[最終更新日]2023年9月19日  [記事公開日]2021年11月29日

「未経験歓迎!」は罠なのか?真相と企業の見抜く方を解説

転職求人サイトを見ているとよく「未経験歓迎!」という文字を目にすると思います。この情報が確かなものであれば転職者も安心して応募できるでしょうが、「未経験歓迎という決まり文句は”罠”」という噂からエントリーできずにいるのではないでしょうか。

では実際、「未経験歓迎!」は罠なのでしょうか。

「未経験歓迎」は罠なのか?

「未経験歓迎」は罠なのか?

転職などを考える際、募集要項や応募に必要な資格、経験については、多くの人が目を通している部分です。ここに、「未経験歓迎」という言葉が大きく書かれていることがよくあります。一見、未経験でも誰でも採用の可能性があるという風に捉えられますが、実際に応募してみると、未経験者はことごとく不採用だったというのは多い話です。実は、この「未経験歓迎」は企業によって定義が違います。単純に、注目を集めたい時に使う場合もあります。

例えば、ある程度の経験は積んできたけど、人に自慢できるようなスキルを持っていない人からすれば、経験者募集などの求人には応募することをためらってしまうことがあります。しかし、未経験歓迎となれば、それほど難しい仕事を最初から任されることはないだろうという安心感から、募集が集まりやすい傾向にあるのです。さらに、未経験と言っても、全く働いた経験がない人全般を指すのか、それとも社会人経験があるけれどもその分野の経験がないことを指すのか、ということも考えなければなりません。

「未経験歓迎」はあくまでも注目を集めるためのキャッチコピーで、歓迎はするけど、経験者がその中にいたら経験者を優先して採用する、という意味が込められていることもあります。ある意味、本当の未経験者にとって、この文面は罠ともなることがあるのです。

未経験歓迎を掲げる企業の意図と目的

未経験歓迎を掲げる企業の意図と目的

企業が求人を出すということは、もっと業務を効率化したい、利益を伸ばして会社を成長させたい、といった意図があると言えます。それなら単純に、経験者だけを中心に募集をかければいい話ではないかということにもなりますが、それでも未経験歓迎を募集要項に加えるのには、きちんとした意図と目的があるからです。

まずは、単純に人材不足が挙げられます。通常、企業は大卒や高卒の新卒を中心に採用を行って、社員を確保します。それでも人手が足りていない場合は、即戦力や人手不足解消のために、新卒者の代替となる人を探す目的で求人を出します。こういった場合は、業績云々の前に人手が足りていないことが問題となっているため、経験者ではなくとも、未経験者でも採用の候補に入ります。

これまでの会社の流れを変えたい場合も、未経験募集として求人を出すことがあります。業界の経験がある人が入ってくると、どうしても考え方が今までの流れに偏りがちになってしまうものです。しかし、全く知識のない人を入れることで、思わぬ視点からの考察や質問が出てくることがあり、企業としての新たな課題に気付くきっかけにもなります。こういったことから、これまでその企業の中になかった力や発想を展開してくれる人材を見つけることも大事となってきます。過去の経験や意気込み、やる気によっては、早くに引き込んで育成することで、将来的には戦力として成長することもあるため、あえて経験者ではなく、未経験者を募集することがあるのです。

その業界において、経験のある人材が少なくなっている場合もあります。例えば、建築関係や農業、職人などは、近年、従事する人が減少傾向にあります。また、一度その企業に就くと、転職せずにそのままずっと同じ所で勤めている、ということも珍しくありません。

その場合、新たな人材を確保しようにも、そもそも人材市場に出回る人が少なすぎて、経験者のみに的を絞っていると、全く人が集まらないのが現状なのです。そこで、全くの未経験者であっても歓迎する、ということはよくあります。特に伝統工芸品などの職人などは、才能や適正によっても大きく左右される業種であるため、一から育成していく必要もあり、あえて未経験者を採用していることが多いです。

「経験者優遇」と「未経験歓迎」という言葉が並んで募集要項に記載されている場合もあります。これは、できれば経験者の方が望ましいが、経験者からの応募がない場合は未経験でも積極的に採用する、という意図があります。必ずしも、業績やスキルのみで採用しているわけではありません。未経験であっても、その人の持つポテンシャルから将来有望と判断されれば、未経験であっても十分、採用の可能性は高まります。門前払いにはならないなら、まずは応募してみようかという、求職者の意欲をかき立てる文面です。

とにかく1人でも多くの人員が欲しい場合に使う時もあります。企業に丁寧に選考をしている余裕がない場合に、こういった求人が出されることもあります。経験者にこだわっていては運営上問題があるなど、質より量を優先する場合などに多いです。特に、コールセンターや多くの作業を分担して行う業種など、とにかく多くの人手を確保することで効率よく業務を回せるような場合には、こういった理由で求人が出されています。

他には、世間一般的に見て、業務内容が激務であまりいいイメージを持たれていない場合や、資金の問題で経験者に見合う条件を出せない場合など、マイナスな背景を持つこともあります。しかし、全てがネガティブな理由ではなく、先に述べた通り、考えの流れを柔軟にしたいという狙いや、一から育てることを目的としていることもよくあります。人員活性化のためにあえて行っている場合もあるため、前向きな意図として捉えることもできるのです。

求人情報から企業を見抜く方法

求人情報から企業を見抜く方法

様々な求人の中でよく聞く言葉に、「ブラック企業」と「ホワイト企業」があります。ブラック企業には、労働者を酷使している割に賃金が安かったり、残業代が出なかったり、パワハラやセクハラが横行していたり、といったイメージがあります。できればこういった企業は、応募の段階から外しておきたいところです。どういった条件を出している企業がブラック企業で、それはどこを見たら判断できるのか、という力を身につけておくと、転職でもスムーズにいきやすいでしょう。

