[最終更新日]2023年9月25日 [記事公開日]2021年9月10日
既卒の就職はどれほど厳しいのか?具体的な厳しさと成功のための秘策
「既卒で就職するのは難しい。」
これから既卒として就活をしていく人にとっては耳の痛い言葉だと思います。そして実際にそんな既卒就活に関する不安は大きなものとなるでしょう。
では実際、既卒の就職とはどれほど厳しいのでしょうか。今回このコラムではそんな既卒の就職の厳しさや受かるための対策法などについて解説していきます。
既卒とは?
既卒とは一般的に「高校、短大、大学などの学校を卒業後、一度も正社員として働いたことがない人を指します。アルバイトやパートで働いている人も「フリーター」と呼ばれ、既卒の定義には、フリーターも含まれます。既卒の他には、中途や第二新卒と呼ばれるものもあります。中途は、過去に一度以上会社の中で働いた経験があることをさします。
そのため、前職を辞めてからブランクがあっても経歴上の扱いは中途となります。最近の応募枠では第二新卒という言葉をよく見かけます。第二新卒とは、中途の中で新卒入社した会社を3年以内に退職した人のことをさします。3年以内というのは一般的な捉えかたなので企業によって異なる場合もありますが、ブランクによる違和感を感じる限界が2~3年ということから一般的な定義になっています。結論として、既卒と他を分ける明確な定義は「会社で働いたことがあるか否か」の違いです。
既卒から就職を目指す厳しさ
初めに、既卒は就業経験がないため不利になることが多いです。マイナビの調査では、既卒者の就職率は2020年度で約34.4%。新卒採用が約77.6%ということから約3人に1人しか就職できていない現状です。既卒になった理由として、問題発生までの考え方に原因があることも多いです。「入社前に内定先の企業が倒産した」といった自然発生的な要因であれば問題はありません。しかし、「アルバイトに夢中になって、就職活動が後回しになった」、「学業の単位を取得するのに必死だった」というネガティブなものであれば、それまでの学生気分を入れ替えて就職活動しなければ挫折しやすくなってしまいます。
ブランクがある人や1人で就職活動を行う場合には、さらに就職成功までの道のりは厳しくなります。人は環境になじむため、周りに働いている人がいなければ堕落してしまい面接時の回答も自分本位の答えになりやすくなります。人間関係が希薄になり、対人スキルが低いため質問に対する答えになっていないケースです。自分の中で「これはいい」と思っていても採用側の立場にたたなければ成功はできません。既卒者は新卒者と比較しても劣等感をもって就職活動を始めたり、焦りから行動してしまうことがよくあるので気をつけるようにしましょう。
ネット上には面接時の参考回答例や履歴書の書き方など様々なものがアップされています。経験がないことから安易に模範解答例を使ってしまう人もいますが問題外です。採用側の視点で考えることがとても重要です。もっとも面接時に聞かれることは、なぜ在学中に就職活動を終わらせられなかったのか。マイナビのキャリアリサーチでも既卒者に面接で特に確認することの2つが「「在学中に就職活動を行わなかった理由」「在学中に就職活動を終了しなかった理由」です。
この2つは聞きたい質問の6割を超えていますので、しっかりと自分を見直して回答の擦り合わせを行うことが大切です。採用者側から見れば、社会人経験がないことも一抹の不安要素です。社会人経験がないということはビジネスマナーも実践で学んでいないということ。本来であれば、新卒の時に培うのものでありスタート時点で遅れています。ビジネス文書や服装のマナーは社会人経験者は学んでいるので遅れた分を取り戻すために事前に本などで勉強しておきましょう。
しかし、朗報もあります。厚生省が既卒に対しても「卒業後3年間は新卒扱い」の意向を示しています。これは、不景気の影響で煽りをうけた学生に対しての救済措置。厚生労働省の調査によると、約95%の事業所が卒業後3年以内の既卒者を新卒として採用していることを発表しています。新卒扱いである方が有利ですので該当する既卒者は有効活用しましょう。企業と既卒者には認識に違いがあります。既卒者はHPや応募欄に既卒者を募集しているかどうかを必ず確認します。
