[最終更新日]2023年9月27日  [記事公開日]2021年7月28日

【例文あり】既卒面接で自己紹介を完璧に答える方法教えます

それまでの終身雇用、年功序列といった日本の伝統的な労働環境が一変して久しいですが、新卒採用一辺倒であった就職活動にも、多様性の流れが押し寄せました。その原因となったのが、企業が正社員だけではなく、契約社員や派遣社員といった非正規雇用を柔軟に採用できるようになったことも大きいでしょう。

確かに若者をはじめ、あらゆる年代層の働き方が多様化したことは間違いありませんが、その分、正社員と非正規社員の間の経済格差は、年々拡大する一方です。

そうした背景を踏まえても、若者は苦労して手に入れた新卒採用の成果を簡単に手放してしまうようになりました。厚労省の調査によれば、新卒採用で入社してから3年以内に離職する割合は全体の3割以上に上ります。では、そうした若い離職者がそのまま非正規社員になるかと言えば、それも違います。

既に現在の転職市場においては、第二新卒というカテゴリーが確立されています。20代の労働者数が30代以上の層と比較して少ないことから、企業が年代のバランスを取るために20代の雇用には積極的であるという事情も、若者には有利に働いていると言えるでしょう。その結果、新卒採用で入社した若者は、企業への不満を高めるなど、自分に合わないと判断すれば、即座に転職するという常識が生まれたのです。

一方、新卒でもなければ第二新卒でもない層も生まれました。それが既卒と呼ばれる就活者です。大学在学時に1社からも内定を得られなかった、もしくは就職活動自体を行わないまま卒業した若者が当てはまります。既卒になった理由はさまざまであり、一生懸命就活を行ったにも関わらず、1社からも内定をもらえなかったという人もいれば、留学から帰国したタイミングで就活が終わっていたなどのケースもあります。

第二新卒であれば、社会人としての基本所作を既に身につけている即戦力があり、かつ、まだ自社のカラーに染められる余地を残しているという理由から、企業も採用に積極的であることに道理があります。しかし、既卒に関しては、社会人経験が一切ないというデメリットに加え、他者から採用を見送られたネガティブな理由があるかもしれないという先入観も生じます。

では、既卒は就活に不利であるかと言えば、そういう面も認めつつ、それだけではないとも言えます。企業が組織の構成において20代の年齢層を厚くしたいと臨む限り、可能性はゼロではありません。その上で、既卒者が挫折や後悔を乗り越えて内定を勝ち取るためには、新卒や第二新卒以上に戦略的に努力する必要があります。特に、面接における回答の内容や話し方は非常に重要です。

既卒面接における面接の判断基準

既卒面接における面接の判断基準

企業が既卒という、従来は採用の対象にすらしていなかった層の採用を検討するようになった理由は、前述の通り、組織の年齢構成上のバランスを保つために、20代を積極的に採用したいというものですが、当然、若ければ良いと思っているわけではありません。面接時の判断基準も、新卒とは異なります。

最もクリアに把握したい部分は、どうして既卒になったのかという動機や経緯と、現状からどのように這い上がろうとしているのかというハングリー精神とポジティブさです。もし既卒に甘んじた理由にネガティブな理由も含まれている場合は、真摯に反省して次に生かそうとしている謙虚さがあるかどうかも判断基準に含まれるでしょう。

そこで採用活動全体を通して、特に面接時においては、既卒者はポジティブな回答に徹するべきでしょう。いくら正直な謙虚さが求められると言っても、本当にただ怠けていたからという理由は絶対に避けるべきです。

例えば、1社も内定をもらえなかったという結果についても、どうしても入社したい企業のみに絞っていたため、全ての就活が競争率の高い戦いばかりになってしまったという印象を与えられれば、他社を受けていれば受かっていたというイメージを与えることも可能です。単純に「自分の実力不足でした」と回答しても、「実力を高めるために何もしなかったのか」などの非常に回答しづらい追加の質問を招いてしまいますので、注意が必要です。

その上で、既卒になった原因として、自分の希望に執着しすぎたあまりに、エントリー数を増やさず、機会の創造を怠ったことを反省しているといった謙虚さにもつなげられます。

企業側から見れば、若さゆえに短絡的に無謀な戦いをしてしまったが、謙虚に反省もしているし、失敗から這い上がろうとしている精神的なタフさも将来に期待が持てるという認識を持つかもしれません。少なくとも、怠け者だったからというネガティブなだけのイメージよりは、何倍も好ましく感じるはずです。

自己紹介からチェックしていること

自己紹介からチェックしていること

こうした面接全体を通して、採用側にポジティブな印象を抱かせるには、第一印象の自己紹介も大切なポイントです。企業側は、自社が求めている人物のイメージを抱いて面接に臨んでいます。大切な時間と費用をかけて面接しているのですから、面接官も真剣に候補者の見極めを行っています。そうしたセッションを通して、あなたは画一的にではなく、受ける企業の持つそれぞれのニーズの特性に当てはまるように話すべきです。

企業の意図する人物像からかけ離れてていれば、いくら美辞麗句を並べようが、見当はずれの経歴を披露しようが、なんの意味もありませんので、工夫が必要です。既卒の就活生を面接しようとする企業は、既卒であるがゆえの逆境をどのように受け止め、自己分析を行い、今後にポジティブに生かせるようにマインドセットができているか、応募者の態度や言動をチェックしていると思うべきです。

自己紹介の内容からも発言している態度からも、既卒者のポジティブさが重視されているという観点を忘れず、明るく快活に話すことを終始にわたって心がけ、怠けた結果の既卒ではないことを証明するために、話の要点を簡潔にまとめて話せるというプレゼンテーションのスキルも証明しましょう。

