[最終更新日]2023年9月13日 [記事公開日]2022年5月27日
【競技優先】アスリートとしての働き方と両立するコツ
これまでの人生をアスリートとして過ごしてきた人には、「今後も競技優先の生活を続けたいけれど、それだけだと不安」と考える人が多いと思います。確かに、プロアスリートの道に不安定さはつきものです。今後もアスリートとして競技を優先しながら、生活との両立を図るには、他にどのような働き方があるのでしょうか。
そこでこのコラムでは、アスリートとして競技優先の生活を続けるための働き方について解説します。今後も今取り組んでいる競技を単なる趣味にせず、優先的に続けることは不可能ではありません。今後の働き方を考える上での参考にしてください。
「競技優先」の働き方について
学生でいる間に「さらに技術を高めていきたい」と思える競技に出会い、社会人になってからも「目標とする大会に出場して結果を残したい」というアスリートの方もいらっしゃることと思います。このように競技優先で働きたい方が社会人になる際には、「スポンサーを獲得する」もしくは「デュアルキャリアで頑張る」という働き方を選ぶこととなります。
まず、「スポンサーを獲得する」というのはプロもしくはセミプロとして競技メインで活躍することを前提にした働き方で、スポンサーとなってくれる企業の広告塔となることが求められます。企業から金銭的なサポートを得て競技に集中できる環境を用意してもらう代わりに、競技を通してメディアに露出することや実績を出すことによって企業名をより広く宣伝する役割を果たさなければなりません。アスリートとして、とにかく競技優先の毎日を過ごしたい方はこのスポンサーを獲得する働き方ができれば理想的ですが、契約は年単位であることがほとんどです。そのため、実績が振るわないようだとスポンサー契約が見直される可能性があるので、プレッシャーも大きくなるでしょう。
一方で「デュアルキャリアで頑張る」という働き方は、「スポンサーを獲得する」のと比較すると競技優先度は低くなるものの、競技を諦めることなく社会人としてのキャリアも手に入れたい方におすすめです。この働き方では社会人として就労義務が発生するので、競技のための練習時間は限られてしまいます。しかし、競技に費やせる時間が限られているからこそ「メリハリのある一日を過ごそう」と意識付けられ、結果として競技と仕事の両方のパフォーマンスが向上することが期待できます。ただし、デュアルキャリアで頑張る場合は、大会に出場する際に金銭的なサポートや特別休暇を取得できる企業も中にはあるものの、就業時間外に競技に取り組むことを認めているだけの企業も見られます。しかしながら、デュアルキャリアでは競技を頑張りながらも社会人としてのキャリアも積むことができるので、年齢を重ねたりケガなどがあったりして競技を引退した後もその企業で働いていけるのがメリットだといえるでしょう。
就活の際に、競技優先の働き方をしようとしている場合は、まず自分の実力や競技の種類に応じてスポンサーを獲得することを選ぶかデュアルキャリアで頑張ることを選ばなければなりません。野球やサッカー、陸上などの競技では、将来性の高いアスリートとスポンサー契約をしている企業が多くあります。ただし、募集しているアスリートの数は限られているので、スポンサーを獲得するための就活事情は極めて厳しいものです。
企業にとっては人気の高い大衆性のある競技でないとその選手が活躍しても大きな宣伝効果を得られないので、競技の対象を絞っていることが多くなります。また、継続的に実績を出してくれる選手でなければ、費用対効果が薄くなってしまうことは言うまでもありません。
アスリートにとってはその競技の中で客観的に自分の立ち位置が分かるような実績がなければ、スポンサーとなる企業にアピールすることは難しいでしょう。たとえば、「全国大会で優勝」「海外の〇〇というチームでの試合実績あり」「〇〇のポジションで地区予選敗退常連校を全国大会へと導く」など、ライバルたちと張り合えるように具体的な実績を明示できる必要があります。それでもスポンサーを獲得できるのは、確実に今後実績を出すことが期待される一握りの人だけという狭き門であるのが実状なのです。
