[最終更新日]2023年9月13日 [記事公開日]2022年6月14日
【選手から一般企業へ】セカンドキャリアを成功させる方法教えます
選手を引退するにあたって、安定した生活を送りたいという思いから、一般企業に転職希望する方は多いです。しかし、今まで就活などをしたことがないため、「どのような活動をすればいいのか分からない」、「本当に転職に成功できるのか不安」といった方が見られます。選手から一般企業に転職するのは簡単ではありませんが、ポイントさえ押さえれば十分可能です。
このコラムでは選手から一般企業へ就職しようと考えているアスリートに向けて、一般企業でのセカンドキャリアを成功させる方法について解説します。今後の就職活動の参考にしてください。
選手から一般企業へ転職する難しさとは
選手から一般企業に転職するのは難しいのが現状です。その理由は、今まで競技一筋で生きてきたため、それ以外のことに時間を費やすことが難しく、一般転職者に備わっている能力が選手には備わっていないからです。社会人経験やビジネス経験がないこと、つまりは敬語が正しく使えていない(この敬語は、単に語尾に「です、ます」をつけて丁寧語にするだけではなく、尊敬語や謙譲語なども使えるようになっているということ)、電話対応のマナーが身についていない、ワードやエクセルが使えないなどです。ビジネスで必ず必要となる社会人としての一般常識やマナーが身についていないことは、転職するにあたって大きなデメリットとなります。
企業側としては、採用したあとにこれらのマナーを1から教えていかなくてはならないため、選手を採用するのはどうしても慎重にならざるを得ません。人を育てるには相当のコストや時間が必要となるからです。そのため、選手よりもビジネス経験や社会人経験も多い一般転職者のほうが、採用数は自然と多くなってくるのです。
そして、職務経歴が真っ白なことも不利な理由の1つです。仕事をしたことがないということは、採用したとしても使えるかどうかは分かりません。職務経歴に何か記載があればある程度なら使えると判断できますが、経歴が何もなければ、使えるか分からない人を自社に抱えなければならないわけです。リスク回避のためにも選手の採用率は低くなります。
また、選手のセカンドキャリアのバックアップ体制が不十分なのも転職が難しい理由の1つです。選手を引退しても協会からの支援を望めないことが多く、自己責任で転職活動をしなければなりません。選手だった頃はさまざまなフォローをしてくれましたが、あくまでも競技内のことです。引退した場合、選手は世の中にどんな会社があるか、どんな職業があるかをほとんど把握できないまま、いきなり転職活動を始めなければいけなくなるのです。
そして、今まで競技一筋で生きてきた選手の多くは就職活動を経験していません。就職活動は自分の職業適正を調べたり、自分の強みを理解したりする時期でもあります。履歴書や志望動機の書き方を教わったり、面接の仕方を習ったりもします。それらの活動を一切していないため、本来の自分の強みやアピールポイントを上手く生かしきれずに転職が失敗することが多くなるのです。
上手く転職できたとしても、その後のことも大事です。選手の転職で多いと言われるのが転職後すぐの離職です。自分の適正と合わない企業に転職してしまったり、そもそも畑違いのところに飛び込む覚悟を持たなかったために、すぐに辞めてしまうというケースが多く見受けられます。選手としては活躍してきたかもしれませんが、転職先ではまた1からのスタートをしなければなりません。新卒と同じ扱いをされることが耐えられずに辞めてしまう場合が多いのです。こうしたケースでは転職、離職を繰り返すことも少なくなく、悪循環になってしまいます。
セカンドキャリアを成功させるために必要な準備と心得
選手が転職を成功させることは簡単ではありませんが、前準備をしっかりとすることで内定獲得率をぐんと上げることが可能となります。前準備を怠らないようにしましょう。
1つ目のポイントとして、選手はほかの転職希望者と違い、転職のための情報をあまり持ち合わせていません。そのため、まずは世の中にどんな会社があり、自分はどんな会社に転職したいのかを把握してみることが肝心です。
