[最終更新日]2023年9月12日 [記事公開日]2022年9月8日
【教育機関向け】学生の内定率を上げる方法をご紹介
2020年からのコロナ禍の影響により、大学生の就職率が下がっていると言われています。また、一度決まった内定が取り消された学生が多数出たことも話題になりました。コロナ禍の社会となってしばらく経ちますが、いまだに学生の就職難は続いているのでしょうか。では、大学が学生の内定率を上げるためにどんなことができるのでしょうか。
学生の就職内定率が低い原因
就職内定率の定義
大学生の就職内定率が低いと言われますが、実際のデータでそれを検証するために、まず言葉の定義を確認しなければなりません。
就職内定率とは、文字通り就職の内定を企業から得ることができた人数の割合です。分母は就職を希望した学生であり、進学などで最初から就職を希望しなかった学生は含まれません。
一方、「就職率」との言葉もよく使用されています。以前は就職率と就職内定率との違いが曖昧で、先に見たように「就職希望者のうち就職の内定をもらった人数の割合」と同じ意味で使われていたケースも見られます。また、「就職率」と言う時は、内定をもらったけれどその後辞退した学生を除外して算出していることを強調する意味もありました。
一方、大学を卒業した全学生に占める就職できた人数の割合を指す場合、「就職率」のように「内定」を外した言葉を用いる場合も考えられます。いろいろなケースが考えられて定義が曖昧だったため、2013年、文部科学省は就職率と就職内定率の定義を規定し、それを公表しました。
それによると、就職内定率とは、文部科学省と厚生労働省が学生の就職状況調査する10月1日、12月1日、2月1日の段階での、就職希望者のなかで就職の内定をもらっている人数の割合を指します。就職率とは、4月1日現在の同様の調査結果です。
また、上記の就職内定率と就職率は、就職を希望した卒業予定の学生のうち、実際に就職することができた人数の割合ですが、就職を希望しなかった卒業者も含めたデータも考えられます。その場合、特別な言葉があるわけではなく、文部科学省によると、「卒業者に占める就職者の割合」と呼ぶそうです。単に就職率と言う時は、大学院への進学などで卒業後就職する予定がなかった卒業予定者は含みません。
公的な言葉の定義は以上のとおりですが、大学等で発表する就職率や就職内定率には、独自の算出の仕方を採用している場合もあるので注意が必要です。なかには、複数の企業の内定を得た学生を1人と数えず、内定の数を全部合計して発表している学校もあります。そのため、学校によっては100%を超える就職率があるのです。就職内定率や就職率を参照する時は、それが公的に定める算出方法なのか、その学校独自のものなのか確認するようにしましょう。
全国的な就職内定率は決して低くない
先に見たとおり、文部科学省と厚生労働省では毎年4回、共同で大学等の卒業予定者を対象に、就職状況の調査を行っています。調査実施日は、10月1日、12月1日、翌年の2月1日、それに、入社日である4月1日です。前3者の結果を就職内定率、最後の4月1日現在の結果を就職率として発表することはすでに確認しました。そこで、2022年3月に大学等を卒業した人たちの就職状況を見てみましょう。以下に、厚生労働省と文部科学省が合同で発表した「令和4年3月大学等卒業者の就職状況(4月1日現在)」から、大卒の就職(内定)率の推移グラフを抜粋します。
ただし調査対象の母集団は卒業年次に在籍中の就職希望の学生ですが、たとえ卒業年次(4年制大学なら4年次)であっても、留年が決定している卒業見込みでない学生は含まれません。同様に休学中の学生も除外対象です。また、本科生のみが対象であり、聴講生や科目履修生、研究生、留学生は含まれません。卒業後、大学院等への進学、海外留学、資格取得のための勉強等を理由に最初から就職するつもりのない学生は、調査対象でないことも先に確認したとおりです。
2022年3月卒の就職率は95.8%、2021年卒の就職率は全体で96.0%で、その前年が98%ですから、これだけを比べると、コロナ禍で学生の就職率が低くなっていると言うことも確かに可能でしょう。厚生労働省も、大学生の就職状況は全体的には回復状況にあるものの、コロナ禍の影響が大きかった業種については依然として厳しいとコメントしています。
