[最終更新日]2023年10月2日  [記事公開日]2021年4月14日

第二新卒の求人ってブラックしかない?真相と優良企業の見つけ方

第二新卒ってブラック企業しかないって聞いたことありませんか?

新卒で入社したものの早々に退職したことで「第二新卒」としてこれから転職を挑むあなたにとって「第二新卒はブラック企業しかない」という噂の真相は気になるところだと思います。

ではその噂の真相はどうなのでしょうか?

今回このコラムではそんな「第二新卒はブラック企業しかない」という噂の新卒について迫ります。本当にブラック企業だけしかないのか、その中で優良企業への転職は可能なのか、そんな真相についてご紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

第二新卒の求人はブラックしかないのか?

第二新卒の求人はブラックしかないのか?

現在、採用情報をネットや情報誌で見ている求人希望者の中には、「第二新卒も対象」という文言を見つけたものの、そもそも自分が対象として含まれているかどうかすら分からない人もいるでしょう。それは、第二新卒という言葉になじみがないことに起因しているかもしれません。

第二新卒の定義にはあいまいな部分が多く、誰もが明確に理解できる基準は存在していません。ただ、世間での一般的なイメージを集約すると、大学や短大、専門学校、もしくは高校を卒業してすぐに就職をしたものの、入社2~3年以内に別の仕事を探している人を指すことが多いようです。

主に学生の見通しの悪さに起因しますが、自分が思っていた働き方、会社のカラーや社風と、実際のそれとのギャップが大きくて失望を感じた結果、会社を辞めてしまい、転職を希望するようになったというパターンが代表的でしょう。また、実際に社会人になって働くということを身をもって体験する中で、学生の時には気付かなかった自分が本当にやりたい仕事に目覚めてしまうパターンもあるでしょう。いずれにしても、こうして入社後2~3年以内に再就職や転職活動を行う人を「第二新卒」と呼んでいるのが現状です。

一つ注意が必要な点として、「既卒」と「第二新卒」は似て非なるものであるということです。既卒は、大学や短大、専門学校や高校を卒業してから、まだ正社員として働いていない人を指し、卒業後3年以内であれば新卒採用に応募することが可能です。もちろん、第二新卒の募集案件にも応募することが可能な場合も多く、第二新卒よりも選択の可能性は大きいと言えます。しかし、卒業後3年を経過してもまだ正社員経験がないアルバイトとして働いていると、それ以降はフリーターと呼ばれることが多くなるでしょう。

また、転職環境に関する近年の特徴について、考慮することも必要です。20年~30年前と比較した場合に、日本社会の人口構造は大きく変化しました。いわゆる少子高齢化の進行が大幅に加速し、学生の絶対数は年々減少の一途をたどっています。そのため、優秀な人材を企業が取り合うだけにとどまらず、自社に入社する最低限の学生を確保することも、もはや簡単とは言えない時代になりました。

そこで、一般的には大学や短大、専門学校や高校を卒業してから3年以内という期間を一つの目安としている第二新卒の年齢は25才以下ですが、人を集めるのに苦労している中小企業では特に、20代であれば間口を開放する方針を維持している企業もあります。個別に確認する必要がありますので、固定概念だけで決めつけず、興味を持った企業には積極的に確認の上、応募できる機会を逃さないようにしましょう。

そうした第二新卒対象者から見れば、少子高齢化の現状は売り手市場とも言えるはずで、有利な転職活動が可能なはずです。しかし、現実には、募集要項を見る限りにおいて、第二新卒の求人が怪しく見えるという印象を隠せない人が多くいます。転職はしたいけれども、第二新卒での転職を周囲に相談すると、いわゆるブラック企業が多いからやめた方がいいと忠告されることもしばしばあるようです。

おそらく、新卒や既卒と比べて、応募できる間口が狭い第二新卒に門戸を開いている企業は、その足元を見てくるに違いないという憶測があるのではないでしょうか。結論から言えば、そういうブラック企業が含まれている可能性はあるものの、全ての求人がブラック企業ではないという、至極もっともな回答です。

