[最終更新日]2023年9月12日  [記事公開日]2022年9月20日

【企業向け採用マニュアル】新卒採用の流れと優秀な人材の見極め方

優秀な人材を集めるために新卒採用を行おうと思っても、なかなかうまく行かないと考える企業が多くあります。現在は新卒者の数よりも求人数の方が多いためです。そこで、十分な数の応募を集めるために事前の準備をどうすべきか、実際の採用活動でどんな点に気を付けたら良いかを考えてみましょう。また、書類選考や面接を通して、どのように優秀な人材を見極めることができるかをチェックしてみましょう。

基本的な新卒採用スケジュール

基本的な新卒採用スケジュール

新卒採用の企業向けスケジュールを組むに当たっては、いくつかの指針を考える必要があります。というのも、採用活動を行うための産業界のルールや習慣が存在するからです。この点に関して、経団連は「採用選考に関する指針」というものを出していました。たとえば、採用についての広報や選考活動、内定についての期間を具体的に提示していたわけです。こうすることで、いわゆる企業による抜け駆けを防ぐ目的を果たすことができました。

こうした経団連による指針は2020年卒までとなっていて、現在ではそこまで具体的なルールは出されていません。しかし、こうした習慣がずっと続いてきましたので、ある程度業界としての暗黙のルールを理解して進めることが求められます。また、政府主導である程度の企業向けスケジュール指針が示されるようになっていますので、それに従うことも重要です。

こうしたいわば公式に近い企業向けルールや習慣を考えた上で、それぞれの企業が新卒採用に至るスケジュールを決めていくことになります。実際には、自社でインターンをするかどうかなど、それぞれの採用に関係する企業活動の内容次第です。一般的には、大学3年生の時点における3月1日から、企業側で採用についての広報を開始できます。

もちろん、これはあくまでも公式な採用広報です。実際には多くの企業が、これより早く広報活動を開始しています。たとえば、ホームページ上で、採用枠についての明言はせずに業務内容や採用実績などを掲載すると共に、自社の魅力などを発信するといったやり方です。少なくても広報活動については、できるだけ早く通年という形で企業PRをする方が良いでしょう。

その上で、3月1日から明確に対象を絞っての広報活動を行っていきます。もし、インターン制度を取り入れているのであれば、その前から行うこともできるでしょう。この場合、大学の休暇に合わせて8月から9月までにかけて実施すると応募が集まりやすいです。

その後、広報活動によって応募が集まってきますので、3月中旬から4月にかけて選考を行います。選考期間は応募者がどのくらい集まるかによって変わってくるものです。初期の募集で応募者が多数集まるのであれば、1か月くらいで締め切ることもあります。逆に応募者が集まらない、もしくは条件に適う人材がいないようであれば、2か月から3ヶ月程度かけることも珍しくないです。こうして、大学4年生の6月くらいには内々定という形で選考が終了します。

内々定が決まっても、そのまま入社するとは限らないので、内定者のフォローをし続けることが大切です。連絡を取り続けて、自社についての情報を継続的に提供したり、入社までの流れや手続きなどについて説明したりします。こうすることで、内定者を囲い込み、他の会社に取られてしまわないように予防するわけです。

企業によって違いはありますが、だいたい10月くらいに内定式などのセレモニーを行うこともあります。内定式があると内定者が本格的に入社する決意を固めやすくなり、人材確保を確実なものとできるのです。そして、年始くらいから具体的な入社に向けての手続きや、必要に応じて住居確保のフォローなどを行っていき、最終的に4月の入社式に間に合うようにします。

新卒採用を行ううえで意識すべきこと

新卒採用を行ううえで意識すべきこと

こうしたスケジュールで採用活動を行っていくのですが、それぞれのプロセスでポイントを押さえておく必要があります。そうしないと、学生が思うように集まらなかったり、選考後に内定者を決めても、その後辞退されてしまうケースが増えたりするからです。全体としては、スピーディーにそれぞれの活動を行っていくことが重要になります。というのも、他の企業に先を越されてしまうと、学生の関心がそちらに向いてしまいますし、先に内定を出されてしまうと、内定辞退者が増えるからです。

こうしたことを考えると、採用活動自体の開始もできるだけ早い方が有利ということになります。こうして学生を囲い込めるからです。しかし、あまりにも早い広報活動をすると、やはり業界からの反発を買いますし、大学側の印象も良くありません。そのため、少なくても明確な広報活動つまり応募受付については、大学3年生の3月1日以降にすべきです。習慣上のルールではありますが、やはりこうしたことを守ることでトラブルを避けられます。

こうした点を踏まえつつ、他の形で広報を行う工夫をすることがポイントとなります。たとえば、3月になる直前にインターンシップを実施するといった方法です。その年の1月から2月に実施することで、そのまま広報と応募受付に誘導できます。学生も自社についてしっかりと知ることができていますし、ある程度親近感を持った状態で広報を聞くことになりますので、応募する可能性が高くなるでしょう。

インターンシップを開催するのが難しい場合、本格的な広報活動と見なされない程度の、簡素にした学生向け説明会を開催することも1つの手です。基本的なこととして、自社ホームページの中に、もしくは特設サイトとして採用活動ページを設けます。具体的な募集要項や対象者は記さないまでも、事業案内や福利厚生の内容、新入社員へのインタビューなどを掲載することで、自社についてより良く知ってもらう助けとなるはずです。

