[最終更新日]2023年9月13日  [記事公開日]2022年6月1日

これさえ読めばOK!はじめての面接官として読んでおきたい面接マニュアル

今後の会社の成長や売り上げのために人材確保が重要なものとなります。そんな大役を任されるのが”面接官”です。面接官はこれからの会社の成長のために貢献してくれるであろう人材を見つけるという大きな目的を果たすため、面接官としての責務をしっかりと全うする必要があります。

ではそんな面接官としてどのようなことを心がけていけばよいのでしょうか。今回のコラムではそんな採用担当者としての心構えと面接マニュアルについてご紹介していきます。

面接官としての仕事と役割

面接官としての仕事と役割

面接官の仕事は、求人応募者と面接し、書類選考を通過した候補者の中から、自社にとってメリットとなる人材を見つけることです。ポイントは2つ、応募者が自社の採用基準を満たし、社の益となる人物かを見極めること、応募者に対して企業のイメージや動機づけを与えることです。

応募者が自社の採用基準を満たし、益となる人物かどうかを見極めることは、面接官の基本的な任務です。対人スキル、ポテンシャルなどを見抜く必要があります。自社の社風、価値観に合う人物かどうか、見極めなくてはなりません。せっかくスキルはあっても、社風に合わなければ十分に活躍できませんし、採用してもすぐに辞めてしまうかもしれません。

応募者に対して、企業のイメージや動機づけを与えることも面接官の仕事です。面接官の印象は、企業に対する印象を左右します。今は、Candidate Experience(キャンディデイト エクスペリエンス)が重視されます。CEとはつまり、就活や転職活動の流れの中で、候補者が体験したことが企業に対する認識となり、企業への評価につながることです。面接官の不適切な質問や態度を不快に感じれば、応募者はSNSで拡散するかもしれません。

面接官は企業の顔となり、発言や態度には責任が伴うことを意識しておくべきでしょう。質疑応対を通じ、応募者に対して企業で働くメリットを感じさせ、挑戦したい気持ちを掻き立て、モチベーションや志望動機を強めることも、面接官の役割です。応募者がどのような将来像を持っているのかを察して、「この会社で〇〇をしてみたい」「ここで働いてみたい」と思ってもらえるようにしましょう。

面接の流れと面接官として準備しておきたいこと

面接の流れと面接官として準備しておきたいこと

効果的に面接を実施したいなら、はじめての面接官として事前準備をしましょう。統計で出ていますが、候補者の70~80%は、面接によって入社意欲を増減させた経験があることが明らかになっています。

一昔前の面接ならば、候補者が席についた途端に、「学生時代にがんばったことは?」「自己アピールをお願いします」と聞いていたことでしょう。これでは、候補者は席に座った瞬間から「私は評価されている」という感情を抱き、萎縮状態から面接がスタートしてしまいます。令和に入った現在、このようなスタイルを採る企業はほとんどないはずです。

今の時代、面接体験は候補者だけでなく、企業側にとっても重要です。面接における候補者の体験が、人材業界では重要なキーワードとなっています。これがいわゆるCX(Customer Experience)=求職者が企業を知ってから選考を終えるまでの、候補者と企業の各タッチポイントにおける体験です。では、実際にはじめての面接官として面接に臨む前にどんな事前準備が必要か、段階的に見ていきましょう。

1つ目は、『企業が求める人材を理解する』ことです。面接官の判断基準がズレていると、候補者を正しく評価できません。面接前に、既存社員のパフォーマンスを分析し、自社の実情を把握して、企業が求める人材像を具体的にします。できるだけ具体化するのがコツです。たとえば、ただ単に「コミュニケーション能力が高い人」といった曖昧な表現ではなく、「専門用語や社内用語をなるべく使わずに、相手の理解力や状況に合わせて説明する力」や「会話の中で親近感や安心感を与える」、あるいは「初対面の人とも打ち解けられるキャラクターや性格」のように、どんな場面でスキルを発揮して欲しいのか、明確にしておきましょう。

2つ目に、『求人の評価基準を理解する』ことが重要です。自社が求めている人物像を理解したら、よりふさわしい人材を見つけるために、評価基準を理解しておくべきです。面接官が複数いる場合は、基本的な評価基準を統一しておく必要があります。候補者が多い時は、評価シートを作成して、評価基準を点数化するとよいでしょう。5段階で評価し、可視化しましょう。評価シートには、「身だしなみ」「視線・表情」「話し方・声のボリューム」など第一印象で分かること、「主体性」「コミュニケーション力」「ストレス耐性」など本人の持つポテンシャル、さらに自社で活躍するのに必要なスキルや資格などをプラスできます。

3つ目は、『企業の情報を把握し、説明できるようにする』ことです。面接官は、候補者が出会う企業側の数少ない人間です。候補者へ、企業の魅力づけをしなければいけません。自社の持つ強み、弱みを把握して、説明できるようにしましょう。面接は企業が候補者を選ぶだけでなく、候補者にとっても企業を選ぶ機会となります。候補者は複数の企業に応募していますから、自社が魅力的でないと判断されれば、良い人材が他の企業を選んでしまうかもしれません。

4つ目は、『質問の準備』です。目的に合った質問を選びます。コミュニケーション能力を知るという目的があるならば、シンプルですが、「簡単な自己紹介をお願いできますか?」と導入部分で質問できます。この質問で、初対面の相手に自分のことを端的に分かりやすく伝えられるか、確認できます。他にも、「好きなモノは何ですか?」などの漠然とした質問をするのもいいでしょう。自由に回答できるため、伝える力を見ることができます。

