[最終更新日]2023年9月27日 [記事公開日]2021年9月2日
既卒就活の厳しさとは?新卒採用との違いから見る実情と対策法
既卒の就活は厳しい。
既卒で就活を行う人にとってこのウワサってとても怖いですよね。新卒のように大学からのサポートはなくなりますし、就活仲間もいなくなるわけですから余計に厳しさには敏感になると思います。
しかし実際のところ、既卒の就活はどれほど厳しいのでしょうか。今回このコラムではそんな既卒就活の厳しさについて解説していきます。新卒採用との違いから見る実情から真相を確かめましょう。
既卒とは?
既卒という言葉はなんとなく知っているけれども、よくわからないという人もいるかもしれません。既卒とは、高校や大学、大学院、専門学校などを卒業した後で、就職したことのない人を指します。既卒に関する定義ははっきりとした取り決めはありません。しかし、一般的には卒業してから1~3年程度経過していて、一度も就職していない人を指します。
既卒と似たような言葉として、第二新卒があります。最終学歴を卒業してから1~3年程度経過しているという部分は、既卒と一緒です。しかし、第二新卒の場合、卒業した後でいったん就職したことのあるのが大きな違いです。第二新卒は社会人経験を有しているのが、既卒との違いです。
既卒になってしまうと、新卒と比較して就職に不利になってしまうという話があります。そこで、就活を行って就職先が見つからなかった場合、あえて留年する人もいます。特に、不景気によって思うような就職先が見つからなかった場合、既卒になるとただでさえ難しい就職がさらに厳しくなるということで、留年する学生も多いです。しかし、留年すれば新卒のラベルは残りますが、学費が余計にかかってしまうなどのデメリットもあります。
そこで、厚生労働省では「卒業後3年間は新卒で応募できるように」という企業の努力義務を課しました。ですから、今後は既卒でも3年以内であれば、新卒扱いになる可能性があります。しかし、2021年現在、新卒採用枠を3年以内の既卒者に枠を拡大している企業はまだ少数派のようです。
最近の新卒の就活の現状を見ると、売り手市場の状況がしばらく続いています。ですから、大学生を中心として内定率が上がっています。一方で、既卒者の数が少なくなっているかというとそうでもないようです。就職できる人が増えているのに、既卒者がそのままといわれると納得できないという人もいるでしょう。
なぜ既卒者になってしまうのか、その事情を見ると多様で、ただ単に就職活動をしていなかったという人もいますし、就活したけれども希望する職場で採用が受けられなかったというケースもあります。もしくは海外留学をしていたという人もいるでしょう。さらに、公務員や弁護士になるために資格試験の勉強をしていたけれども、合格できずにそのまま卒業してしまうというパターンも考えられます。就活を始めるタイミングも人によって異なるので、内定率がアップしても、既卒者がそれなりに出てきてしまうわけです。
新卒採用との違いから見る既卒の厳しさ
新卒とは、今年度中に高校や短大、大学、専門学校の卒業見込みの人たちを指します。「新規卒業者」の略称です。一般的に、既卒と比較して、新卒の方を採用したいと思っている企業が多いと言われています。なぜ新卒が有利なのかというと、社会人1年生である点です。何物にも染まっていないので、自社のカラーに染めやすいと考えられているわけです。一方、中途採用者の場合、前にいた会社のやり方が身についてしまって、転職先の流儀になかなか対応できないという人も結構います。
将来性に期待が持てるのも、新卒人気の高い要因の一つです。社会人経験がないので、スポンジのように教えたことをどんどん吸収する人材が多いと考えられています。今は何もできなくても、教えればどんどん成長していってくれて、将来、会社を担う戦力になると期待されて採用されます。
風通しがよくなるのも、新卒の採用を希望する企業が多い理由の一つです。新入社員が入ることで社内に新しい風が吹きますし、活気ある若者の存在で、社内の士気も高まります。新卒を採用すると、会社にとっていろいろなプラスが期待できると考えられているわけです。
それに対し、既卒者はマイナス要因がいろいろとあるので、新卒と比較すると就職先を見つけるのが難しいと考えられています。何かしらの問題を抱えていると思われてしまうのが、就職へのネックになります。
既卒は学校を卒業しても社会人経験が一切ない人たちです。それはコミュニケーションを取るのが苦手だとか、人間性で何か問題があるからではないか、と採用する側は疑います。学校を出たらどこかの会社に就職するのが当たり前という風潮があるので、その当たり前のことをしていないということは、何らかの問題があると思われてしまうわけです。特に、卒業してからの時間が経過すればするほど、その問題が深いと思われがちです。
既卒者は、卒業するまでに内定をもらえなかったと考えられます。普通の学生であれば、卒業するまでにどこか内定のもらえるケースがほとんどです。それができなかったのは、「あまり働く意欲がなかったからではないか?」と思われるかもしれません。就業意欲が低いと見られてしまうと、ポテンシャルや将来性もなかなか評価されません。その結果、既卒者は敬遠される傾向があるわけです。
既卒者への面接の中で、定番の質問があります。それは「なぜ既卒になったのか?」と「既卒期間をどう過ごしてきたのか?」という質問です。既卒者は、この2つの質問にうまく答えられない人が多いようです。いずれも採用する側からしてみると気になる問題なのですが、そこに明確な回答がないと、採用する方は躊躇してしまいます。
特に、「なぜ既卒になったのか?」の質問は、面接官が単純に知りたいポイントです。この質問に対して、既卒になった理由だけを答えても意味がありません。何のPRポイントにもならないからです。既卒になった理由を踏まえて、今後どうしていきたいのか、先を見据えた回答を準備しましょう。
