[最終更新日]2023年9月12日  [記事公開日]2022年7月29日

【例文あり】転職面接で聞かれる「退職理由」を上手に答えるコツ教えます

前職の「退職理由」は、転職の面接で必ずといっていいほど尋ねられる重要な質問です。しかし下手な回答をすると面接官に懸念材料を与えてしまう場合もあり、なかなか回答が難しい質問でもあります。転職を考えている人の中には、面接で必ず聞かれるであろう「退職理由」の対策に、悩んでいる人も多いのではないでしょうか。

このコラムでは、転職の面接で「退職理由」を聞く意図、「退職理由」を上手に答えるコツと注意点について解説します。具体的なシチュエーション別の例文も記載しておきますので、回答作りの参考にしてください。

転職面接で「退職理由」を聞く意図

転職面接で「退職理由」を聞く意図

転職の面接で退職理由を尋ねる最大の意図は、採用後すぐに辞めないかどうかの確認です。

たとえば、人間関係が理由で退職した場合、採用後に人間関係がうまくいかなければ、また辞めてしまうのではないかと不安に感じるのは当然と言えるでしょう。

また、退職したいほどの重要な問題に直面したときの解決能力についても判断されます。「嫌なことがあったから辞めた」では、単に不満から逃げているだけの無責任な人と判断されてしまいます。嫌なことに直面したときに、どのような対策をとって改善しようと努力したのかを、面接官は知りたいと思っています。「給料が低い」「上司と性格が合わない」など、不平や不満を伝えるだけではただのグチです。嫌だから辞めるというのでは、社会人としての責任感が欠如していると受け取られかねません。

働いていると、つらいことも多いでしょう。転職すれば、これらの苦労がすべて解消されるとは限らないのです。新しい職場でも、問題や課題は発生します。そのときに、しっかりと対応できる人材が求められています。

企業がこれほどまでに「採用後にすぐ辞めないか」を心配するのは、人材確保のために多くの費用や手間暇をかけているからです。それなのに、「嫌なことがあったから辞めます」では、それらの費用や手間暇がムダになってしまいます。欠員を補充するためにさらなる費用がかかりますし、新しい人材を確保するまで、業務に支障が出ることも考えられます。これは大きな損失です。このため面接官は、候補者に長く働ける責任感と粘り強さがあるかを慎重に見極めているのです。

転職面接「退職理由」を上手に答えるコツと注意点

転職面接「退職理由」を上手に答えるコツと注意点

上手に答えるためには、次の点に注意しましょう。

退職理由にウソをつかない

1点目は、ウソをつかないことです。退職理由を正直に伝えると、評価が下がるのではないかと不安に感じる人も多いでしょう。だからといって、ウソの退職理由を伝えるのは禁物です。

面接官も、前職に不満や不安があるから転職を志望していることを十分に理解しています。また、面接官は数多くの応募者との面接を経験していますから、相手のウソを見抜くスキルがあります。ウソをつく人は信用できないと判断され、不採用になる可能性があるのです。

たとえ、その場はうまくごまかせたとしても、採用後に本当の退職理由と同じような状況に直面した場合、そこでつまずいてしまいます。採用側が退職理由を尋ねるのは、ミスマッチを防いで長く働いてもらうという意図があるのです。たとえば、残業が多いのが本当の退職理由なのにウソをついていた場合、面接官は多少の残業は頑張ってくれそうだと判断するかもしれません。その結果、転職しても残業が減らない可能性もあります。ミスマッチを防ぐためにも、ウソの理由は避けましょう。

退職理由にはポジティブな言葉を選ぶ

2点目は、ポジティブな言葉を選ぶことです。退職理由を正直に伝えにくいのは、ネガティブな理由が多いからです。ウソをつかずに上手に伝えるためには、ネガティブな事柄をポジティブな表現に変えて伝えることです。

たとえば、給与が安いのが不満である場合は、「努力や成果を公正に評価してくれる会社で働きたい」「自分の成果を実感しながらやりがいをもって働きたい」と伝えましょう。残業が多いのが理由であれば、「効率的に仕事に取り組み、生産性を上げることで、今以上の成果を上げたい」と言うこともできます。人間関係が理由の場合は、「コミュニケーションを活発にして、周りと連携しながら働きたい」「チームワークを大切にすることで、より一層成果を上げたい」などと言えるのではないでしょうか。