ブラック企業の求人に多い文面や募集条件、要項として、仕事内容が曖昧だったり、経営理念が精神論だったりします。「未経験歓迎」と書いている割に無駄に賃金が高い、採用予定人数が多すぎる、いつ見ても募集をかけている、なども挙げられます。例えば飲食店の求人の場合、接客、レジ打ち、清掃、ホールまたはキッチン業務のみなど、明確な業務内容が事細かく記されていることが一般的です。この業務内容の記載部分が「誰にでもできる簡単な仕事」「営業のみ」「資料作成からお願いします」という風に、具体的な業務内容が見えない求人には注意が必要です。

具体的に業務内容が書けないということは、細かい業務内容を書いてしまうと誰も応募してくれなくなるから、という背景が読み取れます。簡単な仕事から始まり、のちのち最初にはなかった仕事を次々と押し付けてくる可能性があります。そのような求人に応募する場合は、面接時に、詳しい業務内容や責任範囲を聞いておきましょう。これでも曖昧な態度を見せるようだと、ブラック企業の可能性が高いです。

時々、「やりがいのある仕事」「成長ができる仕事」といったキャッチコピーを大きく出している企業もあります。このように、精神論をごり押ししている場合、とにかく頑張ってやるという空気が社内にあり、パワハラなどが横行している場合があります。必ずしもすべての企業がそうだとは限りませんが、「やる気があれば誰でも歓迎」といったところは、やる気を理由にあれこれ仕事を押し付けてくる可能性があるため、精神論が見え隠れする求人には注意です。

未経験募集としている割に、初任給が通常の倍以上など相場よりも明らかに高い場合も、ブラック企業かもしれないと疑った方がいいかもしれません。やはり求職者にとっては生活がかかっているため、賃金がいくらもらえるのかは大事な部分となってきます。そこを逆手に取る企業があるのです。最初こそ高い賃金につられて入社しても、ブラック企業であった場合、賃金はほとんど上がらず昇格もない、なんてことはよくあります。さらに数年間、賃金が横ばいのまま、平均年収や中央値よりも圧倒的に低い水準のまま働かされる、なんてこともあります。

そのため、最初から賃金が高い割に、誰でも応募可としている求人は要注意です。賃金が今の会社は安いから、手っ取り早く給料の高い所に転職したい、という考えを持っている人ほど危険と言えます。こういった企業の場合は、面接の際に必ず昇給や昇格の制度、仕組みをしっかりと質問して、今後の賃金がどのように変動するのかを確かめておきましょう。業務内容を教えてくれない時と同様、曖昧だったり誤魔化したりするようだったら、採用されても辞退する方が無難です。

近年、サービス残業という言葉が横行していますが、その名の通り、いくら残業しても賃金が出ないことを指します。求人で「〇〇時間の残業手当を含む」といった記載を見かけたことがある人は多いでしょうが、これがサービス残業の罠です。これはいわゆる「みなし残業」と言われており、残業しようがしまいが、これ以上賃金が上がらない、という意味があります。この文面から分かることは、残業さえしなければそれなりに高い賃金を貰っているように見えますが、みなし残業代を引いた本当の月収はもっと低い、ということです。

単純に残業しなければいいのでは、と考える人もいますが、そもそも残業をしなくてもいい業務内容であれば、あえてこのようなみなし残業制度を取り入れることはありません。つまり、社員の多くは残業をしている、ということが分かります。もし仮に、求人にあった以上の時間の残業をしても、それ以上収入は増えないために労働環境は過酷になり、上に訴えかけても「募集の段階からみなし残業だと明記してあるから」と言われたらそれまでです。ブラック企業にはみなし残業制度が多くあるため、注意が必要です。

採用予定人数を多く設定している企業や、常に求人が出ている企業は、離職率が高い傾向にあると分かる求人です。採用人数の多さやどの程度の頻度でその企業が求人を出しているかで、離職率をだいたい判断することができます。例えば、従業員数が50名程度の会社で10名以上募集をかけているとなると、5分の1の人材を補填しないといけない状態ということになります。これは明らかに不自然です。

事業を拡大するとか、新しく店舗をオープンさせるにあたってオープニングスタッフが必要な場合などは、きちんとした理由がわかるため、さほど怪しいとは言えません。しかし、何もないにも関わらず、採用予定人数の数が明らかに多い場合は、単純に離職率が高いが故に人手不足、ということとなります。離職率が高いということはその分、企業に不満があるとも読み取れます。

また、入社してもすぐに辞めてしまう人が多い企業は、いつも求人が出ています。単純に、立地の問題や業務内容のせいでマイナスイメージを持たれて応募が集まらないなら仕方ありませんが、明らかに好条件なのに常に求人が出ている場合は要注意です。こういった企業は、人を使い捨てにしても平気と考えていることが多く、いなくなれば適当に募集すればいいといった、酷い考えを持っていることもあります。社員が定着しない企業には裏の事情があります。理由もわからないのに大量採用を売りにしている会社、いつ見ても求人があるという企業には特に注意しましょう。

まとめ

未経験歓迎としている求人は必ずしも、応募者全員、完全なる初心者を歓迎しているという意味や意図ではないことがあります。そのため、せっかく応募しても経験者の募集が多ければ未経験者は後回しにされることもあります。ある意味で罠とも言える募集事項です。また、未経験者を狙ってブラック企業が大量採用を行っているという場合も存在するため、応募する際はしっかりと企業情報を入手しておきましょう。

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