[最終更新日]2023年9月19日 [記事公開日]2022年1月7日
会社をバックレるとどうなる?バックレ後の末路と正しい退職の仕方
世の中にはさまざまな労働環境が存在しています。任されている仕事の量がとても1人でこなせる量ではなかったり、意図的にかどうかは別としても上司からパワハラやセクハラに該当するような扱いを受けていたりなど、業務内容や人間関係に疲れ切って、もう会社に行きたくないと思う人は予想以上に多いのかもしれません。
勤めていた会社の側に問題があったとしても、辞め方を間違えた離職者には、自分自身の正当性を証明する機会は失われてしまうでしょう。その際たるものが、いわゆるバックレるという状態です。
会社をバックレた後の末路
まず最も考慮しなければならない事柄は、バックレという行為がもたらす自分自身への影響についてです。いざ会社の退職行為をバックレという方法で行った場合に、どのような末路をたどる可能性があるのかについて明確にする必要があるでしょう。「バックレる」という言葉の定義は、「何かから逃げ出し、辞めてしまう」という意味です。
もしあなたが正社員であるならば特に、会社をバックレる行為は絶対に避けるべきです。毎日出社すべき存在である正社員が、ある日突然会社に来ずに何の連絡もなければ、上司や同僚社員が心配するのは当然のことです。連絡もないまま何日もその状態が続けば、会社から警察に通報されて大事になる可能性すらあります。もしあなたが逆の立場で同僚の無断欠勤に直面した場合、十中八九その家族へも連絡することでしょう。もし親などの身内への説明が不十分になされていた場合には、家族にも多大な心配や動揺を与えることになるはずです。
また、無断欠勤によって会社に与えた損害を賠償責任についての問題が発生するかもしれません。しかしこの点については、その欠勤が実際に会社に与えた損害への直接的な原因として、一体どれくらいの額に相当する被害になったのかを正確に証明することは難しいため、多大な裁判費用を会社が捻出してまで法的に訴える可能性は低いでしょう。1人の社員だけで業務が行われているわけではありませんので、チーム全体の中のたった1人が与えた損害を算出することは困難です。
また万が一、会社にもパワハラの事実や法的に許される範囲を超えた長時間労働やサービス残業などの実態があれば、やぶへびになる可能性も考えられますので、そのケースにおいては、なおさら訴えられる可能性はないと考えられます。しかし、契約書にのっとって責任を問われる場合には、必ずしもリスクがゼロとは言えません。契約の中で、勤務時間や雇用期間についての取り決めが明確な場合には、その期間内の無断欠勤は契約違反として責任を追及される可能性は残ります。契約書にその旨の記述があり、規約違反を犯した場合の罰則についての記載も明確であれば、損害賠償として請求されるケースも起こりえます。
会社をバックレずに退職すべき理由
そのような前提の上では、1人の社会人として、また1人の人間として、バックレ行為は決してあってはならないことです。人道的な理由からも、誰かに迷惑をかける行為は慎むべきです。バックレという行為による末路は、一言でいえば社会からも身内からも、それまであった信用を一瞬にして失うということに尽きます。バックレるという行為は、退職の手続きに関して定められているはずの雇用契約にも背く行為ですし、社会通念的にも常識がない行為であると認定されるべきものです。そうしたバックレ行為によって自分自身が被るデメリットは甘んじて受ける必要もあるでしょう。
まず雇用そのものに関するバックレのデメリットですが、就業規則の内容次第では、会社側に正当な理由が認められる形で解雇されてもおかしくないでしょう。法律的には、バックレたからといって即日解雇されるわけではありませんし、バックレている期間に給料さえ支払われます。しかし、就業規則に一定期間、例えば2週間や3週間以上の無断欠勤について解雇するに十分な要件として記載されていれば、その規定に則って解雇されるはずです。
自主的に退社するのと解雇されるのとでは、その後の転職活動一つをとっても、天地ほどの差が生じます。万が一、形態の中では最も重い懲戒解雇として処分された場合には、刑事事件を起こしたと同等の扱いを受けることになり、その後の再就職活動に与える悪影響ははかり知れません。仮に就業規則に具体的な記載がなく解雇するに十分な状態ではなかったとしても、安心できることではありません。間違いなく、始末書などを作成させられてオフィシャルな記録として残るでしょうし、降格や減給などの処分がくだされることでしょう。
次に、より具体的にバックレた後の就職活動への影響についてですが、懲戒解雇はいうまでもなく、通常の解雇であっても、不利になるであろうことは間違いありません。社会人としての責任を全うしなかった事実は重く、それは転職活動に必要になるであろう書類上でも隠すことはできないものです。転職先の選考が進めば、離職票や退職証明などの、前会社によって作成される書類には必ず解雇と記載されますし、面接の中で解雇されたことがあるか?といった質問をされた場合、ありませんと答えれば経歴詐称として罪に問われることになります。
また、転職活動に必須の書類を手続きしてもらえない可能性すらあります。法的な正当性をもって離職票などの提出を訴えることは可能ですが、自分自身にもバックレたという負い目がある以上、なかなか強く言えないでしょうし、書類を受け取りにいく気まずさからも逃れられないでしょう。そもそも解雇という事実を隠さなければならないと考えるには、相応の理由があることが分かっているということです。採用活動を行っている企業の担当者が、そのような負い目に気が付かないとは考えにくいですし、解雇の経歴のある人物を採用しようと積極的に動くはずがありません。
