[最終更新日]2023年10月2日 [記事公開日]2021年5月13日
フリーターと正社員との違いを解説|メリットから見る“正社員”の魅力
2020年の初頭から猛威を振るい始めたコロナウイルスの感染拡大によって、日本においても従来の仕事に対する常識は、再び大きな転換を迎えた様子がうかがえます。
これまではかたくなに正社員の副業を禁じていた日本企業も、コロナ禍で社員の配置にパラダイムシフトが起こる中、ついに個人としての副業を認め始めました。
この動きは、社会人経験が豊富で各分野でスペシャリストと呼べるような人材が、これまでのフリーターの活動領域に侵入してきた側面もあります。例えば、各航空会社の国際便は、世界各国の国境封鎖によって飛行機を全く飛ばせない状態が続きました。
その間の客室乗務員の雇用を維持するため、航空会社は期間限定でのコールセンター勤務を命じました。すると、接客のプロである乗務員たちは、その圧倒的なコミュニケーションスキルによって、オペレーターとしての完璧な成果を挙げ、能力の高さを証明しました。
やりたくないと思いながら生活のために従事しているフリーターと、正社員として、またプロフェッショナルとして強い責任感を持ち、習慣となっている改善意識によって自主的に毎日の向上を図る客室乗務員との、あらゆる面での能力差が露呈しました。
フリーターと正社員との違いとは?
このように、正社員の職務領域とフリーターのそれとの境目が壊れてきている印象がある中、フリーターの立場はますます弱くなっていくかもしれません。今後の行く末を見ていくためにも、まずはそもそもフリーターと正社員ではどういう点において違いが生じるのか、考察しましょう。
フリーターとは、高校や大学を出てから一度も正社員としての職歴を得ずに、アルバイトなどをしながら数年が経過している人をそう呼びます。一方の正社員の大多数は、高校や大学を卒業と同時に、いわゆる新卒採用を経て働き始めており、収入を得始めるタイミングからして異なります。その結果として生じる経済格差は、フリーターの多くが漠然と感じているよりもさらに大きいことが現実です。
時給のアルバイトのみのフリーターは、その稼働日数によって収入が増減します。この点、たとえ会社を休んでも給料を減らされるわけではない正社員との大きな違いです。もちろん、休日出勤などの過酷な業務を休日手当ても代休もなく働かされている、いわゆるブラック企業の例もあるでしょう。しかし、それはフリーターであろうと同じことであり、正社員だけに起こる悲劇ではありませんので、どちらに優劣があるわけではありません。
ただ一つ言える確実なことは、フリーターは時間で仕事をしているため、働いた分はもらえるということが基本ですが、正社員に補償されている有給休暇はありませんし、夏季や年末年始の長期休暇を同じように取得してしまうと、その期間の収入がゼロになってしまうということです。こうした賃金に関する性格の違いは、生涯賃金格差が正社員とフリーターでは3倍以上になるという調査結果に如実に表れています。
もう一つ、正社員との大きく異なる点は、雇用契約を実際に働いている企業と結んでおらず、それはあくまで派遣会社との契約であることが多いということです。つまり、派遣先の企業は、フリーターである派遣社員に対して何ら直接的な補償を与える必要がありません。形態にはよりますが、多くの場合は派遣先企業が派遣企業に対して業務委託費を払い、派遣企業がそこから手数料名目のマージンを取った後、フリーターに対して賃金を支払う形式です。
よって、派遣先の企業は実際に働いているフリーターに対して、賃金さえ直接支払っていないということです。ましてや正社員に対しては保証している各種手当や年金などの制度、退職金などの金銭面に加え、企業が保有している保養施設などの利用やその他の社員特典なども、フリーターは対象外です。
職場が嫌になって辞めたければ簡単に辞められるということを、フリーターのメリットとして考えるならばそうかもしれません。しかし、フリーター自身も自覚するように、周囲の目も同じように感じています。辞めたければ簡単に辞める人なんだと思えば、いつ仕事を辞めて無収入になるかというリスクを常に負っている状態です。この点も、一度狭き門を突破して就職した正社員が、簡単に会社を辞めることはないだろうという安心感を持って見られる点と大きく異なります。
絶対に正社員になった方が良い3つの理由
こうしたフリーターと正社員との違いを踏まえると、長期的に見れば絶対に正社員になった方が良い理由が少なくとも3つはあると推測可能です。
まずは、何と言っても経済格差を考慮した場合に、生涯賃金を計算すると、正社員はフリーターよりも3倍の収入を得られるという調査結果が広く知られています。20代~30代であれば、フリーターであっても、かなりの時間をアルバイトに投じて毎月そこそこの時間給を得ることは可能でしょうが、それでもこの時点で正社員の給料とは100万円から250万円ほどの格差が生じていると思われます。
そして、正社員は長く勤めるほど給与も高くなっていく傾向がありますので、40代から50代になれば、その格差はさらに大きくなると簡単に予想されます。基本給でさえ、年収ベースで最低でも3倍以上の開きがあることでしょう。
正社員はこれにボーナスが加わりますが、アルバイトや派遣社員であるフリーターにはボーナスもありません。日本企業のボーナス額は、もちろん景気にも左右されますが、平均すると2カ月から4カ月ほどと言われています。毎月の給与額が約30万円だとすれば、多めに見て100万円ほど見込めるわけですが、それが年に2回の支給であれば、さらに倍です。毎年ボーナスだけで200万円の格差が生じるという計算になります。
さらに、正社員には各種の手当と呼ばれる補償があります。例えば、社宅などを提供している企業であれば、普通に借りるよりも安い家賃で暮らすことも可能です。毎月の交通費としての定期代には通勤手当、他にも家賃補助や住宅手当などの名目で毎月何万円、と基本給に上乗せされます。