スポンサーを獲得するのが極めて難しいのであれば、就活ではデュアルキャリアで頑張ろうかと考える方もいるかもしれません。しかし、一般企業と比較するとデュアルキャリアを認めている企業は少ないため、ここでも厳しい状況となっています。デュアルキャリアではただ競技に打ち込めばよいのではなく、責任を持って割り当てられた業務をこなさなければなりません。そのため、就活においてはこれまでの競技実績や競技に対する思いだけでなく、企業で働くための論理的思考力やプレゼン力、コミュニケーション力なども見られることとなります。また、企業によっては資格所有者の方が採用される可能性が高くなることもあります。
アスリートとの両立を図るうえでの心得
これから競技を優先した働き方をするにあたって、社会人でありながらアスリートとの両立を図るうえでの心得は、次の3つです。人として成長しながら競技にも活かしていけるように参考にしてみましょう。
まず1つ目は、「感謝の気持ちを忘れない」ということです。スポンサーを獲得している場合は、今ある環境はすべてスポンサーになってくれている企業が用意したものです。実績が出ない時は「スポンサー契約を更新してもらえなかったらどうしよう」「結果が出ていない分、練習だけでも真面目に取り組まなくてはいけない」などと申し訳なく思う一方で、好調に実績が出ている時には「自分の実力だ」「他のスポンサーも獲得できるのではないか」などと過信してしまう方がいます。アスリートはいくら練習を頑張って大会当日に向けてコンディションを整えていても、当日の気候や体調、他の選手との相性などで結果が左右されてしまうことがあります。しかし、どんな時もスポンサーとなってくれている企業への感謝の気持ちを忘れないことで、今ある環境がどれだけ特別なことかを理解でき、うまくいかないと感じた時も「ここまで応援してくれている企業のために、何とか頑張らなくてはいけない」と最後の力を振り絞ることができるでしょう。
デュアルキャリアの場合であっても、職場の理解があるお陰で競技の練習時間を捻出できていることを感謝して競技に取り組むことが大切です。試合前や合宿の際には休暇を取得できたとしても、業務が多忙な時期には練習時間を取るのが難しくなることもあるかもしれません。それでも職場の人たちに応援してもらいながら強い気持ちを持って競技に取り組んできたことを自信にすれば、結果に繋がる可能性が高まります。
次に2つ目は、スポンサーを獲得した場合にとくに重要となる「立場をわきまえる」ということです。スポンサーを獲得すると、そのアスリートは広告塔になります。「広告塔になる」ということは、その企業のイメージを一身に背負う立場になることであることを忘れてはなりません。競技実績はもちろんのこと、競技中の態度やメディアに対する接し方も常に企業イメージに結びつくことになるのです。たとえば、素晴らしい競技実績を出していても競技関係者やメディア関係者に挨拶もしなかったり、話しかけられても無視したりしていると「〇〇社がスポンサーの選手は調子に乗っている」「〇〇社はどうしてあんな選手のスポンサーをしているのだろうか」などと、アスリート本人だけではなくスポンサー企業まで悪く言われてしまう可能性があります。スポンサーを獲得したアスリートは、企業イメージに貢献できるように日頃の行いも見直す必要があるのです。
デュアルキャリアの場合であっても、メディアに取り上げられる際には企業名が出されることがあります。企業イメージを損なわないようにするだけでなく、これから就活をするアスリートが競技も頑張りながら仕事もできる就職方法を選ぶことができるように、デュアルキャリアの代表である意識を持っておくことが大切です。
最後に、3つ目は「言い訳をしない」ということです。とくにスポンサーを獲得する場合は、「競技に取り組むこと」の意味がこれまで自分の意思で行ってきた部活やサークルなどとはまったく変わります。自分の意思で行ってきたことなら結果も自己責任なので、日によって集中力やモチベーションにムラがあっても指導者から注意されたり、自分で気を引き締めたりするだけで構いません。しかし、企業にスポンサーになってもらっている場合はそこに金銭が絡んでくるので、集中力やモチベーションを維持することもやるべきことのひとつになるのです。「天気が悪いから」「対戦相手との相性が悪いから」などと言い訳をせず、常に自分に足りないところを補いつつ良いところを伸ばすためにやるべきことを実践する心構えが必要になります。
