[最終更新日]2023年9月13日  [記事公開日]2022年7月7日

アスリート引退後のセカンドキャリアに挑むうえで抱える不安と解消法

アスリートが引退後のセカンドキャリアを考えた時、不安を感じるのは至って自然なことです。しかし不安を感じたままでいるのは精神的に良くないですし、ネガティブ思考になって、転職活動にも悪影響を及ぼす恐れがあります。その不安の原因と正しい向き合い方を知り、セカンドキャリアへポジティブに進めるようにしましょう。

このコラムでは、アスリート引退後のセカンドキャリアに挑むうえで抱える不安の原因とその解消法、アスリートがセカンドキャリアへの転職を成功させる方法などについて解説します。

アスリートがセカンドキャリアに挑むうえで抱える不安

アスリートがセカンドキャリアに挑むうえで抱える不安

アスリートとして思うような結果を残せていない、怪我などが原因で先行きが見通せない、このような場合には「引退」という選択肢がちらつくものです。同時に、セカンドキャリアをスタートさせることに強い不安を感じるのが普通です。特に不安を感じやすいポイントとして、今後の収入、生活面が挙げられます。同じアスリートでも、競技や実力、企業への所属の有無などの要因で収入は大きく変わってきますが、現在の収入の数字にかかわらず、今後の収入には不安を感じるのが普通です。

もっとも、その意味合いは現在の収入によってやや変わり、現在の収入が同年代の平均と同程度であれば、引退後に仕事が見つかるかどうかが不安の主な要因です。特に家計を支える立場であれば、引退後に仕事が見つからないかもしれないという考えが浮かぶと、それを振り払うのは簡単ではありません。一方、同年代の平均と比べて収入がだいぶ多く、ある程度余裕のある暮らしをしているケースでは、引退後の仕事が見つからないことに対する不安に、生活水準を維持できなくなることに対する不安が加わりやすく、より大きな不安に悩まされかねません。

元プロスポーツ選手が犯罪に手を染めてしまったり、困窮している現状が伝えられたりして、話題を集めることがあります。アスリートとして結果を残し、人並み以上に稼いでいる人ほど、引退後にトラブルを抱えやすいので注意しないといけません。

人並み以上に稼いでいたアスリートが、セカンドキャリアで失敗してしまう原因として挙げられるのが、現役の時と引退後の収入の差です。これはアスリートに限った話ではありませんが、人間は生活水準を上げてしまうと、元の生活水準に戻れなくなる傾向があります。アスリートとして頭角を現し、人並み以上に稼ぎ、人並み以上によい暮らしをする、これは憧れの姿のように感じられるかもしれませんが、かなりリスキーな生き方です。

人間は失うことを強く恐れ、生活水準を上げてしまうと元の生活水準を嫌がり、結果的に身の丈に合わない支出を繰り返す恐れがあります。そんなによい暮らしをしていなかった時代に戻るだけだと達観できる人はまず存在せず、実際には元の生活水準に戻せません。高い家賃を支払ったり、高い自動車を乗り回したりして支出を減らせず、結果的にどんどん追い詰められていくのが定番の失敗パターンです。家族がいる、いないにかかわらず、生活水準を下げることはかなり難しいものです。引退が頭にちらつき始めた段階で、生活水準についての不安を感じた場合はかなり危険なので、特に注意しないといけません。

スポーツの世界を離れ、全く新しい世界にチャレンジすることに対する不安も、収入面での不安と同じくらい、アスリートを悩ませる問題です。学生時代から現在までスポーツに専念してきた人ほど、今後の進路に関する不安を感じやすいものです。セカンドキャリアのサポート現場では、アスリートの「これまで打ち込んできたスポーツ以外には何もできない」といったニュアンスの言葉を聞くことも珍しくはありません。アスリートでなくても新しいことにチャレンジする際には不安を感じるものですが、学生時代に勉強を疎かにしていたり、就職の経験がなかったりするアスリートは、スポーツというアイデンティティを失った場合に、不安を強く感じる傾向があります。

学歴や知識、ビジネスに携わった経験、役立つ資格など、一般的な社会人として生きるために必要な要素が欠けていると、引退後に社会に出て働いていけるのかと強く不安を感じるのは当然のことです。また、日本ではアスリートが引退後のことを考える習慣が一般的ではなく、これも引退が目の前に迫ってきた場合に不安を強める原因です。

