[最終更新日]2023年9月13日  [記事公開日]2022年7月7日

セカンドキャリアを目指すアスリートの抱える課題と転職成功のカギ

アスリートの皆さんが引退を考え始めた時、まず頭をよぎるのは「引退して何をすればいいんだろう」ということではないでしょうか。ほとんどのスポーツでは一生涯プロアスリートの道を歩み続けることは難しく、必ずと言っていいほどセカンドキャリアを考えなければならない時がやってきます。しかしそうしたアスリートの多くが、どんなセカンドキャリアを目指せばいいのかも、その際に直面する課題も知らず、いきなり壁に突き当たってしまうのが現実です。

そこでこのコラムでは、セカンドキャリアを目指すアスリートが抱える課題と、転職を成功させる秘訣について解説します。引退を迎えるにあたり、どんな課題が待っているのか今のうちに把握して、セカンドキャリアへの転職をスムーズに成功させましょう。

アスリートのセカンドキャリアに向けた課題とは

アスリートのセカンドキャリアに向けた課題とは

アスリートとして現役でいられる期間には個人差があり、スポーツの種類によってもだいぶ異なります。しかし、長く現役で活躍し続けられるアスリートや、引退後に生活の心配をしなくてよいアスリートはほんの一握りで、20代から30代で引退して新たな道を歩いていくのが普通です。コーチやトレーナー、広報などの形でスポーツの世界に残る人も多いものの、全く違う仕事に就き、一般人として生きていく人も珍しくはありません。

引退後もそのスポーツに携われる人ばかりではないため、基本的にアスリートはセカンドキャリアのことを考える必要があります。課題として立ちはだかるのが、スポーツ以外にやりたいことがない、どんな人生を歩めばよいか分からない、という人生設計の悩みです。海外ではアスリートのセカンドキャリアを支援する活動が活発に行われており、現役の時に稼いだお金で事業に乗り出す、俳優に転身する、投資家として活躍するなど、スムーズにセカンドキャリアに移行する例が多く見られます。一方、日本ではアスリートは学生時代からスポーツ一本に打ち込む例が多く、セカンドキャリアについて考える機会が非常に少ないのが実情です。

現役時代に目を見張るような成績を残し、引退後も引く手あまたであればよいのですが、引退後に新たな道を模索せざるを得ない場合、スポーツ一本に打ち込んできたことによるデメリットが目立ち始めます。文武両道で勉強にも力を入れてきたアスリートであればともかく、勉強を疎かにしており、人生設計のプランも特にない場合、途方に暮れる結果になりかねません。スポーツ一本に打ち込んだ結果、セカンドキャリアについて考える機会が失われていることが、日本のアスリート界隈の大きな課題です。

日本のアスリートは引退後、コーチやトレーナーといった、今まで打ち込んできたスポーツ関係の仕事に就くことを希望する傾向があります。もちろん、これらの仕事を目指すのは悪いことではないものの、アスリートがスポーツ関係の仕事に向いているとは限りません。天職が他に存在する可能性が十分にあるにもかかわらず、スポーツの世界以外に目を向けられず、セカンドキャリアの選定に失敗しやすい点も課題として挙げられます。

また、スポーツに専念した結果、社会人としての経験を積みにくくなるのも大きな難点です。30歳で現役を引退した場合、社会人として活躍している同年代は相当な経験を積んでいます。現役で大学に合格し、大学卒業と同時に就職、そのまま大きな空白期間なしに仕事を続けているのであれば、社会人としておよそ8年のキャリアを持つ計算です。一方、セカンドキャリアについて考える機会の少ないアスリートは、同年代の社会人と比べると、ビジネス関連の経験やスキルが大きく劣っているのが普通です。スポーツの世界で活躍しているうちはそれでよくても、引退後に新たな道での活躍を目指す場合は同年代の社会人と比較されることが多く、経験やスキルの面で不利な中、転職活動を進めないといけません

