[最終更新日]2023年9月13日 [記事公開日]2022年5月30日
不安でしょうがない“競技引退後の就活”の乗り越え方教えます
悲しいかな、競技人生には必ずいつか引退するときがやってきます。年齢的な問題や故障など理由は様々ですが、いずれにせよずっと競技を続けることは難しいでしょう。そして競技引退後の就活を考えたとき、中途採用で求められる社会人経験がないことに気づいて不安になるわけです。
そこで今回のコラムでは、競技引退後の就活と一般就活との違いや競技引退後の就活における不安の解消法、競技引退後のアスリートが内定を獲得する方法などについて解説します。社会人経験のない競技引退後のアスリートでも、上手に就活すれば内定獲得は可能です。不安に押しつぶされず、積極的に就活と向き合っていきましょう!
競技引退後の就活で抱える不安
どんなに素晴らしい実績を残しているアスリートであっても、常にケガによる故障のリスクは付きまとうものですし、年齢を重ねていけばいずれは新しく台頭してきた若い世代との競争力を失って引退することを考えなくてはなりません。しかし、競技引退後も人生はずっと続いていくため、衣食住を確保するには収入を得る方法を見つける必要があります。家族がいる場合は、なおさらどのように収入を得るかは重要な問題となります。
スター選手なら解説者や指導者としていくらでも声がかかるのではないかと考える方は多いと思いますが、「スター選手であっても競技引退後の先行きは極めて不透明である」というのが、アスリートの中では常識となりつつあります。なぜなら、解説者や指導者といった仕事は一般企業と違って定年が設定されていないからです。年配の元アスリートたちがなかなか引退しないままそのポジションを確保しているので、解説者や指導者の数が飽和状態となり、競争率が非常に高くなっているのが現状なのです。仮に解説者や指導者になれたとしても、継続的な依頼を受けて安定した収入を得るのは至難の業だといえるでしょう。また、他の人との差をつけるために、自腹で合宿施設や試合会場に赴いて情報収集や独自取材をするなどの努力も必要になります。このように、スター選手であっても競技引退後の現実は極めて厳しいのです。
そのため、競技引退後の大部分のアスリートはお金を稼いで生活を成り立たせるために就活をしなければならないのです。これまで競技優先で過ごしてきたアスリートにとって、就活時に抱える不安はとても大きなものであるのは言うまでもありません。なぜなら、アスリートの場合、就活では「社会人経験が乏しい」という現状に直面して、なかなか思うように内定を獲得することができないことがほとんどだからです。
デュアルキャリアで就業時間外に競技を頑張りながらも企業で社会人としてのキャリアを積んできた方なら、これまでの社会人経験を活かしながら競技引退後もその企業で働き続けることができます。しかし、スポンサーを獲得して競技だけに打ち込んできた方は圧倒的に社会人経験が乏しいので、フリーでの競技の解説者や指導者を目指すにしろ企業に就職するにしろ、競技以外の分野で自分は何ができるのか、どう貢献できるのかといったアピールポイントを探すのに苦労してしまうことがほとんどです。
一般企業に就職する場合、企業の立場になって考えてみると、転職者を中途採用する際に2人の応募があったとして、それぞれの履歴書を見てこれまで競技しかやってこなかった人と社会人経験が少しでもある人であることが判明すると、どちらを採用するでしょうか。企業では新卒採用ならこれからの成長を期待して採用しますが、中途採用の場合は即戦力として働いてくれる人材を求めていることがほとんどなので、社会人経験がある人の方が採用される可能性が高くなります。
実際に元アスリートが就活する際には、「どうしてこの会社に応募したんですか」という応募理由のみならず「この会社で何ができますか」といった突っ込んだ質問をされることも多くあります。とくに顔と名前がよく知れ渡っている野球選手やサッカー選手の場合、「これまでの収入とはかけ離れた低い給料となりますが、それでも大丈夫ですか?」というように気遣っているように見せかけながら、暗に断られているケースも多いのです。
競技引退後の就活と一般就活との違い
これまで競技に全身全霊で立ち向かってきたがために社会人経験が乏しいアスリートが就活する際には大きな不安を抱えやすいものですが、競技引退後の就活と一般就活の違いとして挙げられるのは以下の2つです。