しかし、企業側では既卒者を受け入れるかどうかを明記していない企業が約5割の半数程度あるのです。ここで、既卒者はあきらめてしまうケースがよくあります。しかし、分からない場合は遠慮をせずに問い合わせしましょう。自らの手で可能性を小さくしてしまうなんてもったいないです。案外、問い合わせをすると企業側は「一度、履歴書を送ってください」と返答されることが多いです。面接まで進むかどうかも企業側の判断なので分からない時は事前に問い合わせをするようにしましょう。
既卒者が悩むのは、就業経験がないことからくる同期とのキャリア格差、就職の活動内容の不安などがあげられます。就業経験がないことによるハンデは、ハングリー精神をだすこと。企業としては当然、やる気をみせてほしいと思っているので熱意は存分に見せていくこと。
就職活動の不安はキャリアセンターやエージェントの利用など使用できるものは徹底的に活用していくこと。実際にやってみて必要ないと感じれば、利用できるものだけに絞っていくのが効果的です。どうしても既卒者は1人で活動するケースが多くなるため、既卒者として空白期間の説明が不十分であったり、自己分析が疎かという問題がほとんどです。中途採用と違って、就業経験がないということは組織の対応力や前職で培った技術がないということ。
そのために即戦力ではなく、熱意やなぜこの会社で働きたいのかを表現しましょう。空白期間を経て、なぜ働く意欲が湧いたのか。自己分析をしっかり行い、安易な自己完結で終わらせず徹底的にやりましょう。
既卒の就職成功のための秘訣
既存者が成功させるためには、事前準備がもっとも大切です。予期される質問に対応するための答えを前もって最大限に用意しておくことが必要不可欠。マイナビが発表した2020年度の既卒学生の内定率は34%。3人に1人の採用率と置き換えると厳しい数値です。採用側の視点で物事をみましょう。面接官が知りたい事実はなぜ在学期間中に就職活動を終わらせられなかったのかが主です。ほとんどの場合は就職意欲がなかったことに原因がありますが、隠した綺麗ごとの嘘は言わないようにしましょう。
面接官は過去に様々な人を見ていますので取りつくろった話はすぐに見抜きます。面接対策でお勧めは、エージェントサービスを活用すること。なぜなら面接対策は一人ではできません。面接のプロにお願いをすることで予測できなかった質問内容や最新の業界情報なども教えてくれます。既卒者になってしまった引け目を感じて、傷つきたくない理由から利用しない人もいますが、余計なプライドは捨てて今すぐ利用するようにしましょう。
お勧めのエージェントサービスは、インターネット上から探してともかく登録すること。担当が合わなければ交代してもらうなどの工夫は必要です。これからともに歩むパートナーであり、相談や面談対策を一緒に行う相手ですので、気兼ねなく相談できて信頼がおけることが大切です。
志望理由は明確にしましょう。志望理由を会社によって使い分けることを面倒に思い、同じ内容を使いまわす志望者も存在します。抽象的な回答のどの会社にも当てはまる内容ではなく「なぜその会社でなければならないのか」を明確にし、何度も擦り合わせをしてください。質問の回答の想起に対して「なぜ」を繰り返し、これ以上答えでてこなくなるまで実施してください。
最後にでてくるものはあなたが本当に志望したい根本の部分になります。応募する際には、給与面や就業時間などの待遇に対する質問は極力やめましょう。お金は大切ですが、会社で頑張れば給与はあがります。企業側は既卒者に対してやる気を見たいため、就職活動を頑張れなかった理由にそういう部分なのではないかと思われます。既卒者は新卒者と必ず比較されます。
同程度のレベルと思われ比較された場合、採用されやすいのは新卒者です。なぜなら一般的に新卒者の方が就業意欲が高いからです。ここで新卒者に負けないやる気を見せることが大切です。「なぜ」を意識し、なぜその会社でなければならないのか。入社したらどこを目指すのか。それを目指すのはなぜなのか。自分が望むもの自分を合わせ、徹底的に質疑応答力を磨いていきましょう。