そもそもブラック企業を定義するならば、日本国が定めている労働基準法を無視し、その基準にそぐわない労働を社員に強いている企業のことです。毎月の残業時間が度を越していたり、残業手当どころか働いた超過時間分の賃金を支払わなかったりなど、主に対価の伴わない長時間労働が問題視され、それ以外にも、営業ノルマに達しなかった社員に対し、自腹での購入を強制してでもノルマ必達を命令するなどの例も挙げられます。

もともと法令順守という社風そのものがなく、入社後にそれを知ってしまった時の精神的ダメージは計り知れないでしょう。確かに、そうした法令順守の意識がなく、確信犯的に超過勤務を強いているブラック企業も中にはあるでしょう。しかし、第二新卒向けの求人の全てがそうかと言えば、もちろんそうではありません。

もし、そうした憶測を持っていたとしたら、それは大きな間違いです。先に挙げた通り、日本企業は総じて若い社員の獲得が年々難しくなりつつあります。競合他社と優秀な社員を取り合いながら、新卒予定採用人数の達成不可だった例が優良企業にあってもおかしくはありません。ソニーなどの大手企業であっても、第二新卒の採用に取り組んでいる企業もあります。よって、そうした実績からも、第二新卒へ向けての求人全てがブラック企業によるものであるという前提は、的を得ていないことが結論付けられます。

第二新卒の求人にブラック企業がある理由

第二新卒の求人にブラック企業がある理由

とは言え、まだまだ第二新卒向けの求人に多いのは、中小企業を中心とした、新卒の学生の応募が少ない企業であることも事実です。なぜなら、脈々と続いている新卒採用制度の原理主義という、大手日本企業の伝統を変えることは一筋縄ではいかないからです。これは、日本の官僚の採用ともリンクしています。

首席卒業から成績順に決まった省庁への入省が許され、そこから同期の中での長い出世競争が始まる世界では、数年遅く入省する道はありません。同じ卒業年次は同じ入省年次であり、出世競争に横入りをする形の異なるスタート地点には立てないからです。日本の大手企業にはこの省庁の出世レースと同じ概念を持っている企業も多く、そのような新卒制度にこだわっている以上は、第二新卒の採用はあり得ないと思っていた方がよいでしょう。

すると、やはり例外はあるとは言え、主に第二新卒を採用しようと動いているのは、中小企業が多くなるのは必然です。そして、この中小企業にこそ、ブラック企業と定義されるべき企業が多く含まれていると考えられています。その理由は、そもそも世間への企業の広報活動が十分ではなく、どういう企業かを知られる機会が圧倒的に少ないからです。

当然のことながら、きちんとした法令順守精神の下で健全経営を行い、昇進や報奨制度も含め、社員の教育制度を備えた企業も数多くあるはずです。しかし、そうしたことは、その企業で働く社員の身内や取引先など、ごく限定された範囲にとどまります。

その反面、内部告発などによって、日常的なブラック企業としての法令違反がマスコミなどによって明るみに出ると、やはり中小企業にはブラック企業が多いと印象付ける結果を生じさせます。つまり、美談は世に出ず、醜聞ばかりがメディアにあふれるという悪循環が、中小企業はブラックしかないという一方的なイメージの増長につながるという面は否定できません。

また、確信犯的に、ブラック企業と非難される労働環境を擁する企業が第二新卒の応募者の心理を利用している側面もあるでしょう。先に触れた通り、まだまだ日本企業は新卒採用至上主義から脱却していません。ですので、そもそも新卒の資格を失っている第二新卒での転職希望者は、その事実を現実として甘受し、あまり好条件の仕事に就けなくても仕方がないと思いがちです。

これくらいの残業は第二新卒だから仕方がない、仕事があるだけましだという思考を意図的に利用しようとするでしょう。ブラック企業には、社員を育てようという長期的で前向きな理想は皆無でしょう。どれだけ現行の労働力を都合よく搾取できるかという一点にしかフォーカスされていないからこそ、ブラック企業と呼ばれるのです。ただし、大手企業に理不尽な残業がないかと言えば、そうではないのが現実でしょう。