フリーターと正社員との大きな違いの2つ目は、雇用契約についてです。フリーターは自分で見つけたアルバイトでも、派遣会社経由で採用された契約社員であっても、その契約は一生ではありません。それどころか、何か大きなミスをしたとか、職場の空気を損なうような言動があれば、有限の契約期間に満了を迎えれば契約更新はされないでしょうし、ひどい場合は即座に解雇される可能性もあります。
日本の経済格差を大きくしたと批判されることの多い、政府の中で働いていた有名な学者兼企業役員は、正社員の首は切れないが、契約社員の首はいつでも切れるのだから、雇用の調整弁として使えばよいという趣旨の発言を過去にハッキリとしています。つまり、企業が契約社員やアルバイトを使いやすくなる土壌は、政府主導で作られてきたのです。その結果、2021年現在で、非正規労働者の割合は既に3割を大きく上回っています。
例えばコロナウイルスの感染拡大を受けて雇用を調整する必要性が企業に生じた場合、まずは非正規社員の派遣切りなどが始まるということです。このように考えれば、真っ先に首になるリスクの高いフリーターと、たとえ問題のある社員であっても簡単には解雇されない正社員では、雇用形態の面でも雲泥の差があります。
さらに、フリーターと正社員では任せられる仕事の内容と責任についても大きな差が生じます。企業側からすれば、いつ社を去ることになるかもしれないフリーターに、長期的な仕事や責任の大きな仕事を任せることは難しいと思っても仕方がありません。
そもそも各企業は、新卒社員を自社のカラーに染めながら一から有能な社員に育てていこうと気構えがあるのに対し、派遣されてきたフリーターに対しては名前すら覚えられていない人もいるなど、企業側から任せられるのはそんな名前の特定が必要ですらない仕事がほとんどであるという事実です。この事実は、フリーターはキャリアップする機会すら、極端に制限されているとも言えるわけです。
そして、最後の3つ目は、社会的信用度の違いです。正社員であるというステータスは、イコール安定と言い換えることが可能です。つまり、長期的に見て安定した収入のある存在ですので、家や車を購入する際の住宅ローンやカーローンの審査、クレジットカードを作る際の審査において、落とされてしまう可能性が低いということです。
こうした制度的な適用についてもそうですが、この社会的信用度は結婚などの人生に関わる問題にも有利・不利が生じてきます。正直な本音をもらせば、収入が3倍以上も異なることが分かっていれば、同じくらい良い人柄であると仮定すれば、正社員を結婚相手に選ぶ女性がほとんどであろうことも当然のことです。
実際問題として、就職氷河期と呼ばれる時期の影響を受けて不本意ながらフリーターをしている男性の多くが未婚である事実は、そのなによりの証拠でしょう。そして、それはこの先の日本に必ず訪れる大きな問題でもあるのです。フリーターによって、この状況は悪化することはあっても、良くなっていく兆しは今はまだ見えていません。
フリーターから正社員になるための秘訣
コロナ禍にあって、ただでさえ企業は雇用に対して緩い施策はとらないであろうと厳しい推察がなされており、正社員から正社員への転職も簡単ではない中、フリーターから正社員への転職はますます難しくなっているでしょう。しかし、その過酷な状況であっても、絶対に無理であると決めつける必要はないはずです。そのためにはいくつかの秘訣があります。
まずは、未経験者でも応募に通りやすい職種を研究することです。企業にも大企業から中小企業までの規模の違い、盛り上がっている業種か衰退しつつある業種かの違い、人の出入りが激しい職種かどうかまで、さまざまな違いがあります。この違いによって生じる有効求人倍率の差を把握することが、正社員登用への有利さに直接つながってきます。できるだけ有効求人倍率の高い企業へ応募すれば、採用される確率は高まることは必然です。
職種的には、やはり対人コミュニケーション力が必須となる営業職が最も可能性が高いでしょう。開発職や研究職は、仮によほどの専門分野の知識やスキルを有していたとしてもフリーターからの転職は難しいと予想されます。それは、その分野を専門的に研究している大学院生などと、ただでさえ数少ないポジションを競合することになるからです。
反面、営業職は人数的な制約も少なく、専門知識よりは対人関係に長けていることが求められますので、相手の懐に飛び込める人間力があれば有利に評価される可能性は高まります。
また、就職エージェントを活用することもフリーターの転職にには必須と考えられます。やはり情報がなければ戦えませんので、フリーターが個人で得られる情報だけを頼りに就職活動を行うには心許なさ過ぎます。
転職のスペシャリストを多数抱えるエージェントに登録し、専門的なコンサルティングを受けることによって、就職が有利になる業界情報の提供を受けたり、履歴書や面接に生かせるような自分に足りない面の客観的な分析を受けられたりと、そのメリットは計り知れません。フリーターが最も大きな弱点とする人脈のなさを補ってくれる存在ですので、活用しない手はありません。
まとめ
将来への経済的な不安や結婚できないのではないかという社会的な不安を感じ、現在のフリーターから正社員になりたいと考えている人は少なくないでしょう。最も確実な成功要因の一つは、とにかく思い立ったらできるだけ早期に行動に移すということです。
年齢は若ければ若いほど、正社員登用の確率は上がります。同じような境遇だった人はどのように正社員になれたかという体験談などを参考に、エージェントなどの専門的なサポートを受けながら、最も高い確率で就職できる道を模索していくことをお勧めします。
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