とはいえ全体的な就職率は、依然として95%を超えており、リーマンショックによる就職難ほどの低水準ではありません。もし自校の就職率がこれより低い水準にあるなら、社会的な要因のほかに、何らかの原因があると考えられます。
就職内定率が低い原因
就職内定率が全国平均より低い原因として考えられるのは、学生の企業選びの問題や、就職活動への取り組み具合の問題です。
パンデミック以降、一部業界では求人が著しく減少するなど、求人を行う企業に偏りが出ています。また、学生の方も不景気による経営不安を懸念するあまり、安定志向に走り、応募者が大手企業にばかり集中しています。その結果、一部の企業・業界で極端な過当競争となり、内定を得にくい状況が発生しているのです。
求人が減っている業界や大手企業ばかり受けている学生は、倍率の高い選考を勝ち抜くことができず、なかなか内定を得られません。そうした状況を打破して内定率を上げるには、単純に就活ノウハウを教える就職支援ではなくて、幅広い視野で就職先を選ぶことや自分の適性合った企業を選ぶことを教える根本的なキャリア教育が必要になります。
学生の内定率を上げるための学生育成法
コロナ禍により、確かに一時は学生の就職内定率が低下しました。しかし、2022年時点では回復傾向にあり、それほど悲観すべき状況ではなさそうです。とはいえ、今後何が起こるかは誰にもわかりません。また、いつこのような突発的な事態で就職難を迎えないとも限らないため、大学としては、今のうちに学生の内定率を上げるための方策を講じておく必要があるでしょう。
大学としては、学生に自らのキャリアにしっかり向き合えるだけの自立心を育む必要があります。そのためにまず考えなければならないのが、早期からのキャリア教育やキャリア支援です。「キャリア支援なら、キャリアセンターですでにやっている」と言う大学がほとんどではありますが、実情はどうでしょうか。
企業情報を得ることができて、就職試験や面接対策までサポートしてくれるキャリアセンターは、学生にとって確かに頼りになる存在でしょう。しかし、キャリアセンターは、本当に学生のためを思った支援ができているでしょうか。
キャリアセンターの目的は学生の内定率アップです。それが大学の評価につながるとともに、キャリアセンターの職員にとっては自身の評価にもつながります。キャリアセンターの職員の多くは期間雇用であり、評価が下がれば契約が更新されないリスクを背負っています。その状況で、本当に学生のためを思って支援ができるのでしょうか。たとえブラック企業であっても、「就職さえしてくれたら学校の実績になるから良しとする」との考えの職員もゼロとは言えません。
学生の内定率向上のために大学ができること
現状のキャリアセンターに構造的な問題を抱える大学は少なくありません。そもそもキャリアセンターを運営する学長始め教授連は、民間企業での勤務経験が乏しいのではないでしょうか。そんな人たちがキャリアセンターを設置し、期間雇用の職員に実際の運営を任せていては、学生一人一人のキャリアを本当に充実したものにするための支援は難しいでしょう。
表面上は内定率がアップしていたとしても、そのツケがいずれ表れ、やがては内定率が下がってしまうことも考えられるのです。それを予防するには、キャリアセンターの運営を、企業経験や採用活動についての知識の豊富な外部の専門家に依頼するという手があります。
学生は、志望する業界について十分に研究し、さらに、働きたい企業に照準が定まったら、自分のキャリアにとってその企業がどんな意味を持つことになるのか、じっくり考える必要があります。そんな学生に育てるためにも、積極的に外部の知見を取り入れましょう。
まとめ
2020年以降、コロナ禍により就職できない学生が増えたと言われています。しかし、実際の就職内定率はそこまで低いわけではありません。ただ、オンラインが浸透した現在、情報への感度によって、内定をいくつも得られる学生と一つも得られない学生の差が生じることが懸念されます。
大学は、自身のキャリアを自立的に考えていけるような学生の育成に力を入れる必要があります。そのためには、現状のキャリアセンターを見直し、外部の知見を積極的に導入してはいかがでしょうか。
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