正式に広報活動を行えるようになったら、多面的に実施することがポイントです。単にホームページ上でエントリー受付を開始するだけでなく、積極的に情報発信をしていきます。たとえば、大学などに出向いて説明会を実施したり、業界や就職エージェント主催の合同説明会に参加したりするのも手です。さらに、自社オフィスでも良いですし、どこかの会場を借りてでも良いですが、新卒者向け面談を開催するのも良いでしょう。

他にも、社内の人に声をかけて後輩に声をかけるように要請したり、OB・OG訪問を積極的に受け入れたりするというのも大事です。このようにして、複数のルートを通じて新卒者への広報を行い、できるだけ多くの応募者を集められるようにします。

その後、エントリーを受け付けたら、選考もできるだけ早く済ませることがポイントです。一定人数集まったらまとめて書類選考や面接をするというのは効率が良い方法ですが、多くの応募者が集まらない現状では、内定が遅くなってしまう原因となります。その間に、他の企業で内定が取れて、辞退者が増えるという事態が生じかねません。そのため可能な限り、応募を受け付け次第、順次選考を進めていくのが現実的です。

そして、指針で定められていた6月1日以降に、早く内定を通知できるようにしておきます。こうしたスケジュールだと、応募から内定まで期間が短いです。選考に迷わないように、事前に選考基準や最終選考を決定する権限者を決めておく必要があります。連絡通知の仕方を確認し、すぐに合否を通知できるようにしておくことも大切です。

このように、どのステップにおいてもスピーディーに物事を進めていくためには、事前の準備が非常に重要であることが分かります。いきなり採用活動に着手するのではなく、準備も早めに行うようにしましょう。たとえば、前年の夏くらいには、一期前の採用についての分析をし始めます。採用目標人数に達したのか、スケジュールには無理はなかったのか、トラブルや内定辞退者があったかどうかなどのデータを集めるわけです。そして、それを分析してどこに問題点があるかを洗い出し、スケジュールの調整や活動内容の改善を行っていきます。

さらに、すでに一期前の採用者の働きぶりなども見えてきているはずですので、選考がうまく行ったのかもチェックしてみましょう。優秀な人材と判断して採用したものの、現実はそうでもなかったということが起きていないかを調査します。それを踏まえて、採用基準や人事割当が適正なものだったのかを考え、必要なら改善を図ってください。

また、インターンシップを実施するようであれば、やはり早めに準備を始める必要があります。インターンシップは、広報活動よりもずっと早く大学に声をかけたり、ホームページ上で通知したりする必要があるからです。インターンシップは労務や法務上の調整も必要となりますので、人事部門だけでなく総務などと連携することが求められます。関係する課題を早めに洗い出して、学生に良い印象を与えられるようなインターンシップを実現しましょう。

新卒採用で優秀な人材を見つける方法

新卒採用で優秀な人材を見つける方法

応募者が少ないのも困りますが、たくさんの応募がある中から、優秀な人材を見つけ出して採用するというのも難しいものです。その判断としては、何をもって優秀とするかということを、社内でしっかりと統一しておくべきです。単に卒業大学だけを考えるのであれば簡単ですが、実務においては学歴が有能さとは比例しないことも多くあります。当然、学歴も判断基準とすることになりますが、それ以外の基準を明確にしておくことで、人材を見極めやすくなります。

優秀な人材と判断する主な評価基準は、スキル評価と人物像評価の2本立てです。スキルについては、それぞれの企業もしくは部門で求める技術や資格、経験などをリストアップしていくことで、評価点となるものを挙げられます。その中で、より重視したいスキルを優先順位にしてリスト化し、スコアリング評価にすると良いでしょう。たとえば、技術系の業務であれば、上位資格を持っている者については高スコアとするといった感じです。

一方の人物像評価は、見る人によって評価が分かれるという難題を抱えます。そのため、不公平なものとならないように、やはり評価項目とその優先度を決めることが大事です。面接をする時には、担当者がその評価項目を見ながら厳正にチェックしていくことができます。また、人物像を見るための質問や観察点も、評価項目が決まっていれば事前に考えておきやすいです。

この人物像評価は、それぞれの会社でどんな人材を求めるかによって異なり、社風や経営陣の感覚などによっても変わるはずです。たとえば、堅実な業務手法を求める企業であれば、規律性や誠実さといったものを重視して人物像を評価する傾向が強くなるでしょう。一方で、クリエイティブな業務を行っているベンチャー系の企業などは、柔軟性や発信力などに優れた人物を求める傾向にあります。それぞれの項目を作った上で、それを特に重視するかをあらかじめ決めておくことで、最終的な選考がしやすくなります。

こうした性格的な面に加えて、意欲や情緒という面での評価もすることが大事です。というのも、能力があっても、あまり成長意欲がなく仕事を自分の限界よりもはるか下でセーブして行う人もいるからです。また、ストレスに弱かったり、コミュニケーション能力がなかったりすると、入社したはいいもののすぐに離職してしまう恐れもあります。

そのため、仕事への熱心さや人間関係の構築ができるかといった点を面接において、当人とやり取りしている中で判断していくことになります。こうした点を判断しやすいように、単なる質問と答えという流れで面接をするのではなく、ちょっとしたおしゃべりなどをするよう心がけることも大事です。

まとめ

求人よりも求職者の方が少ない現代では、新卒採用を満足いく形で終えるのは簡単なことではありません。優秀な人材を確保するためには、事前準備のポイントを押さえたうえで、それぞれの活動を進めることが重要です。予定を綿密に組んでスピーディーに採用活動を終えることで、他者に負けない十分な人材確保が可能となるでしょう。

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