いわゆるホワイトカラーのエリートビジネスマンこそ、誰よりもハードワーカーであることは知られるところです。しかし、彼らは長時間の労働に見合った給料と社会的地位、手厚い福利厚生などを享受している点が、ブラック企業の社員とは大きく異なります。労働に対する正当かつ十分な対価を得ているのと、残業代も支払われずに長時間のサービス残業を強いられるのでは雲泥の差であり、中小企業がブラック企業のイメージを払拭できない理由でしょう。

第二新卒の求人から優良企業を見つける方法

第二新卒の求人から優良企業を見つける方法

では、そうした情報が乏しい中で、第二新卒の求人を見ている人が、ブラック企業を見極めることは可能なのでしょうか?100%正確にとはいかなくとも、ある程度は可能であると考えられます。

まずは、トップである経営者の発言を探してみましょう。中小企業であれば、トップである経営者の意向がダイレクトに反映される傾向は、大手企業よりも強いでしょう。その経営者の経済紙でのインタビューや何かの講演、またはOB訪問をした時の先輩社員の評などから、ブラック企業を体現しているような発言が見受けられれば、会社全体がそうであると危惧した方が賢明です。

偏見すぎるかもしれませんが、体育会系のタイプに多い傾向があります。おそらく、先輩後輩の厳しい関係性を引きずり、たとえ直接命じていなくとも、部下が忖度をすることで、会社全体の同調圧力が強くなるのでしょう。

また、社員のことを労働力搾取の対象ではなく、大切に育てて会社の戦力に育てようと思っている企業は、社員のモチベーションの向上に努めますので、そこが見極めのポイントになり得ます。例えば、福利厚生が社員の気持ちに寄り添った内容で充実しているかは、一つの大きなポイントです。

長期間の勤務を奨励する制度があるか、社員へのストックオプションを認めているかなども含めて検証すると、働けなくなったら使い捨てと位置付けている企業はブラックしかないでしょう。そして、長い目で社員を育てようとしているホワイト企業との違いも浮き彫りになってくるはずです。

最近では、転職サイトを活用する人も多く、第二新卒での求人を希望している人も、その条件を伝えた上でのサービスの利用が主流になりつつあります。そうした転職サイトでは、過去に転職した人たちの声を集めたレビューサイトを参照することが可能です。サービスを通して転職できたと思ったら、真っ黒なブラック企業ですぐに辞めたという口コミが掲載されていれば、たとえそれが投稿者の過度な批判がプラスされていたとしても、ブラック企業を避けられる一つの判断材料になるでしょう。

第二新卒であろうとなかろうと、ブラック企業を見極める際に、転職希望者の側が気をつけるべき点もあります。それは、希望する業界の特徴や慣習を知るということです。例えば、IT企業は残業の多さで知られています。システムの開発や運用に当たっては、顧客先企業の業務の根幹を担っていることから、トラブルが生じれば何を差し置いても、まず業務を再開させられるように復旧作業が急がれます。

これは24時間365日にわたって求められますので、コンピューターで管理されている環境においては致し方ない側面もあります。トラブルはいつどこで発生するか分かりませんし、その原因究明とシステムの復旧にはマンパワーが必須となるからです。こうした業界で求められる働き方を理解しようとせずに、一方的に残業が多いと不満を口にする人は、遅かれ早かれ、再び転職活動を再開するはめに陥るでしょう。

まとめ

第二新卒での転職活動において、ブラック企業に就職してしまわないように自己防衛するには、こうした知識が必要になるでしょう。自分一人では経験不足な場合は、ためらわずに、転職エージェントや転職経験のある知人に相談することが重要です。第二新卒向けの求人が新卒採用案件と比較して少なく、しかもほとんどが中小企業の募集であることは否めませんが、だからといって、第二新卒対象案件の全てがブラック企業かと言えば、それも誤りです。

転職活動における企業の見極めの肝は、その企業の正しい情報を得ることです。大手企業と比較して、圧倒的に参照できる情報が少ないことは事実ですが、そうした部分においてこそ、転職エージェントが持っている情報は貴重な参考資料ですし、その企業を体現するトップの考え方を知ることも非常に重要になります。ブラック企業に誤って就職しないよう、自分を守る最も重要な武器は情報なのです。

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