とりあえず転職サイトなどをのぞいてみるのも良いでしょう。どんな職種があり、給料相場はいくらか、その場合の待遇はどんなものがあるかなど、見るだけでも勉強になります。写真が掲載されていれば会社の雰囲気が分かりますし、気になった会社はURLが記載されているため、ホームページやSNSを見ることも可能です。ホームページやSNSからは、より深く会社のことが知れて、社長や社員の人柄を感じることができます。いろんな会社を見ていくと、何となく自分の就きたい職業や待遇が見えてくるでしょう。
そして、何となく会社のことがわかったら、転職する上で必須となるビジネススキルを身に着けるようにしましょう。具体的に言えば、ビジネスマナーの習得です。選手を採用したいと思っている企業でも、ビジネスマナーは最低限身に着けてほしいと思っている企業は多いです。巷にはマナー本もありますが、やはり実践に勝るものはありません。できればマナー研修を受けておいたほうがビジネスマナーに対する不安が解消され、なおかつ自信につながります。マナー講座を選ぶ上では、敬語や来客マナー、電話対応、メール対応、名刺交換などが一通り学べるものがおすすめです。これらを1日で学ぶ集中講座もあるため、活用していきましょう。転職サイトによっては無料で受けられるとこもあるため、そこを利用して受講してみるのも良いでしょう。
また、エクセルやワードを習得しておくと、選べる職業の幅を増やせるため、おすすめです。ワードやエクセルを習得するにはパソコン教室に通う必要がありますが、料金が高く設定されているところも多く、二の足を踏む方もおられることでしょう。パソコン教室の中にはMOS試験などの関連教室として格安で運営しているところもあります。そこを利用してみるか、ハローワークの求職者支援制度を使ってみるのもおすすめです。無料でエクセルやワードなどのソフトを習得でき、なおかつ条件によっては給付を受けられるケースもあります。
そして、転職に成功するためには、企業がどのような人物を採用したいと思っているかを知っておくことが大事です。確かに選手から一般企業に転職することは難しいとされていますが、中にはスムーズに転職先が決まった人もいます。その理由の一端として、働き手の不足が問題視されています。少子化問題だけでなく、終身雇用という制度は古くなり、自分に合わないと感じた人はすぐに辞めてしまうといったケースも原因の1つです。企業としては採用されてすぐに辞められては時間とコストが無駄になるため、採用しても辞めない人を欲しています。そんな中でも選手は「諦めない」「粘り強い」「プレッシャーに強い」「目標に向けて頑張れる」などの、企業側にとってはぜひとも欲しい要素を持っています。これらのメリットを活かしていくことが採用につながっていきます。
それと同時に忘れてはならないこともあります。それは、全く違う世界に足を踏み入れたということを自覚しなければならないことです。当然、選手時代の栄光は新しい職場では作用しません。会社の一員として、会社のために働いていくことが大切になってきます。選手時代は自分が主役で活躍していたため、自分中心に考えて動いていましたが、これからはチームとして裏方にもなる必要があるということです。この自覚があり、会社のために働くという覚悟がある人は転職を成功させています。
選手から一般企業への転職の流れと内定獲得法
選手から一般企業への転職を決意した場合、まずは転職の流れをつかむことが大事です。流れをつかんだ上で十分な対策を立てていくことで内定の獲得につながります。
転職の流れとしては、企業分析と自己分析から行いましょう。企業分析を行うと、どんな企業が自分に向いているのかが分かるようになります。その企業の規模や従業員数、離職率、企業理念、事業内容などを調べましょう。企業のホームページに掲載されています。企業分析を行うことで転職先とのミスマッチを防げて、なおかつ履歴書を書く際の志望動機にも役立ちます。企業説明会などにも出席して、企業に対する知識を深めて、説得力のある志望動機にしていきましょう。
自己分析は自分の中の軸を知ることに向いています。自分はどうしてこの職種や企業を選びたいのか、どのような人間で、選んだ企業でどのように働いていきたいのかを把握するために行います。自己分析をする方法として一般的なものは、過去にあった出来事で自分が嬉しかったことや悲しかったこと、上手くできたこと、出来なかったことなどの感じたことを書き出すというものです。自分の中でインパクトのある出来事を書き出すことで、自分が何を大切にしているのか、何を行動指針にしているのかなどが見えてきます。
