[最終更新日]2023年10月2日 [記事公開日]2021年5月13日
第二新卒が大手企業に転職するのは無理じゃない?真相と内定に近づくための対策法
日本はすでに未曽有の少子高齢化時代に突入しており、同年代の卒業予定の大学生の数は、過去と比較して減少しています。大きく考えれば就活生にとっての売り手市場であることは間違いありませんが、だからといって、過去も今も人気の企業やいわゆる大企業とカテゴライズされる企業への就職活動の難しさに変わりはありません。
特に、2020年初頭から始まったコロナ禍の現状では、採用数自体を絞る傾向にある企業に就職したい学生にとっては、事態は好転どころか悪化しています。これは、就職したい学生数と採用したい企業側の募集枠との需要と供給の関係性のため、人気の高い企業への応募が減らない限りは大きく変化しないことも当然です。
また、せっかく新卒で入社しても短期間で辞めてしまう学生の数が、近年、確実に増加しました。入社後わずか3年以内に辞めてしまう新入社員の数は、就職活動を行ってどこかの企業に入社した学生総数の30%に及ぶと、厚生労働省の調査で明らかになっています。
従来のように、一度就職したら同じ企業で定年を迎えるという慣習が当たり前であった日本の労働環境が大きく変化した証でもあるのでしょうが、一つの企業にしがみつこうという若者は少数派になった印象さえあります。
入社しても短期間で辞めてしまったものの、再び就職活動をしている若者は第二新卒と呼ばれますが、その就職状況を見るにつけ、不可能ではないけれども、希望する就職ができるかと言えば難しいというのが現状でしょう。
第二新卒が大手に転職するのは無理なのか?
新卒でも内定を勝ち取るのが難しい人気の大企業への第二新卒の就職活動は、枠が小さくなった分だけ、より難しくなった可能性があります。そもそも大手企業に第二新卒が採用されにくい理由は、従来から続いている新卒採用制度の存在です。
新卒も中途もそれぞれ採用していますと言える企業の方が、組織の柔軟性に富んでいる印象を与えられますから、企業としては実態はともかく、体外的にはそうアピールするでしょう。しかし、現実問題として新卒が重要な理由は、社員の出世レースに深く関わっていることです。
これは、そうした新卒制度をかたくなに守り続ける省庁にも同じことが言えます。○○年次入社・入省なのだから、次に課長になるのはこの代の候補者から、という堅固な年功序列制度の下では、この新卒というスタートラインが乱れてしまっては後に禍根を残すことになるため、これまでは絶対に触れられない部分でした。
大手企業の中にはより柔軟に新卒制度の枠を超えた人事のポリシーを打ち出してきた企業もありますが、大多数の大企業では、まだ年功序列によって社内秩序が保たれています。まれに、何かの不祥事などで経営層が刷新される場合等に、何人抜きで社長に抜擢されたと大ニュースになることがあるのがその証拠です。順番を飛ばすことは、人事の大ニュースなのです。
もし、これまでの年功序列を覆されると、これまで長年にわたって仕えれば、収入面でも地位の面でも報われると我慢して働いてきた多くの社員たちのハシゴを外すことになります。一時期、隆盛になった成果主義の導入も、結局は最後の最後で恩情の年功序列の忖度が加わるなどして、本当に成果を挙げた社員が正当に認められない結果が増え、徐々に廃れていきました。欧米企業の形だけを真似ても、結局は日本独自の年功序列を中途半端に残した結果、どちらの良さも失われてしまった印象でした。
それだけ日本では根付きにくい柔軟な人事採用ですが、一方で、そうも言っていられなくなってきた背景もあります。それは、まさに少子高齢化によって若者の絶対数が減少していることです。平たく言えば、大企業同士で、若くて優秀な人材の争奪戦を行っているということです。そして、もう1つの要因が、前述した若者の3年以内の離職率が30%を超えているという事実です。これまでの常識では計り知れないトレンドによって、大企業であっても短期間で辞められる時代が到来し、減少した分の同世代の人数を補う必要が生じるようになったということです。
そこで、第二新卒の存在感というものがクローズアップされてきた側面はあります。企業が第二新卒を採用したがる理由は主に2つあり、まだ若いので、辞めてしまった若い世代の年代層を補える存在になれること、そして基本的な社会人としてのマナーや知識、経験は備えているので、ゼロからの新卒者と比べれば、研修などの人材育成費用が半分程度で済むということです。
もし大企業であっても、出世レースに関するスタートラインの調整問題をクリアできれば、第二新卒を採用するメリットを感じることはできるはずです。ですから、そういう意味では若手社員が辞めた後の後釜として、大企業の第二新卒採用の需要はゼロではないと考えられます。
第二新卒を受け入れている大手企業の特徴
すでに実際に第二新卒採用の実績を他社よりも高く評価されている大企業を見てみましょう。例えば、日本の製造業の雄と言えばトヨタ自動車を筆頭に挙げる人は多いでしょうが、この日本でも指折りのトップ企業は、第二新卒を多く採用していると言われています。細かい数字は公表されていませんが、転職をサポートしたエージェントからの実績などを元に、労働市場から高く評価されています。
エージェントが正社員として働けるのなら、規模の面でも売上の面でも、将来性の面でも、どの自動車会社よりもトヨタがいいと言い切るほど、信頼性が高い企業です。社員総数も段違いで最も多いため、第二新卒の採用にも柔軟なのかもしれません。
しかし、こうした企業の規模で判断することが常に正しいかと言えば、そうとも言い切れないため、注意が必要です。ポイントは、その企業が将来性がある業界なのか、もはや衰退している業種であるかということです。当然、今後の将来の業績を見据えて積極的に第二新卒も採用していくポリシーを持ちやすいのは前者であり、後者のようにどちらかと言えば現状でもリストラを断行せざるを得ない厳しい状況にある業界であれば、第二新卒どころか新卒採用も縮小されるはずです。
