[最終更新日]2023年9月12日 [記事公開日]2022年8月22日
学生の就職率が低い…。そんな時の改善方法とポイントを解説します
学生の就職率は経済事情などによって変動しますが、近年は少子化の影響もあり、多少持ち直している状態です。しかし、学校によってはなかなか就職率が上がらないという悩みを持っているところもあります。改善のためには、原因がどこにあるのかを突き止めて、その解決策を探ることが必要です。
このコラムでは、学生の就職率が低くなる原因、学生との向き合い方、学生の就職率を改善するための対策法について解説します。就職率が上がらない原因を明確にし、改善策を探りましょう。
学生の就職率が低くなる原因とは
コラムの初めにまずは学生がどうして内定を決められないのか、問題となっているいくつかの原因を探ってみましょう。そのうえで、それぞれの問題についての有効な対策法を学ぶことができます。
社会的な要因
学生の就職率が低くなる原因に、社会全体に関わる問題として、雇用市場の縮小が大きな原因として挙げられます。不景気によって、企業が人件費を削るために新規採用を抑える、もしくは一時ストップすると、当然、新卒者の就職率は下がってしまいます。経済情勢全般はそれほど悪くなくても、特定の業界だけ、もしくはある地方だけ業績が悪くなり、局地的に就職率の下がるケースも見られます。こうした全体的な問題は、学生や学校側でも対処しづらい問題です。
学校単位での要因
一方で、経済事情自体は悪くなっていないものの、自分たちの学校だけが就職率を落とすこともあります。企業からの求人情報が入ってこないとか、インターンシップ募集の対象から外れてしまうといったことが原因です。さらに、そもそもの理由を探ってみると、学校から送り出した就職者もしくはインターン生の離職率が高い、またはビジネスマナーや能力を含めて評判が悪いがゆえに、求められなくなることが起こり得ます。
他には、キャリアセンターとしての取り組みに問題があるケースも見られます。企業とのコミュニケーションを取る努力を怠っているため、次第に求人やインターンを要請してくれるところとの関係性が薄くなってしまうのです。
学生側の要因
社会や学校単位での問題が起こっていることもありますが、原因が学生側に見られることも少なくありません。そもそも就職したいという意欲が低く、自ら積極的に求人情報のチェックや企業訪問、採用エントリーなどをしない学生もいるのです。会社員という形での正規雇用にならなくても、フリーターなどのいわゆる自由な立場での働き方で十分、と考える学生が増えていることも原因となっています。
そして、全体的に多く見られるのが、自分が何をしたいのかが決まっていないという学生です。とりあえず就職しなければと思っているものの、具体的にどの業種に魅力を感じるのか、自分の能力を発揮できる仕事は何かという自己分析ができていないのです。中には、とにかく大企業や公務員などの安定できる職業に就ければそれで満足、と考える学生も多くいます。
こうした傾向が強いと、就活に強い意欲を持てないので、インターンへの応募もあまり積極的ではありませんし、情報収集にも身が入りません。複数の企業にエントリーしても、自分を売り込むという意識が弱いため、自己PRが弱くなります。結果として、採用のチャンスをものにすることができず、内定を取れないという事態に陥ってしまうのです。
こうした状況は、いろいろな問題をさらに引き起こします。それほど強い意欲がないため、卒業までに内定をうまく取れなかった場合、既卒で再び頑張ろうという気持ちが湧かずに、ズルズルと時間が過ぎてしまうことが多いです。うまく就職できたとしても、自分に合った仕事でなければ、離職してしまうリスクも高まります。こうした学生の意欲や自己分析の少なさが、就職率を下げる原因となっていることも多々見られるわけです。
また、就職率が上がらない原因としては、就職戦略がうまく行っていないことも原因として挙げられます。具体的には、「大都市の企業でないと嫌だ」と考える大都市志向や、中小企業への就職は最初から考慮に入れず大企業の求人情報しかチェックしない大手志向などで、就職先の候補となる幅が狭く、一極集中してしまっているケースです。こうした偏った志向は、学生個人の意識もありますが、キャリアセンターとしてその傾向を持つこともあります。より良い就職先を学生に紹介したいという思いから、偏った求人情報ばかりを集めて発信してしまうのです。