企業所属のプロアスリートとして活動していたからといって、有利になるとは限らないのも厄介なところです。企業所属のプロアスリートは仕事とスポーツを両立させる必要がありますが、実際問題、両方をまんべんなくこなすケースはそう多くはありません。実際には、スポーツに集中するために仕事の時間を短くしてもらい、スポーツに悪影響が出ないよう、肉体的、精神的な負担が多い仕事を担当しないのが一般的です。企業に所属していないアスリートと比べれば、ビジネス関連の経験やスキルは上の場合が多いものの、それでも同年代と比べれば実力で劣るのが普通で、やはり引退後のセカンドキャリアには暗雲が立ち込めています。

たとえ企業所属として実力を発揮し、企業の知名度アップなどに多大な貢献をしたとしても、引退後は仕事面での優遇はなくなるのが普通です。他の社員と同様の仕事を任された時、実力や経験の不足から仕事についていけずに、肩身の狭さを感じるケースが多く、引退後に同じ企業で働き続けるのも簡単ではありません。企業所属でないアスリートよりは引退後の転職活動は有利になりやすいものの、セカンドキャリアでは苦労するのが普通です。

課題解決のために心得ること

課題解決のために心得ること

一般的に、年齢が上がるほど未経験の仕事に就く上でのハードルも上がるため、引退後のアスリートは転職活動で苦労することが多いでしょう。しかし、今の日本は労働人口が減少しつつあります。たとえ業界未経験であっても、実力や光るものがあるなら、力を借りたいと考えている企業は多いのです。

まずは転職活動にじっくりと取り組むことを心がけてください。先に書いたように、実力不足などの問題により、すぐに新たな就職先が見つかるケースはそう多くありません。転職活動を始めるのであれば、かなりの長期戦になることをあらかじめ覚悟しておく必要があります。

そして、転職活動を始める前になるべく処理しておきたいのが、長らく打ち込んできたスポーツに対する未練です。残念ながら大きな結果を残せなかった、怪我が原因で不完全燃焼に終わってしまった、このような場合はスポーツに対して未練が残りやすく、後々まで尾を引くケースもあります。目標を達成できずに挫折し、未練が残っている場合、次の目標と向き合いにくいのはアスリートに限った話ではありません。自分がやるべきことは本当にこれか、などと考えてしまい、仕事や勉強などに身が入らず、結果的に次の目標も挫折してしまうのが定番の失敗パターンです。現役に対して未練を残したままだと転職活動や勉強に集中しにくいため、なかなか思うような結果を得られません。ただでさえ、アスリートのセカンドキャリアは不利な状態から始まりやすいのですから、転職活動や勉強に集中するためにも、ある程度は未練と折り合いをつけておく必要があります。

未練が残っている理由、未練の程度には個人差があるため、こうすれば確実に未練を断ち切れるという便利な方法はありませんが、いずれの場合も自分自身と向き合うことは欠かせません。特に、恵まれた環境に身を置きながら、努力やスポーツに対する意識が足りておらず結果を残せなかった場合、自分自身の弱さを認めることが大事です。同時に、弱さが原因で結果を残せなかった、と自分自身を責めないでください。心が弱いからスポーツに集中できず、結果的に引退する羽目になった、と自分自身を責めても意味はないどころか、むしろ逆効果です。自責の念があると自分自身の弱さと向き合う機会が奪われてしまうので、弱さは認めつつも、責めないようにするのが基本です。

しっかり努力を続けていたが、突発的な怪我やその他の事情により、やむなく引退を選んだというケースであっても、アスリートとしてのキャリアに全く後悔する部分がない人はまずいないでしょう。こうすればもっと活躍できていた、などと考えてしまいがちです。しかし、まずは過去の問題点や自分自身の弱いところを否定せず受け入れてください。セカンドキャリアを成功させる上で大事なのは、努力を怠るなどの理由で思うような結果を得られない事態を避けることです。後悔を繰り返さないためにも、しっかりと過去の問題点や自分自身の弱さと向き合い、消化した上で新たな人生のスタートを切ってください。

課題を乗り越え、セカンドキャリアを成功させる方法

課題を乗り越え、セカンドキャリアを成功させる方法

社会人としての経験不足を補い、セカンドキャリアを成功させるには、アスリートのサポートに特化している転職サービスを利用するのが有効です。セカンドキャリアでつまずくアスリートが多いことは、2010年代の後半辺りから社会問題として取り上げられ始めました。同時期より、アスリートのセカンドキャリアをサポートする転職サービスも増え始めています。