給与や残業、人間関係など、イヤなことに焦点を当てるのではなく、自分にとって理想の職場は何かを考えると、ポジティブな表現が見つけやすくなります。

退職理由と志望動機に矛盾がないようにする

3点目は、退職理由と志望動機に矛盾がないことです。転職は今の職場を変えて、より良い環境で働くための前向きなアクションです。退職理由と志望動機がきちんとつながっていると、誰もが「前向きな転職」と納得してくれます。ネガティブな転職理由であっても説得力が高まり、良い評価を得ることができるのです。逆に、退職理由と志望動機に矛盾があると、「本当の退職理由を隠しているのではないか?」「条件が良いから応募したのではないか?」と不安を抱かせてしまいます。

ネガティブな退職理由をポジティブな言葉に置きかえたように、転職後に自分はどのように働きたいのかを考え、理想的な職場をイメージしてみましょう。そうすると、退職理由と志望動機を矛盾なくつなげることができます。

退職理由に具体性を持たせる

上記のポイントを押さえたうえで、面接でうまく回答するコツとして、具体的な例を挙げて説明してください。単に「残業が多かった」「給料に不満があった」という理由では、具体性がありません。残業が多かったのであれば「月間残業時間が90時間を超えていた」、給料に不満があったのであれば「月収18万円でした」など、誰が聞いても納得する具体例を交えながら回答すると、説得力が高まります。

そして、自分が直面した問題を改善するために、どのようなアクションを起こしたかを説明すると、高い評価が得られるでしょう。単に「不満にあったので辞めた」というよりも、「改善に向けた取り組みを行ったけれど、状況が変わらなかったので転職を選ばざるを得なかった」という方が、自分の課題解決能力をアピールできるからです。取り組みは、小さなことでもかまいません。改善に向けて努力したことを伝えてください。

実際の面接時は笑顔も忘れずに!

面接時の注意点としては、常に笑顔で、自信を持って答えるよう、心掛けてください。面接官の中には、退職理由について突っ込んだ質問をし、厳しい言葉を投げかける人もいます。そんなときに、イヤな顔やおどおどした態度を取るのはNGです。常に前向きな姿勢を示しましょう。「前職での経験があったからこそ、学んだことも多かった。それを糧にして、御社に貢献したい」という、熱意と多少のことではくじけない覚悟を伝えることが大切です。

【例文】「退職理由」の答え方

【例文】「退職理由」の答え方

面接での受け答えにはPREP法を用いると、こちらの意図が伝わりやすく、説得力が高まります。PREP法とは、上手に伝えるためのフレームワークです。上司への報告やプレゼンテーションなどによく使われる手法なので、ご存じの方も多いでしょう。

PREPのPは、Point=結論(要点)です。RはReason=理由、結論に至った理由です。EはExample=具体例、相手を納得させるための事例や状況、データです。Pは、Point=結論(要点)です。

PREP法では、P→R→E→Pの順番で話すのが基本です。つまり、最初に結論を述べ、次に結論へと至った理由を説明します。その説明を補強するために具体例を挙げ、最後にもう一度結論を述べて締めくくるのです。


例えば、給与が低いことが退職理由である場合は、PREP法を使って次のように答えられます。

【結論】仕事への成果に対する評価が、給与面に反映される職場で働きたいからです。

【理由】前職は年功序列型の企業でしたので、努力をして成果を上げても評価へとつながらず、モチベーションを維持することが難しくなってまいりました。やりがいが感じられる環境で存分に働きたいと考え、退職を決意いたしました。

【具体例】私は営業職でしたが、積極的にノルマ達成に取り組み、月間営業成績ではここ1年間、トップを維持してまいりました。しかし、20代で勤続年数が短いという理由により、給与は20万円と営業マンの中では最も低い水準でした。

【結論】御社は成果に対して公平に評価する制度が設けられており、モチベーションを維持しながら働くことが可能と考えました。前職で培ったスキルや経験を生かしながら、存分に働くことで、御社に貢献したいと考えています。

給与が少ないことを、20万円という具体的な数値を示して説明しています。また、営業成績がトップであっても、給与は上がらないことも示しました。最後に、営業成績トップを維持し続けたスキルを生かすことで、会社に貢献すると宣言して締めくくることで、採用するメリットのある人材だと思わせることができます。


