[最終更新日]2023年9月12日 [記事公開日]2022年9月9日
【既卒の夏採用事情】就活状況から見る内定獲得方法を解説します
既卒の中にも、夏採用に応募しようと考えている人はいると思います。しかし夏採用での内定獲得は、なかなか簡単にはいきません。ただでさえ応募できる企業数が少ないうえに、既卒というだけで敬遠され、内定へのハードルが高くなることもあるからです。
そこでこのコラムでは、既卒の夏採用事情と夏採用を受ける上での準備、内定を獲得する方法などについて解説します。厳しいとはいえ、内定獲得は不可能ではないです。本記事を参考に、しっかり対策して挑んでください。
既卒における夏採用事情
既卒の場合、新卒採用の枠で応募するケースと、中途採用の枠で応募するケースの、2つの就活ルートが考えられます。しかし日本企業のほとんどは新卒の一括採用を主体としているため中途採用の採用枠は少ないですし、他社で実績を積んだ就職希望者も応募してくるので、社会人経験のない既卒者には勝ち目がありません。そのため卒業からの年数が比較的浅い場合、特に3年以内の場合は、既卒も応募可能な新卒の採用枠に応募するのが一般的です。
それを踏まえたうえで、既卒の夏採用事情について解説していきます。
既卒が応募できる夏採用の企業
そもそも夏採用とは、夏に行われる採用活動のことです。夏から採用活動をスタートする企業もなくはないですが、あまり多くはありません。夏採用を行う企業の大半は、春の一斉募集で採用枠を埋めきれなかったために、夏も引き続き募集を行っている企業です。
ただし近年は、「新卒」「中途」といった枠組みを設けず、年間を通して幅広い人材を募集する企業も増えてきました。その背景にあります。こうした企業の場合には、当然既卒者も応募可能です。このような企業は、「新卒学生を採用する枠」と「経験者の就職枠」という2つの枠組みだけでは対応しきれない人材を想定した採用活動を行っているので、既卒者の採用にも積極的だと考えられます。
少子化が進み、新卒の学生だけでは人手不足を補いきれないことや、政府が既卒者の採用機会を増やすよう要請していること、グローバル社会にあって企業自体が人材の多様化を望んでいることなどが、その背景にあります。また、既卒であれば新卒のように翌年の春まで入社を待たず、すぐに入社可能であるということも、既卒を採用する企業側のメリットです。
夏採用を目指す既卒者は主に、こうした通年採用の企業と、春に採用枠を埋めきれなかった新卒募集の企業を狙っていくことになります。
夏採用の就活状況は厳しい
一言で言うと、夏採用で内定を獲得するのは簡単ではありません。その理由は、春に比べて求人数が激減していることと、選考で競合するライバルが強力であることです。
企業数の少なさ
前述のように日本企業の大半は新卒の一括採用が主体であり、その募集開始の時期は春です。新卒で就活を行わなかった人のために一応説明しておくと、新卒採用は学業への影響を考え、基本的には「3月に募集開始」→「6月に面接開始」→「10月に内定式」という流れに統一されています。そのルールを守らずフライングで採用活動を始める企業は多数ありますが、遅れて採用活動を始める企業はほとんどありません。遅くなるほど優秀な学生が他社に抑えられてしまい、確保しにくくなるからです。
つまり大半の企業は春かその前から採用活動を開始し、夏には採用枠が埋まって、採用活動を終えているのです。そのため夏採用を行う企業は春に比べてずっと少なく、選択肢が非常に限られています。しかも、夏採用を行う企業の全てが、既卒も応募可能なわけではありません。少ない企業のかから、さらに少ない既卒も応募可能な企業を探し出す必要があります。
ライバルは多くて強力
既卒も応募できる夏採用の企業は少ないですが、夏採用に参加する応募者の方は、ちっとも少なくなっていません。新卒の学生は春に内定を得ても「もっと良い企業があるかも」と考えて就活を続ける人が多いです。そうした学生はすでに就活に慣れていて、選考でのアピールが上手なので、夏採用では強力なライバルとなります。
しかも夏採用から、新たに就活を始める新卒の学生もいます。夏まで部活動に励んでいた体育会系の学生や、研究が忙しくて就活に出遅れた理系の学生、公務員試験に失敗しそうなので民間志望へと切り替えた学生などです。それらの学生は就活には慣れていないのですが、もともと就活市場における企業からの人気が高いので、同様に強力なライバルとなります。
そのため夏採用では、少ない採用枠を巡って大勢の候補者が競い合うだけでなく、強力なライバルに打ち勝たなければ内定を得られないのです。そのうえ既卒の場合は、新卒で就職しなかったために就労意欲を疑問視され、厳しい目を向けられることもあります。夏採用に挑む既卒者は、その点をしっかり頭に入れ、十分な就活対策をして夏採用に臨みましょう。