既卒期間の過ごし方も、採用担当者からしてみれば気になるポイントです。既卒期間に何をしていたかを正直に答えましょう。その上で、その期間中にどのようなことを学んだのか、どんなスキルを獲得したか、それを仕事面でどう活かしていきたいかまで答えましょう。このように前向きな答えをしないと、面接官が好印象を抱きません。既卒者になると、ネガティブなことをいろいろと質問されるので、回答も新卒者以上に工夫しなければならないのは不利な側面と言えるかもしれません。
既卒者が就職を成功させるための秘訣
新卒と比較して、既卒者は採用の部分で不利な面があるのは否めません。しかし、既卒者が正社員として就職できる可能性がゼロといっているのではありません。既卒者でも努力次第で、内定を勝ち取ることは十分可能です。既卒で就職するためには、「自分が既卒である」という現実を受け入れるところから始めましょう。既卒にはネガティブなイメージがあり、採用では不利であることを受け入れましょう。
就活を行うにあたって、自分のやりたいことだけに絞り込まないことです。就職先の選択肢を狭めると、それだけ内定も取りにくくなるからです。自分のやりたいこと、プラス、自分にできることまで視野を広げて、応募先を決めるといいでしょう。
就活先を決めるにあたっては、抽象的に自分のやりたいことで考えるのではなく、自分が将来どうなりたいのかまでをイメージするといいです。具体的な目標を持つと、そのためにどんなスキルや資格、経験を身につければいいかが明確になります。志望動機なども書きやすくなりますし、入社後のミスマッチによる離職も防止できます。
求人情報を探すにあたって、経歴や職歴不問の案件をピックアップするのもおすすめの方法です。職歴や経歴を採用基準で重視していると、第二新卒などと勝負するのは不利です。未経験者でも歓迎する求人を見つけましょう。
既卒者は、新卒者や第二新卒者と比較すると、条件的には不利な傾向が見られます。応募者の多い案件は、新卒者や第二新卒者も多く応募しているでしょうから、その中で内定をもらうのは難しいでしょう。そこで、新卒者や第二新卒者の応募者数が少ない、ライバルの少ないところに応募するのもおすすめです。競争率の低いところに応募すれば、それだけ自分が採用される確率もアップするわけです。
既卒が就職成功するためには、主体的に行動することも大事です。どんどん自分から動いていきましょう。志望する企業や業界が見つかれば、そのことについて情報収集します。入りたい企業があれば、そのホームページを確認したり、どんなサービスや商品を提供しているかチェックしたり、実際にその会社の商品やサービスを使ってみたりしましょう。自分から志望する企業にコンタクトを取ることで、志望企業の強みや特徴が見えてきます。
そして、そのことを書類や面接の時に伝えていきましょう。そうすれば、面接官も「ウチのことをよく調べてきている」「入社したいという意欲がうかがえる」と評価するでしょう。自分から相手のことを知ろうとする姿勢を持つことが重要です。
就活の第一歩は、履歴書です。書類選考を通過しなければ、面接にすら進めません。履歴書を作成する際には、志望動機をどうするかがポイントです。ここで就職したいという熱意をいかに伝えられるかが肝要です。重要なのは自己PRも交えた志望動機にすることで、応募企業のどんなところが良くて応募したのかだけでなく、自分のこれまでの経験や能力をどのように活かせるかを絡めていきましょう。そうすれば、「会社が自分を採用すればいかにメリットがあるか」を採用担当者にアピールできます。学生時代に取り組んだことやアルバイトの経験などを踏まえて、どの部分を生かせるかという視点で志望動機を作成しましょう。
面接についても入念な下準備をすることが大事です。先に紹介した定番の質問がありますので、少なくてもその質問に対する答えは準備しておきましょう。でないと「この人はきちんと準備をしてきていない」と評価されてしまうからです。どんな質問が来るのかシミュレーションしたうえで、どんな答えにすればいいかを考えましょう。
この時ただ単に答えを準備すればいいものではありません。相手がなぜその質問をするのか、その意図を理解して、その意図に対してどんな答えをぶつければ相手が納得してくれるかという側面で考えることが重要です。すぐ答えられればいいというものではないので、この部分は注意が必要です。
転職エージェントの中には、面接のシミュレーションをしてくれるところもあります。キャリアコンサルタントが面接官役をしてどのように答えればいいかアドバイスしてくれます。また皆さんの今までのキャリアやキャラクターなどを踏まえてどのような答えを準備すればいいかについて助言してくれるところもあります。自力だけで準備するのに不安を感じているのであれば、転職エージェントの力を利用するのも一考です。
もう一つ、採用試験を受けるにあたって意識しておきたいのは、熱意をアピールすることです。「御社に貢献したい」「採用されれば一生懸命頑張ります」といった気持ちをアピールしましょう。このように熱意をしっかりアピールすることで、「既卒になったのはもともと就業意欲が低いからではないか」という懸念を払しょくできます。熱意のある人なら「一緒に働きたい」と考える面接官も多いです。実務経験の有無も重要ですが、「この職場で働きたい!」という思いも大切です。
まとめ
何らかの事情で、学校を卒業するまでに就職できなかったという人も多いでしょう。既卒は社会人経験がないので、第二新卒と比較して不利ですし、フレッシュさのある新卒と比較しても、どうしてもマイナスの印象になりがちです。しかし、上で紹介したように、今後どうしていきたいのか、就職したい熱意をアピールできれば、既卒者でも正社員として就職することは十分可能です。既卒者で働きたいと思っているのであれば、まずは自分から動いてみることです。志望する企業があれば、自分でも応募できるかどうか問い合わせてみる、転職エージェントに登録してみるなど、できるところからチャレンジしていきましょう。
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