デュアルキャリアの場合も自分で選んだ働き方である以上、言い訳をせずに限られた練習時間の中で自分のコンディションを高めていくことが大切です。目標としていた結果が出せなかった時に、「練習時間が足りなかったから」「十分に対策が練れていなかったから」などと言い訳をするのは簡単です。しかし、デュアルキャリアで成績を出しているアスリートもいるので、日頃から限られた時間を有意義に使ったり、効果的な練習方法を取り入れたりするなど、工夫するようにしましょう。
競技を優先した働きを成功させるコツ
「競技で実績を出したい」「できるだけ長く競技人生を楽しみたい」という方は、競技を優先した働きを成功させる必要があります。競技を優先した働きを成功させるには次の2つのコツがあるので、参考にしてみましょう。
1つ目は、「周囲とのコミュニケーションを大切にする」ということです。スポンサーを獲得している場合、他の従業員と話す機会は少ないかもしれませんが、指導者や企業の担当者と接する機会がある時には積極的にコミュニケーションを取りましょう。全体的に不景気な日本では、スポンサー企業であり続けることについて企業内で賛否両論あるところが少なくありません。そういった情報やその企業がどんな商品やサービスを提供しているかといった話をすることで、企業の一員としての自覚を高めてより謙虚に頑張っていこうと思うきっかけを作ることができます。自分自身の視野を広げるためにも、周囲の人と積極的にコミュニケーションを取るようにしましょう。
とくにデュアルキャリアの場合は、業務が忙しい時期でありながら試合があって休暇を取得しなければならないこともあります。日頃からのコミュニケーションを大切にして、周囲の理解を得られるように心がけましょう。
2つ目は、「自分ができる最大の努力をする」ということです。スポンサーを獲得している場合は、金銭的なサポートをしてもらっていることへの感謝を忘れず自分ができる最大の努力をしましょう。中には持って生まれた感性やセンスによって実績を出しているアスリートもいますが、体力や筋力の底上げを図る基礎トレーニングによっていつでも実力を発揮できる体作りをすることはアスリートにとってはとても大事なことです。自分ができる最大の努力をすることで、多くの人から応援したいと思ってもらえる存在になれるでしょう。
デュアルキャリアの場合も自分ができる最大の努力をすることで、限られた時間の中でも競技と仕事をより効率的に両立できるようになることが期待できます。人生は一度きりなので、後悔しないように精一杯取り組んでみましょう。
まとめ
競技優先の働き方ができるのは限られた人だけで、就活事情は大変厳しいものです。とくにスポンサーを獲得する働き方は、一握りの人しかできません。競技と仕事を並行して取り組むデュアルキャリアという働き方もありますが、一般企業と比べるとわずかな企業しかないのが現状です。
これから競技を優先した働き方をするにあたって、社会人でありながらアスリートとの両立を図るうえでの心得で一番大切にしたいのは、感謝の気持ちを忘れないことです。立場をわきまえ、言い訳をせず、真摯に競技に取り組んでいきましょう。
競技を優先した働きを成功させるには、周囲とのコミュニケーションを大切にすることと自分ができる最大の努力をすることがコツとなります。周囲の人が思わず応援したくなるような絶えず努力を積み重ねられる人を目指しましょう。
とはいえ競技優先の働き方に理解のある企業はそう多くないですから、これから新たなアスリート人生に踏み出すにあたり、企業探しや就活について不安を感じる人もいると思います。そんな人には、アスリート専門の就職支援をしてくれるエージェントの利用がオススメです。競技を優先しながら働ける企業を紹介してくれるだけでなく、就職を成功させるための就活対策もサポートしてくれるでしょう。
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