[最終更新日]2023年9月13日  [記事公開日]2022年6月8日

アスリート引退後のセカンドキャリアに成功するには?

ずっとアスリートとして競技生活を頑張ってきた人からすると、次の就職先の目星も決められなければ、どう活動していけばいいのかもわからないと思います。いってみてば、全くの未知の世界に飛び込むわけですから、不安を感じるのも当然でしょう。

ではアスリートは引退後、どのように就職をすればいいのか、どう活動していけばセカンドキャリアを成功させることができるのでしょうか。今回のコラムではそんなアスリート引退後のセカンドキャリアに成功するための秘訣をご紹介していきますのでしっかりチェックしていきましょう。

アスリートのセカンドキャリア事情

アスリートのセカンドキャリア事情

アスリートは、いずれ競技生活を引退することになります。引退してからの人生の方が長くなるので、セカンドキャリアのことは考えておかなければなりません。競技生活を引退した後は、自分で働いて収入を得ないと生活が成り立たなくなるため、就職活動を行う人がほとんどです。

元アスリートがセカンドキャリアとして選んだ職業で一番多いのは、会社員です。その次が教職員、会社役員、自営業、自衛官や警察官、そして競技団体役員です。雇用形態は約56%が正規雇用者で、次いで契約、嘱託社員、アルバイト、パート、そして派遣社員となっています。この職業を選んだ理由は、能力や資格が生かせる、この仕事に興味があったというのがほとんどで、ごく一部にとにかく仕事に就きたかったからといった理由もありました。中には会社に競技チームがあったからとか、スカウトされたというような、企業チームに入るためにその会社に入り、競技に携わっていくアスリートもいるようです。

アスリートはだいたい30歳前後で引退をすることが多いです。引退した元アスリートたちのセカンドキャリアの現状は、引退したら働き、ごく平均的な年収で生活するというものです。正規雇用されていれば定年まで安定した収入を得ることはできます。金銭的な面だけ見れば、セカンドキャリアも問題ないであろうと考えられるのですが、アスリート本人の精神面については落ち着かない状態になりがちです。

現役アスリートの時は華やかさがありました。しかし引退してからは生活のためにただひたすら働くしかないとなると自分は何なのかを見失うことがあります。アスリートは誰もが引退すると主体性が無くなります。就職や転職の支援だけでは十分でなく、人材教育や人間教育を十分に行うような場所が必要となるでしょう。

アスリート引退後のセカンドキャリアに挑むうえで覚悟すべきこと

アスリート引退後のセカンドキャリアに挑むうえで覚悟すべきこと

アスリートを引退した後のセカンドキャリアに挑むためには、覚悟が必要だと言われています。それは、どんな仕事に就くのであれ、一から学び直す覚悟です。アスリートの時代は注目を浴び、多くの人が自分の周りに集まっていて華やかさがありました。しかし引退してしまったら現役の時のような華やかさを感じることはありません。いくらスポーツで実績を残したからといっても、仕事上では何も反映しないのです。新卒で入社した社員と同じように、一から学び、社会人としてのマナー、会社のルールなどを覚えていくことが大切です。

セカンドキャリアに挑むためにおすすめしたいことがあります。それが、資格取得です。アスリートは、高校や大学進学、そして就職もすべてスポーツで残した結果でできたという人が多いです。受験勉強や就職活動は全くしたことがないという人もいます。そのために、競技以外でのうれしかったことや辛かったことといった経験をしたことがない人がほとんどです。だからこそ、セカンドキャリアに挑むために資格を取って、スポーツ以外で成功体験を得ることはとても重要なのです。

セカンドキャリアに挑むなら、何らかの資格を取ることを考えておくと良いかもしれません。資格取得によって引退後の不安な気持ちや無気力な状態から逃れ、自分は社会でもやっていけるのだという自信を持つことができるのです。

