[最終更新日]2023年9月13日 [記事公開日]2022年6月2日
【採用担当者必見】応募者を見極める方法と採用の際に意識したいこと
30分や1時間の面接で、応募者が優れた人材か、自社が求めているスキルやポテンシャルを持っているかを見極めるのは至難の業です。どのように応募者を見極めることができるのか、頭を悩ませる採用担当者は少なくありません。
せっかく採用してもすぐに辞めてしまう、採用者がなかなか活躍しないと嘆いている採用担当者の方は、見極めポイントが間違っているのかもしれません。採用でのミスマッチを最小限にしたいなら、入り口で審査を完璧にすることが最も重要です。
応募者を見極める方法と見極めポイント
自社にミスマッチの人材が入ってしまうと、その後アジャストするのにコストがかかります。ですから、入り口のマネジメントを完璧にし、その人材が入った後にズレがないという状態が、企業にとって最も望ましいと言えます。採用担当者は、優れた人材を見極めると同時に、ミスマッチの人材を見極める必要があります。
大きく分けて、3つのポイントで、採用者が自社で活躍できるかを見極められます。『人間性』『スキル』『ポテンシャル』の3点です。組織の中で働くうえで、『人間性』は大切なポイントです。いくらスキルがあっても、組織に適応できなければ定着することは難しいでしょう。人間性だけでは採用基準になりませんが、スキルと合わせて判断すると、効果的な見極めポイントになります。
人間性とは、その人の持つ人柄、価値観、思考などを指します。職場の雰囲気、カルチャーに合った人材を見極めましょう。面接での会話だけでなく、動作や表情からも、人間性をある程度は読み取ることができます。たとえば、目を合わせて会話できるか、ゆっくりと聞き取りやすく話せるか、椅子の背もたれに深く腰掛けていないかなど、非言語コミュニケーションに注目してください。
質問も活用できます。「家族や友人から、あなたをどんな性格だと言われていますか?」という質問では、他者からの評価をどのように受け止める人かが分かりますし、「上司や先輩と接する時、どのようなことを大切にしますか?」の質問で、協調性を持つ人かどうか、ある程度分かります。『スキル』は、比較的分かりやい判断基準です。企業が募集している人材は、営業職、技術職、それともマーケッターでしょうか?その募集条件に合ったスキルを持つ人材を採用すればよいのです。
企業側には「進行している、あるいはこれから立ち上げるプロジェクトを任せたい」「こんな事をしてほしい」という要望があります。それを任せることができるスキルを持っているかをチェックします。新卒の場合は職務履歴がないので、専攻科目、資格、アルバイト経験、あるいは面接で会話しながら能力を測り、チェックします。中途採用の場合は、職務経験から判断できるでしょう。ただし、過去の実績を自慢するだけの応募者には期待できません。これまでの職務履歴から、自社に入った際にどんなことができるか、自分の強みを具体的に面接官にアピールできる応募者ならば、ミスマッチを防げるでしょう。
「弊社に入ったら、どんなことに取り組みたいですか?」「これまでの経験やスキルを弊社でどのように活かせると思いますか?」など、質問を効果的に用いて、アウトプットを見れば、応募者のスキルレベルをある程度判断できます。応募者の持つスキルと自社の募集条件がフィットするかを見て、判断しましょう。
スキルと併せて、評価ポイントになるのが『ポテンシャル』です。応募者は入社後にどれほどポテンシャルがあるか、つまり、さらに伸ばせる、成長できる余地があるかを見極めます。要するに、磨けばどんどん光っていくタイプを見極めるのです。スキルがあってもポテンシャルが低ければ、スキルはそこで頭打ちになります。スキルは平均点の3点あっても、ポテンシャルが1点ならば、入社しても長期的な活躍は見込めません。しかし、スキルは平均より低い2点でも、ポテンシャルが5点あるならば、長期的に活躍できると考えてよいでしょう。
ポテンシャルを測るのはなかなか難しいことですが、たとえば、会話の中で素直さが垣間見える瞬間があるでしょうか?ポテンシャルと素直さは、深く関係しています。素直でなければ、他者からの意見や助言を受け入れることが難しいですし、新しいことを学ぶ意欲が少ないからです。いくら能力が高くても、傲慢な人は成長が見込めないでしょう。過去の成功体験、過去の実績ばかりを強調する人は、実はポテンシャルが低いと言えます。
いくつかのベンチャー企業が、採用時にポテンシャルの見極めポイントの1つとしているのが、中学・高校の偏差値です。大学と違い、中学・高校の受験はあまりハックできません。地頭で受けられるテストになっているので、そこで優秀な成績を出しているのであれば、ポテンシャルが高い可能性が十分にあります。逆に、大学は良くても中高の偏差値が低ければ、意外とポテンシャルは低いかもしれません。
応募者の中から優秀な人材を確保する方法
1つ目の有効な方法は、採用ブランディングの強化です。集客ブランディングと採用ブランディングが一緒になっている企業は、採用面で人材確保に失敗している可能性があります。具体的に言えば、集客用のサイトと採用のサイトは、ターゲットが違うので、別であるべきです。
ターゲットが違えば、両者の見たいもの、知りたいことが違います。企業側が訴求していきたい、魅力を伝えたいことも違います。求職者がホームページを見た時に、採用のコンテンツがなければ、応募につながりません。採用ブランディングを成功させるには、『自社の魅力を具体的伝える』ことが重要です。『福利厚生で差をつける』ことも重要です。
