[最終更新日]2023年9月11日 [記事公開日]2022年9月22日
【中小企業向け】中途採用を成功させる方法をプロが徹底解説します
売り手市場が続いている近年、優秀な人材を獲得する機会を増やすため、大手企業も中途採用に力を入れ始めています。もとより大手より人材採用において不利な中小企業は、昨今ますます困難な状況にあることは間違いありません。この求人難の時代に、中小企業の採用担当者はどのように対応していけばよいのでしょうか?
中小企業の採用事情について
中小企業庁が発行している2018年度版の「中小企業白書」によると、2009年の「リーマンショック」をピークとして人材不足の傾向は起こり始め、2013年以降においてはほぼ全職種で人材不足を感じている企業が多数を占める傾向にあるそうです。特に建設業では人材不足の傾向が顕著になっています。人手不足を経営上の重要な課題として挙げる中小企業はバブル期と同レベルの割合に達しており、多くの中小企業が「採用」を経営おいても最重要課題として掲げていることがわかります。
従業員数別に企業における人材の未充足率は、その規模が小さくなるほど人手不足の傾向が強くなり、従業員数29名以下の製造業の場合。従業員数1000人以上の企業と比較するとその未充足率が8倍以上になっているとされています。また、2018年の直近5年間における高卒者の充足率はすべての規模の企業で減少傾向にあり、特に従業員数29人以下の企業になると希望数の20%程度しか人材確保できていない状況にあります。人材不足の傾向にある中小企業の中でも、規模が小さくなるほど人材不足が深刻化しているわけです。
大卒の新規採用に視点を移してみると、大卒予定者の求人倍率は、従業員数300人以上の企業であれば約1倍程度で推移していますが、300人未満の企業になると約3倍~4倍程度、2017年には6.4倍となっています。新卒採用においても2009年以降規模が小さくなるほど企業の新規採用数は増加していることがわかります。雇用者数全体をみれば、500人以上の企業は増加傾向を示しているのに対して30人未満の企業においては減少傾向が続いており、厳しい状況が続いているのです。
中途採用を行うにあたって中小企業が利用する手法としては「ハローワーク」であることが最も多く、次いで「知人・友人からの紹介」が多くなっています。採用実現率で見ても知人・友人、あるいは取引先や銀行からの紹介による中途採用の実現率が最も高く、逆に「自社ホームページ」からの採用率は最も低くなっています。このことからも中小企業の中途採用はコストがかからず、かつ相手の顔が見える採用手段が有効であるのが現状のようです。しかし、現状の採用難を解決するためには、これまでのような縁故に頼る採用方法だけでなく、ホームページを始めとした媒体の活用など、多種多様な採用方法を試みることが重要になってくると思われます。
中小企業が中採用を行ううえで心がけること
中途採用がますます困難になってきている現状、中小企業が中途採用で人材不足に対応するためには、まず心がけておくべきことがあります。大手企業ですら人材不足対応として積極的に中途採用を行う傾向があるこの状況下において、中小企業の採用担当者がまず認識しなければならないのは「中小企業に優秀な人材はまずこない」という厳しい現実です。
中小企業の場合、毎年新卒採用を行っているという会社は少数でしょう。通常は社員が退職した場合、その人員補充として中途採用を行うことが多いはずです。このような採用形式を取る場合、募集する人材に求められるのは「高い能力や技術」のある即戦力ですが、大手企業が中途採用に積極的に動いている現状において、果たして中小企業を選ぶ「優秀な人材」がどれほどいるでしょうか? もちろん、完全にあり得ないという話ではありませんが、ベストな人材を求めることは、非常に困難であると言わざるを得ません。採用活動を行う場合は、前提条件としてまずこのことを理解しておく必要があります。
中小企業が中途採用を行うにあたっては、その基準を人材の「優秀さ」に求めるのではなく、「自社に合う人材」であるかどうかに照準を合わせるべきでしょう。この場合の「自社に合う」という言葉は、2つの意味合いを持っています。
1つ目は、自社と「考え方が合う」ということです。どのような企業であれ、会社にはそれぞれ経営に対しての方針、つまり考え方があると思います。例えば製造業においては「品質」と「価格」は共に重要な課題であることは間違いありませんが、そのどちらをより重視するかは、会社によって違ってきます。より高品質を目指すためあえて価格が上がることをやむなしとするか、逆に価格で競合他社との差別化を図るために、品質にはある程度妥協するか、どちらも会社の経営方針として成立しうるものです。
社員もまた、自分の仕事に対する価値観、つまり考え方を持っています。もし価格重視を方針として品質に一定の妥協をする会社に、品質を追求する職人気質の人が入社してしまったら、職場での対立や問題が起こることは容易に予想できます。そのうえ、せっかく中途採用で入社した社員が早期退職してしまい、再び人材不足の状況に陥る可能性もあります。価格重視の方針を持つ会社であれば、やはり会社と同様、価格重視の価値観を持つ人がより社員として適切であることは間違いありません。会社の方針と合う価値観、つまり会社と「考え方が合う」人材をこそ、採用するべきです。
もうひとつの「合う」は、自社の求める人材の「等級基準」に合う、という意味です。中小企業における人材採用は、新卒ではなく中途採用がメインというのが一般的でしょう。基本的には退職した社員の穴を埋める、つまり人員補充が目的となります。人事制度が整備されている会社であれば、当然等級制度も整備されているはずです。退職した社員の補充を目的として中途採用するのであれば、その退職した社員の等級に「合う」人材を採用条件にすることが最善手となります。