上司からのパワハラが理由で退職した場合は、次のように答えられます。

【結論】指示待ち型ではなく、自分で考え、行動できる人材として御社に貢献したいと考え、退職を決意いたしました。

【理由】前職では、どのような仕事も上司の指示がなければ行動してはいけないという社風でした。上司の指示に従うことは、仕事を遂行する上で基本だと思います。しかし、指示待ちの受け身の姿勢が習慣になると、より良い仕事ができないのではないかと考えるに至りました。

【具体例】前職では、お客様から自社のサービスに対する不満や要望を上司に伝えても、耳を貸してもらえませんでした。サービスマニュアルの改善を提案いたしましたが、「勝手なことをするな」と叱責されてしまいます。より良いサービスを提供したくても、上司の指示がなければアクションを起こせず、お客様にご満足いただけないことをとても残念に感じておりました。その結果、お取り引きが打ち切られることもあったのです。上司に何度もマニュアル改善の提案をいたしましたが、「我が社の方針に口を出すな」の一点張りで、受け入れてもらえません。自分で考え、自発的に行動することで、お客様にご満足いただける仕事をしたいと考えるに至った次第です。

【結論】自分で考え、行動を起こせる人材を求めておられる御社であれば、お客様本位のサービスが提供できると考え、転職を希望いたしました。これまでの経験によって得られたスキルを生かしながら、お客様の満足度を上げることで御社に貢献したいと思います。

ここでの回答では、顧客満足度を高めたい思いがあっても、上司がかたくなで、実現できなかった事例を説明しています。「顧客満足度を高めるために、自分が考えて行動できる人材になりたい」という仕事への価値観も示しています。


残業や休日出勤が多いことが退職理由であれば、次のように答えるのがいいでしょう。

【結論】生産性の高い環境で効率的に働くことで、今以上に高い成果を上げたいと思い、退職を決意いたしました。

【理由】昨今、ワーク・ライフ・バランスの取れた働き方が国を挙げて進められています。そのためには、効率の良い作業によって生産性を上げることが重要だと考えます。そして、休むときはしっかりと休むメリハリのある働き方が、仕事への活力や意欲を高めると思います。

【具体例】前職では、朝の8時30分から夜の10時までの勤務が日常化している上に、先輩や上司よりも早く帰るのがはばかられる社風でした。このため、自分の仕事を終えても、帰宅できないことが多々ありました。同僚とチームを組んで、ITの導入や人員増強の提案を何度も行いましたが、上司には受け入れてもらえず、昔ながらの習慣を変えるのは困難でした。

【結論】繁忙期や納期の切迫した仕事など、必要な残業を行うのは仕事として当然のことだと思います。しかし、工夫次第でなくせる残業は、改善した方が生産性が上がるという思いが強くなりました。御社は仕事の効率化に積極的に取り組んでおられると伺いました。仕事の効率を高め、より重要な案件に注力することで、御社に貢献したいと考えています。

残業が多いことを、「朝の8時30分から、夜の10時まで」という具体的な数値で説明し、説得力をもたせています。また、「必要な残業を行うのは仕事として当然」であることも伝え、決して残業がイヤなのではないことも伝えています。残業はどこの会社にも多かれ少なかれあります。全ての残業を否定する発言は相手に警戒心を持たせるので、控えた方がいいでしょう。

まとめ

退職理由は、重要な質問です。適切に回答すれば評価が上がり、採用されやすくなります。

面接官は、「長く自社で働いてくれるか」「やる気をもって自社に貢献してくれるか」を重視します。マイナスな事柄はポジティブに変換し、「ぜひ貴社で働きたい!」という熱意を示しましょう。

説得力のある退職理由を思いつかないという方は、転職エージェントを活用すると良いです。キャリアアドバイザーが、退職理由の上手な伝え方をアドバイスしてくれます。弊社ジールコミュニケーションズでも、転職を支援する無料サービス「若手社会人向け転職サポート」を提供していますので、お気軽にご相談ください。

ジールコミュニケーションズお問い合わせ

ジールコミュニケーションズでは、新卒・既卒での就職活動、第二新卒、中途で転職活動をはじめ、企業向けの採用支援や学校・キャリアセンター向けのサポート支援を行っております。豊富な実績や手厚いサポートによってお客様に向き合った支援サービスをご提供いたします。
お問い合わせよりお気軽にお悩みや希望をご相談ください。

問い合わせから相談する