就活が長引く可能性も覚悟すべき
夏採用に挑む既卒の就活生は、なかなか内定が獲得できず、就活が長引く可能性があることも覚悟しておくべきです。
前述のように夏採用は、春に比べて企業数が大幅に減っています。その中で既卒の応募を受け付けてくれる企業を探すのは、簡単ではありません。しかも既卒の応募が可能であることと、実際に既卒を採用しているかどうかは、また別の話になります。近年は政府の要請に応じて卒業後3年以内の既卒者を新卒枠で応募可能とする企業が増えていますが、実際には既卒の採用に消極的で、採用の実績がない企業も多いです。積極的に既卒を採用している企業に出会えなければ、なかなか内定には至りません。
また、前述のように夏採用では、ライバルとなる就活生たちもかなりの強敵です。既卒に対して偏見のない企業に出会えたとしても、それらの強敵の中で選考を勝ち抜き、内定を獲得することは、簡単にはいかないでしょう。既卒の就活生は、就活を始めてもすぐには内定を得られないことを覚悟し、焦らずじっくり腰を据えて就活に取り組むべきです。
既卒の夏採用を受けるうえで必要な準備
先ほども述べたように、既卒が夏採用の就職に成功するには、事前に十分な準備をすることが必要不可欠です。強力なライバルたちに負けないよう、入念な準備を行いましょう。ここからは、既卒が夏採用を受ける上で必要な準備について解説します。
自己分析をする
最初に準備したいのは、自己分析をして、自分の強みや弱みを理解するという作業です。既卒の採用選考では、できるだけ自分の強みをアピールし、会社にいかに貢献できるのかを面接担当者へ伝えることで、内定に結び付きやすくなります。企業の文化にマッチする人材を雇用したほうが、長く勤務してもらえると考えるからです。
自己分析することは、自分にとって向いている仕事を発見できるチャンスでもあります。自身が挑戦してみたい仕事と得意な仕事は、残念ながら必ずしも一致するわけではありません。自己分析によって、これまでは目を向けてこなかった仕事に対しても、興味や関心が湧くかもしれません。自身の可能性を広げて選択肢が増えることは、就職活動において大きなメリットとなるでしょう。
提出書類の準備
既卒の就職活動においては、履歴書やESなどの提出書類に関しても、しっかり準備しておきたいものです。特に、志望動機や自己PR、特技などの項目は、要点を簡潔にまとめながらも、面接担当者の興味や関心を引き出せるような内容を記載しなければいけません。
志望動機と自己PRに関しては、記載する内容を混同しやすいため、注意が必要です。基本的に志望動機には、どうして他社ではなく、その企業で働きたいのかという点を記載します。企業研究を十分に行い、他社との比較をしたうえで、その企業ならではの魅力や特徴と紐づけると良いでしょう。また、志望動機は労働条件や待遇の要望とは異なります。その点も気を付けたいものです。
一方の自己PRは、自身のスキルや経験を生かして、企業へどのように貢献できるのかを記載します。正社員として働いたことはなくても、部活動やアルバイトなど、何かしらの場面で培ってきたスキルはあるはずです。これまで培ってきたスキルや経験を、具体的にどのように生かしたいのかをわかりやすく簡潔に記載しましょう。この時、自己分析をして自身の強みを理解していれば、ぜひその点も盛り込んでください。
履歴書やESに記載する内容は、見やすく簡潔にまとめながらも、自身の経験やスキルを適格にアピールできるような内容にまとめることが大切です。
スキルを上げておく
自己PRに記載できるようなスキルがない人は、資格を取得するなどして、スキルを上げておくことも一案です。後で説明しますが、既卒の場合は卒業後に何をしていたのかや、新卒で内定をもらえなかった原因に対してどんな風に改善を図ったのかなどを聞かれることもあります。それらの質問への対策としても、資格取得へ向けて勉強していたというアピールは有効です。
既卒の場合、企業の採用基準のハードルが高くなることがあります。なぜなら日本では、新卒で就職する人の方が圧倒的に多いからです。そのため企業は既卒で就活する人に対し「新卒で就活したのに、どの企業にも内定をもらえないような重大な欠点があるのではないか」「そもそも就労意欲が低いために、新卒で就活しなかったのではないか」といった懸念を持っています。
それでも既卒に有利に働く点は、新卒と違ってすぐにも入社できるという点です。つまり既卒の夏採用では、多くの企業が即戦力となる人材であるかどうかを慎重に吟味します。経験や知識に関しては特に、企業の関心が集まるでしょう。自分が即戦力になれると示すためにも、スキルを上げておくことは効果的なのです。
既卒の夏採用で内定を獲得するための秘策