ここで挙げた2つの「合う」を持つ人材を採用するためには、会社にある2つのものが揃っていることが必須条件となります。その2つとは「経営理念」と「人事部」です。
「経営理念」は会社の経営方針を決定するために必要です。明確な「経営理念」がなければ当然明確な経営方針を打ち出すことができず、結果として自社に適性のある人材かどうか見極められませんから、「考えが合う」人材を採用することが困難になります。また、「人事部」がないと人事制度の整備が難しく、「等級基準に合う」人材を中途採用することができません。中小企業の中には「経営理念」を持っていなかったり、「人事部」を設けていない会社が少なくありませんが、今後の人事採用を考えた場合、これらは早急に用意すべき経営課題と言えるでしょう。
中小企業が中途採用を成功させる方法
前述の通り、中小企業が中途採用を行う場合、より優秀な人材の確保を目指すのではなく、自社に合う人材を探すことが重要です。具体的には、いかにターゲット設定を行うかが、中途採用成功の重要なポイントになると言えるでしょう。
まず、中小企業の中途採用では人材の高望みを避け、自社に適合する人材の採用を目指すことが重要であることは前述のとおりですが、それと当時に「育成を前提として採用を行う」というスタンスを持って採用を行うことが大切です。前述した2つの「合う」条件は、あくまで「自社で活躍できる人材としての素養がある」ことを示すものであり、その人の能力自体を保証するものではありません。自社に「合う」人を採用したうえで、きちんと育成して将来的に会社のために活躍できる人に成長してもらう、というスタンスが必要です。
それでも、会社の状況などの事情理由で、どうしても即戦力となりうる「優秀な人材」を採用したいのであれば、相応の予算、工数等のリソースを透過する必要があります。会社の規模や知名度から受ける影響を抑えて優秀な人材に直接的にアプローチできる採用手法としては「人材紹介」「ヘッドハンティング」「ダイレクトリクルーティング」「リファラル採用」「SNS採用」といったものを上げることが可能ですが、その分採用単価が高くなったり、工数をかける必要が発生します。また手法によっては、効果が上がるまで時間がかかることもあります。それでも即戦力を必要とする場合は有効な手段となりますので、必要な先行投資であると考え、リソースの投下を行いましょう。
中小企業がより希望する人材を獲得するための「採用力」を高めるには、「母集団形成」と「口説く力の向上」が必要となり、そのためには次の3つのポイントを押さえる必要があります。
母集団形成のために最も注力すべきは、求人媒体に掲載する情報や自社サイトで発信する情報を、求職者の視線から作成することです。求人媒体に掲載する求人情報は、自社の採用ターゲットとなる人材に自社の存在に気付いてもらい、エントリーしてもらうための「広告」と考えます。事業内容や仕事内容の箇条書きではなく、自社の社会的価値や実績、成長性などを記載し、仕事内容であればやりがいや成長ステップ、獲得できるキャリアや職場の雰囲気を記載した方が効果的でしょう。自社の魅力を伝えることが重要です。
人材募集がうまくいかない場合は、採用チャンネルの見直しをしましょう。成果が上がらない媒体に同じように募集広告を出しても、予算の無駄になる可能性が高いです。最近は一般的な総合求人サイトばかりではなく、特化型の求人サイトやダイレクトリクルーティング、リファラル採用、人材紹介サービスなど、多種多様な採用チャンネルを選択することが可能です。ターゲットや自社の採用力に合ったチャンネル選択をすることが重要です。
応募は来るのに、うまく採用まで至らないという場合は、採用フローの見直しを行うことが効果的です。
最初にチェックすべき点は、自社の「選考スピード」です。求職者の立場から見た場合、選考のスピードはそのまま自分への評価の度合いとして映ります。選考スピードが遅いと、それほど評価されていない=求められていないと感じるわけです。また、選考スピードが遅いと、競合他社に先を越されてしまうリスクも高まります。エントリーしてからの対応や、面接のセッティング、面接後の合否連絡など、十分にスピード感をもって行えているかどうか、まず確認してみてください。
また、面接を単なる選考の場としてではなく、求職者に対するアピールの場であると考えることが重要です。面接が終わった時、求職者の志望度が面接をする前よりも上がっていなくてはいけません。面接では相手の能力を見極めることが大前提にはなりますが、求職者の志望度を上げないと、内定を出しても辞退されてしまいます。
志望者に自社を十分理解してもらえるだけの、十分な情報提供を行うことも大切です。志望者が自社のことを十分に理解できたと思えなければ、意思決定の決め手に欠くことになり、他者との比較において負けてしまいます。入社した場合一緒に働くことになる上司・同僚との面談や、若手社員の場合はロールモデルになりそうな先輩社員との面談を行うことが有効な対応策になるでしょう。
まとめ
中小企業は大手企業と比較し、ブランド力やリソースでどうしても劣ってしまいます。特に小規模な企業ほど、大手との競争力は低くなり、大手が積極的に中途採用を行っている昨今、中小企業の中途採用の成功難易度は大きく跳ね上がっていると言わざるを得ません。そのような状況にあって中小企業が中途採用を成功させるためには、いかにして採用ターゲットを絞り込み、そのターゲットに対して効果的なアプローチが行えるかどうかが重要となってきます。求人媒体に載せる原稿を見直したり、より適切な採用チャンネルを選択するなどの工夫も必要です。自社の採用力を鑑みた上でターゲットを絞り込み、効果的な採用手法を選択しましょう。弊社「ジールコミュニケーションズ」でも、若手の人材紹介を行っていますので、ぜひご検討ください。
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