応募する会社に入りたい熱意は言葉にして伝えましょう。スキルや実績がないわけなので、「〇〇の部分に貢献できます」というのは絵空事になります。抽象的なことより具体的なことが好まれます。数字を用いることができる部分は数値を用いましょう。そして、メモ帳をつくり気づきは必ずメモをすること。面接後もすぐにどういった質問があったのか。この回答はこうするべきだったなどはいつでも書くこと。書くことで思考が整理され、失敗しても成功する確率は高くなります。
やる気をみせる方法として、有効な「メラビアンの法則」があります。人の第一印象は、見た目などの視覚情報が55%、口調などの聴覚情報が38%、話す内容などの言語情報が7%の割合と言われます。この数値からも人は無意識に見た目で判断しています。イケメンや美人と一緒で、やる気があるか信用できるかどうかなどを見ているのです。もちろん、これだけでは分かりませんが短い時間の中では視覚効果だとても大切ですので意識しましょう。
既卒者になると、就業経験が無いため服装にも個性をだしたいと考えがちです。個性も大切ですが、大切なのは「正しく清潔に着る」ということ。身体にフィットしていない服はだらしなく見えます。ビジネススーツなどの着方に関する本は一冊購入しておくと、さっと取りだしやすく便利です。
オンライン面接も多くなっています。映り方だけでも事前準備しているか分かります。悪い例は、スマホの縦スタイル、家を映したくないためカフェなどの環境音が入る場所、下から顔を映すなど相手に配慮していないケースはよく見受けられますのでやめましょう。必ずパソコンを使い、自宅で参加しましょう。映すときはやや上から顔を映します。お金に余裕がある人は、ライトを購入して顔にあてるだけで明るい印象になるのでやりましょう。
対面でのオフライン面接対策もドアの入り方や、最初と最後の挨拶はエージェントを必ず活用して事前練習を忘れないでください。オンラインもオフラインにおいても成功するまでが就活です。面接が終わった後に気が抜ける人もいますが、手紙を書きましょう。手紙を書くのは面接が終わってすぐです。当日中に実施します。対面であれば、帰り際に近くのカフェで書いてそのまま出す。明日には届くぐらいの気持ちが大切です。面接官も人が行います。
新卒者と比較されている場合は、心象がよくなり受かるケースもあります。計算ではありませんが、感謝の気持をこめて書きましょう。内容は、時間を割いてまで面接をして頂いたことに関する感謝の気持ちと、面接をして自分がどう思ったのか。御社に入りたい気持ちが深まったなど仕事に関する内容を書いてください。
まとめ
既卒者の就職活動は厳しい現状であることは間違いありません。しかし、この不況の中で既卒者にもチャンスが数多くあります。AIによる人員削減など、若い世代を確保することが非常に難しく、若い既卒者でも採用する積極的に採用している企業も増えてきています。中途や第二新卒と比較して就業経験が無いことに加え、新卒者と比較される存在です。
その中でも3人に1人は就職活動に成功してるのは事実です。1社だけを重点的に志望するのではなくエントリー数を増やして、たくさん挑戦していきましょう。できる限り既卒の応募が優遇されている企業の求人をうけること。エージェントをしっかり活用すること。そして、なぜ既卒であり今まで空白の時間があるのかを明確に回答すること。
既卒はハンデではなく個性ととらえましょう。過去は変えられません。本番の舞台でも弱みは強みであると気持ちを切り替え、一貫性を持って行うこと。この瞬間から動き、行動量を増やしましょう。準備を万全にするものだけが成功します。これでもかというまで何度も挑戦し、継続して改善。そして、また挑戦。PDCAを回し続け、就職を成功させましょう。
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