また、募集職種への適性を知りたいのであれば、「これまでの経験から、わが社で活かせるあなたの強みはなんですか?」「〇〇などの場面で英会話が必要ですが、その程度の英語は話せますか?」などの質問が効果的です。適正を知りたいのであれば、具体的に質問してください。

5つ目は、『面接当日の流れを把握する』ことです。面接の基本的な流れを把握し、持ち時間に応じて、質問の量やペース配分を考えます。基本的な流れは以下の通りです。

来社のお礼と自己紹介:候補者が入社するとしても、別の社に入社するとしても、自社に良い印象を抱いてほしいものです。相手は部下になる可能性もあれば、大切な取引先に就職する可能性もあります。まずは、面接官に対して良い第一印象を持ってもらえるようにしましょう。候補者に簡単に自己紹介してもらうだけでなく、面接官も自己紹介してください。もし、面接をオンラインで行うのであれば、「音声やカメラに問題はありませんか?」と尋ねたり、「音声が途切れたり、聞き取りにくかったりする場合は、遠慮なく聞き返してください」と気遣いを示しましょう。

アイスブレイク

候補者がリラックスできるように、場の空気を和ませます。候補者の緊張をほぐすために、最初は即答できるクローズド質問を用いるとよいでしょう。「今日は電車で来られましたか?」「最近は寒いですね、体調は崩していませんか?」など、誰でも簡単に答えられる質問ができます。答えやすく、なおかつ自由に回答できる質問を加えます。また、履歴書や応募書類を参考に質問することもできます。「最近は雨が多いけど、〇〇さんがお住まいの地域はどうですか?」「〇〇が趣味ということですが、いつ頃からやっているんですか?」などの質問は答えやすいでしょう。

候補者を知る質問

候補者を見極める質問をします。志望動機や就活状況を質問し、仕事に対するモチベーションなどを確認します。自己PRしてもらい、スキルや企業の求める条件とマッチしているか確認します。この時、候補者の回答に合わせて、自社への魅力づけを強めるように企業の情報を提供します。候補者が入社後に活躍できるよう、キャリアプランに関する質問もしましょう。「入社して5年後、10年後のビジョンは?」「将来、弊社の中でどんな役割を担いたいと考えますか?」などの質問を用いて、計画性の有無や、成長意欲などを確認できます。

候補者からの質問を受け付ける

「何か聞きたいことはありませんか?」と質問し、不安を残さないようにします。面接官から一方的な質問をするだけでは、志望動機は強まりません。相手の知りたいことや、不安に思っていることをクリアにします。候補者からの質問に誠実に答えて、企業に対する好印象につなげましょう。

事務的な要件の確認

勤務体制などの条件、合否連絡の予定日数や連絡方法などを確認します。正しい情報を伝えてください。

面接を成功させるためのポイント

面接を成功させるためのポイント

『身だしなみ』は、成功させるために必要なポイントです。面接官が候補者の身だしなみをチェックするのと同じく、候補者も面接官の身だしなみを見ています。清潔感のある服装、髪型をし、良い印象を与えましょう。面接官の服装がカジュアルであれば、候補者は「自由な社風の企業」だと認識しますし、クールビズ期間中でもフォーマルな服装をしていれば、「礼式を重んじる企業」だと感じるでしょう。自社に合った服装や身だしなみを選択すると良いでしょう。

『プライベートに踏み込まない』ことも大切です。仕事に関係ない質問はNGです。「恋人はいるの?」「親御さんの勤務先・役職は?」「家族構成は?」などの質問は、悪意がなくてもセクハラ、パワハラにつながる可能性があります。「つい、うっかり」「悪気はないから」という言い訳は通じませんので、くれぐれも気をつけてください。宗教や思想に関すること、支持政党に関することなど、思想信条に関することは話題にするのを避けるべきです。女性に対して、「結婚の予定は?」「結婚・出産した後も仕事は続けますか?」などの質問はセクハラになるだけでなく、男女雇用機会均等法に抵触する恐れがあります。

『言葉遣いや態度に気をつける』ことで、トラブルを防げます。候補者との間に上下関係はありませんので、候補者を萎縮させるような高圧的な話し方、上から目線の態度をとるべきではありません。反対に、フレンドリーな雰囲気を出そうとして、くだけすぎた言葉遣いや態度でも失礼です。丁寧な言葉遣いで、穏やかに接することを心がけてください。

『分かりやすい質問をする』で、良い印象を与えましょう。新卒の場合、候補者はまだ社会人ではありませんし、他業種からの転職の場合も、業界や業種特有の専門用語、企業内で使う用語を知りません。候補者が聞いてすぐに理解できる質問をしましょう。

『主観で判断しない』ようにしましょう。はじめての面接官にありがちですが、自分の好き嫌いで判断してしまう傾向があるかもしれません。人間ですから、誰しも相性があります。しかし、自分との相性ではなく、自社にふさわしい人材か、自社が求めているスキルを持った人材かという観点で、判断しましょう。

まとめ

面接官の役割は、応募者が自社の採用基準を満たし、社の益となる人物かを見極めること、そして、応募者に対して企業のイメージや動機づけを与えることです。自分は企業の顔であると認識し、応募者が入社したくなるようなアピールをしましょう。

面接官として準備しておきたいことは主に5つです。企業が求める人材を理解すること、求人の評価基準を理解すること、企業の情報を把握して説明できるようにすること、そして、質問の準備を行ったうえで、面接当日の流れを把握しておきましょう。

面接を成功させるには、清潔感のある身だしなみが欠かせません。さらに、今の時代はSNSで簡単に情報を拡散できますから、プライベートに踏み込んだ質問をして、相手を不快にさせてはいけません。言葉遣いや態度に気をつけましょう。分かりやすい質問で応募者が答えやすいような雰囲気を作り、主観で選考しないように注意してください。

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