実際、プロ野球の若手選手を対象としたアンケートでは、引退後の生活や進路に不安を感じていると回答した人がおよそ半数に達しましたが、一方で実際に引退後のライフプランについて考えていると回答した人は1割にも達しませんでした。このように、引退後にどのような仕事に就きたいか、どのような仕事で稼いでいくつもりかを考えないケースが多いため、いざ引退が目の前に迫ってくると、将来設計が何もないことが災いして、不安が強まります。結果として、目標を設定できないどころか、どのような努力を始めればよいのかすら分からずに、苦しむ結果になりかねないのです。

アスリートが引退を考え始めた時に思い浮かべる不安としては、収入と今後の進路に関すること、この2つが圧倒的に多いものの、少数ながらやりがいに不安を感じる人もいます。特定のスポーツに打ち込み続け、強いやりがいを感じてきた場合、今後の人生で同じようなやりがいを感じられないのではないか、人生がつまらないものになるのではないかと不安を覚える人もいるわけです。

セカンドキャリアに不安を感じた時の対処法と向き合い方

セカンドキャリアに不安を感じた時の対処法と向き合い方

不安の中身には個人差がありますが、いずれにしても不安は積極的な行動を邪魔する厄介な存在です。一方で、不安を感じることにはブレーキ機能の役割があり、生きるうえでなくてはならない存在でもあります。不安というブレーキ機能が壊れていると、人間は突拍子もない行動を取る恐れがありますから、不安を感じる状態をよくないものと考える必要はありません。もちろん、ブレーキ機能が強すぎるのは問題ですが、不安を感じる自分を否定せず、逆に肯定するところから始めてください。

不安が強い場合、アクセルに当たる部分がうまく機能していないと捉え、アクセルを強めるためにはどうすればよいかを考えるのが有効です。アクセルがうまく働いていないと感じるのであれば、とりあえずでよいので、何か行動に移してみてください。最も駄目なのは、強い不安を感じつつも何もせず、時間だけが経過する状態で、このような状態ではより不安を感じやすくなります。基本的に、人間は何かを行っている時に強い不安を感じることはありません。何かに集中していれば不安は消えるか、弱まるものなのです。

もちろん、将来に不安を感じている時に趣味や好きなことばかりに精を出すのはよくないので、何かしら自分自身の将来のためになることを実行してください。転職活動で提出する必要のある履歴書や職務経歴書の書き方を調べて試してみるなり、各種の資格や検定の勉強を始めてみるなりすれば、ずっと不安を感じずに済みます。

やる気が出なくても、いざ手を動かしてみれば意外とすんなり作業が進む場合が多いので、やる気が出ない時ほど、とりあえず手を動かすことを意識してください。どの分野に適性があるかは人それぞれなので、これを勉強すれば安泰という都合のよいものはありませんが、いずれにしても不安を減らすためにはスキルアップが欠かせないでしょう。

すでに有用な資格を持っていたり、社会人経験を積んでいたりして十分な自信がある場合、引退後の不安もそこまで大きくはならないのが普通です。実力や経験不足を自覚していることによる自信のなさが不安に直結するので、不安を減らし、セカンドキャリアを成功させるためには、勉強を始めとする自己投資を積極的に行うのが大事です。就職先が無事に見つかったとしても、必ずしもその会社でずっと働き続けるのがベストな選択とは限りませんし、会社の経営状況が思わしくなくなることだってあり得ます。何らかの事情で再び転職先を探す必要に迫られた時にも強い不安を感じずに済むよう、転職が成功した場合も常に自己投資を意識しておくのが有効です。