さらに、一般的なビジネスマナーは完璧に準備しておきましょう。既卒の短所の一つは社会人としての就職経験がないことで、面接する側もその点を懸念材料としていますので、全く心配ないことをアピールしましょう。基本的なあいさつなどの礼儀作法はもちろんのこと、スーツなどの着こなしに見られる清潔感などの身だしなみがきちんとなされているか、話を聞く姿勢や言葉づかいに不備がないか、相手に与える第一印象は悪くないかなど、ビジネスの現場で好印象を持たれる人材であるかもチェックされているはずです。

既卒面接での自己紹介ポイント

既卒面接での自己紹介ポイント

面接における自己紹介の内容についても、あなたが最も企業の求める人材にフィットしている証明を具体的に行いましょう。もしその企業が営業を強化したいと思っていれば、例えば大学を卒業後の期間に行っていたアルバイトの経験からコミュニケーション能力が鍛えられたこと、就職して現場での経験はないものの、営業に関する書物を読み漁り、自分が話すのではなく、お客様の話を聞くという自分なりの営業の極意を身につけたことなど、アピールするポイントを自己紹介に盛り込むべきです。

もし海外への進出を考えている企業であれば、大学を卒業してからの期間に、どのような英語に関する取り組みを行ってきたかをアピールすべきでしょう。例えば、TOEICを受験して高得点を取得したとか、オンライン英会話のコースを履修していたなど、時間を無為に過ごすのではなく、しっかりと自己研鑽に充てていたことを、その企業のニーズに合わせてアピールすることが大切です。

そして、その企業に入社できたら将来的にはどのように貢献したいと思っているのかにまで言及することが可能であれば、より具体的なイメージを描いてもらえるでしょう。既卒と言うのは、新卒制度が主流の日本における就職活動という観点では、確かにある種の失敗と言われるかもしれません。

しかし、何かにチャレンジをし続ける限りは失敗はつきものであり、重要なことは失敗を怖れて行動しないということではなく、失敗から学んだことを生かして、あきらめずに成功へとつなげていく精神的な強さと粘り強さであることを、既卒者は強調すべきでしょう。そこが新卒との大きな差別化のポイントになり得ます。

【例文】既卒面接における自己紹介の答え方

既卒面接における自己紹介の答え方

こうした自己紹介のポイントをチェックするために、面接を行う人事担当者からは、既卒者に対する典型的な質問が用意される傾向にあります。逆に言えば、その質問の回答を用意すれば、対策をしやすいとも捉えられます。

必ず聞かれるであろう質問は、どうして新卒で就職しなかったのかという理由についてでしょう。新卒採用のほうが既卒よりも何倍も採用されやすいのですから、いばらの道を選ぶことになった経緯について、企業側が関心を持つのは当然の部分です。自己紹介では、このポイントも盛り込みながら、誠実なビジネスマナーで相手への敬意を払いつつ、簡潔かつ明快な内容で自己紹介を行います。具体的には以下のような例文を挙げられるでしょう。

「本日はお忙しい中、私のために貴重なお時間を頂戴し、誠にありがとうございます。山田太郎と申します。〇〇大学経営学部にて国際経済学を専攻しておりました。在学中は、日本企業の海外進出の成否について深く研究するため、短期留学を含め、3回にわたる海外経験を積んでまいりました。同時に、環境問題に取り組んでいる国際的なボランティア組織に属し、他国の担当者とのコミュニケーションの窓口として活動してまいりました。

2020年に卒業したのですが、それまでの海外での活動を優先させたことで就職活動に時間を割けずに、結果的に既卒になってしまいました。このまま海外での就職も考えましたが、海外では日本以上に実績と経験がないと就職が難しいことを知り、また、ボランティア仲間から、日本企業でも英語を使った国際的な業務に携われている現状を聞いたことで、初めて日本での就職を考えるようになりました。

改めて調べていた際に、御社が海外進出を検討していることを知り、これまでの自分の国際経験と英語を含めたコミュニケーション力を生かして、プロジェクトの推進に貢献できるのではないかと考え、応募させていただきました。本日は、なにとぞよろしくお願いいたします。」

まとめ

新卒者の「○○大学△△学部の(名前)です」という自己紹介は、ある種の肩書として企業から認識されます。しかし、既卒の就活生にとっては、たとえ誰もが知っている大学や学部を卒業していたとしても、それをそのまま肩書と使うことがかないません。「卒業したけれども就職はできなかった(名前)です」という、ネガティブなワンクッションを挟まざるを得ないのが現状です。

自己紹介の場では必要な情報を余すところなく、かつ簡潔にアピールすることが重要ですので、ネガティブな情報には極力触れずに、あくまでポジティブに変換する工夫が必須でしょう。「〇〇大学△△学部卒業、(名前)です」と力強く言い切れば、ウソもついておらず、かつ既卒の後ろめたさを感じさせない表現になり得るはずです。言葉の内容ではなく、言葉に力を持たせる堂々とした態度と振る舞いこそが、新卒の学生以上に求められるということです。

面接官が既卒者に持っているかもしれないネガティブなイメージや懸念しているポイントについて、先回りしてそこは心配しなくても大丈夫であるという安心感を与えること、常に明朗快活に既卒であることを負い目に感じていない根拠と自信が伝わるような振る舞いを心がけること、この2つのポイントを忘れないように、面接の自己紹介の準備を行うべきでしょう。

少なくとも事前に自己紹介の例文を作成し、誰かに実際に聞いてもらう練習は何度も行いましょう。本番での自信に満ちた振る舞いをすることは、準備と練習に裏打ちされた自信が絶対に必要です。

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