[最終更新日]2023年9月12日 [記事公開日]2022年9月22日
人材不足はなぜ起きる?企業における人手不足問題と原因から紐解く解決策を解説
国内では人材不足が問題になっており、特に中小企業では深刻です。一方で、一部の大手企業には応募が集中しています。
本記事では人材不足になる原因のほか、解決するための方法を2つ紹介します。自社の採用手法や社内環境を改善したい方は参考にしてみてください。
企業における人材不足問題
企業における人材不足の問題は、もはや日本経済全体で慢性化していると言ってもよいでしょう。このコロナ禍においても、2022年卒の大学生の求人倍率は1.50倍、全体の有効求人倍率も2022年6月時点で1.27倍となっています。これはバブル期と比較しても引けを取らない、非常に高い水準です。つまり現在の日本は、空前とも言える人手不足の状況になっています。
人手が不足したからと言って、業務を減らすわけにはいきません。そうなると、人手不足を抱えている職場は従業員の就業環境が厳しくなり、離職率が高くなる恐れがあります。せっかく新しい人材を採用しても、激務のためにあっという間に退職してしまう…こうした人手不足がもたらす悪循環に陥ってしまっている会社も少なくありません。
こうした人材不足は2013年頃から顕著になっており、年を追うごとに状況はますます悪化するばかりです。あるアンケートによると、中小企業の約7割が人手不足を感じているというデータもあります。つまり、人手が十分に足りている企業の方が少数派なのです。
業界によっては、深刻な人手不足に陥っている業種もいくつか見られます。その最たるものが介護・福祉業界でしょう。高齢化の進行で需要が増加している一方で、担い手が極端に少なく、その結果、業界全体が先述したような激務による離職率の高止まりといった悪循環に陥っています。
運送業界も、人材不足の深刻化が進んでいる業種です。EC市場の拡大によって運送需要が高まっている状況に、人材の確保が追いついていません。特に、今回の新型コロナウイルスの流行によるネット通販市場の拡大は、この状況に拍車をかけています。
他には、業界全体の高齢化が問題になっている建設業、需要の増加に対して人手が不足している飲食・サービス業、観光業なども、人材不足が深刻化している業種として挙げられます。特に、飲食・サービス業、観光業は非正規が多く、就業環境が不安定であることや、自営業が多く、経営難の問題を抱えているなど、さまざまな事情が人手不足の背景に見られます。
そしてもうひとつ、人材不足の問題で見ておきたいのが、企業規模ごとの状況です。具体的に言えば、大手企業と中小企業との間の格差です。求職者の立場から考えれば、できるだけ有名な、規模の大きな会社で働きたいと思うものです。そのため応募も大手企業に集中し、中小企業にはなかなか応募が集まらないという状況もしばしば見られます。そもそも少子高齢化の影響で労働人口が減少しているところに、コロナ禍で経済状況が不安定になっているため、中小企業に人材が集まりにくくなっているのです。
人材不足になる具体的な原因
企業に人材不足の問題をもたらす具体的な原因の筆頭が、労働人口そのものの減少です。容易に想像がつきますが、人口が減少しているわけですから、当然、働き手の絶対数も少なくなります。しかも少子高齢化が急速に進んでいる影響で、若手の人材の獲得が難しくなっており、新卒採用の争奪戦が繰り広げられているような状況です。それを補うような形で、第二新卒に代表されるまだ十分なキャリアを持っていない若い人材の獲得に、積極的に動く企業も増えています。
この労働人口の減少と並んで、大きな問題となっているのが職場のミスマッチです。要するに、せっかく就職しても早い段階で辞めてしまうケースが増えているのです。こうしたミスマッチの問題が増えている背景には、現代日本が抱えている難しい状況が深く関わっています。単に「最近の若い者は我慢が足りない」では済まない面があるのです。
例えば、景気の低迷が続いている中、厳しい労働環境を我慢してまでひとつの会社で働き続けても、その我慢にふさわしいリターンが得られない可能性が出てきます。激務の環境で必死になって働いたにもかかわらず、一向に昇給・昇進しないという環境で、我慢して長く働き続ける人はいないでしょう。経営状態が厳しくて従業員に対して十分な昇給・昇進の余地を用意できない→離職が増える→人手不足のために業務が滞る→さらに経営状態が厳しくなる→ますます離職が増える…という悪循環に陥っている企業も増えています。
終身雇用制の崩壊も、ミスマッチや早期退職の問題を増やしている原因として挙げられるでしょう。終身雇用制の場合、その会社に就職すれば、退職まで安定した地位を確保できますし、長く働き続ければ昇給・昇進のチャンスも出てきます。たとえ就職した当初には「これは本当に自分のやりたい仕事ではない」と思っていても、安定した地位で働ける上に、将来のビジョンを描ける環境にいれば、仕事にやりがいや適性を見いだすこともできます。
しかし、終身雇用がなく、それこそいつリストラの対象になるかわからない環境では、我慢して働き続ける意味がありません。激務に耐えて必死になって働いたのに、あっさりとリストラされ、さらには会社そのものが倒産してしまうかもしれない、そんな不安を抱えている職場では、気に入らない仕事に早い段階で見切りをつけてしまう人も多いわけです。
終身雇用制が崩壊し、転職が珍しくなくなったことで、後述する「人材の流出」が見られるようになった点も大きな原因として挙げられます。転職が珍しくなくなったことで、ポジティブな目的で職を変える人も増えています。ミスマッチや激務に耐えかねて辞めるのではなく、よりよい職場、キャリアを求めて転職を目指すわけです。こうしたケースは優秀な人材に多く見られるため、単に人手不足に悩まされるだけでなく、優秀な人材を失ってしまうリスクがあります。
