[最終更新日]2023年9月19日 [記事公開日]2022年1月7日
会社が潰れそう…。そんな時の対処法と「転職」への判断基準
2020年2月頃からそのリスクが聞かれるようになり、あれよあれよという間に世界中でその猛威を振るうようになった新型コロナウイルスは、少しずつ形を変えながら人々の生活に悪影響を与え続けています。ウイルスの蔓延を防ぐために、日本も含めた世界のあちこちで行われたロックダウンなどの政策により、経済活動の広い範囲で多大なダメージがもたらされた結果、大企業であっても経営破綻の危機がささやかれる時代となりました。
実際に会社が潰れそうな時に起きる現象
いつ自分自身も職を失うかもしれないという不安は、より大きな問題として、国民の中に広がっています。きっと、自分の会社だけは大丈夫であると能天気に構えられる人は、圧倒的に少数派でしょう。そうした状況下にあって、自分の会社は大丈夫かどうかの判断はどのようにつけていくのか、少しでも兆候を見つけたらすぐに転職するのがよいのかなど、傾向の把握と対策を準備しておくのがいいのかもしれません。
実際に会社が倒産寸前の危機に陥っている時には、従業員の余計な心配を煽らないように、経営陣は秘密裏に事態を打開しようとするもので、一般の役職もなく正確な情報を得にくい立場にいる一般社員にとっては、リスクを事前に余裕をもって把握することは容易ではありません。しかし、もう四面楚歌の状態から抜け出せずに終焉へのカウントダウンが開始される頃になって、初めて自分の会社の倒産危機を知ることになる従業員はたまったものではありません。手遅れになって、転職活動が後手に回るのを防ぐために、会社が倒産しそうな前兆にはでき得る限り、早期に気付けるほうがよいでしょう。会社の規模や業種によってそれぞれの異なる事情がありますので、一概には決めつけられませんが、自分の会社なりの経営状態の把握の仕方を心得ておくべきです。一般的な前兆もありますので、それらを把握しておきましょう。
社長以下、役員の動きが慌ただしくなったら要注意です。一部の役員だけによるミーティングがこそこそと開かれる回数が増えたら、何か公にするには良からぬ議題が話し合われている可能性が高いです。また、営業や資金繰りに社長が直接コミットしている会社であれば、社内に社長がいる時間が短くなればなるほど、事態が切迫している可能性が高いと言えるかもしれません。銀行での資金繰りの相談や、新しい顧客開拓の営業活動をしていれば、社長は自然と外出している時間が多くなり、日によっては全く出社しない日すら増えてくるものです。
先に情報を得られる立場にある役職者が辞めていくようなら、それも会社が危ない前兆として捉えられるでしょう。例えば、経理について詳細な情報を得られる財務担当役員や部長などの管理職が次々に辞めたら、会社の財務に何かとてつもなく良くない兆候が表れていると考えられます。部長だけではなく、経理部の社員の雰囲気が概ね暗く、いつもピリピリと緊張しているような場合も、同じ兆候と捉えられるでしょう。
会社の規模が小さければ小さいほど、直近の現金の残高の重要度は上がりますので、より顕著に前兆が現れます。例えば今まで使えていた経費が認められなくなる、出張などの経費がかかる仕事が少なくなる、急に「裏紙を使用するように」とか「カラーコピーの禁止」「電気を小まめに消すように」といった細かい経費削減指示が出る、営業に対して売掛金の早期回収や買掛金の期限延長の交渉、または納期遅れによるクレーム対応などが指示される、毎年恒例になっていた社員旅行や食事会などの社内向けの行事が中止される、これまで支給されていた家賃や交通費の補助が減額または廃止されるなど、お金に関わる業務内容や社内制度の改悪がなされ始めたら、それらも会社倒産への大きな兆候と考えられます。
中でも、最も大きな事柄は給料に関することでしょう。企業にとっては最大の固定費ですが、ここにメスが入れば、社員は誰でも何かが起きていることに気づきます。それでも実施するのであれば、それは相当な懸念がある証拠です。給料の遅配が起き始めたり、減額されたりしたら要注意です。
さらに、組織を維持していくには社員の管理が必須ですが、新入社員の採用人数が例年に比べて大幅に減少するとか、新規採用が全くなされないといった経営判断は、固定費を小さくしようという気持ちの表れです。早期退職者を募ったり、今まで誰もが多すぎるのでは?と感じていた役員数が減らされるリストラが行われるのも、同じ理由からです。業務に関しても、これまで受注していた仕事が急に減り、将来の成長にとって不可欠と思われていた設備投資が行われなくなると、企業の規模が縮小していくように感じるでしょう。
そして、人員削減や自主退職によって社員数が不自然に少なくなった企業に共通している特徴は、社内のモラルが低下することです。少ない人員でこれまで同様の業務量をこなす毎日が続く中では、どうしても長時間労働を強いられるようになり、給料は下がっているのに1人当たりの業務量は増えるという現象が起きます。これが前向きな成長の過程で忙しいのであれば、休日出勤を含む長時間労働でもやりがいのある充実感すら感じられるものですが、本来居たはずの誰かの尻ぬぐいをするような長時間労働は、未来に報われる可能性が一切なく、ただの徒労感しか残らないものです。そのような労働環境で働いていれば、気持ちはギスギスしてきても不思議はありません。
結果として、上司はいつも怒ったり怒鳴ったりしている、社員は疲れ切っていて表情に張りがない、残った社員同士で会社の愚痴や悪口ばかりを言うようになるので、雰囲気が暗くなるなどの弊害が生じます。初めてその会社を訪れる人であっても感じられる兆候として、表面に現れてしまいます。
会社が潰れそうな時に取るべき行動