具体例を挙げれば、前者の第二新卒採用も期待できる業界はIT業界です。すでに募集の時点で第二新卒でも可能と言っているサイボウズ、日本オラクル、Yahoo!、富士通などは、積極的に若者の採用に力を入れており、第二新卒の採用にも前向きな印象です。外資系であれば、他の一般的な中途採用のケースと同様に、なおさら第二新卒だから無理という制約は低いでしょう。
反面、いま最も第二新卒の採用を期待できないであろう業界は金融です。建前上は募集をしているように見えても、AIの技術進化によって要らなくなるポジションが急増していることは、銀行員でなくとも報道の中で多くの知るところとなっています。
いざコロナ禍で不採算支店を閉鎖しようという動きが避けられなくなると、規模の利益を追い求めて統廃合を繰り返してきたメガバンクでも、整理しきれていなかった人員の重複や過剰の実態がさらに露呈してきたことも含め、現行のリストラの流れは止められないところまできています。経済紙の記事では、これからの数年間で、少なくとも3つ以上のメガバンクが何万人ものリストラを計画していると予測しています。
その募集に応じて仮に入行できたとしても、すぐにリストラされてしまうのでは、やはりリスクが高いと言わざるを得ません。このように、大企業と一口に言っても、それぞれの業界が抱えている内情を考慮しなければ、新卒だろうと第二新卒だろうと、長期的な安定を得ることはかないません。
第二新卒が大手企業に近づくための秘策
一つ確実に言えることは、社会全体を見渡すと、どの企業も中長期的な経営戦略を立案する上で、社員の年齢構成にも配慮する必要があるということです。どの年代層の社員構成であっても、ある一定数の若手社員の確保は必要であり、もし早期退職されてしまった場合は、こうした若い年齢層の欠員を埋めるべく、これまでは積極的に採用してこなかった第二新卒の採用枠拡大が検討されることも自然な流れであると言えます。
そういう面では、第二新卒の転職活動の兆しはありますし、大企業であってもそのチャンスはゼロではないということが言えます。ただし、何もしなくてもただチャンスが転がってくるわけではありません。以下のポイントを意識しながら、より積極的に就職活動をする必要があります。
まず、絶対に必要なことは、第二新卒のデメリットを打ち消すことです。第二新卒を採用する上で企業が気にするポイントは、なぜ辞めたのかという動機です。ただつらくて辞めた、人間関係がうまくいかずに辞めた、というだけの理由を正当化するようでは、たとえ入社させたとしても、また同じ理由で退職していく可能性を否定できません。人間関係などは、組織が大きかろうと小さかろうと、どんな業界や職種であろうとも、必ず起こり得る問題です。程度の差はあっても、この人間関係問題にぶつかることは避けては通れません。
その時に、人間力を発揮して対応したり、回避するように流したりして、問題を顕在化させない能力があるかどうかを問われるわけです。ですので、面接の際には、ポジティブなコメントが求められます。例えば、人間関係のことには触れずに、転職を希望する理由は、新卒時の就職活動ではかなわなかった第一志望の業界で働きたい気持ちを変えられなかったと説明すべきです。正直に、上司とうまくやれなかったのがストレスだったと言わないことが肝要です。
また、過度の成果や実績のアピールは逆効果になることも多いでしょう。2~3年勤めたとはいえ、まだまだ経験の浅い若手社員です。行ってきた業務内容をしっかりとアピールすることは重要ですが、チームでの成果をさも自分一人の成果であるかのように誇張するなどの発言は、人事にはあっさりと見抜かれてしまいます。企業が求めるのは、これから自社の色に染めていける素直で真っすぐな人材ですので、これからの将来への貢献を話すことが得策でしょう。
前章で述べた通り、発展している業界と衰退気味の業界を見極めることも大切です。なぜなら、採用される可能性に直結するからです。仮にリストラが横行している金融業界に就職できたとしても、自分も毎日リストラにおびえる社員の一人になってしまいます。
最後に、もし可能であるなら、転職エージェントに登録して、プロフェッショナルのコンサルティングを受けることを絶対におすすめします。やはり、企業の募集情報に精通しているのは、転職のプロフェッショナルであるエージェントです。加えて、転職をする最適な時期はいつなのか、今人材が不足している業界はどこなのか、これまでの第二新卒者のキャリアを考えた際に最も生かせる転職先の候補はどの業界なのかという細かい情報を得ることも可能です。
そして、面接に通りやすい受け答えのアドバイス、履歴書や職務経歴書の書き方を添削してくれるサービスなどもあるので、最高の準備を行うためにも、広く深くプロフェッショナルのアドバイスを受けられるエージェントのサポートは必須と言えるでしょう。
まとめ
これまでの日本の就職事情は、コロナ禍にあって激変しました。働くことへの価値観も変化し、もはや終身雇用を信じている純粋な日本人は存在しないかもしれません。そうした変化に柔軟に対応していく必要があるのは、企業の側も応募者である第二新卒の側も同じことです。結論から言えば、大企業への就職を希望する若者が多い以上は、大企業に限った就職は第二新卒にとって厳しいという状況は変わりません。
しかし、今後さらにチャンスが広がる可能性は高くなるであろうという推測も成り立ちます。効果的な準備とアプローチで臨めば、第二新卒の大企業への就職は不可能とは言い切れません。
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