気をつけたいのは、取った資格によっては就職や独立する時に役立ちますが、資格を取ったからこれで自分は大丈夫ということではありません。自分がやりたいことのための有効なものであり、資格を取ることが目的になってしまっては意味がないのです。資格はセカンドキャリアのオプションの一つであること、自分の人生をより良くするものであると覚えておきましょう。

アスリートのセカンドキャリアにおすすめな資格は、あんまマッサージ指圧師や作業療法士、医師、看護師、そして行政書士や公認会計士、宅建などです。他にも様々な資格はあるのですが、いずれの資格もかなりの勉強をしないといけませんから、覚悟を持って取り組むようにしましょう。実際に、引退後に猛勉強して公認会計士になった元アスリートがいます。

アスリートセカンドキャリアに成功するための対策法

アスリートセカンドキャリアに成功するための対策法

競技生活を引退後、セカンドキャリアは現役時代以上に成功したいと考えるのは当然のことです。成功するにはどうすれば良いのでしょう。成功する=お金を稼ぐと考えがちですが、ここでは幸せに過ごせることがセカンドキャリアに成功したと考えます。お金を稼ぐことが成功という人もいるでしょうし、セカンドキャリアはこれがしたいと夢に思っていたことができているのも成功です。家族が幸せに暮らせていることが成功だという人もいるでしょう。また、人のためになることが成功だと考える人もいます。このように、幸せの形は人それぞれで、成功の形もそれだけあるということになります。セカンドキャリアに成功した人を何人か紹介しますので参考にしてください。

プロ野球選手引退後、公認会計士になった奥村武博さんは、1997年にプロ野球選手になりましたが、ケガなどが重なり2001年に戦力外通告を受けました。通告を受けたのを機に引退し、打撃投手を1年間務め、その後は飲食店で働きます。しかし、このままで良いのかと悩み、資格取得の本の中から公認会計士が目に留まり、その資格を取るための勉強を始めました。

公認会計士は難関資格です。アルバイトをしながら勉強を9年間続け、晴れて公認会計士となり、監査法人に就職しました。そして現在はアスリートデュアルキャリア推進機構の代表理事として活動しています。アスリートのデュアルキャリアを多くの人に教えて広める活動や、公認会計士の資格を活かして資産形成のアドバイスを行っています。

マラソン選手を引退した後、会社員として働いている柏原竜二さんは、学生時代箱根駅伝で「山の神」として有名になりました。大学卒業後は富士通の陸上部で活動し、2017年に引退したのですが、富士通にそのまま残りました。会社の企業スポーツ推進室で、強化運動部のサポートや講演活動、ランニングイベントなどをしています。柏原さんは、引退を前向きに捉え、セカンドキャリアをスタートしたのです。

もう一人、引退後会社員になったアスリートをご紹介します。北京オリンピックとリオデジャネイロオリンピックに出場したオリンピアンの山口美咲さんは、2016年に引退しました。山口さんはリオデジャネイロオリンピックの代表になった時に引退を決めており、この時から自分がやりたいことをノートに書き出していました。そして引退後、星野リゾートに就職し、東京にある日本旅館の「星のや東京」で勤務しています。引退を考え始めた時に、星野リゾートで働くことが自分の価値をもっと高めることになるのではないかと思い、就職を決めました。山口さんは、現在も星野リゾートに勤務しています。

引退後個人事業主として成功した人もご紹介しておきます。高森勇旗さんは、2006年にプロ野球選手になりましたが、2012年に戦力外通告を受けました。これを機に引退しましたが会社には就職せず、自分の得意分野のデータアナリストやプログラミング、そしてライターなどで個人事業主となって活動を開始しました。戦力外通告を受けた時、高森さんは「次に何をしてもうまくいくという自信がありました。」と言います。「よし!ここからだ!」とも思ったそうです。「やっとやりたいことができる。現役時代はなかなかやりたいことができなかった。これからだ!」と、やっと解放された気分だったと言います。

プロ野球選手が戦力外通告を受けるとかなりのショックを受け、落ち込む人が多いです。なかなか立ち直れずにいる人がいる中、高森さんはすぐに切り替え、自分なりの考えを持って活動し、立派に成功しています。