抱える問題や学生との向き合い方
就職率を上げるためには、学校やキャリアセンター側そのもの、もしくは学生にどんな原因があるのかを洗い出し、分析することが重要です。そして、それぞれに応じた解決策を探っていくことになります。特に、学生たち自身が抱えている問題については、積極的に指導していくことで就職状況を改善できますので、すぐにでも取り組んでいきたいところです。
まずは学生の就職に対する意識を把握する
その準備として、学生たちにアンケートを取ってみると良いでしょう。入学したての頃など、できるだけ早い段階から統計を取り始めます。内容としては、「現時点で就職意欲があるのか」「ある程度、業種などの方向性の希望があるのか」「具体的な就職活動をすでに始めているか」「そうであればどんなことをしているのか」といった点です。ある程度希望が決まっているのであれば、勤務地や企業規模、業種、年収希望などの条件を聞いてみます。
アンケートの結果を集計したら、分析しやすいよう可視化することが大切です。分析をする際には、まず「就職意欲がない」「具体的な志望がない」といった学生の割合がどのくらいいるのか、志望条件などに偏りがないか、学年ごとに確認します。こうすることで、一体何が学生の就職を阻んでいるのか、学生側の考え方を把握できるのです。
学生と接する機会を増やす
学生の就職に対する意識を把握したら、次は学生たちとの個別面談の機会やキャリア教育の機会を増やしていきましょう。特に、就職ガイダンスなどのグループで行う指導教育は、入学してすぐといった早い時期から始めることで、より効果を高められます。その中では、現状での雇用状況や業界ごとのニーズ、実際の就活で行うプロセスなどの現実をレクチャーしてください。それを教えることで、学生の就業観を養うことができますし、学生が就活を現実のこととして捉えやすくなります。
さらに、学生と個別にヒアリングをしたり、相談に乗ったりできる機会を多く設けることも大事です。相談会を定期的に設けることもできますし、「キャリアセンターでいつでも相談に乗っている」と、オープンなスタイルを周知するのも良いでしょう。
偏った大手志向の改善を促す
就職支援の際には、学生たちの意識を広げられるように助けることも大事です。たとえば、大手企業でだけでなく、中小企業にも目を向けるように指導します。社会経験のない学生たちは、「より良い就職は大手に行くことだ」という固定観念が強いものです。もちろん、大手企業ならではのメリットは大きく、勧める側としてもそちらの方が優れていると考えるのは自然なことです。しかし、現実的には、競争の厳しい大手企業にしかエントリーしなければ、就職率はかなり下がってしまいます。また、学生が能力を活かしてやりがいの感じられる場所は中小企業にもたくさんあり、将来のことを考えてより良いキャリア形成ができるのが中小企業だということもあり得ます。そのため、中小企業ならではの魅力を伝え、就職課として中小企業からの求人情報を多く集めて紹介するよう努めることで、学生たちの前に置かれた選択肢を増やすことができます。
偏った大都市志向の改善を促す
もう一つの意識改善としては、大都市だけでなく、地方における就職を促すことが挙げられます。大手への憧れと同じように、やはり大都市で働きたいという要望を持つ学生は多い傾向にあります。また、他の地方の企業についての情報が集まりにくいとか、行ったことのない地域で働いて生活することをイメージできないといった問題もあります。そこで、キャリアセンターとしても、できるだけ幅広いエリアからの求人情報を集め、それぞれの地方で強い産業についてキャリア教育で教えることも重要です。
地方で働くことへの偏見を持っている学生がいることも事実ですので、意識改革をしていくことで、エントリー企業の選択肢がかなりの程度広がり、結果として就職率を押し上げることにつながります。実際のところ、上手に求人を探せば、勤務条件としても業務内容としても、大都市の企業より優れた条件を提示している地方企業は多くあるものです。
学生の就職率を改善するための対策法
就職率を改善するためには学生と向き合い、特にその意識を変えてあげて、選択肢を広げる努力をすることはとても大事です。こうしたことに加えて、キャリアセンターとしてできる対策法も多くあります。
企業との共同プロジェクトに取り組む