中小企業の場合は、大企業のように福利厚生を充実させることはできない、と考えるかもしれません。ですが、コストをかけずに福利厚生を充実させる方法もあります。たとえば、フリードリンク、フリーフードを実践している企業が増えています。コーヒーメーカーを置いて好きな時に飲んでもらう、あるいはネットショップでお菓子を大量に購入して、従業員がいつでも食べられるようにしている企業もあります。社員旅行やBBQイベント、講習会の開催なども福利厚生になります。これらは小さなことですが、応募者にPRできる魅力の1つとなります。
せっかく優秀な人材を見極めても、内定を辞退されてしまっては意味がありません。多くの人に応募してもらうことも大切ですが、さらに重要なのは、1人優秀な人材が来たら、その人材を確実に確保することです。2つ目の方法は、その1人に対して、良い面接体験を提供することです。応募者を見極めるだけでなく、魅力を感じてもらう必要があります。
某企業のアンケートによれば、応募者が内定を断る理由の75%が「面接官の印象が悪かった」というものです。逆に言えば、面接官の印象が非常に良ければ、働くイメージがつき、好感度が上がります。特に応募者が不快だと感じる面接官の態度は、「上から目線の発言」です。応募者も面接で会社を見極めようとしていますから、応募者と同じ目線で、話しやすい雰囲気を作ることが重要です。応募者は緊張していますから、悪意のないちょっとした発言でも、高圧的に感じることがあります。その会社の営業マンとして、会社の魅力を提案するような気持ちで面接に臨むといいかもしれません。
応募者の中から人材を見極めるうえで注意すべきこと
応募者を見極めたいと思うあまり、マイナスの質問ばかりすることがないように気をつけましょう。厚生労働省のガイドライン「公正な採用選考の基本」によれば、「本人に責任のない事項の把握(本籍地や出生地、家族構成や父母の仕事など)」「本来自由であるべき事項(宗教や思想、支持政党、人生観や愛読書など)」「採用選考に関する事項(身元調査をしてはいけない)」に関する質問をしてはいけません。
これらの質問は、過去には面接の際に普通にされていたものですし、一見何の問題もないように思えるかもしれません。たとえば、「お父さんはどちらにお勤めですか?」「どんな新聞を読んでいますか?」とか、「尊敬する人物は?」などの質問は問題がないように思えますが、応募者が選考を落ちた時に「そう言えば、あの時〇〇を聞かれたけれども、□□と答えたことが原因だったのでは…」と余計な邪推をする余地がないように、面接官は慎重に対応すべきです。
ただし、履歴書に書いていることであれば、面接の際に質問しても問題ありません。もしかしたら、愛読している本や尊敬する人物の中に、応募者がアピールしたいポイントがあるかもしれないからです。その際は、応募者の方から自由に話してもらうようにしましょう。そのために、履歴書や応募書類を十分に読み込んでおくべきです。
中途採用の面接の場合、転職回数を気にする面接官もいます。特に、飲食業関係など特定の業種では、スキルアップのために転職回数が多くなる傾向が見られます。問題は回数ではなく、やっていることに一貫性があるかどうかです。転職回数は多くても、明確な目標やキャリアビジョンがあり、そこに向かって努力している人は、チャレンジ精神があり、新しいことに挑戦できます。ですから、退職の理由やキャリアビジョンについて質問し、しっかり話を聞くと良いでしょう。ただし、面接を開始してすぐに前職の退職理由を尋ねては、相手が圧力に感じる可能性がありますので注意しましょう。
優秀な人材を確保するためには、見極める力も大切ですが、同じくらい大切なのが『傾聴力』です。傾聴力に関係するのが「ラポール」です。ラポールとは「橋を架ける」という意味のフランス語に端を発する心理学用語で、信頼関係を築くことです。つまり、「この人に本音を話すと否定されてしまう」「この人に何か言われたら嫌だ」と思う相手に対して、人は素を出せません。このような状態では、いくら質問しても、体裁の良い、当たり障りのない答えしか返ってきません。
面接官がラポールを意識することで、応募者の本音に近い部分を知ることができます。上手にラポールを取るには、相手を尊重することが大切です。表情やしぐさ、声の調子で、安心感を与えましょう。応募者が回答している時に、相槌を打ち、うなずくことで、相手は安心できます。話を途中で遮らず、相手のペースに合わせましょう。
もう1つ、「バックトラッキング」という方法でラポールを築くことができます。相手が話した言葉をそのままオウム返しにすることで、相手に「理解してもらえた」という感覚を抱かせることができる会話手法です。たとえば、応募者が「〇〇でこのような実績を挙げました」と言った場合、「〇〇でこんな実績を挙げたんですね」と、相手が言った言葉や単語をそのまま繰り返すことで、ラポールが生まれます。ただし、使いすぎには注意です。1時間の面接で2、3回にとどめるのがベターです。
まとめ
採用ミスマッチを防ぐには、『人間性』『スキル』『ポテンシャル』の3点が見極めるポイントとなります。1つ1つのポイントが独立しているわけではなく、相互に深く関係していますので、総合的に判断しましょう。自社の採用ブランディングを見直して強化し、ベストな面接体験を提供します。そのためには、面接官が良い印象を与えることが大切です。厚生労働省が定めたガイドラインに沿って、タブーとされる質問をしないように心がけてください。相手とラポールを築き、「この会社で働きたい」と思ってもらえる面接にしましょう。
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