経営者として成功したプロボクサーもいます。山川和風さんはプロボクサーでありながら個人事業主、経営者として成功しています。初めはフリーのパーソナルトレーナーとして活動していましたが、後に法人化してヘルスケアと人材キャリアの事業を起こしました。自分自身のデュアルキャリアの経験を活かして、リモートワークや複業などの働き方を奨めました。そしてアスリートのデュアルキャリアを多くの人に広める活動も行っています。

このように、セカンドキャリアで成功した人(幸せになった人)は、各々がそれぞれの形で幸せを掴んでいます。この人たちに共通しているものは何なのかというと、アスリート時代のキャリアにしがみつくことなく、セカンドキャリアを前向きに捉えていることです。アスリートとして成功したことに縋るとか、選手生活に未練があるとセカンドキャリアはどうしてもネガティブなものになってしまうのです。

よく、「あの時は良かったのに」とか「自分はもっとできたはずだ」などとずっと引きずっている人もいます。このように考える気持ちもわかりますが、セカンドキャリアに成功するにはアスリートとしてのキャリアにしっかりピリオドを打たないといけないのです。

セカンドキャリアで成功した人は、いろんなことに興味を持っていて、打ち込んできた競技以外にもやってみたいなと思うものを持っていることが多いです。競技に没頭していると他の世界との接点はありません。そうなると他のやりたいことに出会うチャンスをなくしてしまいます。また、アスリートとしての目標を達成するために一生懸命になっていると、まず「人」であることを忘れてしまい、人としての夢を見失ってしまうことがあるのです。この状態だと、アスリートではなくなった時にこんな自分は生きていても意味がないと感じてしまい、燃え尽き症候群になってしまいがちです。競技に打ち込みながら、他の世界にも興味を持つようにしましょう。

アスリート生活が終わる前に引退した後の準備を始め、これから人としてのキャリアに夢を持てる状態にすることが大切です。自分のセカンドキャリアとは何かを明確にしておき、それの準備を進めることが大切です。競技の合間に積極的にいろんな人に会ってみたり、話を聞いてみたりしてセカンドキャリアが成功して毎日が充実している自分を思い描いてみましょう。

まとめ

アスリートを引退した後のセカンドキャリアを成功させた人の例を挙げてみましたが、この人たちは皆、ネガティブ思考は排除しています。成功した人はすべて引退した後の自分を「だめな自分」ではなく「さあ、これから新しい世界だ!これからが楽しみだ!」と切り替えて前向きに捉え、新しい世界にわくわくした気持ちを抱きながら飛び込んでいます。時に現役時代の功績やプライドが邪魔することもあるでしょうが、これらに執着することなく、今まで打ち込んできたスポーツに感謝し、次の新しい夢を描きましょう。

夢はどんなことでも構いません。資格を取って独立したいとか、お店を持ちたい、人が喜んでくれることをしたいとか、今は特にこれといってないけれど、平和に静かに幸せに暮らせたらいいなといった夢でももちろん構いません。自分の夢を他人にとやかく言われる筋合いはないのです。そして夢を描いたらそれを叶えるために一生懸命生きていきましょう。

思い描いた夢がなかなか叶わないこともあるでしょう。夢はすぐに叶わないことの方が多いものです。諦めようかなと思うこともあるかもしれませんが、元アスリートはコツコツと努力をし続けることは得意なはずです。トップアスリートになるまでに毎日かなりの努力をしてきたはずですから、そう簡単に諦めることはないでしょう。時間がかかっても絶対に叶えるのだ、叶うものだと信じて進んでいきましょう。待っているだけではだめで、自分から掴みに行くようにすることが大切です。これこそがセカンドキャリア成功の秘訣と言えます。

弊社でもアスリートのセカンドキャリアをサポートしています。「個別面談サポート(体育会)」よりぜひ気楽にお問い合わせください。

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