もし、そのような前兆を感じたら、私たちが取るべき対応は1つと言ってよいでしょう。まずはとにかく、正確な情報を収集することです。前述の通り、会社が倒産するかもしれない根拠を示す情報は一部の役員以上にだけ共有されることがほとんどであり、一般の社員が倒産の事実を知る時はもう全てが手遅れの状態になってからです。最悪のケースでは、いつものように普通に出社したら、倒産の告知とともに入口が閉ざされているなどということも起こり得ます。そうなる前に、少しでも前兆を感じたら、会社の経営状況を把握するために必要な情報を収集しましょう。
会社の財務状況は、第三者視点で作成される資料からでも確認できることが多いですし、社内の事情通にヒアリングをするとか、会社のバランスシートや損益計算書、キャッシュフロー計算書などの財務諸表にアクセスするなど、会社の財務状況についての客観的情報と主観的情報のそれぞれを入手してすり合わせることによって、その信憑性を高めていくことは可能でしょう。材料がないと諦めず、自ら必要な情報をとりにいくことも社会人としてのスキルです。
また、そうした情報収集と並行して、自分が今の会社の業績向上に少しでも貢献できる方法はないかという観点から、あなたにしかできない、もしくはあなたが音頭を取ることによって、チームや同僚社員を動かすことを積極的に行うのも、将来的にポジティブな成果につながるかもしれません。例えば営業職にあるなら、新規顧客開拓として大口の顧客と契約を結ぶとか、財務系の部署にいるなら、政府の助成金や補助金を受けられる道筋を見つけてくるとか、画期的な経費削減方法を見つけて提案するとか、商品開発部にいるなら、新商品を開発してヒットにつなげるとか、売り上げを伸ばすことと経費を削減することの両面から、アプローチすることが可能なはずです。
たかが一社員にできることなど限られていると諦めて、何もしないのは間違っています。これまでも日本を揺るがすような大ヒット商品は、メーカーの一社員のアイデアから生まれているものです。会社が非常に財務的に困っている状況で、もしあなたが会社の窮地を救うような活躍を見せ、再建することに多大な貢献をすれば、持ち直した社内において、大幅な昇進や昇給が期待できるかもしれません。
仮に、その努力が報われずに、結果的に会社が倒産という結末を迎えたとしても、転職活動においてその経緯は大きく評価されることになるかもしれません。少なくとも、会社の倒産の可能性を目の前にして逃亡したとか、何もしない傍観者となるのではなく、会社のために最後まで貢献しようとした姿勢は必ず転職希望先でも評価されて、転職活動の成功にも大きく影響することでしょう。日本企業では指示待ち社員が生まれやすい風土が残っていますので、そうした自分にできることを進んで行う社員は、どの企業にとってもぜひ採用したい人材であるはずです。
会社が潰れそうな時の「転職」という選択肢について
そして、会社が潰れそうなことを見極められたら、可能な限り早いタイミングで転職活動を開始するべきです。会社の業績がじり貧で、新しい人材の採用もなく、企業を成長させるための設備投資も一切ない環境において、人材の成長は全く見込めないでしょう。給料だけが下がり、サービス残業も含めて勤務時間は長くなり、新しい知識や経験を得るための研修や資格取得制度もなく、根性論だけで叱咤激励ばかりされるならば、未来につながるものは何も得られないでしょう。もしそう実感するのであれば、1日でも早く、新たな自分を成長させられる環境に転職すべきです。
実際に転職に迷っているのであれば、まずは何を待っているのか?と自分に問いかけてみましょう。もしまだ会社でやり残していることがあるなどの具体的な答えが何も見つからなければ、現職に留まる理由は何もないということです。まずは同じ境遇にいる同僚社員にさりげなく相談してみましょう。そこで、自分の知らなかった何か一つでも明るい材料となる話が聞けなければ、そのタイミングで最終的に転職を決意してもよいでしょう。
一度決断をしたら後ろを振り向かずに、満足のいく転職を成功させられるように、潔くまい進しましょう。ただし、万が一決まるまでに時間がかかりそうなケースを想定しても、退職ありきで辞めてしまってから転職活動を開始するのは、時勢的にもリスクが高くなります。理想的な転職方法は、現職に在職中にできるだけ多くの情報を集め、最も条件の良い企業に転職できる手筈を整えることでしょう。
まとめ
会社が倒産しそうな現実を予測することも、実際にそうなってみて受け入れることも、どちらも非常に難しいことには間違いありません。いよいよ倒産の現実味が帯びた頃になって初めて、会社の詳細な財務状況の情報収集を行おうとしても、経営陣による情報規制がされているであろう中では難易度が上がります。そのため、できるだけ早い段階でその前兆を嗅ぎ分ける嗅覚と、そこから一気に必要な情報を集めていく態勢を整えておく必要はあるでしょう。
そして、会社が窮地に陥っていることが分かったら、逃げたり傍観したりせず、自分にしかできないことを積極的に行って、会社の再建に貢献する姿勢を鮮明にしていきましょう。その努力と貢献が実を結ぼうが、手遅れであろうが、どちらの結果になったとしても、あなたの評価は上がりこそすれ、落ちることはありません。
その上で、もうダメだと判断した場合には、即座に転職活動を開始しましょう。待っていても何もいいことは起こりません。会社への貢献をしっかり行い、それでもダメなら、転職活動をためらわずに即座に開始するという判断力が求められることは言うまでもありません。そうした決断を行うためには、常日頃からの情報収集と、情報を集められる人脈作り、そして自分の中でのプランBの準備といった備えが必要であることも忘れないでおきたいものです。
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