既卒の夏採用で内定を獲得するために十分な準備をして取り組むことが大切だということは、夏の季節に限ったことではなく、既卒の就職活動なら季節を問わずに意識しなければいけません。また、夏の就活だからこそ意識すべきこともあります。ここからは、夏採用ならではの対策と既卒ならではの対策について解説しますので、就活の参考にしてください。
夏の暑さ対策
夏という季節に限定した対策の一つとして考えておきたいことに、暑さ対策があります。基本的に就活生には、クールビズなど関係ないと思ってください。そのため就職活動中は、夏採用でもスーツを着用しなければなりません。しかし薄着をしていても汗をかく季節ですから、相応の対策が必要です。
スーツを着ないという選択肢は難しいですが、スーツの素材を選ぶことで、暑さを感じにくい着用感を得ることはできます。夏用の薄い素材、通気性の良い素材のスーツを購入しましょう。スーツのジャケットは、屋外を移動している時から着用する必要はありませんが、面接会場となる建物に入館する直前にはきちんと身なりを整えておくのがベストです。その際には、汗もきちんと拭き取ります。
スーツの下に着用するシャツに関しても、半袖はNGです。こちらも通気性が良く、涼しく着られるアイテムを選びましょう。ただし企業側からジャケットを脱ぐよう促される場合もあるので、それに備えた対策が必要です。汗ジミが目立ちにくい白っぽい色のシャツを着用し、男女問わず肌が透けて見えないよう、インナー(肌着)を着用します。
その他には、制汗アイテムを活用するという方法も有効です。汗によって強烈な体臭を放ってしまうと、採用担当者にマイナスの印象を与えてしまうかもしれません。そうならないためにも、制汗グッズや冷却アイテムをうまく活用しながら、ニオイ対策にも気を遣いたいものです。
既卒ならでは質問対策
既卒の場合、夏採用に限らず、下記のような新卒の就活時にはなかった既卒ならではの難しい質問を受けることが多々あります。
- なぜ既卒で就活することになったのか(なぜ新卒で就職しなかったのか)
- 卒業後は何をしていたのか
前述のように企業は既卒で就活する人に対し「新卒で就活したのに、どの企業にも内定をもらえないような重大な欠点があるのではないか」「そもそも就労意欲が低いために、新卒で就活しなかったのではないか」といった懸念を持っています。上記のような質問を受けたら、それらの懸念を払しょくできるような回答をしなければなりません。
「なぜ既卒で就活することになったのか」
基本的に「なぜ既卒で就活することになったのか」に対しては、自分が既卒の就活生になった理由を正直に答えます。中には「新卒でどこにも内定をもらえなかった」「特別な事情はないが、なんとなく新卒では就活する気になれなかった」といった、悪印象を持たれそうな理由で既卒になった人もいると思いますが、それを隠そうとし、嘘を吐くのは逆効果です。深堀質問をされた時に答えられないため、嘘をついてもすぐにバレます。そして不誠実な人間だと判断され、内定が遠退いてしまうのです。
悪印象を持たれそうな理由で既卒になった場合は嘘をつくのではなくて、自分の至らなさを素直に認め、改善に努めていると示すことが大切です。そのためにも自分がなぜ内定をもらえなかったのか、就活する気になれなかったのか明確にし、問題点の改善を図ってください。そのうえで面接では、どのように改善に取り組んだのか説明し、入社後の仕事に対する意欲を語りましょう。そうすれば企業側が既卒に対して抱いている懸念を払しょくでき、自分自身の人柄を正当に評価してもらえます。
「卒業後は何をしていたのか」
「卒業後は何をしていたのか」に対しても、基本的に正直に回答してください。ただし、卒業した後、何もせずにダラダラしていた、ブラブラ遊びまわっていたというような回答は非常に悪印象となります。アルバイトでもスポーツでも資格の取得でも何でもいいので、何かしらの取り組みについて話しましょう。いずれの取り組みにしても、その中で何を学び、それを入社後の仕事にどう活かせるのか語ることが重要です。
まとめ
既卒が夏採用の仕事探しに成功するためには、企業がどんな人材を求めているのかを的確に把握したうえで、自身の経験値やスキルが企業からのニーズにマッチしているのかどうかを客観的に判断することが必要です。近年。夏採用を行う企業も増えてきましたが、新卒と比較して即戦力となることが求められる既卒の就職活動においては、春よりも夏のほうがより選考基準のハードルの高くなることも多いです。そうした中でも強力なライバルに負けず内定を獲得するためには、十分な準備を行い、採用されやすい自分自身を作ったうえで就職に臨むことが理想的だと言えます。
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