たとえば、学校自らが雇用機会を作ることです。つまり、企業と大学、もしくは専門学校や高校が連携して、共同研究をしたり、開発をしたりするという取り組みです。学校側が持っている専門性の高い強みを企業に売り込み、企業活動に組み込んでもらうのです。これにより、学生たちが企業と一緒に活動をする機会を持つことができますので、単に学生として勉強をするだけでなく、今行っている学業がそのまま仕事につながるという意識を持てるようになります。
さらには、連携している企業への就職がしやすくなるというメリットも生み出します。こうした取り組みは、学校経営者を含めて、上位意思決定者の関わりが欠かせないものです。そのため、就職課としても就職率を高めるために、どんなプロジェクトを進められるかを計画して、提案するといった努力を払う必要があります。
インターン先を増やす
ここまでできなくても、インターンシップの機会を増やすという取り組みなら、それほど高いハードルではありません。より多くの企業で実施できるように、企業に働きかけることができます。短期間、企業で就業体験をすることは、学生たちの就労意欲を高めて、就活を現実的なものとするのに大きな役割を果たします。また、企業側も自分たちの目で学生たちを観察できますので、内定獲得のチャンスが高まるというメリットもあります。定期的に募集してくれる企業だけでなく、今までになかった業界や遠い地域の企業にもアプローチして、新規開拓する努力を払ってみましょう。選択肢の拡充につながります。
OB/OGとの連携を強化する
別の対策法としては、OB・OGとの連携を強化するという方法もあります。学生たちがOB訪問をすることは、インターン利用と同じように就活への実際的な備えとなりますし、訪問した企業の採用の可能性を高めるものとなります。とはいえ、学生たちが自分でOBに連絡を取って、訪問の予定を調整するのは難しいことも多いです。そこで、キャリアセンターが日頃から、卒業生たちと連絡と取り続けることが大事です。これは企業や業界についての現状把握をするのにも役立ちますし、卒業生への離職率を低めるためのアフターフォローという面でも効果的です。こうした付加的なメリットを得つつ、学生たちのOB訪問の機会を増やせるわけですから、時間と労力をかけるだけの価値がある対策と言えるでしょう。
就職意欲の低い学生に対するケアを充実させる
就職率を全体として底上げする取り組みと同時に、いわゆる就職をあきらめている層や就職意欲の低い層へのケアを行うことで、取りこぼしを防ぐことができます。そのためには、やはり学生たちとの距離を縮めて動向を把握することが欠かせません。学校の仕組みによってやり方は違いますが、学生たちへのアンケートや面談、クラスごとの研修などを定期的に実施して、どの学生の意欲が低いのかを知るべきです。そのうえで、そうした学生に個別に面談を設けて、相談に乗りましょう。
とはいえ学生数の規模によっては、なかなか個別の学生に対する細かいケアにまで手が回らないというキャリアセンターも多いです。そういう状況を改善するには、民間の就職エージェントなどと連携するという手もあります。学内で企業側の声を交えた実践的な就職セミナーを実施してもらったり、アンケートの段階で判明している就職意欲の低い層(学科・クラス・部活動・ゼミなど)の学生面談を代行するキャリアプランナーを派遣してもらったりといった対策が可能です。また就職エージェントには提携している企業がありますから、非公開求人を紹介してもらうこともできます。
弊社ジールコミュニケーションズでも、そうした「学校・教育機関向けのサービス」をご用意していますので、お気軽にご相談ください。
まとめ
学校側にとって、就職率がなかなか向上しないことは大きな問題です。改善するためには、その原因を探ることが重要になります。社会や学校側に問題があるケースもありますが、学生の意識の低さや狭い考え方が問題となっていることも多いです。問題について分析した後は、キャリア教育や面談の質と量を増やし、求人やインターンの選択肢を増やすといった取り組みができます。より広い見方で積極的に就活に取り組めるように、学生たちの助けとなるべく努めましょう。
ジールコミュニケーションズでは、新卒・既卒での就職活動、第二新卒、中途で転職活動をはじめ、企業向けの採用支援や学校・キャリアセンター向けのサポート支援を行っております。豊富な実績や手厚いサポートによってお客様に向き合った支援サービスをご提供いたします。
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