まず1つ目は「企業が人材に期待することが違う」ということです。一般就活の場合、企業はその人を採用してから業務について一から教えて成長してもらい、企業に貢献できる人材になってくれることを期待します。そのため、現状としてスキルはなかったとしても、素直さや元気良さが評価される傾向にあります。一方で、競技引退後の就活では中途採用ということもあり、企業はすぐに職場環境に慣れて業務をスムーズにこなしてくれるような即戦力となる人材を求められることがほとんどです。
そのため、競技引退後に就活する場合は、体力やコミュニケーション力、やると決めたら諦めない信念の強さなどをアピールポイントにして、社会人経験の乏しさをカバーするのがおすすめです。履歴書に嘘は書けないためありのままに申告したうえで、面接では「社会人経験は乏しいものの、競技では結果が残せない時期もどこを改善すればよいのか創意工夫しながら粘り強く取り組んできた経験を活かして、どんな業務にも目標を設定して達成できるように取り組みます」というように、謙虚に自分をアピールしていく必要があるでしょう。
次に2つ目は、「これまでの良い行いや築き上げてきた人脈が活かせる」ということです。一般就活ではたまに縁故採用があるにしても、大部分はその企業との面識はなく初対面であることがほとんどです。一方で、その競技関連の職員になるために就活する場合、競技引退後ならそれまで試合の運営や選手の管理などで多く携わってもらっていたよく見知った企業なので、これまで築き上げてきた人脈を活かすことができます。
しかしながら、競技関連の企業は一般企業よりも数が少なく、新たな職員募集枠はほとんどありません。そのため、競技中だけでなく試合会場で過ごす際のマナーが悪かったり、過去に問題を起こしたりしたことのあるアスリートは採用されにくくなってしまいます。一方で、「この人なら引退後もこの競技に尽力してくれるだろう」と期待できるような良い行いをこれまで積んできた人なら、狭き門である職員募集でも採用される可能性があります。
一般企業であっても、とくに野球選手やサッカー選手の場合は顔や名前が知られていることがあるので、「競技関係ではなくて、どうしてわが社に応募してきたんですか?」と聞かれることがあるかもしれません。そんな時には「どうしてもこの企業で働きたかったんです!」とやる気を見せることが大切です。また、競技生活中に人柄の良さが分かるエピソードや練習に真摯に取り組む姿が知れわたっているなど、もともと好感度が高いアスリートの場合では「社会人経験は乏しくても、この人がいたら職場の雰囲気が明るくなりそうだな」「どんなことにも全力投球して企業に貢献してくれそうだ」というように、採用してもらえる可能性があります。
反対に好感度が低ければ、「採用しても人間関係のトラブルを起こすのではないか」「やりたくない業務は人に押しつけるのではないか」といった良くない先入観が企業側に生まれてしまい、採用されにくくなることが考えられます。これまでの行いは必ずどこかで自分に返ってくることを忘れてはなりません。
競技引退後の就活における不安解消法と内定獲得法
競技引退後に「これからどのようにして収入を得たらいいのか」「どうしたら就職できるのだろうか」と不安に思うアスリートは多いと思います。しかし、何もしなければ現状は変わらないので、まずは「情報収集をする」ことから動き始めるようにしましょう。競技関連の企業に就職したい場合はこれまで築き上げてきた人脈を活かして、新たに職員を採用しようとしている動きはないかをリサーチしましょう。
一方で、一般企業に就職したい場合はまずはどんな業界・業務に興味があるのか、自分の性格や長所・短所を活かすためには事務職・営業職などどんな職種が向いているのかを自己分析してみることをおすすめします。転職サイトや転職本などで自己分析の方法については紹介されているので、参考にしてみましょう。これまで競技以外に打ち込んだものがない場合は、まずは自己分析をして自分のことを客観的によく理解することで、活躍できる可能性がある場所を広げることができます。それから給与や勤務時間など希望する働き方の条件を挙げて、自己分析結果と合致する企業を探しましょう。