例えば、大手企業でもキャリア採用を積極的に行っていますし、もともとキャリア採用・中途採用に積極的だった外資系の会社もあります。中小企業でキャリアを積んで、優れたスキル・知識を身につけた人材が、こうした会社に採用される機会も増えています。応募する人材が少ない、採用してもすぐに辞めてしまうだけでなく、長く働いてくれた人材を失ってしまうという形でも、人手不足が起こり得るわけです。
この人材の流出に関しては、職場の風習や環境も深く関わっています。例えば、テレワークの導入に消極的な会社に見切りをつけて、テレワークで働ける職場への転職を目指す、Webやクラウドの導入が遅れていて、未だに紙媒体やFAXが主流の職場に見切りをつけて退職するなど、どちらも業務の能率化と非常に深く関わっています。同じ給料でも時間と業務のロスが少なく、ライフワークバランスの取りやすい職場に人材が集まることになります。歴史がある企業ほど、これまでのやり方を踏襲する傾向が見られ、それが人材の流出、人手不足の遠因になっていることもあるのです。若い人材が不足することで職場の高齢化が進むと、こうした時代の流れに合わせた環境の変化に適応しづらくなり、ますます若い人材が集まらなくなるといった悪循環に陥ってしまう恐れもあります。
そして、企業側が人材に求める業務内容に見合う給与や待遇が用意できていない、人手不足で業務量が多く従業員の負担が大きくなっているにもかかわらず、それに見合う給与水準にない場合、当然のことながら人は集まりませんし、定着率が低く、離職率が高くなります。企業側としては、人手不足で経営がうまく機能していないのに従業員に高い給与を払うのは難しいという事情もあるわけですが、それがますます従業員の環境を悪化させ、人手不足を加速させています。
労働人口が減少しているとはいえ、職探しをしている人はたくさんいます。ましてや転職が珍しくなくなっているわけですから、人材を獲得するチャンスもあります。にもかかわらず人手不足が解消できないのは、自社が「働きたいと思える待遇を用意できていない」と考えるべきでしょう。
人材不足を解決するための対策法
こうした人手不足を解決する対策としては、2つの方法があります。
ひとつは現在の従業員の規模、人数で業務を回せるよう環境を改善すること、つまり人材を増やす前に従業員の負担を減らすわけです。原因のところでも触れたように、すでに人手不足で業務量が多すぎる環境になっている職場に新しい人材はなかなか集まりませんし、採用しても早期退職のリスクが高くなります。そのため、まずは激務の環境を改善することが先決です。
そのためには、業務の効率化が欠かせません。自動化・簡略化できるところはできるだけ行い、業務の手間を減らせる部分はどんどん減らしていきます。紙の書類の作成や受け渡しが必要な業務も、Web上で管理するようになれば誰でも簡単にデータを閲覧・共有することができるので、格段に業務の手間が減ります。さらに、業務に必要なデータをクラウド上で一元管理することで、データ管理の手間を省くとともに、少ない人材でデータの管理・運用ができるようになります。無駄な業務が多い職場ほど離職率が高くなるだけに、できるだけ積極的に行いたいところです。自動化・簡略化に成功すれば、これまでよりも少ない人員でより効率の良い業務ができるようになります。
アウトソーシングを積極的に活用する方法もあります。人材採用にコストをかけるくらいなら、報酬を支払って業務そのものを外部に委託してしまうわけです。例えば、Webサイトの作成・運用などは外部に委託しても問題ありませんし、企業の利益に直接関係しないコールセンターや事務・総務関係の業務の多くも、アウトソーシングで対応が可能です。もちろん、アウトソーシングの方が優れているとは言いませんが、人手不足が深刻化している、採用業務にコストをかける余裕がない企業は、こうした選択肢も検討してみるとよいでしょう。
もうひとつの方法は、根本的に人材を増やすための対策を行うことです。若い人材を獲得するには、オウンドメディアを活用した積極的な採用情報の発信が欠かせません。現代の若い世代はさまざまなルートから情報収集を行っていますから、より幅広いチャンネルでアプローチできる企業の方が関心を持ってもらいやすく、有利になります。また、採用オウンドメディアを通して会社の魅力を配信することで、応募を増やし、母集団の形成にも役立ちます。
中途採用・キャリア採用で人手不足を解消したい場合には、リファラル採用やダイレクトリクルーティングをうまく利用してみましょう。良さそうな人材を企業の側から積極的に探して、アプローチする方法です。また、もっと迅速かつ確実に人手不足を解消したい場合は、人材紹介サービスを活用するのもオススメです。自社内の手間を増やすことなく、マッチング率の高い候補者を紹介してもらえるため、すぐに採用につながります。
ただし人材不足に陥っている場合は新卒とキャリア採用だけにこだわらず、既卒や第二新卒、専門学生など幅広い人材に目を向けるべきです。弊社「ジールコミュニケーションズ」でも、新卒・既卒・第二新卒・専門学生など様々な人材の紹介をしていますので、ぜひご検討ください。
まとめ
人材不足を解消するためには働きたいと思う人材が集まるような環境を整えること、その上でどうやったらうまく人材を獲得できるのか、採用活動の工夫が欠かせません。単に採用の条件や待遇を良くするだけでなく、業務環境の改善や魅力的な環境づくりも併せて進めていくことが必須になるでしょう。
ジールコミュニケーションズでは、新卒・既卒での就職活動、第二新卒、中途で転職活動をはじめ、企業向けの採用支援や学校・キャリアセンター向けのサポート支援を行っております。豊富な実績や手厚いサポートによってお客様に向き合った支援サービスをご提供いたします。
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