そのほかにも、転職サイトの適職診断や性格診断を利用する方法や、過去の人生チャート(人生史)を書いていく方法、身近な人に聞いてみる方法があります。適職診断や性格診断は自分でも知らなかった自分が見えてくる場合がありますし、人生チャートはこれまでの人生を丁寧に振り返ることで、自分はなぜこれを選んだのか、その時にどう感じたのかなどを振り返るのに役立ちます。覚えていない部分も身近な人に聞くことで思い出せたり、自分以外の人にはどう見えていたのかも参考になるでしょう。企業分析と自己分析を行うことで自分の会社選びの軸が分かり、自分に合った企業を選ぶことが可能です。
そして、企業分析や自己分析をしたら、いよいよ応募します。最初は書類審査から始まるところが多いです。その後、面接をして、第二面接、第三面接を経て内定が決まる仕組みです。中には筆記試験を採用している企業もあるため、前準備は忘れずに行いましょう。書類審査では、履歴書や職務経歴書を見て選考されます。大体の企業は応募者の3割しか次の面接に進めません。つまりは、この段階で落とされる人が7割もいるということです。先ほどの企業分析や自己分析をしっかり行うことで通過を目指しましょう。
面接では、これまで培ってきたことで得たものやそれをどう仕事で活かせるかをアピールしましょう。あきらめない、粘り強い姿勢を見せるのが肝心です。しかし、場合によってはそれを前面に出さないほうが内定につながるケースもあります。企業は過去の出来事よりも、これからどのように働きたいかのほうを重視します。過去の実績ばかりを絡めて話すと「この人は競技に関連した仕事しかしたくないのかな」「本当に自社で働く気があるのかな」と思ってしまいます。理想と現実が違い、辞めていく人も多いからです。過去は過去として、持ち前の粘り強さなどを活かし、これからこの会社で覚悟を持って働きたいということを訴えることが大事となります。
また、転職先を探す方法は、一般的な転職サイトや転職エージェント、ハローワークなどを利用するのが一般的です。そのほかにも、選手向けの就職支援窓口というのも存在します。この選手向けの就職支援は、選手の受け入れに寛容な企業が多く、採用されやすいのが特徴です。選手向けの就職支援には、「アスリートエージェント」やマイナビの「アスリートキャリア」があります。スポーツ庁でも色んなセミナーや支援を行っているため、それを使っていくのも良いでしょう。
弊社ジールコミュニケーションズでも、選手から一般企業へのセカンドキャリアを応援するサービス「アスリート向け就職サポート」を展開しています。サービスの利用は完全無料。アスリートの気持ちが分かる、元アスリートのキャリアプランナーが多数在籍していますので、お気軽にご相談ください。
そのほかにも、社員紹介採用(リファラル)があります。社員紹介採用とは、すでに会社で働いている知り合いにその会社を紹介してもらうという方法です。紹介した相手はインセンティブがもらえることもあり、会社側は求人広告や人材仲介業者を利用することなく人材を雇用できるためコストダウンが図れるというメリットがあります。一方、転職希望者側も事前に紹介してくれる相手に詳しく企業の情報が得られるため、転職した際の企業とのミスマッチを防ぐことが可能です。そのため、早い段階で企業に馴染むことができるようになります。
まとめ
選手が一般企業に転職することは難しいとされていますが、前準備とポイントを掴むことで内定をスムーズに獲得することもできます。大事なのはビジネススキルや企業分析、自己分析などの前準備をしっかりやることと、チームとして裏方に回ることもあるということを理解しておくことです。会社のために働くという覚悟を示せたら面接も乗り越えられるでしょう。
ジールコミュニケーションズでは、新卒・既卒での就職活動、第二新卒、中途で転職活動をはじめ、企業向けの採用支援や学校・キャリアセンター向けのサポート支援を行っております。豊富な実績や手厚いサポートによってお客様に向き合った支援サービスをご提供いたします。
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