも多くあります。そのため一般には公開したくない人材を探すときなどもメリットがあります。
【説明会やイベントを活用する】
説明会やイベントを開催したり、いろいろなイベントに参加したりすることで、採用される可能性のある人を探すことができます。基本的に採用説明会には、その仕事に興味のある人や仕事に活かせる強みを持つ人が来場します。そのため、欲しいと思う人材を効率よく集めることができるでしょう。
説明会やイベントは自社で行うこともできますし、人材紹介会社が主催するものに参加することもできます。また、新卒採用のタイミングで行うこともできますし、中途採用でも行うことはできます。説明会やイベントは、一度に大量の採用がしたい時には有効な方法です。
【社員の紹介を活用する】
自社で働く社員に、新しく入社してもらえる人材を紹介してもらうことをリファラル採用と言います。リファラル採用のメリットは、自社で働く社員の紹介なので広告費や人件費などがほとんど発生しないという点です。紹介者した人やされた人にインセンティブを与える企業などもありますが、広告費などに比べればかなりコストを抑えることができるでしょう。
リファラル採用の別のメリットは会社に合った人材を獲得できる可能性が高いということです。実際に自社で働く社員からの紹介なので、社風や仕事に関してよく理解した上で紹介され、申し込みをしてきたことになります。このことは長く活躍してもらえそうな人材を獲得する上で大きなメリットと言えるでしょう。
しかしデメリットとして、リファラル採用では定期的かつ大量の採用ができないという点があります。社員が少ない会社の場合、紹介してもらえる数もほとんど無いと言えるでしょう。
【SNSを活用する】
最近では、SNS広告の売り上げがテレビ広告の売り上げを上回るようになってきました。そのため、求人情報に関してもSNSを利用する企業が増えています。これは母集団形成を行う上でも同じで、SNSは有効な手段となっています。
SNSで採用される可能性のある人を集めようとする場合には、大きく分けて二通りの方法があります。一つ目はSNSに有料広告を載せることです。SNS広告はコストがかかるので、費用面から見るとそのことはデメリットになります。しかし、周知度が高いことやターゲットとする層にダイレクトにアプローチできるという点を考えると、決して高すぎる費用とも言えないようです。
そしてSNSを活用する二つ目の方法は、自社のコンテンツを立ち上げることです。動画投稿サイトに自社の公式アカウントを設置して、会社をアピールすることができます。公式のSNSを視聴してくれる人から応募があれば、社風に合う可能性はかなり高いと言えるでしょう。
しかし、公式のSNSアカウントを運営するのは簡単なことではありません。魅力的な内容の動画を作成しなければなりませんし、定期的に動画を更新する必要も生じるでしょう。何よりも登録者数やフォロワーが増えなければ、SNSとしてのメリットを活かすこともできません。登録者数やフォロワーを増やすのは、芸能人でも苦戦するくらい大変なことです。こうしたことを考えると、SNS投稿のためには、様々なコストがかかることも想定しておかなければなりません。
母集団形成を上手に行うためには、効率的に採用される可能性のある人を集めることが重要です。そのためには目的に沿って活用できる手段も変えるようにしましょう。ターゲットとなる層やターゲットに求めるスキルや経験がハッキリしているならば、人材紹介やリファラル採用などが良いかもしれません。一方、ある程度の条件で定期的に、または大量の採用がしたい場合には求人媒体やイベントを活用すると良いでしょう。
母集団形成を成功させるコツ
母集団形成を成功させるためには、採用される可能性が高くなるようターゲット設定をすることが欠かせません。そのため、ターゲット設定は具体的にするようにしましょう。母集団形成は数ではなく質であることを常に銘記しておくことは大切です。
ターゲット設定が細かくできていれば、ピッタリの人材を見つけやすくなります。なぜなら、求人サイトやフリーペーパーに掲載するにせよ、人材紹介エージェントに依頼するにせよ、それぞれが得意とする分野も異なるからです。よりターゲット設定に沿った媒体を利用することによって、採用される可能性のある人にアプローチすることができるでしょう。
また、たとえ小さな会社でも魅力をアピールすることによって母集団形成を成功させることができます。コストをかけずとも効果的に母集団形成を行う方法はあるので、あきらめずに自社に合った方法を考えることが重要です。実際に採用の応募をかける前に、ターゲット設定とどんな方法で母集団形成を行うかをじっくりと練っておくことが成功する秘訣です。
まとめ
会社が成長していくためには優秀な人材を獲得することがとても大切な要素となります。そのためには新卒採用にせよ中途採用にせよ、応募数だけなく応募してくる人材の質にも重きを置く母集団形成を行うことが大切です。
母集団形成とは「採用される可能性のある人を集める」ことですが、活用できる手段として求人サイトやフリーペーパーなどの求人媒体を用いること、ハローワークや人材派遣エージェントを活用すること、説明会やイベントに参加したりSNSを活用することなどがあります。どの方法を使うかは自社の規模や社風、かかるコスト、そしてターゲット設定などを踏まえて、よく考えることが重要です。母集団形成の準備はその後の採用結果に大きく影響するため、時間をかけてじっくりと準備するようにしましょう。
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