不安と上手に付き合いながら転職を成功させる方法

不安と上手に付き合いながら転職を成功させる方法

ハローワークや転職サイトの公開求人情報をチェックして、1人で転職活動を進めることもできますが、今後の進路に不安を感じるのであれば、アスリートのセカンドキャリアをサポートしてくれる特化型の転職サービスの利用を検討したいところです。考え方や行動次第で不安を和らげることはできるものの、誰にも相談できない状態では不安も強まる傾向があります。相談相手として適切なのは、一般的な転職活動についての深い知識があり、かつアスリートのセカンドキャリアについても詳しい、特化型の転職サービスで働いているキャリアコンサルタントやキャリアアドバイザーです。家族や友人に不安を聞いてもらうことでも不安はある程度は解消されるかもしれませんが、不安な感情を専門家に相談しながらセカンドキャリアの成功を目指せる、アスリートのサポートに特化した転職サービスの利用が望ましいでしょう。

アスリート向けの転職サービスは2010年代から増え始めてきました。その中でも、アスリート向けの転職エージェントは有力な選択肢です。一般向けの転職エージェントの魅力として挙げられるのがハローワークや各種転職サイトの検索では出てこない非公開求人の存在ですが、アスリートに特化した転職エージェントでも、アスリート向けの非公開求人を取り扱っています。アスリートならではの悩みにしっかり向き合ってくれる可能性が高く、また求人の質も十分に期待できるため、今後の生活や進路に不安を抱えているのであれば、利用してみるとよいでしょう。

企業が非公開求人を転職エージェントに委ねるのは、企業の人気が高く、求人情報を公開すると応募が殺到して業務が滞りかねないとか、新規プロジェクトに関する求人情報を出すことで同業他社に動きを悟られるのを避けたいからといった理由です。公開求人より非公開求人の方が適切だと企業が判断した場合、つながりのある転職エージェントに非公開求人の話が届きます。非公開求人は不審な求人ではないどころか、一般的な求人と比べると待遇がよいケースが多く、なるべくよい環境で働きたいのであれば、転職エージェントの非公開求人は狙い目です。

怪我などが原因でスポーツを続けられない人や、すでに引退していて、スポーツと距離を置きたいと考えている人向きではありませんが、スポーツとビジネスを両立させる新たな働き方「デュアルキャリア」への取り組みを進めている企業への転職を目指すのも手です。現在のところ、アスリートの生き方として一般的なのは、現役のアスリートとして活躍しているうちはスポーツ一本に打ち込むパターンと、企業に所属しながら軽めの仕事とスポーツを両立するパターンですが、デュアルキャリアはスポーツとビジネスの完全な両立を目指す、新たな働き方です。

デュアルキャリアには色々なメリットがありますが、引退後の収入や進路についての不安を大きく減らせる点は見逃せません。アスリートとしての引退の日が訪れ、仮に引退することとなっても、ビジネスの方でも結果を残していれば、肩身が狭く感じるなどの理由で退職を選ぶ必要はありません。引退後もスムーズに、ビジネスに軸足を移せます。引退後も働き続けられるのであれば、将来に対する不安を大きく減らせますし、引退後はビジネスの世界にさらに力を入れ、より一層活躍することも十分に可能です。

デュアルキャリアのデメリットとして挙げられるのは、ビジネスに力を入れる必要がある以上、練習時間の確保が難しくなる点です。ただし、限られた時間をうまく使えるよう工夫した結果、練習の効率化につながるケースも多く、時間の少なさが悪い方向にばかり働くとは限りません。スポーツにかける時間が十分にあるにもかかわらず、時間を無駄にしていたならば、デュアルキャリアの働き方をはじめとする、効率のよい時間の使い方を意識すれば、以前と変わらぬパフォーマンスを発揮することも十分に期待できます。

まとめ

アスリートとしてスポーツに専念する暮らしを続けていると、引退が迫ってきた場合に不安を感じやすく、新たなチャレンジを始めるだけでも大変です。アスリートのセカンドキャリアをサポートしてくれる転職サービスを利用するなど、不安を和らげつつ、新たな道を模索するのが有効となるでしょう。

弊社ジールコミュニケーションズでは、セカンドキャリアを目指すアスリートを支援する「アスリート向け就職サポート」を展開しています。弊社のスタッフたちも元アスリートや体育会系の出資者ばかりですから、皆さんと同様に引退後の不安と向き合い、セカンドキャリアを形成してきました。どの転職サービスよりもアスリートの気持ちに寄り添い、的確なサポートを提供できます。セカンドキャリアを目指すアスリートを積極的に受け入れている企業様も多数紹介できますので、ぜひご相談ください。

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