転職サイトなどの一般的な転職サービスを利用する方法もありますが、アスリートのサポートに特化してはいないため、十分な成果が得られるかは未知数です。もっとも、書類選考や面接の対策が充実している転職サービスは、転職活動で必要な知識を得る上では役立ちます。転職活動の際、書類選考ではねられてしまい、面接までたどり着けないという例は意外と多く、元アスリートにとっても書類選考は大きな関門です。

履歴書は経歴、資格などを記載するための書類なので、字が汚いなど、極端に見づらい履歴書を作らない限り、問題になることはまずないでしょう。ただし、職務経歴書に関しては自由度が高く、書き方のノウハウを知らないと苦戦は必至です。職務経歴書は、これまでにどのような仕事やプロジェクトに携わってきたのか、どんな成果を残してきたのかを応募先の企業にプレゼンテーションするために用いられます。ここでしっかり自己アピールできるかどうかが書類選考の突破に大きく関係してくるため、基本的な職務経歴書の書き方を学ぶことはアスリートにとっても大事です。転職経験があるなどの理由で書類選考や面接に自信を持っている場合はともかく、初めて転職活動に臨むのであれば、各種転職サービスを利用してレクチャーを受けるべきです。

先に書いたように、アスリートは引退時点では社会人としての実力や経験が不足しやすい上、書類選考や面接でも一般の人とは違った対策が求められます。アスリートとしての経歴は応募先の企業から注目を集めやすく、大きなインパクトを与えられるのは利点です。一方で、元アスリートは一般の人とは違った何かを応募先から求められる可能性が高く、一般的な転職対策を知った上で、さらにもう一捻りしないと高評価は得られません。そのため、引退したアスリートは職務経歴書の作成や面接で苦労しやすく、アピールできるようなビジネス面の実績がない、過去のスポーツの経験をどう自己アピールにつなげればよいか分からない、というのが定番の悩みです。

特に、学歴や職歴を正直に書くのがためらわれるようなケースでは内容に困りますが、アスリートのように特異な経歴を持つ場合、そのことをうまく自己アピールに絡められれば高評価が期待できます。スポーツを通じてどのような学びを得たのか、スポーツの経験を自社でどう活かそうとしているのか、この2つは書類選考でも面接でも重要なポイントです。アスリートとして劇的な結果を残せていないと、アピールできる部分がないのではと考えてしまいがちですが、そんなことはありません。

実績が群を抜いている元アスリートは注目こそされやすいものの、一方で実績の自慢になりがちというデメリットを抱えています。企業が知りたいのは、スポーツの経験をどう自社の業績アップにつなげてくれるのかであって、実績のすごさではありません。たとえ目を見張るような実績があっても、スポーツの世界でなぜ素晴らしい実績を残せたのか、どんな学びを得たのかを論理的に説明できない場合、ただ実績を自慢しにきたような印象を与えかねません。

逆に、そこまで大きな実績を残せていなかったとしても、スポーツの世界で壁にぶつかった時にどうやって乗り越えたのか、ライバルに勝つためにどのような戦略を立てたのかなど、経験に基づく理論を説明できる人は、企業から高く評価されます。スポーツ関連の実績や社会人としての実績がないから駄目というわけではないので、無駄に不安を感じる必要はありません。ややハードルが高いのは確かですが、そのためにもアスリートのセカンドキャリアのサポートに特化しているサービスを利用して、しっかり準備を整えておきたいところです。

まとめ

成功を目指してスポーツに打ち込むと後々に困難を抱えやすくなる、この課題を引退後のアスリートは乗り越えないといけません。新たな挑戦を始める場合は相当な苦労が予想されるため、アスリートのセカンドキャリアをサポートしてくれる転職サービスを利用して、効率的に動くのが有効です。

弊社ジールコミュニケーションズでも、アスリートのセカンドキャリアに特化したサービス「アスリート向け就職サポート」を展開しています。弊社のスタッフは、皆さんと同じ元アスリートや体育会系の出身者ばかりです。どこよりもアスリートに寄り添い、セカンドキャリアを成功させるノウハウを多く持っています。アスリートのセカンドキャリアに理解のある企業も多数ご紹介できますので、ぜひご相談ください。

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