仮に、離職者のバックレた理由が、前職における理不尽なパワハラや劣悪な労働環境にあったとしても、転職先の担当者が重視するのはバックレたという事実だけであり、その背景まで考慮することはないでしょう。どんな理由があったとしても、バックレる人というレッテルだけが貼られてしまうということです。幸運にも書類審査も面接もパスできたとしても、何かのきっかけで過去が露呈した場合、それは十分に退職勧告を受ける正当な理由として成り立ちます。早いか遅いかの違いだけで、たどる運命は同じであることが多いでしょう。
最後に経済的なデメリットについてですが、法的にはバックレている期間中も給料は支払われますが、企業が支払いの手続きをストップしていた場合、それを覆して再開させるには直接交渉するなどの労力が必要になるでしょう。できるだけ顔をあわせたくない会社の人に、バックレておきながら給料は払えという基本的に理不尽な要求を行うことも簡単ではありません。また、バックレ行為が解雇につながれば、退職金が支払われない可能性もあり、就業規則次第では訴えても勝ち取ることはできないでしょう。これだけの社会的かつ経済的なリスクを知っていれば、1人の社会人としてバックレずに、正当な手続きでもって退職する必要性を理解できるはずです。
会社をバックレずに、円滑に退職する方法
社会人として長い人生を生きていく上で、常に完璧な業務や人間関係を求めることは不可能です。それも考慮して、退職するという選択肢が自分の人生にとって正解なのかを見極める必要があります。熟考の上でやはり退職を決意するのであれば、その後の転職活動が不利にならないように、自分自身で気をつけねばなりません。まずは、退職の意向を会社に伝えることから始めましょう。相談相手は直属の上司で構わないでしょう。会社にとっても、進行しているプロジェクトの人員確保や、仕事上の引継ぎに掛かる時間や労力についても把握する必要がありますから、一方的に辞めると突きつけるよりは、自身の会社を辞める権利を盾に相談することが重要です。
法的には2週間前に通知すればよいことになっていますので、その最短期間で退職できるように段取りを決めたいところではあります。そのまま叶えば問題ないのかもしれませんが、社会的な一般常識としては1カ月前の通知が良とされているので、転職先に余計な懸念を抱かせないためにも、やはり国内においては1カ月の期間を想定して退職の準備を行うという前提の上で、全ての決定と行動を管理すればよいでしょう。正式に退職願を提出するというオフィシャルな手続きも忘れずに行いましょう。
そして、自分が担当していた業務の引継ぎはしっかりと行います。法的には要求されておりませんが、転職する上で責任感の全くない人物であると判断されないためにも、このように引継ぎを行ったという実績を強調できるように準備したいところです。退職して新しい転職先の企業で働き始めてからも、前の会社から業務の引継ぎに関しての電話などが頻繁に入る姿を見られてしまっては、新たに信用を積み上げる弊害にもなりかねません。また、退職に伴い発生する事務的な手続きも並行して準備しておくと、何かと自分が助かる結果になりえます。失業給付金や年金、国民保険など、必要な手続きに漏れがでないようにしっかりと準備をすべきでしょう。
また、実際に退職してはじめて転職活動を開始するというように、スケジュール的に白黒をつけすぎる流れで転職活動を行うと、万が一スムースに次の転職先が決まらない場合に経済的なリスクを背負うことになりかねません。履歴書の内容を更新する必要が生じた場合は、無駄な空白期間が生まれて説明に苦慮することも考えられます。そこで特に経済的に余裕が有り余っている場合を除き、面接の機会を得られれば病欠や有給休暇を取得するなどして時間を捻出し、就業規則に背かない告知期間をしっかりと計算しながら、したたかに転職活動を行う道を選択しましょう。
現職に従事しながら自分一人で転職活動を計画的に続けることは困難ですので、第三者の協力を最大限に仰ぎ、代行してもらえる部分を安心して任せられるためにも、自分にあった転職専門のエージェントに依頼することも考慮に入れたほうがいいかもしれません。退職願いを出すタイミングも含め、就業規則に背かずにしっかりと条件面でのキャリアップを見据えたトータルなサービスを提供してもらえるはずですので、そこにかかる費用については将来への自己投資であると割り切ることによって、自分自身の心のハードルも下がるはずです。
まとめ
会社を辞めるという行為は、決して簡単なことではありません。ましてや社会的に信用を失うリスクのあるバックレ行為を実行してしまうメリットは何一つ存在しないと言い切れるでしょう。どれだけ劣悪な労働環境にあろうとも、上司の人間性によって自分自身の精神的な安定が脅かされようとも、バックレる必要は全くありません。正当な手続きによって退職を願い出ることは、法的に保障されています。常識の通じない上司などに退職を引き止められたり、認めないと脅されても、そうした要請には勇気をもって絶対に応じないようにしましょう。
万が一、そうしたケースが生じても、例えば相談できる他の上司を頼ったり、弁護士や退職代行会社などの第三者機関に相談するなど、自分一人でバックレて解決しようとせず、協力者を探すことが肝要です。もう一日でも早く辞めたい、一日たりとも会社に行きたくないという気持ちが強ければ、そうした協力者に相談することによって、有給休暇を消化する形にするなどの手段によって、形式的には正式に2週間の退職告知を行いつつも、二度と出社することなく辞める道もきっとあります。専門家の意見を仰ぎ、自分が使っていたデスクや備品を片付け、必要な書類のリストアップと受け取りの手続きの段取りを行い、計画的に退職日を迎えられるように準備をすべきでしょう。
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