内定を獲得するためには、「柔軟かつ持続的に就活に取り組むこと」が重要です。競技関連の企業に就職したくてもその時に職員の募集がなければ、収入を得るためにも一般企業への就活に切り替えるしかありません。また、一般企業の就活では社会人経験の乏しさを理由に、なかなか内定を獲得できない可能性があります。そんな時には諦めずにモチベーションを高く保ち、就活を継続することが大切です。応募する企業の間口を広げるという手もありますが、興味のある業界でもなく、給与・勤務時間など希望する条件に合致しない企業に就職しても、しばらく働いて辞めてしまっては今よりもさらに年齢を重ねてから再び就活に取り組むこととなってしまいます。
どんな人にも得意・不得意や企業との相性があるので、選ばずにむやみやたらに就活をするのはおすすめできません。就活を続けていても種類審査の時点で落とされたり、面接に進めても不採用になったりしてなかなか内定を獲得できないと焦って不安な気持ちになるのは分かります。しかし、就活においてはこれから長期間働くことになる企業を選ぶ訳なので、慎重に進めるようにしましょう。
就活に成功した人の中には競技引退後に貯金を切り崩して専門学校に通い、技術や資格を取得してアピールポイントを身に着けてから就活した人もいます。一定期間は支出ばかりになってしまうので、もしかするとこの方法は一見遠回りだと感じる人もいるかもしれません。しかし、社会人経験が乏しく競技以外にアピールできることが見つけられない場合は、一定期間は貯金を切り崩してでも手に職を付けたり、国家資格を取得したりして社会に通用する人材になることが、就活においてはかえって近道になることもあるのです。とりあえず就活してみて行き詰まってしまった方や効率よく就活したいと考える方は、技術や資格を取得してから就活する方法もあることを覚えておきましょう。
社会人経験が乏しいアスリートは「金銭感覚が希薄だ」と言われることもありますが、現役の間から競技引退後にどのくらいのお金が必要になるのか、どうやったら就活をスムーズに進めることができるのかをマネープランとともに自分の行動を計画立てておくことで、金銭面での不安を解消することができます。競技生活中は競技に専念しているので、なかなか将来のことまで考える余裕はないかもしれません。しかし、競技引退後も続いていく人生をより良いものにするために、引退して初めてこれからのことや就活について考えるのではなく、引退前から先輩に話を聞いたりインターネットで情報を集めたりするなどして考えておくようにしましょう。
まとめ
社会人経験が乏しいアスリートは就活してもなかなか内定を獲得することができないので、競技引退後の就活で抱える不安はとても大きなものです。競技引退後の就活と一般就活との違いとしてまず挙げられるのは、企業が人材に期待することが違うということで、一般就活では採用後の成長が期待される一方で競技引退後の就活では即戦力が求められます。また、競技引退後の就活ではこれまでの良い行いや築き上げてきた人脈が活かせることがあるので、競技生活中の態度や姿勢が良くも悪くも反映される可能性があります。
競技引退後の就活でなかなか内定を獲得できないと不安が募りますが、情報収集や自己分析をすることから始め、持続的に就活に取り組むことが大切です。就活に成功した人の中には競技引退後に貯金を切り崩して専門学校に通い、技術や資格を取得してアピールポイントを身に着けてから就活した人もいます。内定を獲得できるように、粘り強く取り組んでみましょう。
とはいえ人脈を持っている業界のポストが空いているとは限りませんし、貯金額にも限界がありますから、「競技引退後すぐに就職先が決まらなかったどうしよう」と不安を抱えるアスリートも多いですよね。そんなアスリートの皆さんには、アスリートの就職に特化した就活エージェントに頼ることをオススメします。
アスリートの就職に特化した就活エージェントなら、アスリートを積極的に受け入れている企業と多く契約し、内定を得やすい企業を紹介することが可能です。しかも、競技引退後のアスリートがどんな風に就活すれば内定を得やすいかノウハウを心得ているので、就活を確実に内定へと結びつけることができます。社会人経験も就活経験も乏しい競技引退後のアスリートが素早く就活を成功させるには、アスリートの就職に特化した就活エージェントに頼るのが一番です。
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